サクラフィフティーン、モールから3トライでスペインに快勝!ワールドカップ直前テストマッチ初戦を白星発進 | ラグビージャパン365

サクラフィフティーン、モールから3トライでスペインに快勝!ワールドカップ直前テストマッチ初戦を白星発進

2025/07/20

文●編集部


7月19日(土)、8月にワールドカップ(W杯)を控えた「サクラフィフティーン」こと女子ラグビー日本代表(世界ランキング11位)は、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で、「太陽生命チャレンジシリーズ2025」としてスペイン代表(同13位)を迎えて第1テストマッチを戦った。

HIGHLIGHTS

日本代表の選手たちにとってはW杯に向けたセレクションマッチという意味合いを持つ試合だけでなく、スペイン代表はW杯でも同組の相手だけにW杯の〝前哨戦〟となった。

ゲームキャプテンを務める向來桜子を先頭にサクラフィフティーンが入場

ゲームキャプテンを務める向來桜子を先頭にサクラフィフティーンが入場


キックオフ直前まで雨が降っていたため、スリッピーなコンディションの中、18:00にスペイン代表ボールでキックオフされた。

スペイン代表

スペイン代表

序盤は互いにキックが多い展開となったが、主導権を握ったのは風下のサクラフィフティーンだった。

相手陣でモールのチャンスを得てモールにこだわり、前半8分、BKも参加して押し込み、最後はラックからPR小牧日菜多が左中間に押し込みトライを挙げて5‐0と先制に成功。

WTB松村美咲のラン

WTB松村美咲のラン


NO8ンドカ・ジェニファ

NO8ンドカ・ジェニファ


モールを押し込むサクラフィフティーン

モールを押し込むサクラフィフティーン


前半5分、PR小牧日菜多の先制トライ

前半5分、PR小牧日菜多の先制トライ



その後もSO大塚朱紗、FB松田凛日のキックと、前に出るディフェンスでペースを掴む。17分、スクラムを起点に攻め込み、最後はSH阿部恵からのパスにPR小牧が走り込んで右中間にトライを挙げて10‐0とリードを広げた。

畑田桜子のゲインを松田凛日と弘津悠がサポート

畑田桜子のゲインを松田凛日と弘津悠がサポート


WTB松田凛日

WTB松田凛日


SH阿部恵

SH阿部恵


その後、サクラフィフティーンはWTB安尾琴乃のラン、CTB弘津悠のキックパスなどで攻め込むが追加点を挙げることができなかった。

安尾琴乃がゴールに迫る

安尾琴乃がゴールに迫る


小牧日菜多2本目のトライ

小牧日菜多2本目のトライ

すると32分、スペイン代表が相手陣奥でモールのチャンスを得て、崩れたが最後はLOモニカ・カステロが押さえてトライを挙げて10‐5とした。

スペインの反撃

スペインの反撃


日本代表はFL細川恭子のスティールからチャンスを得ると、37分、ゴール中央のPGをSO大塚が決めて13-5リードを広げてハーフタイムを迎えた。

SO大塚朱紗のPG

SO大塚朱紗のPG


後半スペインの反撃、一時逆転を許すも…

小雨が降る中、後半が始まった。先に得点を挙げたのは8点差を追うスペイン代表だった。

後半9分、キックカウンターからボールをつないでSOアマリア・アルグードが中央突破からトライ、自身でゴールを決めて13‐12と1点差に迫った。

アマリア・アルグードのトライ

アマリア・アルグードのトライ


日本代表も相手陣に攻め込むが得点を挙げることができなかった。するとスペイン代表は18分、相手陣でモールを押し込み、最後はショートパス2本をつなぎCTBサイア・ペレスが縦に突いてトライ、ゴールも決まり13‐19と逆転に成功した。

アマリア・アルグード

アマリア・アルグード

残り20分、日本代表もフレッシュレッグスを投入し反撃。キックカウンターからパスを展開しPR小牧が抜け出すと、スペイン代表のSHアネ・フェルナンデス・デ・コレスがたまらず反則を犯してイエローカード(10分間の途中退室)。

