レギュラシーズン5位でプレーオフ進出したコベルコ神戸スティーラーズは、準々決勝で4位・静岡ブルーレヴズに勝利。5シーズンぶりの優勝をかけて1位・東芝ブレイブルーパス東京に挑んだ。

ブリン ・ガットランドのPGで先制し幸先よいスタートを切るが、真骨頂である高速アタックで敵陣まで攻め込みチャンスを作るも、ブレイブルーパスのしぶといディフェンスを前に自らのミスからトライを取り切れない。すると、15分にロブ・トンプソンにトライを許し前半は3-7でリードされ折り返した。

前半3分ブリン-・ガットランドのPGで神戸が先制

前半13分、ヴィリー ・ポトヒエッターの突破から

ワイサケ・ララトゥプアがライン際で残し

マイケル・リトルの突破

前半14分、植田和磨のトライかと思われたがノックフォワード
後半1トライ、1ゴール、1PGで14点差となるも2トライ2ゴールで追いつく展開。後半17分、FLワイサケ・ララトゥプアにイエローカードが出され1人少ない状況となる。相手の時間帯になるも集中を切らさないディフェンスでこのピンチを凌ぐと29分、チャンスが訪れる。敵陣22m手前でボールを持ったNO8サウマキアマナキが、リッチー・モウンガとの1v1でステップを内にきり抜き去り、中嶋大希へオフロードパス。これがつながれば、トライという絶好のチャンスだったが、中嶋がボールを落としノックフォワード。この試合、最大のチャンスを活かしきることができなかった。

NO8サウマキアマナキが突破し、オフロードでつなごうとするも

中嶋大希がノックフォワード
逆に終盤5分で2トライを許し試合終了。3-31で敗れ、決勝進出はならなかった。勝負にタラレバはないものの、残り10分までどうなるかわからない展開で点差以上に両チームの実力差は感じられない試合だった。
試合後のデイヴ・レニーHC、李承信共同キャプテンの会見コメント、ブロディ・レタリック共同キャプテン、アーリーエントリーながら素晴らしいパフォーマンスを出し続けた植田和磨のコメントをお届けする
コベルコ神戸スティーラーズ デイヴ・レニーHC

デイヴ・レニーHC
――敗因は
まちがいなく東芝さんは自分たちより丁寧だったと思います。ハーフタイムまで試合はタイトだった。後半、ペナルティーを与え過ぎたしエラーも多かった。残り7分で、2トライで追いつける状況だったが、そこでもスコアできるチャンスを仕留め切れず、残り3~4分で、ミスして相手にトライを取られた。

ラファエレティモシー
スコアに現れているほど、チームの差が現れたわけではないと思うが、自分たち勝つには最高のパフォーマンスを出さないといけなかったが出せなかった。東芝さんは間違いなく素晴らしいチームだった。自分たちは、まだまだできることがあったので今日の結果は残念。
来週末、決勝という大舞台でプレーできないことに関しては非常に残念ですが、しっかり3位決定戦に向けての準備をしていきたい。

――ハーフタイムの指示は
まだまだ戦える状況だと思ったし、後半は風があるかなと思ったが、そこまで良い影響はなかった。キックオフレシーブから3対1を作れたが 仕留め切れず、ディフェンスする形になってしまった。ただ長い間、良いディフェンスができた時間帯が多かった。
アタックは今季、上手くいっていたが、コンタクトでボール失ったり、ターンオーバーされたのは残念。東芝さんのすばらしいディフェンスもありましたし、来週、簡単に東芝さんを破るのは難しいと思うほど良いディフェンスだった。

レタリック vs モウンガ
――ミス、反則が多かった原因は?
ディテールの部分もありますし、ボールキャリアがどれだけ大事にボールを扱うかもあったし、脅威を排除するウイン・ザ・レーズも速くしないといけなかった。常に自分たちが大事にしないといけない ベーシックなところは言い続けているところだが、 大一番で、それをどれだけ高いレベルで遂行できるか(が大事)。

こういった大一番ではプレッシャーをかけ続けないといけないし、自分たちがやるべきことができなかったことにフラストレーションがたまった。相手にどれだけベストをださせないか、自分たちがベストを出すかということだったが、それをやり切ることができなかったのでこういう結果になった。
――3決に向けて
クボタ、パナソニックの両方のプレビューをしている状態です。いくつか間違いなく変更すると思います。競争のレベルを落としたくはないので、しっかりと戦っていけるメンバーにしたい。来季につながる内容にしたい。
今季、成長していた部分はたくさんあったが、こういった形で終わって非常に残念です。来週、自分たちができることを考えながら、一部、メンバー変更をしながらやっていきたい。
コベルコ神戸スティーラーズ FB李承信共同キャプテン

