2勝というプレッシャーの中で戦った日本代表はワールドカップでプレーする歓びを感じることはできたのか | ラグビージャパン365

2勝というプレッシャーの中で戦った日本代表はワールドカップでプレーする歓びを感じることはできたのか

2011/10/01

文●大友信彦


ラグビー日本代表のワールドカップ(W杯)が終わった。
代表チームである以上、常に結果にこだわる。それは当然だと思う。だけどそれ以上に、ワールドカップは世界で最高の舞台だ。4年に一度のそのステージは、立てるだけでも素晴らしい場所だ。

前回大会と同じ3敗1分だが、勝ち点と順位は後退した

JKことジョン・カーワンHC(ヘッドコーチ)が公約として掲げた「2勝」は果たせず、3敗1分。星だけで言えば前回フランス大会と同じ成績だが、勝ち点は3から2に、プール順位も4位から5位に後退してしまった。
「残念な結果に終わりましたが、ランキングで言えば世界11位の相手と引き分けたのですから、世界11位と同等の力はあったということだと思います」

9月28日にオークランドで行われた総括会見で、太田治GMはそう言った。そもそも今回のW杯で日本が入ったプールAは、大会開幕直前の世界ランクで12位トンガ、13位日本、14位カナダと3カ国が密集していたのだから、激戦は必然だった。

初戦はフランスに食い下がって、ジャパンの存在感を世界に示した。

第2戦はNZ代表「オールブラックス」相手に主力数人を温存して戦い、見せ場を作れずに敗れた。

第3戦目、必勝を期して臨んだトンガ戦では、ブレイクダウンでトンガの勢いに飲まれ完敗した。

そして第4戦、カナダ戦では、前半を17対7。後半も、残り6分で8点のリードを保ちながら追いつかれ、引き分けた。

 

ノルマ達成のこだわりが選手を縛り付けたのでは

「プレッシャーのかかった場面での判断力が不足していた。今後はトップティアの国々ともっと試合経験を積む必要がある」

総括会見でJKは言った。

――JKは7月のサモア戦に負けたとき「ワールドカップに向けていいチェックができた。まったく心配していない、ハッピーだ」と言いました。その見通しから何が変わったのでしょう?と尋ねた。

「日本は本来、失うもののない立場です。すべてを出し切って挑戦する立場です。なのに、勝利という結果にこだわりすぎて、自分たちにプレッシャーをかけすぎたのだと思う」

JKははっきり言ったわけではないけれど、言外に《ちょっと追い込みすぎたかもしれない》と、選手を気遣っているようにも聞こえた。

2勝にこだわった事情は理解したい。プール3位に入り、次回ワールドカップの無条件出場権を獲得すれば、次の4年間のアプローチは劇的に変えられるはずだった。「ティア1」と呼ばれる上位国とのマッチメークが容易になる。日本が予選に不参加となれば、正式なフォーマットが決まっているわけではないが、アジアの他国にもワールドカップ出場の可能性も広がる。「アジアへのラグビー普及」を謳って2019年ワールドカップを招致した日本にとっては、必ず果たさなければならない責任だった。

だが、その達成ノルマへのこだわりが、選手たちを過剰なまでに縛り付けてしまった一面もあったのではないか。現地で取材していて、そう感じた。

 

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