東京山九フェニックスが2年連続2度目の優勝!三重パールズに勝利し連覇達成 | ラグビージャパン365

東京山九フェニックスが2年連続2度目の優勝!三重パールズに勝利し連覇達成

2024/02/04

文●編集部


2月3日、女子15人制日本一を決める第10回全国女子ラグビーフットボール選手権の決勝が、秩父宮ラグビー場で行われた。昨年の覇者である東京山九フェニックス(関東1位)と、準決勝で日体大を29-0で破った三重パールズ(関西1位)が対戦。

三重パールズは準決勝での見事な勝利から得た勢いを存分に発揮し、序盤からフェニックスに対してプレッシャーをかけた。LOタフィト・ラファエレを中心にフィジカルで優位に立つとゴールに迫った。

三重パールズLOタフィト・ラファエレの突進

三重パールズLOタフィト・ラファエレの突進




7分、三重パールズは、左右にボールを展開しスペースにボールを運び相手ディフェンスを中央に惹きつけ、空いた外のスペースをWTB三谷咲月が見事な走りを見せ、先制トライを決めて5-0とした。その後もパールズがボールポゼッション高く攻め込む時間が続くが、フェニックスの固いディフェンスをなかなか崩せない。

7分、三重パールズWTB三谷咲月の先制トライ

7分、三重パールズWTB三谷咲月の先制トライ



三重パールズFB庵奥里愛

三重パールズFB庵奥里愛


三重パールズSO西村蒼空

三重パールズSO西村蒼空




すると14分、三重パールズのLOタフィト・ラファエレが負傷し交代。チームはキープレーヤーだったラフェエレの欠場によりフィジカルな面でのプレッシャーが減少。これを受け、次第に東京山九フェニックスに流れが傾く。相手の裏のスペースに対して、SO大黒田裕芽の精度高いキックから攻勢を仕掛けた。

三重パールズLOタフィト・ラファエレはこの後左肩を負傷

三重パールズLOタフィト・ラファエレはこの後左肩を負傷


前半14分で三重パールズは攻撃の要を失った

前半14分で三重パールズは攻撃の要を失った



18分、大黒田が敵陣22m手前から裏のスペースにボールを蹴り込む。そのボールに反応したWTB野原みなみがインゴールのボールをグラウディング。トライが認められ5-5。続けて大黒田のゴールで逆転し5-7とした。

東京山九フェニックスSO大黒田裕芽が仕掛ける

東京山九フェニックスSO大黒田裕芽が仕掛ける


前半18分、野原みなみのトライ

前半18分、野原みなみのトライ


野原みなみの諦めないプレーがトライに繋がった

野原みなみの諦めないプレーがトライに繋がった



25分、サクラフィフティーン、FB松村美咲の突破からゴール前に迫ったフェニックスは相手の反則によりアドバンテージが出された中、再び野原が大黒田のキックパスをキャッチしてトライ。左隅からの難しいコンバージョンキックを大黒田がしっかり決めて5-14とした。

サクラフィフティーンFB松村美咲の突破

サクラフィフティーンFB松村美咲の突破


野原みなみ2本目のトライ

野原みなみ2本目のトライ


昨年3月の膝の大けがから復活した佐藤優奈。空中戦を制圧

昨年3月の膝の大けがから復活した佐藤優奈。空中戦を制圧



32分、フェニックスは敵陣22m付近のラインアウトからモールを押し込み、再び大黒田がインゴールへボールを蹴り込むと、これに反応したFB松村美咲がグラウディングしてトライ。5-21とフェニックスがリードを広げた。36分には大黒田がPGを決めて5-24とさらにリードを拡大。

東京山九フェニックスが敵陣ゴール前でモールを押し込む

東京山九フェニックスが敵陣ゴール前でモールを押し込む


大黒田裕芽がインゴールへ転がしたボールに松村美咲が追いつき

大黒田裕芽がインゴールへ転がしたボールに松村美咲が追いつき


松村美咲がグラウディングしてトライ

松村美咲がグラウディングしてトライ



追いかける三重パールズも、前半終了直前の40分にLOブリアナ・ホイがトライ。FL三輪里佳がゴールを決め、前半を12-21で終了した。

40分、三重パールズPR永田虹歩がパワフルな突破

40分、三重パールズPR永田虹歩がパワフルな突破


LOブリアナ・ホイがトライ

LOブリアナ・ホイがトライ


三輪里佳のコンバージョンも決まって12-21とした

三輪里佳のコンバージョンも決まって12-21とした


後半は東京山九フェニックスFB松村美咲のキックオフでスタート

後半は東京山九フェニックスFB松村美咲のキックオフでスタート



後半最初にスコアを更新したのは東京山九フェニックスだった。敵陣インゴールで FL高橋李実がキックチャージし、ルーズボールが鈴木実沙紀の手に収まりトライを決め、12-28とリードを広げた。フェニックスはブレイクダウンで優位に立ち、敵陣でプレーを継続した。

