19日、現在菅平で強化合宿を行っている女子15人制日本代表こと、サクラフィフティーンからレスリー・マッケンジーHC、HO谷口琴美、LO佐藤優奈の3人がオンライン取材に応じ、近づくワールドカップに向けチームがどんな状態だったのか、アメリカツアーでの勝利、ARCを戦い新たなにスコッドとして入ってきた選手を含む、各選手の状況を伝えた。
サクラフィフティーン レスリー・マッケンジーHC
――それではまず冒頭にヘッドコーチの方から今回の合宿の感触とこれまでの総括をお願いできればと思います。
ここ菅平は本当に良い天気で、私たちにとっては素晴らしい環境です。チームのメンバーが全員揃っているので、4月のアメリカツアーでの経験を、アジアでのラグビー(ARC)の経験と組み合わせ、5月には一部の選手たちの出場時間を確保しそして6月に再びチームとしてまとまることができるからです。とても楽しい日々を過ごしています。ペースの変化や環境の変化も良い刺激になっています。全員がトレーニングに励んでおり、コンディションも良好です。

レスリー・マッケンジーHC
――今概要をご説明いただいたんですが、全員が集まった今回のキャンプでスペイン戦も翌月に控えてますが、どういう部分に特に今回はフォーカスして強化を進めているか教えてください。
今月は私たちにとって特に良い機会です。なぜなら、試合が控えていないため、ゲームのパフォーマンス要素を試し、それらを改善するために必要な基礎的なことを強化する絶好のチャンスだからです。スペイン代表戦も近づいてきているのですが、これはとても重要です。ワールドカップが始まるまで、このチャンスを逃すわけにはいきません。ホームの観客の前でプレーする準備に本当に興奮しています。しかし、これは私たちにとって再び非常に重要な基盤を築く機会です。試合のプレッシャーや試合に向けたトレーニングの調整がないため、ここで多くの作業を進めることができます。

――その中で、先ほどおっしゃったようにアメリカの経験、アジアの経験、みんな集まったところで、何か改めてレスリーさんにとって発見というか、選手のポジティブな変化というか、そういうものを見られたところがあれば、教えていただければと思います
私はただ2つ異なる機会があったことを本当に嬉しく思っています。なぜなら、私たちはチームを編成しようとしているからです。23人とか28人とかに限定せず、これは、私たちが目指す最高レベルでの競争に挑むことになります。最高水準の舞台では、チーム内でのプレッシャーが必要です。ジャージを争う選手たちのプレッシャーと、多くの選手にプレーの機会を与えること、意味のあるプレータイムを与えること、単に16分や5分といった短い時間ではなく、全員が自分のポジションでジャージを着て、明確な目標を持ってプレーすること。
国内のARCとアメリカの大会では、全員がプレーしている時、最高のパフォーマンスを発揮し、自分たちが本当にできることを示すことができる時、全員が幸せを感じます。これがテストマッチのチーム選考の本当に難しい点の一つです。テストマッチの機会が限られていると、テストマッチでプレーする機会を得られず、自分の能力や真の姿を示すことができない選手がいることを知っています。
そのため、そのようなプレーを見ることができ、一部の選手が本当に意味のあるパフォーマンスを披露したことは、大きな喜びでした。これが4試合を戦えた最大のメリットです。4試合目とは、テストマッチ前にアメリカと行ったトレーニングマッチのことを指しています。しかし、私たちはそれらを本格的な試合として扱いました。それらをワールドカップに向けたチーム内の競争の重要な一部として扱ったのです。

