リージョナルセブンズ・横河武蔵野アルテミスターズが優勝 | ラグビージャパン365

リージョナルセブンズ・横河武蔵野アルテミスターズが優勝

2021/06/01

文●大友信彦


リージョナルセブンズ関東大会が5月29-30日の2日間、千葉県の麗澤大グラウンドで行われた。

これは太陽生命ウイメンズセブンズシリーズの下部大会として2018年から行われている大会で、上位に入ったチームが翌年の太陽生命シリーズ出場権をかけて入替戦に臨むというシステムで行われてきた。今季はコロナ感染拡大の影響で太陽生命シリーズも変則的な開催となっており、入替戦は行われないことが決定しているが、日本協会の岩渕専務理事は、リージョナルセブンズで上位に入ったチームには、何らかの形で来年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ参戦の機会を与えたいと話している。

今回は、コロナ下でのチームの大規模な移動を抑制するため、関東大会と関西大会に分けて開催。関東大会には横河武蔵野アルテミスターズ、ブレイブルーヴ、国際武道大、湘南ベルマーレの4チームが出場。当初出場予定だった「弘前サクラオーバルズ八戸学院大」は、コロナ下での長距離移動のリスクを鑑み参加を見送った。

出場4チームは2日間かけて総当たり戦を行い、最後に1位と2位のチームが決勝、3位と4位のチームが3位決定戦を行った。

各試合の結果は以下の通り。

試合結果

試合結果
プール戦
プール戦
プール戦
プール戦
プール戦
プール戦
3位決定戦
決勝

決勝は、初日の第1試合でも対戦したアルテミスターズとブレイブルーヴが下馬評通りに再戦。プール戦では31-12とアルテミスターズが点差をつけて勝ったが、決勝は接戦となった。

試合開始からまず攻め込んだのはブレイブルーヴだったが、3分、アルテミスターズは自陣のターンオーバーから名倉ひなのが右サイドを長躯カウンターアタック。直前の国際武道大戦では前半だけで5トライを量産したスピードスターがルーヴのDFを置き去りにして約70mを独走して先制トライをあげる。

ブレイブルーヴもすぐに反撃。前日の試合では前半早々に退場、HIAチェックでほとんど試合のできなかったCTB安藤菜緖がSO安尾琴乃のパスを受けて突破するとすぐに顔を出したWTBピート染谷瑛海へパス。ピートが力強いランニングでそのままゴール中央にトライ。安尾のゴールでブレイブルーヴが7-5と逆転する。

対するアルテミスターズは前半タイムアップ後の8分、やはり自陣でのターンオーバーからFW小西似呼が独走。ここはブレイブルーヴのピート染谷瑛海が激戻りタックルでゴール寸前で止めるみごとなディフェンスをみせたがアルテミスターズは焦らずにボールを継続。日体大から新加入のFW中山潮音がゴール中央に持ち込み再逆転のトライ。同じく日体大から加入のBK小林花奈子がコンバージョンを決め、前半は12-7とリードする。

後半、追い上げたかったブレイブルーヴだが、1分にFW中村紘子主将が不用意なプレーでイエローカードを出され数的劣勢に。アルテミはこのチャンスを見逃さず、後半開始から入ったばかりのSH笹田美海の仕掛けから再び名倉ひなのが快走してトライ。笹田のゴールも決まり19-7と大きくリードを奪う。

対するブレイブルーヴは4分、安藤菜緖の突破を起点にシンビンあけの中村主将がトライを決め12-19。7分にも安尾のキックパスを捕った近藤帆夏が左隅にトライを決め2点差。
同点を狙った安尾のコンバージョンは外れ、まもなく試合終了。ブレイブルーヴは猛追及ばず、アルテミスターズは辛くも逃げ切り優勝を飾った。

優勝した横河武蔵野アルテミスターズ

優勝した横河武蔵野アルテミスターズ

アルテミスターズは2018年のリージョナルセブンズ2大会で準優勝し、同年の入替戦を勝ち抜いて2019年はコアチームに昇格したが、昇格した太陽生命シリーズでは苦戦続き。入替戦には15人制日本代表をごっそり欠いた布陣で戦うことになり1シーズンで降格。しかし15人制では2019年度に単独チームとして全国制覇を飾ったように選手層は厚い。今回はサクラ15候補のFW南早紀、高野眞希は15人制に専念するため、FW小西想羅、BK高木萌結は故障のため、FW加藤幸子は英国留学から帰国後の隔離期間のため欠場したが、新加入のBK笹田美海、大学2年のFW小西似呼、BK三原倫の19歳トリオがのびのびと活躍。

