ながとブルーエンジェルスがグランドスラム達成!太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023 | ラグビージャパン365

ながとブルーエンジェルスがグランドスラム達成!太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023

2023/07/03

文●編集部


女子セブンズ国内最高峰のサーキットシリーズ「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023」は最終戦・花園大会を迎えた。ここまで3大会を制した、ながとブルーエンジェルスは準々決勝で、追手門学院VENUSを36-7で退けると、準決勝で、3大会連続で決勝戦を戦った日本体育大学ラグビー部女子と対戦した。

日体大との準決勝―激しい試合もディフェンスでトライを許さなかった

ここまで3大会優勝のながとブルーエンジェルスは、準決勝で、3大会連続で決勝戦を戦った日本体育大学ラグビー部女子と対戦。序盤、日体大の勢いを受け、自陣ゴール前でディフェンス。ゴール前わずか数mに押し込まれるも粘り強いディフェンスでしのぎきるとグレース・ククタイの2連続トライで12-0とリードして前半を折り返す。

ビアンカ・シルバ

ビアンカ・シルバ



後半6分磯貝美加紗のダメ押しトライ

後半6分磯貝美加紗のダメ押しトライ





後半開始1分、ビアンカ・シルバのトライで19-0とリードを広げると、後半6分、磯貝美加紗が1on1の局面で仕掛ける。内にステップを切って、ディフェンスを振り切りそのまま勝負を決めるトライ。24-0と完封勝利を収め決勝進出を果たした。

決勝―ナナイロプリズム福岡との対戦は、強烈なディフェンスで相手の強みを出させずに勝利

迎えた決勝、相手は、サクラセブンズ・中村知春率いる、ナナイロプリズム福岡。初めての決勝進出で勢いがある。ながとは、前半2分、ナディーン・ルースの仕掛けから、相手をここまでチームを率いる、バティヴァカロロライチェル海遥共同キャプテンがトライを決め先制。さらに5分にもグレース・ククタイのトライで12-0とリードして前半を折り返した。

ナディーン・ルースの仕掛けから

ナディーン・ルースの仕掛けから



バティヴァカロロライチェル海遥共同キャプテンのトライで先制

バティヴァカロロライチェル海遥共同キャプテンのトライで先制



後半、ナナイロのトライゲッター、ジラワン・チュトラクンにトライを許し7-12と追い上げられるもその後は厳しいディフェンスで、ナナイロのルーキー、大橋聖香、サクラセブンズ、永田花菜らの突破を許さなかった。

平野優芽

平野優芽





すると3分、三重大会で大会MVPに選ばれた、辻崎由希乃が貴重な追加点をあげると、最後はナディーン・ルースが仕上げのトライを決めノーサイド。26-7で、全勝で花園大会を制し、4連覇。ダントツの総合ポイント80点、シーズン全勝でグランドスラムを達成し、2021年以来2シーズンぶりに総合優勝を果たした。




大会史上初のグランドスラム達成!

磯貝美加紗

磯貝美加紗


大会MVPは、ナディーン・ルース

大会MVPは、ナディーン・ルース



試合後、村杉 徐司ハイパフォーマンスディレクターに話を訊いた。

村杉 徐司ハイパフォーマンスディレクタ

村杉徐司ハイパフォーマンスディレクター

村杉徐司ハイパフォーマンスディレクター



3つ(大会を)優勝してもまだ決まらなくて、本当に最後まで苦しい大会でした。今大会の1日目も得失点を考えて、点数を取らなきゃいけなかったので、100%で臨んでいて、楽なゲームは一つもなかったです。

――完全優勝できた要因


1月の早い時期から、外国人選手も来て準備を始めました。ジャパンの選手が抜けたり帰ってきたりというのが続いたんですが、トーナメント始まって、1大会目(熊谷大会)で勝つことができて、勝ちながら成功しながら反省して、どんどん自分たちが強くなってきたのを感じています。


――ながとは色々な文化、多様性のあるチーム。チームをどうまとめているか。


選手たちがチームビルディングの一つとして、お茶を飲みながら、どうしてながとに来たのか、とか、なんでラグビーを始めたのかという割と深い話を結構みんなでしながら、お互いを分かり合って、グランド外での結びつきも今回は大きかったと思います。

――選手たちはどうして「ながと」に来ているのか


日本人の選手たちはラグビーが本当にプライオリティ一番高く、素晴らしい環境でやらしてもらえるということと、外国人選手たちと国際交流しながらいろんな経験が積めるというのがすごくあると思います。

外国人選手たちも、太陽生命(ウィメンズセブンズシリーズ)って海外で割と多くの外国人選手が出たいという大会になってきています。その中でも、ながとブルーエンジェルスはいいチームで、外国人もしっかり受け入れて面倒見るというのが、ニュージーランド行くとすごく言われるんです。ラグビーを学びに「ながと」へ行こうというそういう流れがすごくできているのでありがたいです。

――完全優勝をした今、これを続けることが目標になってきますが、その先の目標は?