選手たちが2つのウィンドウの中で得たものをこのキャンプに良いエナジーを注いでくれています。選手たちは真摯に取り組み、自分たちを表現することができています。そして、多くの選手たちが自信を持って、自分たちを表現し、個人としてのプレーを存分に発揮しています。これは私にとって大きなプラスです。そして、これまでのキャンプのエネルギーと質に大きなプラスになっていると思います。
ARCで新しい選手を招集できたことは、私にとって大きなポジティブな要素でした。サプライズや本当のポジティブな点について聞かれましたが、日本での選手層の厚みを築いていること、そしてクラブの大会で目立ったパフォーマンスを見せている選手たちがまだこのキャンプに参加していないことを認識していることです。質がますます向上しています。これは、クラブが15人制ラグビーに注いできた努力の反映です。これが、私が現在この決断をした主な理由です。本当に嬉しく思います。選手たちが頑張っている姿を見るのは素晴らしいことです。
――今のお話の関連なんですけれどもアジアのシリーズで印象的なパフォーマンスを見せた大内田夏月さん、今回のキャンプのメンバー入っていないんですけどなんか怪我とか選べない理由とかあったんでしょうか?
我々が知る限りを怪我はしていません。彼女は数年前から気にかけている選手ですが、おそらくまだ自分のプレーで改善すべき点がいくつかあるかと思います。
――つまりまだ期待しているところまで来ていないので今回はセレクションの対象外になったということですか。
あなたがそう表現したいのならそうかもしれませんが、私はそうは表現できません。
――今回大内田さんは違ったということですけれども、何か怪我であったり個人的な事情だったりで召集したかったけど呼べなかった選手っていうのは他にいらっしゃいますか。
いいえ、キャンプには必要な選手たちが揃っていると思います。それは重要だと思います。ワールドカップの代表チームの核となる選手たちが揃っていると思います。彼らがここにいることが重要なのです。