タックルする岸本彩華、ブレイクダウンに入る柏木那月の両PR

タックルする岸本彩華、ブレイクダウンに入る柏木那月の両PR


三重パールズCTB古屋みず希のキックをフェニックスFL高橋李実がチャージ

三重パールズCTB古屋みず希のキックをフェニックスFL高橋李実がチャージ


インゴールに転がったボールをFL鈴木実沙紀が押さえトライ

インゴールに転がったボールをFL鈴木実沙紀が押さえトライ


喜ぶフェニックスフィフティーン

喜ぶフェニックスフィフティーン


SO大黒田裕芽がコンバージョンを決める

SO大黒田裕芽がコンバージョンを決める




51分にはWTB野原みなみがハットトリックを達成し、東京山九フェニックスが12-35と大きくリードを広げた。

突破を図るCTB古田真菜

突破を図るCTB古田真菜


51分、大黒田から野原へ今度はハンドパスでアシスト

51分、大黒田から野原へ今度はハンドパスでアシスト


野原、ハットトリック達成!

野原、ハットトリック達成!







しかし、56分、三重パールズはサクラフィフティーンSO西村蒼空が敵陣22m付近の空いたスペースへキック。フェニックスFB松村美咲がボール処理をミス。ルーズボールをFL木下そよ香がキャッチしそのままトライ。FL三輪里佳のゴールも決まり19-35と16点差に迫った。

WTB保井沙予

WTB保井沙予



木下そよ香のトライ

木下そよ香のトライ


喜ぶ木下

喜ぶ木下



残り20分、三重パールズは早い時間帯に1本のトライを決めてフェニックスにプレッシャーをかけたかったが、粘り強いフェニックスのディフェンスにボールを前進させることができず苦しい展開が続いた。

三重パールズSO西村蒼空

三重パールズSO西村蒼空


サクラセブンズ山中美緒は後半途中から出場

サクラセブンズ山中美緒は後半途中から出場


フェニックスの厳しいディフェンスになかなかボールを前に運べない

フェニックスの厳しいディフェンスになかなかボールを前に運べない



ようやく73分、三重パールズがWTB三谷咲月のトライで24-35と11点差に迫り、残り5分を迎える。フェニックスは、冷静にボールをキープし、相手に流れを渡すことはなかった。

三谷咲月のトライ

三谷咲月のトライ



80分、敵陣ゴール前のラインアウトから見事なサインプレーを披露し、PR高木恵が仕上げとなるトライを決め、試合終了。最終スコアは24-40で、東京山九フェニックスが昨年に続き2年連続の優勝を果たした。

山本侑衣菜

山本侑衣菜


髙木恵の豪快な突進

髙木恵の豪快な突進


ブレイクダウンを鈴木・黒川が制圧

ブレイクダウンを鈴木・黒川が制圧


80分フェニックスはモールを押し込みPR高木がトライ

80分フェニックスはモールを押し込みPR高木がトライ



フェニックス勝利の瞬間

フェニックス勝利の瞬間



この激戦を制した東京山九フェニックスから、SO大黒田裕芽がMVPに選ばれた。



三重パールズ ジャンナ・ヴォーンHC

左から、三谷咲月キャプテン、ジャンナ・ヴォーンHC、末結希

左から、三谷咲月キャプテン、ジャンナ・ヴォーンHC、末結希



難しい試合でした。自分たちがもっているポテンシャルを出すことができなかった。私達のチームは若い選手も多く、ファイナルを戦う経験値が少なくその点では相手チームの方が優れていた。それでもパールズを代表してここに来たことを誇りに思います。今後のパールズにとってもいい試合だったと思います。


――関東大会は多くのチームで地区大会を戦った。その部分で準備の難しさはあったか。


少なかったし、レベルの高い試合ではなかった。パールズとクロスオーバーで試合ができると良かった。準決勝では日体大を29-0で勝利することができたので、三重にいることが今日の試合の結果につながったとは思っていません。今日は自分たちのフィジカル、スキルが伴っていなかった。フェニックスのような体の大きなチームに対して速いラグビーをしたかったですが、今日はそれができなかったことが敗因になった。



WTB三谷咲月キャプテン

フィジカルで負けてしまって、パールズらしいラグビーが出せなかった。試合中もハードに感じる。マイボールにできない。フィジカルで押されてしまう場面が多かった。日本一を目指して、練習して自信を持って臨んできた。メンタル的なところも強くならないといけない。


(齊藤聖奈選手から)準決勝が終わってニュージーランドに行っているんですが、自分たちを信じてプレーすれば大丈夫だというメッセージをもらいました。ライブでニュージランドで見ていると思いますので、優勝という結果を届けることができずとても残念です。

準優勝・三重パールズ

準優勝・三重パールズ


SH末結希


ゲームプランがうまくできなかった。ブレイクダウンで早いテンポでボールを出せず、早いラグビーができなかった。前回の決勝は少なかった。今日は多くのお客さんが残ってくれて試合を見ていただいて本当に大きな舞台でワクワクする試合を見せていきたい。

