ファイナルには三重パールズと東京山九フェニックスが進出! | ラグビージャパン365

ファイナルには三重パールズと東京山九フェニックスが進出!

2024/01/22

文●編集部


1月21日、第10回全国女子ラグビーフットボール選手権準決勝2試合が三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場で行われた。

大会には関東・関西それぞれの1、2位チームが出場。関東大会(OTOWAカップ)は昨季の全国選手権チャンピオンとなった東京山九フェニックスが最終節で日体大を勝点2差で逆転し優勝、同2位には日体大女子が入った。関西1位は昨季に続き三重パールズで、同2位は日本経済大アマテラス。昨季は九州産大・ながとブルーエンジェルスとの合同チームで出場したが今季は初めて単独チームとして関西大会に参加。パールズには0-55で敗れたが3勝1敗で2位に入り全国切符を掴んだ。「九州・ながと合同」が日経大の単独チームに変わった以外は昨季と同じ顔ぶれによる大会となった。

前年優勝の東京山九フェニックスが日経大アマテラスの挑戦を退け決勝進出

準決勝第1試合は東京山九フェニックスvs日本経済大アマテラス。フェニックスの四宮洋平監督とアマテラスの淵上宗志監督は関東学院大が大学選手権初優勝を飾ったときのメンバー。
試合はキックオフを蹴った日経大が捕球したフェニックスからディフェンスでターンオーバー。リズミカルな展開とSO下村理紗のキックで攻め込み、5分に相手陣でPKを得るとショットを選択。下村が鮮やかに決めて3点を先制した。

鈴木実沙紀

鈴木実沙紀


フェニックスも直後にPKから左ゴール前のラインアウトチャンスを得るとモールを押し込みHO塩崎優衣がトライ。CTB大黒田のコンバージョンは外れたが、フェニックスが5-3と逆転する。

妹尾安南

妹尾安南



試合はそこから膠着した。日経大は下村のキックとNO8ボッドマン、LOラヤシら突破を軸にCTB原田紗羽、WTB城下天李らの展開も交えて攻勢に出るが、PKを得て相手陣深くに攻め込んでもラインアウトが安定しないなどFWのセットプレーではフェニックスが一枚上手。しかしフェニックスがアタックに転じると日経大がDFで奮闘。20分には自陣22m線付近で9フェイズを止め続けてターンオーバーするみごとな粘りをみせた。

大黒田裕芽

大黒田裕芽


しかし、膠着を破ったのはフェニックスだった。30分、ハーフウェーでCTB大黒田が猛タックルで相手反則を誘うと自らクイックスタートしてキック。戻った日経大FB長谷部のノックオンを誘うと、そのスクラムから再び大黒田のラインブレイクでゴール前に攻め込み、最後はSO黒川碧からWTB中西絢乃にパスが渡り右隅にトライ。10-3とリードを広げる。

高木恵

高木恵


フェニックスは36分にも日経大ゴール前に攻め込み、PR柏木、NO8塩谷らが果敢に突進してフェイズを重ねるが、日経大もFL安永、PR町田らがフィジカルの強さで対抗し、粘り強くディフェンス。18フェイズまで止め続けて相手パスミスを誘う。しかし自陣ゴール前のラインアウトを獲得できず、スクラムで反則を犯してしまうと、フェニックスがスクラムからフェイズを重ねてFB松村が左中間にトライ。フェニックスが15-3までリードを広げて折り返した。

SO下村理紗

SO下村理紗


セットプレーの差は後半も続いた。キックオフ直後、日経大ゴール前のラインアウトでノットストレートを犯すと、直後のスクラムからフェニックスはゴールラインに殺到し、PR柏木がトライ。SO黒川のコンバージョンも決まり22-3。

松村美咲

松村美咲



日経大はその後もディフェンスで頑強に抵抗を続け、56分には自陣ゴールラインに攻め込まれながらグラウンディングを阻止するなど粘りを見せるが、焦りからか疲労からか攻撃がやや淡泊に。対するフェニックスは日本代表経験のあるPR髙木恵、LO佐藤優奈らインパクトメンバーもペースアップに貢献。

古田真菜

古田真菜



58分には日経大がタッチに蹴り出したボールをフェニックスFB松村美咲がタイミングを計りながらクイックスローインし、相手DFの反則を誘うと、ゴール前ラインアウトをFL鈴木実沙紀が捕り60分、NO8塩谷結がトライ。68分には相手ゴール前からのノータッチキックをFB松村がカウンターアタックでゴール前に持ち込み、8フェイズを重ねて鈴木実沙紀がトライ。32-3までリードを広げた。

東京山九フェニックス SH佐々木千颯

東京山九フェニックス SH佐々木千颯



リードされた日経大はラスト10分、何とかトライを返そうと反撃を試みるが、なかなかボールが繋がらず、逆にLOラヤシがハイタックルでシンビン。しかし、14人になり、自陣ゴール前に攻め込まれたピンチにフェニックスFB松村のトライを懸命のディフェンスで防ぐなど、最後まで闘志を失わなかった。

サバナ・ボッドマン

サバナ・ボッドマン



日経大は関東学院大OBで元日本代表SO淵上宗志監督のもと、2000年にSH妹尾主将やNO8ボッドマンら現在の4年生が入学し、活動を開始。それから4年目で単独チームでの全国選手権出場、前年優勝のフェニックスとかなりの部分で互角近くに渡り合ったのは見事だった。

