サクラセブンズ再び世界へ挑む!12日から南米チリで行われるチャレンジャーシリーズに参戦 | ラグビージャパン365

サクラセブンズ再び世界へ挑む!12日から南米チリで行われるチャレンジャーシリーズに参戦

2022/08/02

文●大友信彦


サクラ15の活躍がラグビーファンの関心を集めていた一方で、もうひとつの女子日本代表、サクラセブンズもまた、世界と戦う準備を進めていた。

しかも、世界との戦いの本番は、10月にワールドカップNZ大会を控える15人制サクラフィフティーンよりも目前に迫っている。

サクラセブンズが臨むワールドカップセブンズは9月9-11日の3日間、南アフリカのケープタウンで開催される。だがその前にもうひとつ、重要な大会がある。ワールドシリーズのコアチーム昇格をかけた「ワールドラグビーセブンズチャレンジャーシリーズ」が、8月12-14日の3日間、南米チリのサンチャゴで行われるのだ。

出場するのは12チーム。4カ国ずつ3組でプール戦を行い、決勝トーナメントを行い、優勝チームがコアチームに昇格する。女子の組み分けは以下の通り。
【プールD】南アフリカ、中国、ケニア、チリ
【プールE】ポーランド、ベルギー、パプアニューギニア、アルゼンチン
【プールF】日本、カザフスタン、コロンビア、メキシコ
昨年の東京五輪では中国が7位、ケニアが10位、日本が12位だ。

鈴木貴士HC

鈴木貴士HC


日本の準備状況について、鈴木貴士HCはこう話す。
「4月にワールドシリーズのカナダ大会に出場して、6月にフランス遠征を行って、世界の強豪と試合をして、世界と戦う上で必要なフィジカル、スピード、プレッシャーの中で精度を高く保ってプレーしないといけないことを経験して、やるべきことを明確化して準備を進めている状況です」

目前に迫っている2つの大会については
「まず目の前のチャレンジャーシリーズに集中しています。2024年のパリ五輪を含めても、来年ワールドシリーズを戦うことがベストな強化策になる。海外に行って、世界のトップチームと試合をすることが一番大事ですから」

と話す。ワールドシリーズに出場すれば1大会あたり5-6試合、2022-2023シーズンは7大会が予定されている。しかも相手はすべて世界のトップ12だ。ここを戦えるか戦えないかで経験値は大幅に違ってくる。ファンやメディアはつい、9月のワールドカップをメインターゲットと考えがちだが、サクラセブンズの中長期的な強化をにらめば、今年の最大のターゲットはワールドシリーズ昇格にある。

梶木真凛

梶木真凛


7月24日から熊谷で行われているサクラセブンズ(SDS)合宿参加選手は以下の16人だ。
大黒田裕芽、大竹風美子、原わか花、水谷咲良(東京山九フェニックス)
大谷芽生、小出深冬、(アルカス熊谷)、梶木真凜(自衛隊体育学校PTS)、
三枝千晃(北海道ディアナ)、須田倫代(追手門学院大)
辻崎由希乃、バティヴァカロロ・アテザ優海、平野優芽(ながとブルーエンジェルス)
中村知春、弘津悠(ナナイロプリズム福岡)
永田花菜(日体大)、山中美緒(名古屋レディース)

アテザ優海

アテザ優海


昨夏の東京五輪後、11月のドバイ遠征・アジア選手権優勝に向け加わったのが中村知春、三枝千晃という復活組と、新顔の須田倫代。その後、12月のSDS合宿から水谷咲良、5月のSDS合宿から大黒田裕芽、大竹風美子が復活、ながとブルーエンジェルスの辻崎由希乃、6月のSDS合宿からアテザ優海が2019年11月のオセアニアセブンズ以来約3年ぶりに復帰。現在のスコッドが揃った。

三枝千晃

三枝千晃

辻崎由希乃

辻崎由希乃


鈴木貴士HCは「今年は国内の太陽生命シリーズを見て、いい選手をピックアップしました」と話す。その代表格が、ながとブルーエンジェルスの辻崎由希乃とアテザ優海だ。

「辻崎さんとアテザはボールを持ったときのランニングスキルが非常に高い。アテザは身体も強くてBKもFWもできる。辻崎さんはスピードがあってアジリティがあって、トライを取りきる力がある」

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズで初の年間優勝に輝いた東京山九フェニックスからは、四日市メリノール学院を卒業したばかりの若い水谷咲良、そして東京五輪をケガ等で外れた大黒田裕芽と大竹風美子が復活でスコッドに返り咲いた。

