太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2022が23日開幕!女子セブンズチーム新戦力情報3・リージョナル編 | ラグビージャパン365

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2022が23日開幕!女子セブンズチーム新戦力情報3・リージョナル編

2022/04/14

文●大友信彦


太陽生命ウィメンズセブンズシリーズは4/23-24の熊谷大会で開幕するが、その前の週にも大事な大会がある。

4/16-17の2日間、静岡エコパ補助競技場で行われるリージョナルセブンズ2022だ。これまでは太陽生命シリーズへの昇格を目指し、入替戦への出場権をかけ、関東と関西で2大会が行われてきたが、昨季は入替戦が行われず、昇格の機会がなかったことから今季は変則日程を導入。リージョナルセブンズで好成績を残したチームは、翌年まで待たず、今季第2戦の静岡エコパ大会と第3戦の鈴鹿大会に出場するチャンスが用意されたのだ。

まず昨年のリージョナルセブンズの結果は以下の通り。


関東大会(2021/5/29-30 @麗澤ラグビー場)
決勝 横河武蔵野アルテミスターズ 19-17 ブレイブルーヴ
3決 国際武道大 45-24 湘南ベルマーレ

リージョナルセブンズ・横河武蔵野アルテミスターズが優勝

アザレアのベテラン司令塔・横山里菜子

アザレアのベテラン司令塔・横山里菜子

関西大会(2021/6/19-20 @エコパ)

優勝 アザレアセブン 4勝0敗 勝ち点12 得失点差+78
2位 九州産業大 2勝1敗1分 勝ち点9 得失点差+18
3位 日本経済大 2勝2敗 勝ち点8 得失点差+7
4位 神戸ファストジャイロ 1勝2敗1分 勝ち点7 得失点差-15
5位 名古屋レディース 0勝4敗 勝ち点4 得失点差-88

アザレアセブンが4戦全勝で初優勝!リージョナルセブンズ2021関西大会、5チームの激闘を制す

今季の大会にエントリーしているのは以下の9チーム。DAY1は3チームずつ3組に分かれてプール戦を行い、その順位に基づいてDAY2に順位決定トーナメントを行う。
【POOL A】アザレアセブン 日本経済大 ブレイブルーヴ
【POOL B】横河武蔵野アルテミスターズ 湘南ベルマーレ 九州産業大
【POOL C】神戸ファストジャイロ ナナイロプリズム福岡 国際武道大


昨年の関東・関西両大会に出場した9チームのうち名古屋レディースが出場を見送り、かわって、サクラセブンズ元主将の中村知春が九州で旗揚げしたナナイロプリズムが初参戦する。今大会は有観客で開催される。これは選手にもファンにも嬉しいところだ。

以下に、各チームの新戦力情報をお届けする。

アザレアセブン

3月27日、リーグワン静岡v埼玉の行われたアイスタのアザレアブースで

3月27日、リーグワン静岡v埼玉の行われたアイスタのアザレアブースで

昨年の関西大会チャンピオン。静岡を拠点に活動。静岡ブルーレヴズの本拠地試合ではいつもブースを出店しているのでおなじみのファンも少なくないだろう。

平野恵里子

平野恵里子

昨年の大会のあとに加わったビッグネームは2017年ワールドカップ日本代表の平野恵里子だ。釜石ラグビースクール(シーウェイブスジュニア)でラグビーを始め、日体大時代は女子15人制日本一を決める会長杯で2年連続MVP獲得。横浜TKMでは主将も務め、太陽生命シリーズや女子15人制の関東大会で活躍。2020年にTKMを退社・退団して単身スペインに挑戦。スペインリーグのセビリア・ココドリラスで1シーズンプレーしてきた。昨年の帰国後にアザレアに加入。太陽生命シリーズ通算43トライをあげてきた経験値が頼もしい。

迫田夢乃

迫田夢乃

さらに今春は高卒・大卒選手6人が加入。九産大から加入のWTB迫田夢乃は昨年、同じエコパで開催されたリージョナル関西大会の4試合で9トライをあげトライ王に輝いた決定力が魅力。

立正大を卒業した谷山美典は福岡高3年だった2017年にチャレンジチームで、立正大4年の昨季はアルカスで太陽生命シリーズを経験。弟・隼大は筑波大3年で先日の東日本大学セブンズでも大活躍。妹・三菜子は佐賀工2年、昨夏のオッペンカップ、昨秋のU18女子セブンズで活躍した。

星谷心咲

星谷心咲

開志国際から加わった星谷心咲(みさき)はストロングガール、TIDユースキャンプなどの常連で、パワーと柔らかさを兼ね備える。父・直貴さんは富士通~リクルートで活躍したアメフト元日本代表・日本一経験者だ。
福岡大城東から加わった山中志歩はU18女子セブンズに福岡レディースで出場。国際武道大から加入の内山由羅は浜松市、四国大から加入の大村瑠奈は静岡市の出身。リージョナルに出場すれば地元凱旋試合となる!


