サクラセブンズ6試合戦い抜いて昇格決定 | ラグビージャパン365

サクラセブンズ6試合戦い抜いて昇格決定

2022/08/15

文●大友信彦


南米チリで行われているワールドセブンズチャレンジャーシリーズに出場しているサクラセブンズこと女子7人制日本代表が、3日間6試合を戦い抜き優勝、来季のワールドシリーズコアチーム昇格を決めた。

試合結果

プール戦

○44-5 メキシコ(T:原わか花4、大竹風美子2、大黒田裕芽、須田倫代、C:大黒田2)
○21-12 コロンビア(T:梶木真凜2、大谷芽生、C:須田3)
○26-5 カザフスタン(T:原2、大竹、須田、C:須田3)

準々決勝
○31-0 ベルギー(T:須田2、原、大竹、水谷咲良、C:須田2、大黒田)


準決勝 
○22-15 ケニア(T:原3、須田、C:須田)


決勝 
○17-0 ポーランド(T:中村知春、平野優芽、須田、C:須田)

日本はプール戦初戦は原わか花の4Tなどでメキシコに圧勝発進。2戦目はコロンビアに前半リードされる場面もあったが梶木真凜の2Tなどで逆転勝ち。3戦目はアジアのライバル・カザフスタンに26-5で完勝し、F組1位。勝ち点と得失点差で決まるプール戦全体順位(シード順)はポーランドに次ぐ2位となり、準々決勝はシード7位のベルギーに31-0の完封勝ちで4強に進んだ。

平野優芽(ケニア戦)

平野優芽(ケニア戦)


準決勝の相手はアフリカ王者、D組1位のケニア。東京五輪では先制しながら後半ロスタイムに逆転負けを喫した相手だ。

日本はキックオフで敵陣に入ると、ディフェンスで前に出てPKを獲得。梶木真凜、大竹風美子の突進で相手ゴール前に攻め込み、ゴール前のラックから中村知春が持ち出し、須田倫代が左中間に先制トライ。須田のゴールも決まり7-0とする。

トライを喜び合う原わか花と須田倫代

トライを喜び合う原わか花と須田倫代

だがケニアも強敵だ。直後の日本のキックオフから、三重パールズ所属、今季の太陽生命シリーズ鈴鹿大会と弘前大会でトライ王に輝いたジャネット・オケロが大外勝負で日本DFを振り切り80m独走トライ。しかし真ん中のコンバージョンをケニアは失敗。これが日本に余裕を与えた。

対する日本は、自陣10mで得たPKでスクラムを選択肢、そこから左を原、右を大竹と自慢のランナーが連続ゲインし、須田-中村-平野とつなぎ、原がオケロの猛追を振り切って左隅にトライ。さらに前半ラストプレーでも原が大外勝負でケニアDFを振り切り右中間に連続トライ。17-5とリードを広げて折り返す。

梶木真凜と中村知春のハイタッチ

梶木真凜と中村知春のハイタッチ


しかし後半はケニアが息を吹き返す。シンビンが出て1人少ない状況ながら日本のパスをカットしてトライを返すと、5分にはハーフウェーのスクラムからのアタックで再びオケロがトライ。しかしポスト右まで回り込みながら同点を狙ったコンバージョンは失敗。2点のリードを保った日本は、ラストプレーで相手キックオフから一気のリターンで梶木が相手ゴール前まで持ち込み、原が右中間へこの試合3本目となる大会10号トライ。

日本が22-15でケニアを破り決勝に進んだ。

決勝の相手は予想通りポーランド。準決勝では奇しくも22-15という同スコアで中国を下して決勝に勝ち上がった。

決勝は現地時間18時47分キックオフ。南半球でも緯度の高いサンティアゴは夜のとばりに包まれ、雨も降りだし、今大会初めての雨中戦。手がかじかむ中の戦いとなった。

両国国歌斉唱に続いて始まった試合はポーランドがキックオフ。日本は最初のディフェンスで梶木がジャッカルでPKを獲得。すぐにタップキックでアタックに出るが、ラックをポーランドがめくりかえしてPK。プール戦全体1位の強さの片鱗を見せたが、そこからのアタックでハンドリングエラー。出足良く拾った日本は須田から原へボールを送る。

大竹風美子(ポーランド戦)

大竹風美子(ポーランド戦)

今大会10Tをあげているサクラのエースは一気に相手ゴールへ走るが、ここまで原を上回る11Tをあげているポーランド④Koldejが猛追。日本ゴールまで5mのところで追いつきトライセービングタックル。しかし独走へのサポートの厚みで日本は上回った。すぐにボールをリサイクルし、コーチ兼任選手の中村知春がトライ。今大会ではブレイクダウンや空中戦のハードワークに徹してきたベテランが、決勝の大事な場面で今大会初トライを決めた。

