サクラセブンズ、歴代最高の9位でパリ五輪を終える | ラグビージャパン365

サクラセブンズ、歴代最高の9位でパリ五輪を終える

2024/07/31

文●編集部


パリ五輪の7人制ラグビーは開会式に先立つ7月24日(水)に開幕。開会式をはさみ27日まで熱戦を繰り広げた。男子日本代表はプール戦でNZ、アイルランド、南アフリカに全敗。9位以下戦でもサモア、ウルグアイに連敗し、5戦全敗の最下位で大会を終了。女子は28日に開幕。初日はプール戦でアメリカ、フランスに連敗する厳しいスタートとなったがそこから奮起。9位以下トーナメントでは南アフリカとブラジルに連勝し、リオの10位を上回る9位で大会を終えた。

RUGBYJAPAN365ではJRFU提供オフィシャル写真でサクラセブンズの戦いを振り返るフォトギャラリーをお届けする

DAY1 日本7-36アメリカ

日本は試合開始のキックオフをキープしてそのままアタック。三枝千晃が力強くゲインを繰り返し、ゴール前のラックから水谷咲良が持ち出して先制トライ。内海春菜子がコンバージョンを決め7点を先制する最高の滑り出しを見せた。

中村知春

中村知春


西亜利沙

西亜利沙


三枝千晃

三枝千晃


水谷咲良

水谷咲良


梶木真凜

梶木真凜


しかし次のキックオフからカウンタートライを許すと、アメリカが勢いに乗る。フィジカルの強さを前面に出してブレイクダウンで圧力をかけ、スピードで日本DFの隙間を攻略。前半だけで4トライを許し、7-22で折り返すと、後半も2トライを献上。日本は後半に投入された中村知春、松田凜日、西亜利沙、田中笑伊、原わか花が果敢にアタックを試みるが、アメリカDFの集中力は途切れず、7-36の大差で初戦は終わった。

中村知春

中村知春



松田凛日

松田凛日


西亜利沙

西亜利沙


大谷芽生

大谷芽生



日本0-49フランス

第2戦の相手は地元フランス。試合開始のキックオフでノット10mを蹴ってしまった日本に対し、女子ラグビー史上最大の観客数となった66,000人の大観衆の声援を受けたフランスは驚異的な集中力を発揮。

中央FKでスタートしたアタックでそのまま先制トライ。その後は日本がアタックしてもフランスがブレイクダウンに圧力をかけてはターンオーバーあるいはPKを獲得。クイックスタートからオフロードパスも自在に駆使して連続トライをあげる。一方の日本は前半6分、中村知春がハーフウェー手前から好走して相手22m線に迫るが孤立してボールを失ってしまう。

中村知春

中村知春





0-28で折り返した後半も3トライを奪われ、日本は0-49とされた後半残り1分でようやく反撃。負傷の大谷芽生に替わってバックアップから登録された辻崎由希乃、途中出場の堤ほの花が前進、梶木真凜がラックを作ったところでPKを得ると平野優芽主将がクイックスタートし、パスを受けた松田凜日がビッグゲイン。しかしサポートが遅れて孤立しノックオン。0-49で大敗した。

辻崎由希乃

辻崎由希乃


田中笑伊

田中笑伊



原わか花

原わか花



松田凛日

松田凛日





DAY2 日本39-12ブラジル

初日の2試合で連敗。得失点差は-78となり、8強入りは難しいと思われたサクラセブンズだったが、前日の連敗のショックを引きずらず、僅かな可能性にチャレンジ。ワールドシリーズで激戦を繰り広げたライバルのブラジルを圧倒した。

中村知春

中村知春



試合開始直後、相手キックオフを三枝千晃が捕り、梶木真凜がラックを作ると、広く深いBKラインでワイドに左へ展開。大外でボールを受けた堤ほの花が約70mを独走してトライ。西亜利沙がコンバージョンを決めて7点を先制すると、サクラセブンズは猛攻モードにスイッチオン。

梶木真凜

梶木真凜



3分に三枝千晃、5分に内海春菜子、6分に梶木真凜がトライ。前半ロスタイムにブラジルにトライを許すが、後半に入ると再び日本が猛攻。2分に梶木がPKクイックスタートから、3分に堤ほの花が相手タックルをかいくぐってトライを決める。トライを決めると中村知春がボールを持ってすぐリスタートの準備へ。得失点差で争われる8強進出への執念を見せた。