九州産業大

川内愛結

川内愛結

元九州電力の平野勉さん、元コカコーラの豊田将万さんという元日本代表FW第3列コンビが率いる九産大には5人の新人が加入。石見智翠館から加入の川内愛結(あゆみ)は昨秋のU18女子セブンズでチーム最多タイの3トライをあげた。長崎RS出身、九州に戻っての活躍に期待だ。福岡工から加入の西山なのは は高1から3年間、九産大付九州から加入の星野瑠奈は高2と高3で、U18女子セブンズに福岡レディースで出場。かしいヤングラガーズからのペアだ。以上3人は即戦力に期待、長崎南から加入の山本麻鈴(まりん)、新田から加入の竹内絵莉は「ポテンシャルが高い。じっくり育てたい」(豊田HC)


ナナイロプリズム福岡

2019年11月、サクラセブンズ元主将の中村知春をGM兼選手に招き、福岡県久留米市を拠点に設立された新興クラブ。クラブ設立直後にコロナ禍に見舞われ、かつ主力の多くが日本代表活動でチームを留守にしている時間が長かったため、公式戦に臨むのは今季からとなる。

友納菜々子

友納菜々子

選手は中村知春のほか、横尾千里、白子未祐、弘津悠、マテイトンガが在籍。横尾は昨季で引退、マテイトンガは退団したが、チームの公式戦デビューにあわせ、今春も注目選手が加入した。ビッグネームは昨年5月まで東京五輪スコッドだった小笹知美が北海道ディアナから移籍。

中山かのん

中山かのん

新卒戦力としては、大卒が九産大主将のSO友納菜々子、高卒が福岡高から昨秋のU18女子セブンズで福岡レディースの主将を務めた中山花のん、宮崎・高鍋高で男子とともに楕円球を追っていた平岡莉奈、2023年国体に向けた鹿児島チームから鬼塚歩、東筑紫学園から野田優の4名が加わった。


日本経済大

元日本代表SOで、関東学院大-コカコーラで活躍した淵上宗志さんが監督を務め、2020年に創部した日本経済大は今季が3年目。1年目はコロナ下で対外試合がまったくできなかったが、昨年は初の公式戦となったリージョナル関西大会で3位と健闘。冬の15人制関西大会では九産大・ながとブルーエンジェルスと合同チームを組んで2位、全国大会でも優勝決定戦となった横河武蔵野戦で(合同チームだが)互角の戦いを演じるなど急速に力をつけている。

水間美夢音

水間美夢音

今季は昨夏のオッペンカップ準優勝・昨秋の全国U18女子セブンズ4強の佐賀工からSH水間美夢音(みゅうの)、オッペンカップ、全国U18とも4強の石見智翠館から大穂樹利亜(じゅりあ)、神田愛歌(あいか)、新田高から渡部はるあ、東海大静岡翔洋から坂井雪華の5人と、NZからテマレシ・ラヤシ、ラウクラ・ワイカイの2人。

コミュニケーション能力に優れる水間は兄が日大4年のWTB水間夢翔。テマレシの父はセブンズ日本代表、近鉄で活躍したフィリップ・ラヤシさん。渡部はフルコンタクト空手の全日本選手権で高校女子重量級日本チャンピオン経験者。坂井も相撲経験を持つ。ユニークな選手たちの今後が楽しみだ。

ブレイブルーヴ

ブレイブルーヴのユースチームで練習・試合を重ねてきた選手たちが大学生となり、シニアチームに参加。竹村柚香(練馬RS-大東大一)は大東大に、竹内双葉(ワセダクラブ-都国分寺)と西舞衣子(ワセダクラブ-都西)は筑波大に進学し、ブレイブルーヴへ。

西舞衣子

西舞衣子

桐蔭学園で女子チームの主将を務め、早大進学した國谷蘭(くにたに・らん)も、中学時代に東京都ラグビースクール選抜のチームメートが多く在籍するブレイブルーヴに合流。

五月女莉緒

五月女莉緒

大卒では、日体大を卒業したFL/SH日置彩乃(ひおき・あやの=平工)、国際武道大を卒業した五月女莉緒(さおとめ・りお=清真学園)も、スポンサー企業でもあるデータバンクに就職してブレイブルーヴに参加。選手層が厚くなってきた。


横河武蔵野アルテミスターズ

千北佳英

千北佳英

2017年に創部、2018年に活動をスタートしてリージョナル2大会に準優勝。2019年にはコアチームとして太陽生命シリーズを戦ったが、主力が15人制日本代表活動にとられてしまったこともあり、1年で降格。しかし2021年リージョナル関東大会で優勝。これまでは15人制に軸足を置いてきたが、セブンズにも本格的に力を入れ始めたアルテミスターズに、今季はイキのいい高卒選手が大量に加わった。

