U23日本代表・オーストラリア遠征直前合宿レポート、エディー・ジョーンズHC「JTSプログラムは大学ラグビーのトップの選手たちがトップレベルでプレーする機会を与える」 | ラグビージャパン365

U23日本代表・オーストラリア遠征直前合宿レポート、エディー・ジョーンズHC「JTSプログラムは大学ラグビーのトップの選手たちがトップレベルでプレーする機会を与える」

2025/03/31

文●編集部


ラグビーU23日本代表は、4月2日から行われるオーストラリア遠征を前に千葉県で直前合宿を行っている。30日、メディアの取材に対応し、エディー・ジョーンズHCがこの世代の強化の必要性と「JAPAN TALENT SQUAD プログラム2025」の意義について話をした。チームは1日までこの地で合宿を行い、現地で3試合行う予定だ。

U23日本代表 オーストラリア遠征メンバー(FW20名、BK15名の計35名)


PR1
大塚壮二郎(関西学院大2年)
杉本安伊朗(早稲田大2年)
弓部智希(近畿大3年)

HO
清水健伸(早稲田大2年)※主将
田中京也(立命館大1年)
西野帆平(明治大3年)

PR3
杉浦皓亮(東海大3年)
八田優太(京都産業大2年)
山口匠(明治大2年)

LO
石橋チューカ(京都産業大2年)
栗原大地(東洋大3年)
能勢涼太郎(近畿大3年)
物部耀大朗(明治大2年)

FL/LO
磯部俊太朗(筑波大2年)

FL
亀井秋穂(明治大2年)
木下颯(天理大3年)
中森真翔(筑波大1年)
森山海宇オスティン(東洋大3年)

NO8
小林典大(関西学院大3年)
宮下晃毅(法政大3年)

SH
髙木城治(京都産業大2年)
高橋佑太朗(筑波大3年)
村田大和(京都産業大2年)

SO
伊藤龍之介(明治大2年)
上ノ坊駿介(天理大3年)※副将

CTB
平翔太(明治大3年)
野中健吾(早稲田大3年)
福島秀法(早稲田大3年)
李智寿(朝鮮大2年)

CTB/WTB
岸未来(近畿大2年)

WTB
白井瑛人(明治大1年)
田中健想(早稲田大1年)
武藤航生(関西学院大3年)

FB
竹之下仁吾(明治大2年)
増山将(筑波大2年)

エディー・ジョーンズHC

エディー・ジョーンズHC

エディー・ジョーンズHC


――U23日本代表の手応えは?


毎日少しずつ成長を見せていて、今、全ての局面において勝負をさせるということを意識して練習している。その日によってちょっと集中力の度合いが少し変わったりするんですけど、少しずつその集中力と勝負というところが、一貫性を持って練習をできているなというのを感じています。


――大学1年生から大学3年生までいます


自分はラグビーのコーチングをしているので、選手の年齢は気にしていません。プレーの能力で見ています。


――あえて若い選手を選んだりしてはいない?


そういうことはしないですね。


――オーストラリアでは3試合あって、35名を全部起用するのか?


それはないですね。それぞれの人が自分のチャンスをつかまないといけないです。これはU23日本代表Uです。これらの若い選手たちは、日本のどのチームも成し遂げたことのない経験をする機会を得ている。日本のシニアの代表チームはまだオーストラリアに勝ったことはない。ですので、彼らは新しい歴史を作るチャンスがあります。全員にそのチャンスがありますが、それはパフォーマンスで得るしかありません。


――改めてこの遠征の持つ意味は


若い選手たちにとっては初めてトップクラスのラグビーをプレーすることになるので、その重要性というのは、価値がとても高いものだと思っています。自分が成長するためには、より良い選手とプレーをするということが一番大事です。大学のシステムの中では彼らはビッグスターかもしれないですが、それをワールドレベルで同じポテンシャルを発揮できるかというのを知らないといけない。だから、この3試合というのは、その選手たちをしっかり評価するのに良い試合だと思っています。


――JTSの合宿が始まってから成長をどこに感じている?


特に、オフザボールでのワークがすごく気になりました。例えば(森山)オースティンです。ボールを10回触るかもしれないですけど、ボールを持っている時間は8秒かもしれない。ボールインプレーの時間は36分です。だからボールを持っている時間ではなく、ボールを持っていない時間の動きがより重要になります。日本では、ボールを持っている人が高く評価されることが多いですが、現実的にラグビーの試合を勝つのはボールを持っていない人たちのワークで勝利が決まります。彼はそこの部分ですごく大きな成長をしたと思います。すごく彼らの成長を嬉しく思います。

――数値でわかるように見ているでしょうか?


はい、測るようにしています。


――「探求」という時間は夜に、そういうオフザボールの重要性とか伝えている?