東京山九フェニックス ケン ドブソンHC

ケン・ドブソンHC

ケン・ドブソンHC



勝って嬉しい。パールズからプレッシャーを受けてしまった。粘って最後の結果につながった。女子ラグビーは見て楽しいと思ってもらったと思いますし、レベルの高い試合だったと思います。選手の意識も高いし、スタッフコーチもよくやっています。日本の女子だけで本当に高いレベルになっていくと思います。


――連覇に向けてどんなチームづくりをしてきたか


去年と今年はチームは違っていて、日本代表の選手が怪我をしたり、去年で引退した選手もいました。今年は若い選手が多かった。インパクトやパワフルな選手が少なかった。もっと賢くラグビーをしないといけない。そういうマインドをもって戦うチームにした。

――(MVPの)大黒田裕芽選手のプレーについて


いつも話すのですが、彼女にはロック(石)なのかダイヤモンドなのかと。今日のファイナルで見せたようなプレーはダイヤモンドのような素晴らしいプレーがあったかと思うと、まったく雑なプレーがあったりする。でも今日は全てのプレーがダイヤモンドだったね。

大黒田裕芽

大黒田裕芽


東京山九フェニックス 鈴木実沙紀キャプテン



準決勝のあと2週間すごく良い準備ができていました。今日本当はもっともっと用意したサインプレーがたくさんあったんですけど、パールズさんが80分通してプレッシャーがすごく大きかった。苦しい時間帯もあったんですけど、最終的にヘッドコーチも言ったように我慢できて勝ち切れたのがすごく大きかったですし、嬉しい気持ちでいっぱいです。


――昨年の優勝と比べて


昨年、関東大会から全国大会までチャレンジャーという気持ちで臨んでいたので本当に何も失うものはないというか、そういう気持ちで決勝まで勝ち進んで優勝までたどりつきました。今年は関東大会から、フェニックスを倒すという気持ちで各チームものすごく私達をターゲットにしてると感じてましたし、関東大会を経て準決勝、決勝と勝ち進めたこと、そして最終的に秩父宮というラグビーの聖地でこんなたくさんの観客の皆様の前でプレーできてすごく緊張もあったんですけど、その緊張の中でもたくさんの声援が聞こえて、その声に助けられたというか、苦しい時間帯も乗り越えることができました。

女子ラグビーにとって大事な一試合だったのでそこで勝ち切ることができてすごく嬉しいです。

――ニュージランドでもプレーしましたが、今日の観客数と比べてどうですか?


ニュージーランドでももちろん州代表の試合などではたくさんの人がスタジアムにいますけど、今日のスタジアムほぼフルって言う感じはなかなかニュージーランドでも経験しませんでした。いい緊張感があったし、レベルアップしたいし、女子ラグビーのレベルをあげてみていて楽しい試合を見せていきたい。

こういうビッグゲームの後(に行われた)ということで、モチベーションがあがったし、女子ラグビーを見たことない観客の方にも見ていただいたと思います。


――この1年、キャプテンとして苦労したこと


今年はシーズン初めに怪我をしてしまって、最初の数試合出ていないんですけれども、そのときにどういうふうにキャプテンとしてチーム携わっていくか考えていました。でも、考える必要ないくらいみんな一人一人選手が自分の役割を全うしてくれますし、今シーズンは本当に長いシーズンだったので、自分たちのエネルギーが少し波があったところがあるんですけれども、すごく本当に一人一人が頼もしかったです。その中で少し悩んだときに、ケンHCはじめスタッフのみんなが私達にすごく自信をつけてくれるようなアプローチをしてくれたので、キャプテンとして悩むということは、本当にみんなに助けられて、あまりなかったというくらい、チームに恵まれたなと思っています。


――後半追い上げられた場面ですぐにハドルを組んでいましたがどんなメッセージをチームに送っていたか


本当にこの80分間フィールドに立っていることができるのは光栄なことですし、何があっても後悔なく楽しむということは私達の中でずっと言ってきたことだったので、残り数分という状況で、どんな結果であっても私達は受け入れる準備をしてきました。最後みんなで集まって、最後までしっかりやってきたことをやりきろうと話していました。



東京山九フェニックス SO大黒田裕芽(MVP)



準決勝が終わってから、どんな結果になっても後悔しないような準備がチームできていました。今シーズン入って一番良い準備ができてそれを体現することができて結果に繋がったことが一番うれしかったです。


関東大会からいいプレーな試合もあったし、石ころみたいなあんまり良くないプレーもたくさんしてきて、ただ今日の最後の試合は良い準備ができたので、いいプレーにつながったのかなと思います。仲間とのコミュニケーションがとれて、自分だけの判断じゃないというか、みんなが同じ判断を持っていたから、いいプレーに繋がったかなと思っています。


――女子ラグビーの今後。


秩父宮はラグビーの聖地で、こういう場所で女子ラグビーの大会がもっとできるようになってほしい。もっと多くの方に見てもらえるように。


――キックパスについて


キックパスでトライをとる練習はそこまでしていなかったですけど、アドバンテージがなくても、チェイスする人とコミュニケーションができていた。(松村美咲選手のトライは)直前に目があっていました。

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