齊藤聖奈
――そういう意味でずっとチームの中心であったけれども今回のシリーズ、怪我もあって
斉藤聖奈がプレーできなかったと思います。練習を無事にしていたようですけれども。
彼女のコンディションがどれだけ戻っているか、どれだけ計算できるかというところを今どのように見ていらっしゃいますか。
彼女は素晴らしい働きをしてます。彼女にとって、今回のワールドカップは3回目になります。そして、彼女は長年にわたり、日本の女子ラグビー界を牽引してきた中心人物です。彼女について本当に素晴らしいと思う点の1つは、長年続けてきたスポーツに対して、新しい視点を見出そうとし、挑戦し続けてきたことです。そして、その経験をチームメイトたちに還元している姿を見るのは、本当に素晴らしいことです。その一部であることは本当に光栄です。彼女は今、素晴らしい状態です。
――松田凛日さんは前のワールドカップの後しばらくセブンズへ行ってきてなかなか15人制の経験値を上げるチャンスは少なかったかと思うんですけれども、今回15人制にシフトして8か月ぐらい。彼女の15人制へのフィット具合、このチームでどういうことをやってくれると期待できるか聞かせていただけますか。
クオリティの高い貢献を期待しています。女子ラグビーに関しては7人制と15人制で男子ほど分かれている現状ではないですが、フランスやカナダのような国々は、それを非常に成功させています。ニュージーランドも同様で、選手たちが両方の形式のゲームを体験できるようにしています。リンカはそれをやりたいと思っている人であり、できる人です。
そして、その目標を自身のパフォーマンス目標に設定しています。そのため、私たちもその点を認識することが重要です。その代償として、彼女は15人制の競技に費やす月数が少なくなります。しかし、彼女はプロフェッショナルでアスリートであり、出場する際には大きな影響力を発揮します。そのため、私たちにとってそれは問題ではありません。彼女にとっても私たちにとっても、これは本当にポジティブな点だと思います。
――水谷咲良さん、やっぱりオリンピックの後、15人に来て、フランスでも少しプレーしてきました。今ちょっと、合宿見るとコンディションがまだベストではないようですけれどもワールドカップまでの時間ではベストに戻るという感触ですか。それとも様子を見ている状態ですか。
昨年、セブンズとオリンピックが終了した後、彼女とリンカ(松田凛日)が私たちに加わった時、まだその移行は大変でした。先ほども言及しましたが、一部の国ではそれが非常にスムーズに行われています。
これは、選手のプロフィールや、セブンズと15人制の異なるバージョンをどのように形成するかに大きく関係しています。そのため、サクラがフィフティーンの身体を取り戻し、15人制のプレーにフィットするには、少し時間がかかったのでしょう。
しかし、彼女がARCでインパクトを与える姿を見られたのは本当に良かったです。彼女は
とても若い頃から見てきましたが、徐々に15人制の視点から見て非常に有望だった要素を再び見せ始めています。同時に、7人制プログラムにとっても魅力的な要素でもあります。
そのため、彼女が15人制に戻り、再びその感覚を取り戻しているのは素晴らしいことです。彼女には少しの調整を必要としますが、幸いなことに致命的なものではありません。なので、彼女をチームに残しておくつもりです。
――主に2つ聞きたいことありまして、合宿の前に長田選手にお話を伺ってアタックだったり点を取り切るというところの強化を日本代表でしているというふうにお伺いしましたが、実際先ほどこの合宿で基盤を今は固めている状態という中で具体的にはどんな場面を想定して練習していらっしゃいますでしょうか?
ディテールは、記者会見ではお伝えすることが難しくて詳細はチームルームで選手には伝えているんですけれども、その詳細はチームルームとフィールドに留めたいと思っています。
しかし、お伝えできることとしては数ヶ月4月ベリック・バーンズを招聘し、彼は本当に、日本のアタックを磨くことに集中しています。良いか悪いかは別として、選手たちはここ数週間、私と一緒に多くの時間を過ごしてきました。
私はディフェンスが大好きなので、それが私の得意分野です。それが私たちが最近多くの時間を費やしている点です。しかし、先ほども言ったように、これは私たちのゲームにおいて根本的な要素となるものを確立するためです。つまり、単にディフェンスを強化するだけでなく、さまざまな分野に少し余裕とスペースを与え、そしてその成果が特に秩父宮とミクニでのパフォーマンスに反映されることを願っています。
もう一つ、とても楽しみながら、私たちにとって本当に大きな収穫がありました。セットプレーのコーチであるマーク・バンクウェルは、大会が一段落した今、選手たちとの練習時間が増え、より多くの数字を分析することができるようになりました。過去1年半から2年間、彼らが築き上げてきた成功を基盤に、マーク・バンクウェルは常に素晴らしい指導を続けてくれています。そのため、ARCからトップチームに昇格した選手たちが、彼との練習時間をより多く確保できるようになりました。
また、過去にこの種の会見に参加したことがある方はご存知かもしれませんが、日本は
常に圧倒的な選手層の厚さを持っていたわけではなく、現在も15人制ラグビーで極めて重要なポジションであるタイトファイブのポジションにおいて、圧倒的な選手層の厚さはありません。そのため、ここでの時間は本当に価値あるものでした。
――ワールドカップ でもスペインと戦う中で、全部は明かせないでしょうか日本でスペインと戦う時にどんなところを意識して今戦いたいと思ってるか、スペインの印象も 合わせてで教えていただきたいです。
私の考えは、おそらく皆さんの考えとまったく同じです。つまり、ワールドカップに向けて準備しているすべてを、公開することはできません。私たちは、フィールドで披露する予定のゲームの基礎を、できる限りのベストを尽くして築くこと。それが私たちが選手たちに求めていることです。
そして、スペインでのテストマッチは、主に、海外遠征前にホームの観客の前でプレーする機会を得るためのものです。これは選手たちにとって非常に重要です。彼女たちはこのために多くの時間を費やし、多くの支援を受けてきました。そのため、まずホームでプレーできることは、私たちにとって本当に、本当に重要です。
そして2つ目は、ワールドカップに向けた試合経験を積むだけでなく、最終メンバーに選ばれるに値することを示すためにプレーしたいと考えている選手たちがいるからです。
32人しか選べないため、これは大きなモチベーションになります。チーム内での個人のプレーがどれだけ調和しているかを示す絶好の機会です。
谷口琴美

