12月21日(土)、4シーズン目を迎える「NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25シーズン」が開幕した。東京・味の素スタジアムでは、昨季トップ4で悲願の初優勝を目指す東京サントリーサンゴリアスが、昨季準優勝の埼玉パナソニックワイルドナイツを迎えた。
ワイルドナイツは前半から持ち前のディフェンスで、サンゴリアスのアタックを寸断。攻撃では前半はWTB長田智希が2トライを挙げて0-12で折り返した。
10番を背負ったのは山沢京平
サンゴリアスに新加入したSH福田健太が9番で先発
後半、サンゴリアスの攻撃に差し込まれて2トライを献上したが、ワイルドナイツもチャンスでしっかり3トライを挙げて12-33で勝利し、3トライ差のボーナスポイントも含めて勝点5を得た。
後半トライを決めたジャック・コーネルセン
後半2本目のトライはラクラン・ボーシェ
後半3本目のトライはヴィンス・アソ
HIGHLIGHT
ワイルドナイツにおいて、体を張ったディフェンスで後半7分まで体を張ったのが日本代表53キャップのPR稲垣啓太だった。11ヶ月ぶりの公式戦の復帰だった。試合後、PR稲垣は報道陣に対応した。
11ヶ月ぶりに公式戦に出場したPR稲垣啓太
――1月以来、久しぶりの試合でしたね
みなさんの前で話すのは11ヶ月ぶりですかね、全部、上手くいったわけでもなく、後半、苦しい時間の方が多かった。総括すると、反則、ミスを繰り返すとこのレベル(ではやられる)ですよね。いかに反則を繰り返さないかということが身にしみたが、初戦でしっかり勝てたことは良かった。
稲垣啓太
――パフォーマンスは良かった?
いつもいいですよ! 少しずつ自分がまだ成長していることも実感したし、11ヶ月ぶりに公式戦に出られて、フィールドに出るのは素晴らしいなとあらためて思った。これほど血が沸き立つ瞬間が自分の中にあると実感できた。これほど良い瞬間は知らないし、こういうことを繰り返して続けて、若い選手にも伝えていきたいと同時に強く感じました。
「これほど血が沸き立つ瞬間が自分の中にあると実感できた」稲垣啓太
――久しぶりの試合で、いつもと違う感覚は?
まったくない。何か一つ、自分の中で失われているとしたら試合勘かなと思ったら、試合勘とか関係なかった。自分の役割、やるべきエリアは決まっている中で、機械的にやるだけだったので試合勘は関係なかった。
――昨季はどう見ていた?
個人的な解釈ですが、絶対いけるだろうという自信があった。よく言えば自信、悪く言えば慢心。慢心の方が強かったのかな。試合内容を見ても、普段やらないようなミスがあった。自分たちがやってきたことを信じるというメンタリティーはチーム、選手に伝えていける部分があったかな。今年はそこを伝えるようにしていきたい。僕は余計なことを話さないですが、必要なら話す。しゃべるべき人間が話せばいい。
(今日はハドルで)一発目、頭からいけと言いました。そこだけは最初、前半タフになる。動くなら後半20分だと思っていた。ずっとリードを奪っていたが、怪しい部分もあったし、チームに差がなかった。メンタリティーの部分で少し上回ることができたかな。
――やはり、今季はフィールドに立ち続けて王座を奪還したい?
最後、昨季は(決勝の舞台に)立てなかったので、立ち続ける、やり続ける重要性を理解しているので、やり続けるのみ、ですね。
「ワイルドナイツの文化は何なのか。」
――「ベスト15」も途絶えてしまったが?
あまり賞にこだわらないですが、ケガをした時間は、一つの節目として、自分も変わっていかないといけないなという瞬間でしたね。
――堀江翔太さん、内田敬介さんが引退して、SO松田力也 が移籍した影響は?
僕が一番上ですからね! アサエリは同期で入ったが年齢は1つ上ですね。我々が一番年長になった。役割は何なのか。自分たちが自分のプレーをやること。それプラス、チームのメンタリティーは我々しか伝えることができない。ワイルドナイツでも代表でも伝えるべき人間が伝えていかないといけない。
ワイルドナイツの文化は何なのか。アタックに重きを置いていると思っているかもしれませんが根底にあるのはディフェンスで、アタックできる選手よりディフェンスできる選手が多い方が強い。特にFW。サンゴリアスさんにブレイクダウンで前に出られるとどんどんテンポを上げられてしまう。最初、抑えることが重要で、今日は少しばかり上手くいったかなと思います。
――あらためて、堀江さんがいなくなった影響は?
堀江さんの存在は大きかったと思うが、堀江さんがいなくなったから、誰がその役割を担うのか。同じように役割を担う必要はない。進めるべき人間が自分なりに進めればいい。今、ディフェンスはディランがすごくよく進めてくれている。布巻が選手兼コーチとしてしっかり良いディフェンスプランをまとめてくれている。それをダイレクターが進めてくれているので、あとは質ですよね。
代表でもワイルドナイツでもキープレーヤーのCTBディラン・ライリー
――宮崎合宿で具体的に何を確認した?
細かいことを確認し合っただけなんですよ。フィールドで確認すると同時に、オフフィールドで、宿舎で、チームを分けてディベート形式で話したんすが、誰に仕切らせるのか、誰が仕切るべきか。それがハドルと同じ。それが宮崎で確認できた。チームのダイレクターという人間、10番、15番、FWのディフェンス担当がベストだと思います。そこに任せっきりの部分もあったが、自分たちが当事者意識を持って、自分たちの仕事をやる。ダイレクターがしっかり進めていくという役割がハッキリしたことが大きかった。
代表でも一緒に活動したSH流大と試合後握手する稲垣啓太