どんどん海外の大会にも出たいと思っているんですが、なかなかジャパンの選手もいっぱいいますし、人数も揃わないというところもあります。とにかく、いろんな国から、ラグビー後進国の選手たちも受け入れて育成していきたい。

良く「ながとから世界へ」と言われるんですけど、僕たちは逆だと思っていて「世界からながとへ」来てもらうことを少しずつやっていきたいと思います。

田中笑伊

田中笑伊




――ジャパンの選手も含め、多くの日本人選手を呼び込むのは?


正直なところ、平野優芽、(バティヴァカロロ)ライチェル(海遥)、田中笑伊らが一気に入ってくれたときは、自分たちのチームで太陽生命勝ちたいという思いももちろんあったんですけれども、ジャパンが勝つために、うちのチームでしっかりいろんなことを学んで、いろんな海外の選手からも吸収して、ながとブルーエンジェルスのためだけじゃなくて、自分のため、もしくはジャパンのためにいろんな経験してほしいと話をしました。

――地元のバックアップはどんどん上がっているように思えますが


本当にすごく応援してもらっていて、今日も僕たちが運営しているレストランでパブリックビューイングやってくれていますし、外国人選手なんか、やっぱり目立つんでながとで歩いているとすごく声をかけてもらったり、勝てなかったときも同じようにスポンサーもサポートしていただいています。


――バティヴァカロロライチェル海遥選手が年間MVPに選ばれました


もちろんプレーで言えば、ナディーンとか、すごく目立っていたと思うんですけど、やっぱりライチェルが本当にいたからこのチームが成り立っています。彼女のなんというか、本当にフェアなんですよね。すごくフェアな立場でいろんなことをしてくれるんで、感謝しています。

MVP発表直後のライチェル驚きの顔

MVP発表直後のライチェル驚きの顔




――強いチームとして素晴らしい成績を残しましたが、女子ラグビーの中で、ながとブルーエンジェルスはどういう存在にしていきたいか。


今回これだけ僕たちが優勝できたのは日体大さんが本当に素晴らしいラグビーをしていると僕たちが感じて、彼女たちがいたから僕たちは成長できたと本気で思っています。本当に強いだけじゃなくてリスペクトされるようなチームでありたいといつも思っています。


――日体大の選手たちとながとの選手たちが一緒にハドルを組む光景は、なかなかないと思います。あれは誰のアイディアですか。


僕がライチェルに提案しました。僕のチームじゃないんですけど、日体大の選手は本当に今大会ずっと決勝で戦って、そして今日も準決勝で今シーズン4回戦いました。彼女たちの健気な姿を観ていると、チーム関係ないなと思って、本当に一緒にこれからも盛り上げようぜということで。

今シーズン決勝で3度対戦、今大会も準決勝で対戦し互いに切磋琢磨した、ながとと日体大.

今シーズン決勝で3度対戦、今大会も準決勝で対戦し互いに切磋琢磨した、ながとと日体大.


全員で日体大のユニコーンポーズ

全員で日体大のユニコーンポーズ


――今回親交のあるナナイロプリズム福岡との決勝でした


うちから移籍した薮内あゆみもプリズムでプレーしていますし、彼女の元気な姿を見れるのも本当に嬉しいし、サポーターも喜んでいたなと思っています。西の方は、女子ラグビーあんまり盛り上がっていなかったんですけど、プリズムさんと日経大さんとか、すごくいいチームが増えてきたので、来年太陽生命が九州とか、うちの方でできたらいいなとはすごく思っています。

ながとからナナイロへ移籍した薮内あゆみ

ながとからナナイロへ移籍した薮内あゆみ



――「継続と発展」ということで、今後にむけた思い


チームとして日本代表選手をすごくいっぱい抱えているので、これからアジアシリーズ、競技大会、オリンピック予選もありますし、チームとして彼女たちが代表から帰ってきたときにクラブとして何ができるかを考えてサポートしていきたいと思っています。


バティヴァカロロライチェル海遥共同キャプテン


私たちはどこのチームよりもハードワークできる自信があったので、それが結果につながって本当に嬉しいです。アタックでは、縦に強い選手がいたり、外でボールをもってトライを獲り切れる選手がいたり、それぞれ個性があることがチームのアタックの強みです。ディフェンスでは、相手よりもまず自分たちの隣とのコネクションを第一に考えて練習を重ねてきたので、それが試合で発揮できたと思います。

(年間総合MVPについて)私は昨シーズンは途中で離脱してしまったので、今年は4大会走り切ることが復帰戦の目標でした。パラキ共同キャプテンを含め、チームのみんなのサポートがあって獲れたMVPだと思っています。

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