それも一部あります。ワールドクラスの選手とは何なのかというものを彼らに学んでもらっている。男子15人制の日本代表選手にインタビューなどをしていて、ワールドクラスの選手になるためには何が必要なのかっていう彼らの理解をどんどん深めてもらっています。


――実際に選手たちが今のジャパンの選手に。例えば誰に?


立川、下川、藤原とかですね。


――今のこのタレントスコッドの選手に会う機会を作ってインタビュー?


Zoom上です。選手たちは今シーズン中なので。


――今回のメンバーに大学チャンピオンの帝京の選手が1人もいないんですけれども


たいしたことではありません。ここにいない選手たちは、自分は今、気にしていないですね。心配してないです。それは自分の問題じゃないので。


――コンディションなどでこのツアーにはセレクトしなかったという選手もいるのか?


プレーできる選手の選択肢から選んでいます。

――さっきのオフザボールで「スパーク」という言葉が出ていました


(攻守の)ポジションの交替があったということを意識させる言葉ですね。そこから自分たちの態度のチェンジもほしいので。


――オフザボールのところで、ちゃんとやってない方のチームにもう一回考えろ、みたいな感じで走らせたりしてました。


100%そうです。


――日々良くなっているのですか?


100%です。すごく才能のある選手たちです。彼らの問題は才能じゃない。世界の同じ年齢の選手と比べても、タレントだけで言うと彼らの方が上です。ただトップレベルでプレーするための体つきや知識が足りていない。現状はワークエシックも足りていない。でもそういったところを成長させるように今ずっと合宿をしてきています。


――先ほど歴史を変えるという意味でやっぱり3連勝が目標です


一つ勝つだけでも歴史は変わります。今一番心配しているのは最初のオーストラリアバーバリアンズの試合です。


――それはどうして心配しているのか


今一番気にするのは、今一番考えないといけないのが最初の試合だからです。


――ジョーンズHCの理想として、例えばこの中から何人ぐらい27年のワールドカップの舞台に上がるのが育成できるなという手応えですか


まず彼らはオーストラリアで、オーストラリアのチームを勝つという経験をする。過去に日本代表をどのうちカテゴリーもしたことがない。彼らはワールドカップのセレクションにおいて他の選手たちよりもヘッドスタートを得ることになる。自分としては3人から4人ワールドカップスコッドにこのまま引き続き成長していけば、ハングリーで続ければ、日本の中で他の選手よりも誰よりもハードワークし続ければ、ワールドカップのスコットにかかってくると思っています。だからすごくエキサイティングなこのプログラムだと思っています。ここにいる3,4人がワールドカップに入ってくるのを想像してみてください。まさに日本代表が強くなるためにはこれが必要だと思っています


――物部選手は体も変わっていったと思います。どういう印象ですか?


強くていい選手ですね。彼は体が変わりましたし、強いボールキャリーを持っているので、確かに有望です。

石橋チューカ(右)

石橋チューカ(右)


――石橋チューカもだいぶ変わっている


チューカも変わっている。彼は8キロくらい増やしていると思います。ハードトレーニングと、しっかりとした食事、リカバリーで、体が完璧です。すごく真面目な選手です。


――エディーさんのホームクラブであるランドウィックと、日本代表を率いて試合する。少しエモーショナルですか。


楽しみです。ランドウィックは試合するのに素晴らしい環境ですし、チャンピオンクラブです。多くのチームがそこでプレーする機会ではないので、最後にそこでプレーした国際チームというのはアルゼンチン代表です。ランドウィックはインターナショナルチームとプレーする歴史を持っているのです。私は選手だった頃はオールブラックスと試合して、アルゼンチン代表ともプレーし、3、4年前もアルゼンチン代表とやって、今度はジャパンとやる。クラブにとっても素晴らしいですし、自分としては選手たちに素晴らしい経験をしてほしいなと思っています。


――一緒にやっていた時代の選手がクラブの上にいたりされていますか?


ワラビーズのFLだったサイモン・ポートヴィン(Simon Poidevin)は、この試合をアレンジするのにすごく協力してもらった。

―― 今回の遠征が2027年ワールドカップにプラスになる点はあるか?


100%!  今、日本代表の中で、リーグワンでプレーする日本人は47%で、もっと若いタレントが上がってくる必要があると考えています。日本の構造は変わらない。大学ラグビーは日本のラグビーの中で重要な構造を担っています。でも、そのトップレベルの選手たちがトップレベルでプレーするという構造ができていない中で、トップレベルでトレーニングするという構造ができていない。このJTSプログラムは、上位層の選手たちにその機会を与えるという素晴らしいプログラムだと思っています。


――キャプテンをHO清水(早稲田大2年)に任命しました


まずプレイヤーから大きなリスペクトを受けると思います。すごくタフな選手です。そして、体で選手たちをリードしていきます。


――HOはキャプテン向きのポジション


いいポジションだね! 全てにおいて前に立っている人がリードするべきだと思っています。

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