ラグビー日本代表は26日「リポビタンDチャレンジカップ2024」オールブラックスこと、ニュージーランド代表に挑んだ。エディージャパンにとってオータムシリーズ初戦。世界トップのチームに若いチームがどこまでパフォーマンスを出し切れるのか、現在地を推し量る上での貴重な一戦となった。
2024/10/27
文●編集部
試合登録メンバーは以下のとおり
1 岡部崇人(横浜キヤノンイーグス、4)
2 坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ、46)
3 竹内柊平(浦安 D-Rocks、10)
4 サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ、7)
5 ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京、18)
6 ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京、10)
7 姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ、32)
8 ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、12)
9 藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、6)
10 立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、60)◎主将
11 マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ、4)
12 ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ、4)
13 ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、24)
14 ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京、13)
15 矢崎由高(早稲田大学2年、4)
16 原田衛(東芝ブレイブルーパス東京、7)
17 茂原隆由(静岡ブルーレヴズ、5)
18 オペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、0)
19 エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ、2)
20 下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス、10)
21 小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ、6)
22 長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ、14)
23 松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京、0)
出場すれば初キャップとなるオペティ・ヘルと松永拓朗はこのオータムシリーズにむけた合宿からチームに招集された。当然、選手が多く入れ替わりコンビネーションやジャパンラグビーの落とし込みなどが不十分のところも想定できるが、どこまでパフォーマンスを出し切れるのか。さらにエディージャパンが追求する「超速ラグビー」がオールブラックスにどこまで通用するのか、エディーHCが世界と戦うために必要だとするラグビースタイル、方向性が検証される重要な一戦となった。
前半5分、WTBジョネ・ナイカブラのトライでジャパンが先制。オールブラックスは、WTBマーク・テレア、LOパトリック・トゥイプロトゥの連続トライで逆転されるも、19分、NO8ファウルア・マキシのトライによってジャパンが食らいつく。しっかりとデザインされたアタックがオールブラックスにも通用していた。
しかし流れが変わったのは前半20分以降のことだった。ファウルア・マキシがダミアン・マッケンジーにプレッシャーをかけ、中盤でボールを奪うと、LOワーナー・ディアンズがボールをドリブル。自分でキャッチしそのままトライしたかと思われた。しかしマキシがタックルした時にボールに触れ、ノックオンという判定でトライが認められなかった。
直後のスクラムでオールブラックスが一発でトライを決めて流れを引き寄せると、そこから6連続トライで12‐43としてワンサイドの展開で前半を終了。
後半最初にロイガードのトライで50点とされたジャパンは、新しいメンバーを投入。LOエピネリ・ウルイヴァイティ、HO原田衛、PRオペティ・ヘル、FL下川甲嗣がピッチに入る。52分、ジャパンはNO8マキシがHIAで姫野が再びピッチに入る。さらに55分、松永拓朗が10番に入り初キャップを獲得した。
66分、ジャパンは相手のラインアウトが乱れたところ、原田衛がボールを奪いポイントを作るとCTBディラン・ライリーが裏に抜けてFB矢崎由高へパス。ゴールへ向かって加速しゴールまで数mのところでSOダミアン・マッケンジーにボールを叩かれフィニッシュすることができない。
それでも67分、ゴール前のルーズボールをもった初キャップのオペティ・ヘルがステップを踏んで相手ディフェンダーを交わしゴール中央にトライ。初キャップの試合で見事に初トライを決めた。なんとか一矢を報いたいジャパンだったが、逆に疲労が見えた終了間際に、初キャップのWTBルーベン・ラヴに2トライを決められ試合終了。世界トップとの差を見せつけられたジャパンが19-64で敗れた。
エディージャパンは今シーズンこの試合で国内テストマッチを終了。ここからチームは欧州へ遠征し、11月9日にスタッド・フランセでフランス代表との一戦に挑む。
日本代表 エディー・ジョーンズHC
今日は残念ながら良いパフォーマンスができず、80分通じて高いレベル、インテンシティ、スキルでプレーをしたオールブラックスが素晴らしかった。我々もエネルギー、スキルは十分にあったが、最後まで及ばなかった。
今日の試合で、若い選手たちが高いレベル、エネルギー、全てにおいて80分間プレーし続けられる世界のトップチームと戦ったことから学ぶものは多い。
後半の選手たちの戦い方は良かった。日本代表らしくプレーすることを望んだがそれが見られたと思う。
フランス、イングランドと相手のホームで戦うことはいい経験になる。我々はさらにレベルを上げていかないといけない。
日本代表 立川理道ゲームキャプテン
本当に最初からプレッシャーをかけていくことをゲームプランとしてやってきたが、スコアを取った後相手からもプレッシャーを受けてなかなか80分間通してペースをつかめなかった。
――収穫は
しっかりとビデオを見たい。自分たちの良かったところはゼロではなかったと思う。セットピースからトライを取れたのはポジティブな部分だと思う。ゲーム中の細かい修正もしっかりレビューをして次に繋げていきたい。
――オールブラックスから学んだこと
ボールを動かすうまさは感じたし、スタイルは似ていると感じた。ディフェンスも含め、ブレイクダウンの激しさはこれから日本代表もやっていかないといけない。
NZ・スコット・ロバートソンHC
日本の歓迎で素晴らしい1週間を過ごせた。非常にいいゲームタイムだった。このツアー5試合でスコッドを全部試合に出したい。日本代表相手に今日23人全部使うことができたのは良かった。
NZ・LOパトリック・トゥイプロトゥ キャプテン
非常にタフなスタートだった。序盤の自分達は雑なプレーでセットピースもあまり良くなかったが、幸いにもスコアできて、その後もボールを持ったらやるべきことが遂行できたトライまでいけた。
日本の速いプレーに対し、しっかりタックルでスローダウンさせることができた。
FLサム・ケイン バイスキャプテン
日本代表は非常にいい出だしだった。いい形でトライも取ってきたし、プレッシャーもかけてきた。われわれも日本にプレッシャーをかけて、トライチャンスを最大限ものにすることができて良かった。
私にとって最後のオールブラックスのツアー。これから3シーズンはサンゴリアスのためにプレーする。残り4試合、ハードワークして国を代表して戦う名誉をしっかりと味わっていきたい。そしてチームに何かを残していきたい。