櫻井綾乃主将は「チームのテーマは『凡事徹底』。グラウンドの中だけでなくグラウンド外でも当たり前のことを精度高く実行することを目指しています」と話し、若手についても「プレー面はもちろん、発言も積極的にしてくれて、チームを活性化させています」と賞賛。副将が21歳の津久井萌、FWリーダーが19歳の小西似呼、BKリーダーが21歳の小畑結依と、リーダーに若手を登用していることもチームを活性化している。

準優勝のブレイブルーヴ

準優勝のブレイブルーヴ

ブレイブルーヴも、負傷者が多い中で奮戦。昨年はケガで戦列を離れていたSO安尾琴乃をはじめ、安藤菜緖、近藤帆夏、新井弥生ら、ユースチームで関東大会優勝、全国U18セブンズ4強などを達成した世代が積極的にアタックを仕掛けることで、セブンズ日本選抜経験のあるピート染谷瑛海の突破力がより活かされる。今後が楽しみだ。

3位決定戦は、序盤に永田虹歩、新居里江子の連続トライで国際武道大が10-0とリードするが、湘南ベルマーレは小俣麻衣子の2トライなどで反撃。前半9分には国際武道大にイエローカードが出されたこともあり、ベルマーレが17-17の同点に追いついて折り返した。
しかし後半は国際武道大が永田虹歩と五月女莉緒が相次いでパワフル突進をみせ再び連続トライ。ベルマーレは6分、長手美波が果敢なランニングで31-24の7点差に追い上げるが、国際武道大は7分に石田雲母(きらら)、ロスタイムの8分には永田虹歩がこの試合でハットトリックとなる3本目のトライを決め、45-24で勝利した。

国際武道大は、パワフルでスピードのあるボールキャリーでサクラフィフティーン候補の実力を証明した永田虹歩をはじめ、五月女莉緒主将、鬼多見友里、新居里江子らがスピーディーなアタックを披露。選手層も年々厚くなってきており、これからが楽しみだ。

湘南ベルマーレは12人を登録したものの実際にプレーできるのは9人という厳しい状態での参戦だったが、長手美波と小森海帆、唯野まどかの19歳トリオ、2002年W杯日本代表のレジェンド、三好(旧姓・永野)はるえと室岡絵里という40代コンビ、決定力ある小俣麻衣子、レフェリーとしても活動する森町瑞季らバラエティ豊かなメンバーがそれぞれの個性を発揮し、試合ごとに調子をあげていった。勝利にこそ恵まれなかったが、ダイバーシティを体現した印象的なパフォーマンスは、大学や企業がバックアップするチームとは異なる環境で築いてきたクラブカルチャーの賜物だろう。

各チームともフィジカル、フィットネス、コンタクトの強さには進歩を感じさせたが、一方でパス、キックなどの個人スキルは太陽生命シリーズを戦う上位チームに比べると物足りなさを感じた。リージョナルセブンズの上位チームは来季、太陽生命シリーズで国内トップチームと公式戦で対戦することになる。今大会で今季のセブンズ活動を終えるチームもありそうだが、来季をにらめば、15人制のシーズンに移行してもフィジカル面はもちろん正確にボールを動かすためのスキル向上も目指してほしい。

トライランキング

1 8T 名倉ひなの 横河武蔵野アルテミスターズ
2 5T 小林花奈子 横河武蔵野アルテミスターズ
2 5T ピート染谷瑛海 ブレイブルーヴ
2 5T 近藤帆夏 ブレイブルーヴ
2 5T 永田虹歩 国際武道大
6 4T 新居里江子 国際武道大
7 3T 櫻井綾乃 横河武蔵野アルテミスターズ
8 2T 中山潮音 横河武蔵野アルテミスターズ
8 2T 笹田美海 横河武蔵野アルテミスターズ
8 2T 中村紘子 ブレイブルーヴ
8 2T 安尾琴乃 ブレイブルーヴ
8 2T 安藤菜緖 ブレイブルーヴ
8 2T 五月女莉緒 国際武道大
8 2T 小俣麻衣子 湘南ベルマーレ
8 2T 長手美波 湘南ベルマーレ


得点ランキング

1 44(8T2C) 名倉ひなの 横河武蔵野アルテミスターズ
2 37(5T6C) 小林花奈子 横河武蔵野アルテミスターズ
3 27(5T1C) 近藤帆夏 ブレイブルーヴ
4 25(5T) ピート染谷瑛海 ブレイブルーヴ
4 25(5T) 永田虹歩 国際武道大
6 24(4T2C) 新居里江子 国際武道大
7 22(2T6C) 安尾琴乃 ブレイブルーヴ
8 17(3T1C) 櫻井綾乃 横河武蔵野アルテミスターズ
9 14(2T2C) 笹田美海 横河武蔵野アルテミスターズ
10 多数


大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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