水谷咲良

水谷咲良


「水谷さんは身体も非常に強く、ボールを持ってキャリーする能力もタックル能力も高く、今後が非常に楽しみ」

大黒田裕芽

大黒田裕芽


「大黒田さんは経験値が非常に高い。コンディションも徐々にあがってきて、経験値をチームに還元してもらっている。大竹さんは大きくて強くて速い、キックオフでも持ち味を発揮して、チームに良い影響を与えてくれています」

また、昨年9月からコーチ兼選手として参加している中村知春の存在も大きい。

「私がHCに就任してから中村さんにはコーチ兼プレーヤーで参加してもらっていますが、非常にやりづらい部分があると思うけど、我々コーチ陣と選手との架け橋になってくれて助かっています。特にラインアウトやスクラムではコーチングの部分もやってもらっている。彼女には負担をかけてしまうけれど、今のチームには必要な存在です」

中村知春プレイングコーチ

中村知春プレイングコーチ

その中村は「練習では99%プレーヤーとしてピッチに立っています。HCにも、いち選手としてフラットに見て下さいと伝えています。自分のやることは今までと変わらないけれど、コーチの肩書きはプラスになるときだけ使うというか、その肩書きがあったほうが選手が話を真剣に聞いてくれるときは上手く使おうかなと(笑)」と話す。

もうひとつ、サクラセブンズのモチベーションになっているのはサクラフィフティーンの活躍だ。

昨秋から主将を務める平野優芽は「最近はサクラフィフティーンの皆さんに結果で負けてしまっている。結果を残すことで、また応援してくれる方も増えると思うし、強い相手に対して日本の強さを出して戦って結果を残している。私たちセブンズも負けていられない」と話す。

平野優芽

平野優芽

さらにチームにエナジーを注入しているのが大竹風美子だ。東京五輪まで半年を切った2021年2月に膝を負傷して五輪を断念。長いリハビリを経てサクラセブンズに復帰し「代表のジャージーにまた袖を通すことを目標にずっとリハビリしてきたし、今はすごく重みを感じている。自分がいまここにいて、このチームに対して何ができるかということも以前よりも強く感じます」と話す。以前はチームでほぼ最年少ながら「ポジティブリーダー」を拝命し、チームの盛り上げ役も果たしていた。

大竹風美子

大竹風美子




「今は年齢的にも中堅になってきたけど、ラグビーができることが楽しいし、その楽しさ、プラスのイオンをチームの中で出していきたい」と話した。

そして、サクラセブンズの新たな武器になりそうなのが須田倫代だ。平野主将も
「太陽生命シリーズでもアジアシリーズでも、日本の女子でこんなステッパーは見たことがないというくらい鋭いステップを分で、大きい相手や速い相手にも一人で裏に出る能力がある」と絶賛。須田自身も「戦ったことのない国が多くて、正直楽しみが大きい。どんな射手に自分がどう通用するか、個人的に楽しみです」と前向きなエナジーをチームに注いでいる。

須田倫代

須田倫代

地球の反対側で、世界への扉に挑むサクラセブンズの奮闘が楽しみだ。

なお、熊谷合宿には7月27日からは以下の10選手がトレーニングメンバーとして参加した。
内海春菜子、アシテナ・サヴ、松永美穂(横浜TKM)
末結希、保井沙予(三重パールズ)、高橋夏未、吉野舞祐(日体大)
田中笑伊、レベッカ・トゥフガ(ながとブルーエンジェルス)
矢崎桜子(横河武蔵野アルテミスターズ)
田中笑伊は東京五輪に向けた強化スコッド、吉野舞祐と矢崎桜子は5月のワールドシリーズカナダ大会メンバー。内海春菜子、保井沙予、高橋夏未は太陽生命シリーズで際だった活躍を見せるなど、どの選手もスコッドと遜色ないポテンシャルを持つ。今後は9月のワールドカップ、さらにパリ五輪へ向けた代表争いに加わってくるかもしれない。

なお9月のワールドカップでは、出場16カ国は1回戦を戦い、勝者はチャンピオンシップへ、敗者はチャレンジ(9位以下トーナメント)に進む。日本の鈴木貴士HCは「今まで達成したことのないベスト8を達成したい」と話しているが、1回戦の相手はフィジー。昨年の東京五輪で3位に躍進、今季のワールドシリーズでドバイの2大会で準優勝、トゥールーズ大会では3位に入っている強敵という厳しい組み合わせだが、フィジーはこれまでの大会を見ても男女ともにスロースターター、初戦で戦えるのはむしろチャンスだろう。

だがその前に、まずはチャレンジャーシリーズ。ワールドシリーズ昇格を勝ち取って、次のステップへ進もう。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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