9日(日本時間、10日)ラグビー日本代表は、ワールドカップ2023で決勝の舞台となった、スタッド・フランスでフランス代表と対戦。序盤からフィジカルでFWが圧倒され、思うようなボールを展開することができず12-52と完敗。世界との差を見せつけられた80分となった。
ジャパンはワーナー・ディアンズのキックチャージからチャンスを迎えるが、フォローが遅れHO原田衛がノックオン。フランス陣内ゴール前でのファーストスクラム。チャンスを逸したジャパンはその後、裏のスペースを攻められ、FBに入ったマロ・ツイタマがケアに入るもWTBビアレにグラウディングされ、先制トライを決められてしまう。
5分、ジャパンはミドルフィールドでペナルティ。タッチに蹴り出しトライを狙う。ラインアウトからフェイズを重ねるジャパン。フランスがペナルティかと思われたが、ジャパンのハイタックルでフランスボールで再開。さらにジャパンはカウンターラックでボールを奪われるとディフェンスを崩されCTBガストンがトライ。0-12とジャパンがリードを広げられてしまう。
ミスをしたくないジャパンだったが、12分、ジャパンはキッキングバトルでダイレクトタッチ。フランスがボールをつないで前進。なんとかジャパンがボールをとめて自陣ゴール前でのマイボールスクラム。相手の勢いをもう一度冷静に戻すことができるか。しっかりスクラムを組み、立川理道がハーフウェイまで蹴り返しエリアを戻す。
18分、ジャパンは再びカウンターラックでボールを奪われると、再びビアレが裏スペースにボールを転がし、LOメアフにトライを決められ0-19。苦しい状況が続く。
27分、中盤でボールを奪われたジャパンは、三度ビアレにやられてしまう。これまでのキックではなく一度内に返してそれから自らボールをもらい走りきりトライ。
33分、ジャパンは自陣22m付近のラインアウトで隙をつかれHOモーヴァカとSHデュポンの二人にボールを繋がれ、モーヴァカがトライ。0-31。36分、ジャパンはディラン・ライリーのトライがTMOでキャンセルされた直後にフランスボールのスクラム。ジャパンがペナルティ。再び押し込まれるも、姫野和樹がジャッカル。ボールを奪ってジャパンがカウンターアタック。フランスがペナルティ。敵陣に入るも直後のラインアウトを失敗。結局そのままジャパンがいいところなく前半終了した。
後半、ジャパンがペナルティ。一気に自陣深くに攻め込まれて、ラインアウトからPRグロのトライ。0-38とフランスがジャパンを圧倒。
48分、中盤の競り合いでディラン・ライリーのオフロードパスをうけたジョネ・ナイカブラがゲイン。さらに齋藤直人がすぐに展開。最後は立川理道がトライ。齋藤直人のゴールも決まり7-38。
53分、フランスは自陣のマイボールスクラムでプレッシャーをかけアドバンテージを獲得するとデュポンがビッグゲイン。そこからFWがなだれ込むように次々と前進。ブドゥアンがトライ。7-45と再び引き離される。
59分、ジャパンは相手ペナルティからゴール前ラインアウト。モールを押し込み、フランス・ボルドーでプレーするテビタ・タタフがトライかと思われたがTMOでキャンセル。しかし直後、タタフがパスインターセプトしてそのままトライ。12-45。
64分、フランスのブドゥアンに2本目のトライを決められ12-52。残り15分足らず、ジャパンがどんなパフォーマンスを見せるか。リザーブ陣がリズムを生んでアタックする時間帯をつくるジャパンだったが、ゴール前までボールをつなぐもフランスディフェンスを崩し切ることができずそのままノーサイド。12-52で世界との差を突きつけられる一戦となった。
エディー・ジョーンズHC
(前半20分で圧倒されたのは)フィジカル面で相手に対応できなかった。サイズとパワーに対応できず、相手に下げられてしまうと若いチームではなかなか対応できなかった。
(齋藤とタタフについて)齋藤についてはFWが勝てていない状況でのパフォーマンスの評価は難しい。タタフについては、12分ほどプレーしましたが、7月にプレーした時よりもいいフィジカルでしたが、次の2試合に出場することは難しいおもう。
(NZ戦では、TMOでトライキャンセル後失点が続いた。今回は後半盛り返せたことはプラス?)試合をやり続けること、集中することはテストラグビーを行うには重要で若いチームには難しい部分でもある。今回に関しては前半の出来がパフォーマンスに影響したことが多かった。頭を下げてしまうような厳しい状況であったが、後半からもう一度やり直せたことはいいサインではありますが、我々の課題を克服したとはいえない。
(立川の怪我の状況)筋肉系の怪我だと思います。明日メディカルに診てもらいますが、来週の試合については見込みが薄いと思っています。
HO原田衛
フィジカルで圧倒されてしまってモメンタムを作られてしまい、自分たちのペースに持っていくことができなかった。
(NZ戦から良くなった点)後半のアタック、しっかりフランス相手でもジャパンらしいラグビーができたこと。
(課題)これからの課題にもなると思いますが、フィジカル。80分間自分たちのラグビーをやり続けること。
PR竹内柊平
(スクラム)ジャパンファイト、低さでプレッシャーをかけるところ。最初のトライの起点はスクラムからプレッシャーをかけたところからだったので。全員が同じ画を見られた。
(ピックのところ)エディーさんからアグレッシブでいけと言われたので前が空いていたので思い切りいきました。
(課題)身体の高さ、低さは課題になります。これまでゲインできたところでも押し返された。
(フィジカルの強い相手)良いスピードをもって走り込む。ボールを持った時に浮いてしまうと通じない。相手よりも低い姿勢をとる。それが自分たちが目指す超速ラグビーにつながると思っています。
火曜日がテストマッチくらいきつい練習しています。練習の強度で、速く低くという部分を研ぎ澄ませることで、自分たちが目指す超速につながると思っています。
(敵地での雰囲気)初めてくらい人も多くて、フランスはラグビーに対する熱がすごいことを肌で感じた。スコアを取られたり、うまくいかないときにどうコネクトするか。ありきたりの事かもしれないですが、「グリッド」(不屈の精神で高める)という言葉を使っていますが、日本代表が一つになって戦う必要性を今回の戦いで学びました。
長田智希
(オールブラックス戦から改善できている部分)最初の20分良くてその後取られたことが課題。今回は最初の20分が良くなくて、一気にプレッシャーをかけられてから我慢する時間帯が続いた。そこで我慢強くできた部分は点差を引き離されましたが、やり続けたのは良かった。試合の中で先手を取るというところで、フィールドでの細かな部分、キックでプレッシャーを受けた部分は課題に感じました。
(中長期的な過程であることはわかるものの、負けが続いてしまうことについて)自信という部分だと大敗が続いて、気持ちが落ち込む部分は全員あると思います。今は眼の前の試合、一週間の準備で前に進むしかないなと思います。いろんなところでうまくいっていないので、いろんなところに目が行きがちだが、自分たちが大事にしている部分、そこをぶらさずにやっていくのは大事だなと思っています。
(アタックのサポートは)サポートの部分はまだ課題があると思います。アウトサイドでブレイクした時はターンオーバーされてしまった場面も多かった。意識の部分、ラックができるという予測と課題の部分、習慣的なところだと思います。すぐに良くなるかはわからないですが、その部分かと思います。
(相手のフィジカル)特にFWが強かったと思います。BKについてはニュージーランドの方がフィジカルが強かったと思います。それよりはバックフィールドの部分ですね。キックゲームの部分では今自分たちの力不足だと思っています。