太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2019東京大会・ドリームセブン | ラグビージャパン365

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2019東京大会・ドリームセブン

2019/05/21

文●大友信彦


太陽生命ウィメンズセブンズ2019第2戦東京大会は、三重パールズがアルカス熊谷との死闘の末に10-5で勝ち、3大会ぶり4回目の優勝を飾ったが、プール戦の初戦から実力伯仲、勝負の行方が分からない激戦の連続、女子ラグビーのレベルアップを感じさせる大会だった。


RUGBYJapan365では、2日間34試合で輝いた選手の中から、とびきり輝いた7人を厳選、ドリームセブンとして紹介する。
また、今回は新企画として番外編・本誌選出ベストジャージーも発表!


保井沙予 三重パールズ

保井沙予

保井沙予


強靱なフィジカルを活かし、初戦から決勝まで6試合すべてでトライを決め、アルカスとの決勝でも前半に先制トライ。決勝の後半にタックルされた際に負傷退場したが、大会MVPに輝いた。トライをあげてコブシをふりあげる力強いガッツポーズはチームを盛りあげる。女子ラグビーでは珍しい、感情を前面に出すキャラクターで観衆を熱くさせる。当欄ドリームセブンには初登場。

鈴木彩香 アルカス熊谷

鈴木彩香

鈴木彩香


決勝トーナメント3試合は「初めて」というWTBの位置に入り、すべて14分間交替なくフル出場。WTBの定位置に縛られない自在のポジショニングで突破役に、リンク役にフル回転、アルカスを2年ぶりの頂点目前まで引っ張り上げた。当欄ドリームセブンには2017年保土ヶ谷大会以来、3度目の登場。2007年、17歳でセブンズ日本代表入りした女子ラグビーのシンボルプレイヤーは、日本人選手最年長の29歳になっても輝きを増し続けている。

藪内あゆみ ながとブルーエンジェルス

藪内あゆみ

藪内あゆみ


秋田大会に続く2大会連勝を狙ったブルーエンジェルスにあって、リンクプレーヤー兼フィニッシャーとしてフルタイムで活躍。昨季まで在籍したアルカスとの準決勝では0-0のハーフタイム直前、自陣からオープンサイドを約80mを走りきる豪快トライもあげるなど、秋田大会からさらにスケールアップした姿をみせつけた。
当欄では昨年6月の大学交流大会ドリームセブンに続き、太陽生命シリーズでは初登場。


ニア・トリバー 北海道バーバリアンズディアナ

ニア・トリバー

ニア・トリバー


秋田大会でのブレイクはまだ序章だった。東京大会では初戦のグレース戦で2トライをあげたのを皮切りに、アルテミスターズからは4トライの固め打ち。トーナメントでは準々決勝のパールズ戦で3トライ、5~8位戦準決勝の日体大戦でも3トライの連続ハットトリック。
最後のフェニックス戦でも1トライをあげ、合計13トライ、65得点で本大会トライ王&得点王の2冠に輝いた。
当欄ドリームセブンには秋田大会に続き2大会連続登場していただいた。

原わか花 東京山九フェニックス

原わか花

原わか花


今大会、スタンドで観戦したファンに一番大声をあげさせたのは間違いなくこの人だ。キレキレのステップ、縦横のコースチェンジでスペースを残してからの猛加速でタッチ沿いに勝負し、タックラーを抜き去る。プール戦の日体大戦、サクラセブンズのエース堤ほの花とのトイメン勝負は白熱。前半1分、左サイドで堤とマッチアップしたがスペースがないとみるや内にパスしてすぐさまサポート。再びパスを受けて50mを独走トライ。守っては後半早々、大外でボールを持った堤を追い、ハンドオフされながらも粘って食いつき、コーナーへのグラウンディング寸前にからんで落球させトライを阻止。