三枝千晃

三枝千晃



ブラジルもワールドシリーズコアチームのプライドを見せ、6分に途中出場⑨KOCHHANNが95m独走トライ。
しかし日本は残り1分を切ってもアタックを辞めず、ハーフウェーのPKを中村がクイックスタート。原わか花、田中笑伊、堤ほの花とつなぎ田中が左中間にトライ。39-12で快勝した。日本女子は3度目の五輪でプール戦の勝利は初めて。1試合39得点と7トライもともに最多となった。

内海春菜子

内海春菜子



原わか花

原わか花



田中笑伊

田中笑伊



日本はPOOL Cで1勝2敗の3位となったが、2つの大敗が響き得失点差はー51。POOL B3位のアイルランドは+24、POOL A3位の中国は-19だったため全体順位は9位となり、惜しくも8強進出は逃した。



8位の中国とは得失点で32点差。概算すると、日本は3試合すべてで失トライを1つ減らし得トライを1つ増やしていれば8位に入っていたことになる。DAY1の苦戦から建て直したこと自体は素晴らしいカムバックだったが、振り返れば献上したイージートライは多く、良いアタックを見せながらサポートが遅れ、あと一歩で逃したトライも多かった。逆説的ではあるが、8強は決して遠い夢ではなかった。そして五輪の戦いはそれだけどこもタフに臨んでくることが分かる。

9位以下戦準決勝 日本15-12南アフリカ

試合はキックオフを蹴った南アフリカがそのまま攻め込み開始35秒で先制トライ。しかし日本は4分、相手BKアタックを原わか花がタックルで押し出し、自陣でラインアウトを獲得。このラインアウトから日本は左オープンに展開。ループでボールを持った内海春菜子からパスを受けた原わか花が約80mを独走してトライし同点に追いつく。

平野優芽

平野優芽



原わか花

原わか花



大谷芽生

大谷芽生



後半、日本は必死に反撃に出るが南アはフィジカルの強さで日本にプレッシャーをかけ攻撃を寸断する。しかし残り2分、水谷咲良のジャッカルで得たPKから平野優芽主将が速攻し、松田凜日が前進してオフロードパスを受けた梶木真凜が右隅へトライ。
10―12の2点差に迫ると再び松田凜日→梶木真凜のホットラインが炸裂して梶木が連続トライ。日本が15―12の劇的逆転で南アフリカを破り、最終日の9位決定戦出場を決めた。

水谷咲良

水谷咲良






9位以下決勝 日本38-7ブラジル

前日のプール最終戦では日本が39-12で大勝したが、ブラジルは9位以下準決勝でフィジーを28-22で破っての再戦。リベンジに燃えるブラジルは難敵に思えたが、試合ごとに精度を高めている日本の強さは揺るがなかった。

堤ほの花

堤ほの花



試合開始のキックオフは日本。ブラジルがタップしたボールを倒れたままのブラジル選手がプレーして反則となり、日本がクイックスタート。大谷芽生、平野優芽が前進して梶木真凜があっさりと先制トライを決める。次のキックオフからも相手ハイタックルでPKを獲得し、平野優芽と大谷芽生が前進し、内海春菜子がトライ。内海は2分後にも相手ゴール前に迫るが惜しくもタッチ、しかしラインアウトで相手ボールを水谷咲良が奪うと素早く右へ展開し、WTB堤ほの花から外をサポートした大谷芽生が右隅にトライ。相手に触らせないトライで19-0とリードを広げて前半を終了。


大谷芽生

大谷芽生



内海春菜子

内海春菜子




リードした日本は後半、ベンチから中村知春、松田凜日、西亜利沙、田中笑伊、原わか花のフレッシュレッグズを次々と投入。この大会を通じて確立した必勝パターンを遂行する。
3分、相手陣に入ったラインアウトで相手ボールを奪うと内海が前進し、平野優芽―大谷芽生と渡ったボールはリターンパスで戻され平野がポスト左にトライ。平野がコンバージョンも決め26-0。