津久井萌・櫻井綾乃・齊藤聖奈と経験値高い選手たちがフレッシュレッグズとして出場

津久井萌・櫻井綾乃・齊藤聖奈と経験値高い選手たちがフレッシュレッグズとして出場


PR小牧日菜多がブレイク

PR小牧日菜多がブレイク


27分、数的有利となったサクラフィフティーンは中央からスクラムを選択し、ボールを継続、最後は途中出場のHO谷口琴美が中央にトライ、同じく途中出場のSO山本実がゴールを決めて20‐19と逆転に成功。

HO谷口琴美のトライ

HO谷口琴美のトライ

30分、日本代表は反則を得て、相手陣でFW陣がモールを形成して反則を得た。さらに32分、相手陣左5mでモールを形成し、最後はBK陣も参加して、HO谷口が左中間に押さえてトライ、SO山本のゴールも決まって27‐19とリードを8点差に広げた。

その後は日本代表は途中出場のSH津久井萌、FBに入った大塚のキックで、相手陣で戦い続けた。39分、ゴール前のラインアウトから武器であるモールを押し込み、HO谷口が押さえて、20分間でハットトリックを達成!

ラインアウトモールから谷口琴美がトライ

ラインアウトモールから谷口琴美がトライ

サクラフィフティーンは32‐19として勝負を決めた。試合はそのまま後半3トライを重ねた日本代表が逆転勝利でノーサイドを迎えた。

スペイン代表のファン・ゴンサレスHCは「非常に厳しい戦いだったが、日本との協力関係でこの試合が実現した。選手一人一人のパフォーマンスには満足しています。日本代表のモールが非常に強かったが、私たちのスキルをアップしていきたい」と振り返った。

途中出場のスペインPRエイデル・ガルシーアは185cm134㎏のビッグガールだ

途中出場のスペインPRエイデル・ガルシーアは185cm134㎏のビッグガールだ

キャプテンCTBアルバ・ビヌエサは「(スペインから)長旅の後なので、厳しい戦いになるとわかっていた。自分たちの改善点がわかった。課題を克服し、W杯に向けて改善して、ベストプレーを見せられるように頑張りたい」と先を見据えた。

試合終了後、花火が発射

試合終了後、花火が発射


左からバーンズアタックコーチ、レスリー・マッケンジーHC

左からバーンズアタックコーチ、レスリー・マッケンジーHC

勝利した日本代表のレスリー・マッケンジーHCは「テストマッチなので、テストする理由が必要だと思います。ここ数ヶ月でやってきたハードワークを試すチャンスだった。これまでの成果のエビデンスを得られた。素晴らしい試合でしたが、見ていてつらかった。(フロントローで5トライを挙げたが)FWコーチのマーク・ベイクウェルがここ数年、セットプレーを選手とともにやってきた成果だと思います」と笑顔で話した。

ファンとの撮影をする齊藤聖奈

ファンとの撮影をする齊藤聖奈


長田いろはキャプテン

長田いろはキャプテン


阿部恵と津久井萌

阿部恵と津久井萌

向來桜子

向來桜子


ゲームキャプテンを務めたFL向來桜子は「前半の入りはサクラフィフティーンのスタンダードを見せることができた。疲れなどで流れを持ってこられず、後半の入り、ディフェンスから徹底したのでこの結果が生まれた。良いタックルもできたが、まだまだチームに貢献できる部分があるので、(来週、スペイン代表との)第2戦もあるので勝ってW杯に向かいたい。(第2テストマッチは)戦術やメンバーも変わってくるが、私たちらしいラグビーを見せたい」と意気込んだ。

逆転勝利を収めたサクラフィフティーンは、7月26日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で、再びスペイン代表と相対する。そして27日(日)、いよいよW杯のスコッドが発表される。

レスリー・マッケンジーHC

レスリー・マッケンジーHC

レスリー・マッケンジーHC


とても特別な瞬間だと思っています。スタッフ、プレーヤー全員にとって。ホームでのテストマッチに勝利したということ。苦戦しながらバトルをした結果逆転して勝利したということでより一層特別です。素晴らしい思い出になるものだと思っています。