谷口琴美
今は菅平で合宿をして2週目になるんでうsけど、ワールドカップを意識した3週間の合宿を組んでいただいて、タフに今みんなで追い込んでいるところです。5月、6月の合宿がみんなで追い込める最後の大事な機会になっているので、基礎からさらに発展した戦術まで追い込めているかなと思います。
――アメリカ戦で勝利できたこと
実感としては今まで一番本当に嬉しかったというのが一番強かったです。2022年のワールドカップでも前半競っていたけど、後半で離されてしまって、昨年のテストマッチでも2試合とも勝てそうで金井というすごく悔しい思いをしたので、その悔しさをバネにしたというところが一番勝因かなと思っています。
今度こそ絶対勝ちたいっていうみんなが強い気持ちを持って、最後までその気持ちを持ち続けられたことが良かったと思います。試合が終わったら自然に涙を流して泣き合って喜びました。
――アメリカ戦でもそうですがセットプレーがこの3年ぐらいですごく精度が上がってきているのはどういう練習が成果につながっている?
確かに自分たちは精度が悪かったんですけど、昨年からマークさんがFWコーチとしてついてくれていて、もう繰り返し同じことや大事なことを繰り返したくさん練習するというスタイルのコーチングで、何度もやることで自分たちも自信がつくし、あとは技術だけじゃなくて、みんな知識とか、考え方みたいなところも成長していて、ここではこういうことをしようというのが統一とれてきていることも成長しているかなと思います。

――これまでは敵陣のゴール前では近場でというシーンが多かった。アメリカ戦でもARCでも外にボールを動かすチャレンジがあった印象があります。そこのバランスは?
近場でFWがトライを取れればそれは嬉しいんですけど、チームとしてというか、外に振るオプションも増えたかなと思います。
――ワールドカップを想定したトレーニングとは
まずは(合宿の)日程が国内で3週間というのも(ワールドカップを想定していて)。この2ヶ月の取り組みでは、2週間だったり1週間であったりを繰り返してきたんですけど、今はこう一気に3週間やっています。今回の合宿では今週は一戦目のアイルランド戦を意識した週で、2週目はニュージーランド戦を意識した週という感じで、少しずつ変えてやっています。
――福岡の時と菅平での違いは?
福岡の時は、あんまり対戦相手に特化したというのではなく、全体の底上げだったり、全体の細かい練習が多かったんですけど、菅平ではもう少し対戦相手を意識した練習が多いかなと思います。
佐藤優奈

佐藤優奈
ワールドカップを想定しながらみんな頑張っていて、すごくタフな合宿ですが、ワールドカップで結果を残すために切磋琢磨しながらやっています。
――今までもタフな合宿はあったと思いますが、今回はどうタフですか?
やっぱりいちばん感じるのが、今シーズン通して合宿の期間が長くて3週間の合宿2回目なんですけど、1回目の合宿でも疲れが取り切れていない中で、さらに内容はあんまり変わっていないんですけど、元気な時と同じぐらいの質でやり続けるというところが一番ハードに感じています。だんだん、フィジカル強化からラグビーっぽいトレーニングには変わってきているんですけど、合宿中の練習の強度が、日によって決まっていて、ずっと同じサイクルでやっていくんで、コンディションの調整はしっかりできるんですけど、毎回ちゃんと出し切れるぐらいきついトレーニングをしています。
今はラグビー要素が大きい面、ターゲットとかそれぞれ決められてないんですけど、ワールドカップで戦うためには、ワールドカップのスタンダードで練習しなきゃ勝てないとみんな思ってやっているので、自分との戦いというか、どこまで自分がいいパフォーマンスを発揮できるとか、前回の練習より更によくなれるかと思いながらトレーニングしています。
――前回のワールドカップも経験されていますが、今回との違いは?
体感的には前回のワールドカップに向けた合宿よりも、すごく対戦する相手のチームのことを想定しながら合宿できていて、前回以上に相手がこういうことしてくるだろうから、こういうことをしようとか、何向かって自分たちがトレーニングしているのか、どういうことが必要なのかという情報を、最初にたくさん入れてもらえているのがすごく、何か現実が見えるというか、何が必要かというのを、しっかり考えながら合宿にのぞめているな感じています。