松田凛日

松田凛日



6分にはピッチに入ったばかりの中村知春の好タックルからチャンスを掴み、ゴール前ラックからピックした松田凜日がゴールポスト下へ一直線に走り勝利を決定づけるトライ。さらに7分にも松田がゴール前へ持ち込み、田中笑伊が左隅へ。タイムアップ後のラストプレーでブラジルに1トライを許したが、38-7で完勝。プール最終戦から3連勝で、リオ五輪の10位を上回る日本女子の最高順位で大会を終えた。

中村知春

中村知春



西亜利沙

西亜利沙








サクラセブンズ パリ五輪メンバーと五輪個人成績



1 中村知春(ナナイロプリズム福岡)
2 梶木真凜(自衛隊体育学校PTS) 5T
3 松田凜日(東京山九フェニックス) 1T
4 水谷咲良(東京山九フェニックス)1T
5 三枝千晃(北海道バーバリアンズディアナ)1T
6 大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)1T
7 平野優芽(ながとブルーエンジェルス)1T1C
8 西亜利沙(東京山九フェニックス)3C
9 内海春菜子(横浜TKM)2T3C
10 田中笑伊(ながとブルーエンジェルス)2T
11 原わか花(東京山九フェニックス)1T
12 堤ほの花(日本体育大学)2T
バックアップメンバー
13 大竹 風美子(東京山九フェニックス)…出場なし
14 辻崎由希乃(ながとブルーエンジェルス)…プール戦フランス、ブラジル戦出場

バックアップメンバー・辻崎由希乃、大竹風美子

バックアップメンバー・辻崎由希乃、大竹風美子



鈴木貴士HC

鈴木貴士HC

鈴木貴士HC


「先ずは最後までサクラセブンズを応援いただき、また現地でたくさんの声援を大変ありがとうございました。オリンピックの大会を通して、自分達のラグビーを出して最後勝って、そして3勝2敗と勝ち越して終われたことは、これまでの成長を感じると共に、これからサクラセブンズが更に成長できるきっかけになったと思います。これまでの選手の頑張りに本当に感謝いたします。サクラセブンズはこれからもまだまだ走り続けますので、引き続き応援の程、よろしくお願いいたします」

平野優芽キャプテン

平野優芽

平野優芽



「3日間現地からまた日本からたくさんの応援をありがとうございました。また日本から一緒に戦ってくれていたサクラセブンズのみんなもありがとう。メダル獲得という目標はまだ遠く、望んでいた結果を残すことができずとても悔しい気持ちで一杯です。チームは初日の敗戦で気持ちの切り替えが難しい中、最後までサクラセブンズのラグビーをやりきってくれました。この3年間のサクラセブンズの成長が、少しでも皆さまに伝わっていると嬉しいです。今後もサクラセブンズの世界との戦いは続きますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします」

内海春菜子

内海春菜子

内海春菜子


「現地から、また遅い時間でしたが日本からたくさんの応援ありがとうございました。ここまでに携わって頂いた全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです。これを経験してよかったと思えるまで、またこれからのサクラセブンズの何かになるまでまた頑張ります。このチームに出会えて良かったです。ありがとうございました」

大谷芽生

大谷芽生

大谷芽生



「現地から、また深夜にもかかわらず日本からもたくさんの応援ありがとうございました。多くの応援が本当に力になりました。目標としていたメダルには届かず悔いが残りますが、2日目からは自分たちのラグビーをすることができ、最後勝って終われた部分は良かったです。これからまた世界と戦っていけるように頑張っていきますので、今後とも応援よろしくお願いいたします」

梶木真凜

梶木真凜

梶木真凜



「沢山の応援本当にありがとうございました!今回の順位については決して満足のいくものではありませんでしたが、課題も明確なので、必ず次のオリンピックでは結果に繋げていきます。引き続きサクラセブンズの応援をよろしくお願いします」

三枝千晃

三枝千晃

三枝千晃



「応援ありがとうございました。目標に届かず悔しいですが、ここまで素晴らしいチームメイト、スタッフと共に挑戦してこれたことを誇りに思います。この結果をしっかりと受け止めて、必ず次に繋げます。最後になりますが、いつも代表活動に快く送り出してくれ、応援してくださった所属チームや職場の方をはじめ、今まで応援、サポートしてくださった全ての方に感謝しています。本当にありがとうございました」