ワールドカップまで我々は積み重ねている途中ではありますが、そういった中でも勝利の瞬間といった気持ち、満足感に関しては今後も記憶の中に残っていくと思います。

――スペインの脅威


今晩の2チームはお互いワールドカップに向けて積み上げている途中だと思っています。ワールドカップの3週目に対戦する相手ですが、お互いに達成しなくてはいけないことがあるうえで行った試合です。スペインとは2年ぶりの対戦となりますが、我々としては前もって分析をしていた部分が多く、向來が言ったように、キックカウンターが強いチームなので、そこで隙を与えてはいけないと分析していました。

細川恭子

細川恭子

今回、学びというものが我々にはありました。あわせてスペインにはパワフルなFWも強みだと思っていて、そこに対しては我々のエフォートを見せた形でチャレンジすることができたと思います。来週に関してはスペインも精査するところは精査すると思いますし、今日の試合を振り返ったうえで、また新たな試合を望んでくると思うので、東京でのホームゲームを楽しみにしています。

小牧日菜多

小牧日菜多

――サクラフィフティーンの強みは合宿期間を経て何%くらいだせているのか


課題はもちろんあるかと思いますが、プレーヤーたちが見せてくれたエフォートはこれ以上望めないくらいだったと思っています。お互いのために体を張ってワークし続けるといったところに関しては素晴らしいものがありました。連携といった形ではセットピースの部分やディフェンスとの連携部分がうまく言っていますし、アタックに関しては、うまくいったところも局面局面で見られたと思っています。

安尾琴乃

安尾琴乃

我々コーチ陣としては、長い時間かけてやってきたことが実を結ぶ、そういったこと体現できるのはコーチとしてもやりがいがあると思います。今晩に関してはピッチでプレーした23名の他、ポロシャツを着てピッチに立てなかったプレーヤーたちに関しても、今回選ばれなかった選手たちが仮に試合にでても同じラグビーができるだろうと自負しています。まだまだ研ぎ澄ますことが出来る部分ももちろんあると思っています。

ノンメンバー

ノンメンバー

――向來選手の今日の試合でのリーダーシップ、キャプテンとしての働き、評価


今、こうして横で話しているところを聞いていても、本当に嬉しく思います。アジアラグビーチャンピオンシップで掴んだチャンスといったところから、先日もお伝えしたとおり、今後のリーダーを育てていく、そういった要素になっている存在だと思っています。

メンバー発表の記者会見でもお伝えしたとおり、もう本当にうるさいタイプのプレーヤーで、決して黙ることがない、そういったプレーヤーです。アグレッシブさをもっていますし、ポジティブさといったところももっていて、チームにもたらしてくれます。

ここは(長田)いろはとは全く違った形のリーダーシップだと思っています。本人の特色を活かした形で、いかにチームに貢献ができるプレーヤーか、そういったところを評価しています。エモーショナルなところ、フィジカル、ラグビーへの理解、パッションを表現してくれることは素晴らしいです。

向來桜子ゲームキャプテン

向來桜子ゲームキャプテン

向來桜子ゲームキャプテン


サクラフィフティーンとして皆さんの前でこうやってワールドカップ前に試合ができたことをすごく嬉しく思います。私達が準備してきたものを体現できた試合だったと思いますし、サクラフィフティーン、みんなが楽しんでこの試合を終えられたこと、すごく嬉しく思います。サクラフィフティーンとして活動できていない選手のおかげもありますし、サポートしてくださったたくさんの方々に恵まれて今こういう結果が生まれたと思います。


――スペインの脅威


BKにスピードスターが多くて、キックカウンターだったり、BKの展開がうまいチームで試合でもゲインされた部分でした。でも私達がハードワークし続けられたことがこの試合の結果につながったと思います。

――逆転されて厳しい時間帯、どういうことをチームに伝えていましたか?


私からは自分たちのエラー、ミスで食い込まれてしまった場面がすごく多かったので、ポジティブなコールを皆にかけたんですけど、私だけじゃなくて、プレーしている選手全員がしっかり、主体性をもってコールしてくれたので、チーム全体が落ちることは決してなかったです。

おかげでモールトライを2つその後とったと思うんですけど、それも私ではなくて、そのプレーしている選手たちが支えてくれてトライがとれたと思うので良かった。

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