7月29日、サクラフィフティーンが熊谷ラグビー場で南アフリカとの第2テストに向けた前日練習を行った。
練習後、ゲームキャプテンを務めるLO玉井希絵(三重パールズ)、2試合連続で先発するFL長田いろは(アルカス熊谷)、前戦のリザーブから先発に繰り上がったCTB山本実(三重パールズ)が会見した。
ゲームキャプテン LO玉井希絵(三重パールズ)
――第1テストの手応え、今週1週間はどう過ごしたか。
第1テストは勝利したものの、課題が残りました。相手が大きくて当たり負けをしたり、相手のモメンタムを最初から止められなかったり、という課題が出た、あと自分を含めてペナルティが多くて、自分たちで首を絞めたところがあったので、規律のところを修正して臨みます。

玉井希絵
――ペナルティーの原因は。
フィジカル面に関しては、ヨーロッパ勢と戦ってきた中でもダブルタックル、日本のディフェンシブラグビーを体現してきたところですけれど、今回は相手が勢いづいてからのところでは一歩引いてしまったりして、ペナルティになってしまったかなと思います。
――ゲームキャプテンに指名されました
初めは驚きました。
でも、チームアナウンスがあったときから、私がキャプテンとして何かをするというよりも、他のリーダーがBKにもFWにもしっかりいるし、大丈夫だなと(笑)。特に私が何かを背負うというより、むしろ周りのリーダーに安心感を感じています。

玉井希絵
――主将経験は
クラブでもキャプテンはしたことがありません。初めてです。
――玉井さん自身はチームではふだんどういう役目を任されていますか。
チームではラインアウトリーダーを任されていて、佐藤優奈選手と一緒にドライブしてきました。個人的に意識していることは、年齢に関係なく、普段からどの選手ともしゃべること、コミュニケーションをとることです。本当に他愛ない話から、普段から話すようにしています。
――また、リーダーのひとりとして、年齢も所属チームも様々な選手と接する上で意識していることは。
部屋が一緒になった若い選手とは、本当にいろんな話をします。大学生だったら、どんな勉強をしているの?とか、部屋でいっぱい話をするし、食事のときもいろんな話題をみつけたり、大喜利やなぞなぞみたいなこともやったり(笑)。他の選手の背景を知ることは、自分の経験値を高めることにもなりますから。
――玉井選手は以前、学校の先生をしてらっしゃいましたが、部活の指導ではどんなキャプテン選びを。
そういえば、私がキャプテンを選ぶときもそういう、周りのみんなとよくしゃべる子をキャプテンに選んでいた気がしますね。高校のバスケット部の顧問をしていたんですが。

南早紀キャプテン
――第1戦は釜石という場所でテストマッチを戦いました。あの場所で戦ったことはどんな経験、どんな意味があったと受け止めていますか。
釜石で試合をして、観客席をみたときにすごく幸せな気持ちになりました。選手の名前入りのタオルを広げて応援してくれている人がいたり、男子のテストマッチで見たような光景が広がっていた。観客数こそ及ばないけれど、あれだけの人数の方々が、自分からサクラ15の試合を見に来ていただけるようになったことに感動しました。
ファンの方々からかけていただいた言葉も『面白いね』『男子と同じような迫力だね』と言っていただけたり。こうして少しずつ、女性が活躍して、前に出ることを体現していきたいと思います。
FL長田いろは(アルカス熊谷)

長田いろは
――南アフリカの印象
一人ひとりのボールキャリーの強さ、速さなどすごく能力が高く、そういうのが強みだと感じました。個人的にはあまり満足のいく試合ではなかったですけど、例えば、タックルのところだったり、フィジカルの差を感じたところがありました。
ただ、個人じゃなくて、組織でディフェンスすることでそこがカバーされ、そこまで怖さはなかったです。

長田いろは
――2017年のワールドカップも出場していますが、その時と比較して個人として変わったこと、チーム状態が当時と今で何か違いを感じますか?
個人的には、BKからFWに転向して、体作りの部分で、体重を増やしました。2017年と比較してチームは個人個人がチームのラグビーを考えて、発信したり、チームミーティングで自分の意見を話しています。
前回のワールドカップは世界との差を感じた大会でした。私自身も経験値がなかったので、ただ相手が強かったみたいなイメージでしたけど、今は試合を重ねて、相手に対してどうこうというより、自分たちがやることにフォーカスできていることが安定したプレーにつながっていると思います。