そこから試合はポーランドの時間に。自陣ゴール前のPKからクイックで攻め、日本ディフェンスの後方へキックしてロングチェイス。一気の加速で飛び出し、日本ゴール目前でボールを拾うが、ここに後方から追いついた中村知春がこれまたトライを阻止するみごとなトライセービングタックル。さらに日本はDFが次々と戻り、攻撃を継続しポーランドのアタックを止め続け、10フェイズ近くを重ねたところでポーランドがノックオン。実況コメンテーターは「グレートディフェンス」「ファンタスティック」「選手たちが互いによく話し合っている。コミュニケーションが素晴らしい」と日本防御を称えた。

そして迎えた自陣ゴール前のスクラムで、ポーランドが反則。笛を聞いた日本は大谷芽生がピックゴーで相手DFの裏へ。先ほどと同じ形でポーランド④Koldejが猛追し、今度も日本ゴールまで5mのところでトライを阻止。しかしDFは戻れない。

平野優芽(ポーランド戦)

平野優芽(ポーランド戦)



対する日本はサポートが素早く到着。起き上がってボールを取ろうとするKoldejを原がクリーンアウトし、大竹が出したボールを受けた平野優芽主将がトライ。中村に続き、今大会ここまで得点のなかった平野主将が決勝でトライを決める。新旧の大黒柱が、プレッシャーのかかる決勝で大きな仕事をやってのけた。

弘津悠(ポーランド戦)

弘津悠(ポーランド戦)


10-0とリードした日本は後半も落ち着いてプレー。雨の中でも激しく前に出るディフェンスの出足は衰えず、起き上がりの早さでポーランドにプレッシャーをかけ、ハンドリングエラーを誘う。そして4分、平野主将の仕掛けからパスを受けた今大会大活躍の須田が、キレキレのステップで相手DFを止めると猛加速で50mを独走してゴールポスト下にトライ。自らコンバージョンも決めて17-0とする。

須田倫代(ポーランド戦)

須田倫代(ポーランド戦)


トライを喜ぶ原わか花と須田倫代

トライを喜ぶ原わか花と須田倫代


日本は残る時間帯も中村を先頭に途中出場の小出深冬、弘津悠、大黒田裕芽らが激しく前に出るタックルでポーランドのアタックを止め続け、ミスを誘い続け、17-0のまま試合終了。チャレンジャーシリーズに優勝を飾り、2017-2018シーズン以来5季ぶりワールドシリーズコアチーム昇格を勝ち取った。

鈴木貴士ヘッドコーチ

優勝を決め喜ぶ日本

優勝を決め喜ぶ日本


いつもサクラセブンズを応援していただきありがとうございます。
いろいろなプレッシャーのかかる中、選手たちが自分たちのラグビーを信じてタフに戦ってくれました。全員がハードワークして勝ち取った勝利だと思います。ここからがスタートなので次のステージに向けてまたチーム一丸となってがんばりたいと思います。引き続きサクラセブンズに対する応援を宜しくお願いいたします。

平野優芽キャプテン

3日間、たくさんの応援をありがとうございました。まずは最後までハードワークをし続けてくれたチームメイト、スタッフを誇りに思います。そして、国内で対戦相手をしてくれたSDSの仲間たちのハードワークにも本当に感謝します。ありがとうございます。ワールドシリーズのコア昇格が懸かった今大会にかける想いは、どのチームよりも間違いなく強かったです。

優勝を決め抱き合う日本

優勝を決め抱き合う日本


その想いをグラウンドでのプレーにすべて出すことができたことが今回の優勝という結果に繋がったと思います。これで世界と戦うためのスタートラインにやっと立つことができたので、ここからさらに成長していきます!来月にはワールドカップセブンズがあるので、そこに向けて気持ちを切り替え、チーム一丸となって良い準備をしていきます。今後ともご声援のほど宜しくお願いいたします。

日本は5シーズンぶりのワールドシリーズコアチーム復帰。
元主将で選手兼コーチの中村知春は試合直後のフラッシュインタビューで「最高の気分です!この日を長い間待っていました。やっとワールドシリーズに帰ってきました」と声を弾ませた(英語で)。

ワールドシリーズ2023(女子)は12月2-3日のドバイ大会で開幕。12月9-11日のケープタウン大会、1月21-22日のハミルトン(NZ)、27-29日のシドニー、3月3-5日のバンクーバー、3月31-4月2日の香港、5月12-14日のトゥールーズまで7大会が行われる。


大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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