李承信共同キャプテン
――SOモウンガのプレーについて
2人で守れていたが、モーションが小さく、真ん中かサイドに蹴るか判断しづらくて、キックもライナーで素晴らしかった。一発で蹴られたところは、しっかりコミュニケーションとってカバーしないといけなかった。ハーフタイムでWTBが我慢してポジショニングしよう としたが、もっと改善しないといけなかった。

――ミス、反則が多かった要因は?
コンタクトエリアもキャリーもそう、後半になるにつれて2人目のサポートが遅れて、ブレイクダウンでプレッシャーを受けていた。またキャリーの選手に対して周りの選手がコミュニケーションしていかないといけなかった。

攻撃で崩しきれなかったというのはなくて、しっかりチャンス作れている中で、最後の1フェイズ、2フェイズというところがミスで終わっていた。前半からそういうシーンがあり、アタックが強みなのにノートライで終わって悔しく思います。
――4月の対戦では70失点。大一番で負けたから感じる相手との差は
前半からディフェンスは、長い間、我慢できていた。ゴール前の激しさ、しっかりコネクトして守り切る意識は良かった。アタックのところで、準決勝というプレッシャーがかかるところで、東芝さんがブルータリティーを持ってプレッシャーをかけていた。

自分たちは初めてプレーオフに進んだが、そういうところに差があると思いますし、どれだけ精度高く、丁寧にできるかは学ばないといけない。自信を失うわけにもいかないので、来週、自分たちがチャレンジできる舞台があるので、自分たちの強さを証明したい。
コベルコ神戸スティーラーズ 植田和磨

植田和磨
すごく悔しい気持ちでいっぱいです。自分のインゴールノックオンと後半初めのペナルティーで流れを相手に渡しちゃったんで、そこはすごく自分でも悔やまれるなというのがあります。あそこは自分でもトライができたと思うんですけど、スリップしてしまった。そこは自分の責任です。

――先週に続き今週も大一番で思い切ってプレーできているように見えました
前回のヤマハ戦で、まだまだ改善するところはありますけど、自分でも自分らしさを出せた試合だったので。今日の試合に向かっていくにあたって、メンタル的にポジティブな気持ちでした。良い緊張感もあっていいメンタルで試合に臨めていました。
試合中は本当にいつもとやることは変わらないんで、そこは新人らしく思い切りできていたというのはあると思います。

――相手のリッチー・モウンガ選手のキックで蹴り込まれるシーンがありました。
ほんますごいです。(5022を)2本ぐらい決めたんですかね。こういう試合で精度高いキック蹴れるなと思いました。シンプルに自分たちがバックスリーの動きで5022取られてしまっているのは変わらないですけど、上手だなと思いました。キックを蹴るというのはわかっていても取れないようなキックを蹴ってくる精度でした。自分としてはそれでも対応できたかなと思いますけど、世界トップレベルの選手だけあって視野も広いので何をしてくるかわからないというもありましたし、BKとしてはやりにくいというのはありました.

――プレーオフの試合に出た経験ができたことは?
大学卒業してこうやってD1の試合に出させてもらって、本当にこんなに早くプレーオフの準決勝という舞台で試合できて、嬉しい気持ちでいっぱいですし、この舞台でできるからこそ、自分がまだまだ成長しないといけないというのは感じるので、来週3位決定戦がありますけど、来シーズンに向けても成長できるように頑張っていきたいです。
コベルコ神戸スティーラーズ ブロディ・レタリック共同キャプテン

ブロディ・レタリック
――良いラインブレイクがありました
できるだけ良いラグビーをしようと思って、ああいうふうに自分のランニングでチャンスを生み出せたんですけど、チャンスでなかなか取り切れなくて、今日は東芝さんにおしてやられてこういう試合の結果になったと思います。

――今日の勝敗を分けた点は
彼らもものすごくいいチームですから少しでも隙を見せるとそこにつけ込んで崩していくということをしてきました。実際に僕たちが生み出したチャンスを東芝さんに崩されてつなぎ切ることは最後までできませんでしたし、ブレイクダウンのプレッシャーも相当かかっていました。いいチームとの戦いではやっぱり削り合いになるので、チャンスをどれだけ取りきった数が多い方が勝つということがゲームの本質になります。パスがうまく通らなかったり、本当にシンプルな精度のところかなと思います。
コベルコ神戸スティーラーズ ヴィリー ・ポトヒエッター

ヴィリー ・ポトヒエッター
本当に努力というところは疑いのないようなところだと思います。みんなよく頑張っていたと思うし、いい姿勢で今回の試合に臨めた。チャンスも作れたけど、そこで取り切れないことで自分たちは苦しい状況になってしまったのが大きな敗因だと思います。
自分が見ていて、試合の終盤でズルズルと崩れてしまったところに関しては反省の余地がたくさんあると思いますが、他の重要な局面ではディフェンスに関して申し分なく素晴らしかった。