レスリーHC
――チームのミーティングで自分の意見をいっているというお話がありましたが、変わった要因は
レスリーHCの方針というか、ミーティングでも全員が自分の意見を持つことを大切にしているので、ミーティング後に、今聞いたことで新しい情報は何かとか、整理する時間が与えられることで自分の意見を持つ習慣がついていると思います。
レスリーがHCになったのが、2019年で私が呼ばれたのが、ちょうど1年前なんですが、そのときにはもうみんなが発言するようなチームの文化にはなっていました。(チームに入った)最初はすごいみんな発言するなと感心していました。

鈴木彩香
――今回の国内テストマッチで全員が共通認識として持っているキーワードはありますか?
新しいワードはないです。
――今のチームでの役割
私はリーダーにはなっているわけじゃないので、プレーのハードワークのところで、チームにモメンタムを生むように意識しています。
CTB山本実(三重パールズ)

山本実
――12番での出場について
ウスターでは何試合か12番で出ましたし、10番で先発して、途中から12番に移った試合もありました。UKでは、それなりに12番も経験してきたという感覚です。日本代表でも10番の選手がたくさんいるときに12番にはいることはあったし、12番でテストマッチに先発するのは初めてですが、戸惑いはありません。

大塚朱紗
――ダブル司令塔になる大塚選手との役割分担は
アヤサとはお互いにゲームメーカーが並んでプレーできることの、良い面、メリットを前面に出していこうねと話しています。たとえばPKをもらったとき、1人がタッチキックを狙う間、もうひとりはラインアウトからどう攻めるか、ラインアウトリーダーと話をしたり。普段はトイメンで戦っている関係なのでちょっとヘンな感覚はありますが(笑)。
――大塚選手はオーストラリア戦ではPOMを獲得するなど大活躍でした。英国からどのように見えていましたか
落ち着いてゲームをコントロールしているな、と思って見ていました。ボールを前へ持っていく力があるし、私とはちょっと違うタイプですが、ゲームの要所はしっかり押さえていたなと思いました。今回、私は12番で出るので、よりディフェンス、タックルの面でインパクトを出したい。相手の12番、13番はサイズもあって強くコンタクトしてくるので、そこが勝負。私自身、そこをテストされていると思うので、絶対止めてやろうと思っています。
――トイメンになる12番、ングウェグ選手の印象を。
結構大きい相手で、この前の試合でも私に向かって走ってくる場面が多かったですね(笑)。身長というよりおしり周りが大きくて、フィジカルの強さを活かして当たりに来るという印象がありましたが、この前の試合はディフェンスに関してはチームとして満足できる出来だったと思います。
――イングランドのウスターで10カ月プレーして来て自分で変化を感じるところはありますか。
かなり多くの経験を積んで、ゲームのモメンタムを呼び込むような判断力が身についたと思います。この前の試合も、後半から出てそれをうまく出せたと思う。
自分自身の変化は、あまり自分では……希絵さん、どうですか?(と、会見場の後方にいた玉井希絵に尋ねる。玉井の答えは「英語を使うようになった」)
そうですね、戻ってきてから、HCのレスリーやACのダギーと直接会話できるようになりました。会話だけでなく、コーチが使った単語の意味がよくわからなかったときは、自分で意味を調べて、理解するようにした。レフリーの言っていることも理解できるようになったので、それはゲームメーカーとしてはよかった。
――レスリーJAPANになって、結果が出ている印象があります。その理由をどう思いますか
結果が出ているのは、ひとつひとつのプレーが偶然ではなく、レスリーが大事にしているディテールを突き詰めているから。ここでこういうプレーをしたからこうなりました、という部分、詳細にこだわっていることが結果につながっていると思います。2019年に、初めてレスリーがきたときは、レスリーの質問にひとつ答えると「WHY?」「WHY?」と細かく聞き返されましたが、今では自分からディテールについて話せるようになった。そういうことが結果につながっていると思います。
GALLARY

伊藤優希

左高裕佳

中山潮音

ラベマイまこと、津久井萌

西村蒼空

パラキゆき

下村理紗

谷口琴美

高野眞希

平野恵里子

吉村乙華

永井彩乃、川村雅未

細川恭子

マテイトンガ

庵奥里愛

今釘小町

阿部恵