大会6トライは5位タイだが、MIP(最も印象的なプレーヤー)にワカバを挙げる人も多いはずだ。
当欄ドリームセブンには2017年4月の全国高校選抜女子セブンズで初登場。太陽生命シリーズでは同年5月の東京、11月の裾野、今年の秋田に続き4度目の登場。

藤本麻依子 YOKOHAMA TKM

藤本麻依子

藤本麻依子


重量感溢れるコンタクトでブレイクダウンに働いたと思うと、素早くスペースに走り込み、軽快なハンドリングでトライに絡む。男子のセブンズでは15人制のPRが活躍する機会はなかなかないが、横河武蔵野の南早紀とともに、15人制日本代表のPRがセブンズで大活躍する姿にはワクワクさせられる。今大会では自身でトライをあげることはなかったが、トライへのラストパスをたびたび放ち万能ぶりを見せた。当欄ドリームセブンには秋田大会に続き2度目の登場。

葛西杏奈 自衛隊PTS

葛西杏奈

葛西杏奈


身長172センチという数字以上にスケールの大きさを感じさせる魅惑のランナー。仙台商高時代はバスケットボールでオール宮城の代表候補に招集されたハンドリング&スペース感覚は、ラグビーを始めて4年の時間をかけて熟成。チャンスとピンチへの鋭い反応でトライに絡む。今大会では5試合すべてでトライをあげ、最後の追手門学院戦では3トライのハットトリック。合計7トライはダントツトライ王のトリバーに次ぎ2位タイだが、葛西は他の選手より1試合少ない5試合での数字だった。自衛隊選手は当欄ドリームセブンには昨年9月の裾野大会で石井寿衣選手に登場頂いたがそのときはチャレンジチームでの参加。自衛隊チームでプレーした選手からは初登場いただいた。

東京大会トライランキング (本誌集計)★は全試合トライ

ニア・トリバー(ディアナ)

ニア・トリバー(ディアナ)


1 ニア・トリバー 北海道ディアナ 13T
2 保井沙予 三重パールズ 7T ★
2 平野恵里子 横浜TKM 7T
2 葛西杏奈 自衛隊体育学校PTS 7T ★
5 ジャンナ・ヴォーン 三重パールズ 6T
5 藪内あゆみ ながとブルーエンジェルス 6T
5 原わか花 東京山九フェニックス 6T ★
8 鹿尾みなみ RKU龍ヶ崎グレース 5T
8 カースティン・レベッカ 東京山九フェニックス 5T
8 名倉ひなの 横河武蔵野アルテミスターズ 5T


東京大会 得点ランキング(本誌集計)

平野恵理子(YOKOHAMA TKM)

平野恵理子(YOKOHAMA TKM)


1 ニア・トリバー 北海道ディアナ 65 (13T)
2 ヘーゼル・トゥピック ながとブルーエンジェルス 54 (4T17C)
3 ハーヴィー・マガリ 東京山九フェニックス 44 (4T12C)
4 保井沙予 三重パールズ 35 (7T)
4 平野恵里子 横浜TKM 35 (7T)
4 葛西杏奈 自衛隊体育学校PTS 35 (7T)
7 ジャンナ・ヴォーン 三重パールズ 30 (6T)
7 藪内あゆみ ながとブルーエンジェルス 30 (6T)
7 原わか花 東京山九フェニックス 30 (6T)
10 名倉ひなの 横河武蔵野アルテミスターズ 27 (5T1C)

【ドリームセブン・番外編】 ベストジャージー 東京山九フェニックス

福島わさな(東京山九フェニックス)

福島わさな(東京山九フェニックス)


女子のジャージーはパステル調の配色が目立つが、今回のフェニックスジャージーはソフトさとシャープさのバランスがよく、女性らしさと逞しさを兼ね備えるタフ&キュートなラグビー女子たちの魅力がよく現れていると思いました! オシャレさを求めて背番号が見えにくいデザインになるチームも多い中、数字がはっきり見える、胸にもあるのもgoodです!

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

プロフィールページへ


 

記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