金濱百花

金濱百花

昨夏のオッペンカップ、昨秋のU18女子セブンズで2冠を達成した関東学院六浦からは昨年のチャレンジチーム、すでにサクラセブンズにも選ばれている矢崎桜子(青学大)、セブンズユースアカデミーメンバーの寺谷芽生(てらや・めい)、アルテミスターズユースから2020年度TIDユースキャンプメンバーの千北佳英(ちぎた・かえ、世田谷RS/田園雙葉→早大)、吉田眞琴(川崎市RS/国学院久我山→國學院大)、金子紅葉(くれは、目黒学院→國學院大)がユースからシニアにステップアップ。さらに京都成章から今明なる(いまあけ・なる、帝京大)、麗澤から2020年度TIDユースキャンプメンバーの相田由佳(東京リゾート&スポーツ専門学校)、國學院栃木から根本蘭(勿来少年RS、実践女子大)と金濱百花(かねはま・もえか、釜石シーウェイブスジュニア、國學院大)、福島・磐城から全国U18女子セブンズで東北選抜の主将を務めた新妻杏菜(東京学芸大)。以上10人のフレッシャーは、アルテミスターズのイメージをガラリと変えてくれそうだ。

国際武道大

永田虹歩

永田虹歩

昨秋のサクラセブンズ欧州遠征でセンセーションを巻き起こしたHO永田虹歩の活躍で一躍注目された国際武道大。昨年のリージョナル関東大会では3位。7月の大学女子セブンズではプール戦で追手門、四国大に敗れたものの、9位以下トーナメントでは日本経済大、九州産業大を連破した。
元サクラセブンズ(女子7人制日本代表)HCの稲田仁さんが今春からHCに就任。
アナン学園から加入のPR川西友恵は2021ストロングガールズキャンプメンバー。常総学院から加入のWTB木村優花(ゆうか)、都市大塩尻出身のPR尾上アスマと3人の新人がチームを活性化させそうだ。

湘南ベルマーレ

長手美波

長手美波

神奈川を拠点に活動してきたクラブチーム。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズには世田谷レディースとの合同チームや神奈川県選抜チームで参加してきた。小所帯のチームだが、昨季のリージョナルでは京都出身の19歳の長手美波(東京女子体育大)が爆走トライを連発、41歳の室岡絵里の仕掛けから44歳の三好はるえ(旧姓・永野)が鮮やかなトライをあげるなど随所に印象的なプレーをみせた。

今季は長手と同じ東京女子体育大から未経験者の伊藤柊(しゅう)、磐城高校から明治学院大に進学していた3年生の高瀬優花(ゆうか)、そして37歳のママさんプレーヤー、吉野裕子が現役で選手登録。若手とアラフォーレジェンドの競演で大会を沸かせそうだ。

神戸ファストジャイロ

高橋瑠衣

高橋瑠衣

2011年にサークル活動で始まった、2015年から正式に発足した流通科学大女子ラグビー部を母体に、2016年から地域のクラブチーム化。2018年からは早駒運輸株式会社の支援を受け「神戸ファストジャイロ」に名称変更して活動してきた。FW用貝涼乃、SH/SO岡田恵梨香はサクラフィフティーン候補合宿を経験している。

リージョナル大会に登録された新加入選手のうち、四国大から加入した上島美紗子は石見智翠館3年時に、国際武道大から加入した高橋瑠衣は横須賀総合高校3年時に、ともにPRでU18花園15人制出場経験を持つ。

石井杏樹

石井杏樹

札幌厚別から加わった石井杏樹は全国U18女子セブンズに北海道選抜で3年連続出場、3年時は主将も務めた。石見智翠館から加わった都世子なごみは愛知、上島紗希衣は京都の出身だ。

今春からは、啓光学園高を率いて花園4連覇の黄金時代を築いた名将・記虎敏和さんがスーパーバイザーに、あわせて元日本代表LO乾あゆみHCが、杉本七海さんがS&Cコーチに就任し、上位進出を目指す。

岡田恵梨香

岡田恵梨香

今季の太陽生命シリーズは静岡大会と鈴鹿大会にコア12チームの他にゲストチームが4チームずつ出場する。日本協会では「リージョナルセブンズ2022での成績などを総合的に判断し、日本協会女子委員会にて選考、4月中旬に決定し公表予定。大正チームが8チームを下回る場合、第2戦と第3戦のいずれにも参加するチームが発生する」としている。

例年なら翌年まで待たねばならなかった太陽生命シリーズの檜舞台が、今年は目の前(1カ月後)にあるのだ。力を入れるチームが増え、女子セブンズの国内のレベルは間違いなく上がっている。選手のみなさんもファンのみなさんも、この大会を存分に楽しもう!

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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