2月3日、秩父宮ラグビー場で、クロスボーダーラグビーの東京サンゴリアスvsブルーズ戦との併催で第10回全国女子ラグビーフットボール選手権決勝が行われた。東京山九フェニックスと三重パールズが戦った一戦で初めて女子ラグビーを見て、そのレベルの高さに驚いたという人の声をたくさん聞いた。
その大会で、秩父宮の決勝には進めず準決勝で敗れたのが、大学生の2チームだった。
関西1位のパールズに敗れたのは過去4度の優勝を数える関東2位の日本体育大。スコアは29-0だった。
もうひとつの準決勝は、関東1位のフェニックスに挑んだ日本経済大アマテラス。創部は2020年、単独チームで15人制の大会に参加したのは今季が初のチャレンジだったが、昨季女王であり決勝で2連覇を飾るフェニックスに食い下がった。最終スコアは3-32と開いたが、前半30分までは3-5、前半は3‐15で折り返すなどスコア以上の接戦を演じた。
7人制の太陽生命ウイメンズセブンズシリーズでは昨季、コアチームに昇格。RKUグレースや北海道バーバリアンズディアナなど先輩チームに競り勝ち、11チームに絞り込まれる今季のコアチーム残留を果たした。急速にレベルアップが進む女子ラグビーにあって、急成長中の注目チーム。それが日経大アマテラスだ。
RJ365ではアマテラスを率いる淵上宗志監督の特別インタビューをお届けする。
――単独チームとしての15人制初参戦で4強。みごとな躍進だと思いますが、本人としては満足していないでしょうね。
「そうですね。当初のプランでは、4学年揃った今季は日本一になる予定でしたから」
――4年前の創部時にその野望を伺ったときは正直首を捻りましたが、今回の結果を見ると、決して不可能な夢ではなかったですね。
「はい。選手たちは本当に成長してくれた。来たいと思っていた以上のところへ来てくれたと思います。ただ、周りのチームの成長、日本女子全体のレベルアップが正直僕の予想以上でした」
――初めて4学年が揃った今シーズンを振り返っていただきたいのですが、まずは5月に太陽生命シリーズが開幕。最初の熊谷大会で11位になりました。
「これが痛恨でした。我々スタッフが大会の仕組みを理解していなかった。4つの大会の1つとしか考えていなかったんです。実際は、最初の大会で上位に入れば次の大会も良いポジションでスタートできるという認識がないまま大会に入ってしまった。初日の追手門にはほとんど勝っていたのに、タッチに蹴り出せば勝ちの場面で手でボールをタッチに出してペナルティーを取られて、そこから逆転トライを取られました。パニックになっていたんですね。2日目のPTS戦もリードしていたのにラストプレーで逆転負け。選手がどんな精神状態になるかを想定して準備できなかったスタッフの責任です」
――昨季は前年度に入替戦を行えなかったことからコアチームが11→15に拡大して、そのかわりに12位以下は1チームしか残れない入替戦に回るというタフなフォーマットでした。
「厳しかったですね。結果、4大会とも11位で、総合順位も11位でギリギリ残留できました。入替戦に行っていたら、ウチは選手層が薄いので勝ち残れなかったと思います。4大会とも厳しい戦いだったけれど、よく残留してくれました。最初の熊谷から悔しい思いをしたことを活かして成長してくれました」