妹尾安南

妹尾安南


セットプレーで圧倒!三重パールズが3年ぶりの王座奪還へ日体大に勝利

第2試合は関西王者で地元の三重パールズと、関東大会2位の日体大女子が対戦。パールズは昨季も関西王者としてこの大会に臨みながら準決勝で東京山九フェニックスに敗れていただけに、今年こそ勝利を飾って決勝に進みたい。

サクラフィフティーン・西村蒼空

サクラフィフティーン・西村蒼空




パールズのキックオフで始まった試合は序盤、風上の日体大がCTB新野由里菜の好キックで相手陣に攻めこむが、3分、攻め込んだ日体大のPR牛嶋をパールズLO5ラファエレがチョークタックルで捕まえアンプレアブルに。このスクラムでパールズがコラプシングのPKを奪って陣地を回復する。第1試合に続き、学生チームは個々のランニングやキックのスキル、コンタクトでは善戦しても、セットプレーで圧力を受ける展開になった。

三重パールズ LOラファエレ

三重パールズ LOラファエレ



それでも日体大はサイズに優るパールズに対し果敢なタックルを見舞い続け、ハンドリングエラーを誘ってはカウンターを狙う。26分にはSO大内田夏月がゴール前まで持ち込むが、トライまであと数cmと迫ったところでパールズにターンオーバーされてしまう。

大内田夏月

大内田夏月





逆にパールズは自陣22m線のマイボールラインアウトからLO4チャンブラーがブレイクし、FL7木下そよ香がビッグゲイン。さらに5ラファエレ、4チャンブラーの両LOがオフロードパスをつなぎ、左エッジでパスを受けたWTB三谷咲月が走り切ってトライ。FL6三輪里佳のコンバージョンも決まり、28分にしてパールズが先制する。

風上の前半に得点をあげておきたい日体大はCTB新野、SO大内田のキックでパールズ陣へ進み、パールズの自陣アタックにDFでプレッシャーをかけてミスを誘い、37分にはゴールポスト正面約15mという絶好の位置でスクラム。そこからのアタックで反則を誘うとゴール前ラインアウト、さらにPKからのタップキックとパールズを攻め立てるが、40分を経過したところでパールズが自陣ゴール前の密集でカウンターラックを仕掛けてターンオーバー。

日体大のモールを押し返すパールズFW

日体大のモールを押し返すパールズFW



ここからのキックがノータッチとなり再び日体大のカウンターアタックを浴びるが、フェイズを重ねたところで日体大SO大内田からFL向來桜子へのパスをパールズCTB古屋みず希がインターセプトしてビッグゲイン。日体大CTB新野が必至に追いすがるが、古屋はハンドオフしながらオフロードパスをCTB13ベイカーに送り、ベイカーがトライ。パールズが12-0とリードを広げて折り返した。

古屋みず希

古屋みず希


後半、先に点が欲しい日体大はキックオフを深く蹴り、パールズはこれをバウンドさせてしまい、日体大がパールズゴール前5mまで攻め込むが、密集で反則。そのPKがノータッチとなり、日体大がカウンターアタックをかけるが、やはりパールズのディフェンスを破るには至らず。逆にパールズは11分、日体大ゴール前に攻め込んでラインアウトを得るとモールを押し込み、回ったところでボールを持ちだしたNO8齋藤聖奈が巧みなボール&ボディコントロールでトライ。

齊藤聖奈

齊藤聖奈


三輪のコンバージョンも決まって19-0とリードを広げると、直後にもキックオフを捕球したLOチャンスラーがタッチ際を鮮やかにキックオフリターン。WTB三谷につないで日体大ゴール前まで攻め込んで敵陣ステイに成功。17分には日体大のラインアウト失敗で得たスクラムからCTB13ベイカーが力強いキャリー。ゴール前ラックから交替出場のHO土井望愛がねじこんでトライ。24-0とする。

土井望愛

土井望愛



流れを変えたい日体大は18分、SO大内田に替えてケガから復帰したエース松田凜日を投入。松田はたびたび力強いキャリーをみせ、タックル&ジャッカルでPKを獲得するなど獅子奮迅するが、流れを変えるまでは至らず。逆にパールズは26分、左22m線付近のラインアウトから右→左とサイドを替えながらアタックし、途中出場の土井とブリアナ・ホイのフロントロー2人が軽快にパスを繋ぎ、再び齋藤聖奈がトライ。29-0までリードを広げた。

松田凛日

松田凛日



向來桜子

向來桜子



日体大は残る10分余りも松田、向來の日本代表勢を中心に果敢にアタックを試みるが、何度か効果的なキャリーがあってもサポートが遅れて孤立してしまい、アタックを継続できない。パールズは土井、ホイらインパクト勢だけでなく、先発したPR永田虹歩、LOチャンスラーらが試合終盤まで高いフィットネスでアンストラクチャー局面を支配。故障者も続出し、リザーブも7人しか揃えられなかった日体大に対し、スキルや経験値だけでなくフィットネス面でも完勝した。

永田虹歩

永田虹歩



この結果、決勝は2連覇を狙う東京山九フェニックスと、3年ぶり2度目の優勝を狙う三重パールズの対戦に。決勝は2月3日、秩父宮ラグビー場で、リーグワンのクロスボーダーマッチ初戦となる東京サンゴリアス対ブルーズ戦との併催で行われる。

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