田中笑伊

田中笑伊

田中笑伊


「たくさんの応援本当にありがとうございました。またここまで共に戦ってきたサクラセブンズのみんなにも、感謝の気持ちでいっぱいです。今日までたくさんの方にサポートして頂き、たくさんのメンバーの思いを背負ってこうしてオリンピックの舞台に立つことができました。誰もここで満足はしておらず、チームが望む結果を出すことはできなかったですが、サクラセブンズはこの先も続きます。さらに上を目指し、満開の桜が咲く日までサクラセブンズの応援よろしくお願いいたします。最後に、一旦このチームはここで終わりとなります。スタッフ、関係者を含む皆さん本当にありがとうございました」

堤ほの花

堤ほの花

堤ほの花


「たくさんのご声援ありがとうございました。最後まで諦めることなく、サクラセブンズらしいラグビーをやり切ることができたとを嬉しく思うと同時に、ここまで一緒に支え、戦ってきた仲間を誇りに思います。みんなの頑張りに心から感謝します。自分たちが目標としていた結果ではありませんでしたが、次に繋がるスタートが切れたと思います。重ね重ねにはなりますが、皆さんの応援が本当に力になりました。ありがとうございました。今後もサクラセブンズの応援よろしくお願いいたします」

中村知春

中村知春

中村知春


「オリンピックは最高の舞台だと、やっと心から思うことができました。感謝の気持ちをメダルという形にすることは叶いませんでしたが、ここまでの道のり、自分のやれることはすべてやりきった、清々しい気持ちの9位です。自分たちの実力に加えたプラスαの力を発揮できるか、それがオリンピックという大舞台で勝ち上がれるかどうかの差だと感じました。
メダルを獲得した国へ賛辞を贈りたいと思います。そして開催国であるフランスへも心から敬意を表します。彼女達のラグビーへの献身が創り出した満員のスタジアムの景色を見られたことは、ラグビー選手としてこれ以上ない経験でした。ここまでサクラセブンズに関わってくださった全ての皆様との縁が自分の財産となりました。本当にありがとうございました」

西亜利沙

西亜利沙

西亜利沙



「夜遅くの時間帯ではありましたが、サクラセブンズを応援ありがとうございました。現地での応援がすごく力になり背中を押されました。1日目はなかなか自分たちのラグビーができず、失点を抑えることができませんでしたが、2日目3日目は自分たちらしいラグビーを体現することができたと思います。その結果、過去最高位の9位を嬉しく、またチームメイトを誇りに思います。さらに、4年後メダル獲得をできるように頑張ります。本当にありがとうございました。引き続きサクラセブンズをよろしくお願いします」

原わか花

原わか花

原わか花



「日頃よりサクラセブンズへの応援ありがとうございます。そしてパリ2024での熱い応援をありがとうございました。目標としていた結果には届きませんでしたが、東京五輪の敗戦から3年。サクラセブンズ全員が歩みを止めず前に進み続けた結果が、オリンピック過去最高順位に繋がったと感じています。これまで一緒に戦ってきた仲間や家族、ファンの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。この大会で一区切りとはなりますが、サクラセブンズの歩みはこれからも続いていきます。今後ともサクラセブンズへの応援をよろしくお願いいたします!」


松田凛日

松田凛日

松田凛日


「目標としていた結果には届きませんでしたが、サクラセブンズらしいラグビーをオリンピックの舞台で少しでも見せることができたと思います。夜遅くにも関わらず応援ありがとうございました。みなさんの応援が本当に力になりました」

水谷咲良

水谷咲良

水谷咲良


「サクラセブンズへのたくさんの応援、本当にありがとうございました。私たちが目標にしていたメダルを獲得することができず悔しいですが、過去最高位の9位で終えることができたことは嬉しく思います。オリンピックという大舞台で、最後サクラセブンズらしいラグビーで勝ち切れたことは、これからのサクラセブンズにプラスになったと思います。ここからまたサクラセブンズは強くなり、4年後必ずメダルを獲得できるように頑張ります。引き続きサクラセブンズの応援よろしくお願いいたします!」

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