太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021第2戦・静岡大会が5月15-16日の2日間、静岡スタジアムエコパで開催された。
大会は制限しながらも有観客で行われた。観客が見守る中で太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの試合が行われたのは2019年の最終戦となった富士山裾野御殿場大会以来。第2日は濃霧で試合が中止になっていたので、その大会の第1日以来、奇しくも同じ静岡県内の会場で行われることになった。
当日はトップリーグ・プレーオフ兼日本選手権の準決勝が大阪・花園ラグビー場で行われており、RJ365は静岡大会の現地取材を断念したが、今大会は全試合がJAPANRUGBYTVにてyoutube配信され、全国各地から白熱の戦いを楽しむことができた。RJ365ではリモート取材と、公式サイトの試合記録の集計から、静岡大会の得点・トライランクと、今大会で強いインパクトを残した選手による恒例・ドリームセブンを選出。RJ365読者のみなさんにお届けする(写真はすべて東京大会のものを使用)。
静岡エコパ大会 最終順位
1位 三重パールズ
2位 東京山九フェニックス
3位 ながとブルーエンジェルス
4位 RKUグレース
5位 自衛隊体育学校PTS
6位 横浜TKM
7位 日体大女子
8位 アルカス熊谷
9位 チャレンジ
10位 追手門学院VENUS
11位 四国大
※北海道ディアナは新型コロナ感染拡大による移動自粛で参加辞退
静岡大会 得点ランキング

1 山本実 (三重パールズ)40 (2T15C)
2 ジョージア・ダールズ(三重パールズ) 35 (7T)
2 磯貝美加紗 (ながとブルーエンジェルス) 35 (7T)
4 ファタシンプキンズ・カタリナ(ながとブルーエンジェルス) 27(3T6C)
4 須田倫代 (追手門学院VENUS) 27(5T1C)
6 ティティマ・ラヴィサ(三重パールズ)25(5T)
6 保井沙予(三重パールズ)25(5T)
6 永井彩乃(横浜TKM)25(5T)
9 人羅美帆(日体大)23(3T4C)
10 谷口令子(アルカス熊谷)22(4T1C)
静岡大会 トライランキング
1 ジョージア・ダールズ(三重パールズ) 7T
1 磯貝美加沙 (ながとブルーエンジェルス) 7T
3 ティティマ・ラヴィサ(三重パールズ)5T
3 保井沙予(三重パールズ)5T
3 永井彩乃(横浜TKM)5T
3 須田倫代 (追手門学院VENUS)5T
7 庵奥里愛(三重パールズ)4T
7 鹿尾みなみ(東京山九フェニックス)4T
7 星 静(RKUグレース)4T
7 秋田若菜(自衛隊体育学校PTS)4T
7 古屋みず希(日体大)4T
7 谷口令子(アルカス熊谷)4T
7 鈴木育美(横浜TKM)4T
ドリームセブン|山本実(やまもと・みのり)三重パールズ 24歳 日体大出

6試合2T15C40得点で静岡大会得点王に輝き、MVPを獲得した。司令塔としてのフィールドプレー、ゲームコントロールももちろんだが、特筆すべきはゴールキック。20回蹴って15回成功、成功率75%という女子では珍しい高い成功率をたたき出した。
太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは日体大時代の2016年秋田大会、2018年鈴鹿大会でもMVPを獲得しており、3度目のMVP受賞は堤ほの花、ジャンナ・ヴォーン、大黒田裕芽(各2回)を抜き単独最多となった。シリーズ個人通算得点も441で歴代最多を更新中。
ドリームセブン|ジョージア・ダールズ 三重パールズ 27歳 NZ出身

6試合で7トライをあげ、磯貝美加沙(ながと)とともにトライ王を分け合った。トライ王獲得は、2019年鈴鹿大会でニア・トリバー(北海道ディアナ)、伊藤睦(自衛隊体育学校)と分け合ったのに続き2度目。敵陣ではもちろん、自陣深くからでもチャンスと見るや果敢にアタック。独特の間合いで相手タックルをふりほどき、長い距離を走りきる脚力が光った。
ドリームセブン|磯貝美加紗(いそがい・みかさ)ながとブルーエンジェルス 25歳 追手門学院大出

6試合で7トライをあげ、ジョージア・ダールズ(パールズ)とともにトライ王を分け合った。トライ王獲得は2016年秋田大会に続き2度目。DAY1初戦の自衛隊体育学校戦でいきなり3Tのハットトリック。特に後半4分、自陣ゴール前のターンオーバーから約90mを走りきったトライは圧巻だった。シリーズ通算トライは58となり、堤ほの花(65)、上運天(旧姓・加藤)あかり(62)に次ぐ3位に浮上。今季中に首位に立つ可能性も出てきた。残り2大会での走りに注目だ。
ドリームセブン|鹿尾みなみ(しかお・みなみ)東京山九フェニックス 23歳 筑波大(RKUグレース)出

東京山九フェニックスを主将として牽引。DAY1初戦のグレース戦では7-17とリードされた後半3分からピッチに入り、ギャップを見逃さないランでDFラインを再三突破し、チームを逆転勝ちに導いた。決勝のパールズ戦でも0-19の劣勢から2連続トライで追撃。DFの真ん中をぶち抜くパワーとタッチ際を走り抜けるスピード。これまでは15人制のイメージが強かったが、セブンズでの代表候補招集も期待が集まる。
ドリームセブン|秋田若菜(あきた・わかな)自衛隊体育学校 18歳(アルカスユース/佐野高出)

2019年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは高校2年ながら4大会すべてでチャレンジチームの主将を務めた大器は今春佐野高を卒業、自衛隊に入隊したばかり。第1戦の東京大会ではシニアチームで初の大会にやや慣れない様子だったが、第2戦の静岡大会では別人のように強気なプレー選択とギリギリで走り抜ける決定力をいかんなく発揮。チームの最高成績がかかった最後の5/6位決定戦では開始30秒の秒殺先制トライをはじめ3トライのハットトリックという大暴れでTKM撃破に貢献。まだ線は細いが、フルタイムでトレーニングできる自衛隊の環境で才能はどこまで開花するか?
永井彩乃(ながい・あやの)横浜TKM 23歳 日体大出

6試合で5トライをあげ大会トライランクでは3位タイ。軽快に駆け抜けるスピードランナータイプの選手が多いセブンズではちょっと異色な、重量感溢れるトライゲッターだ。今大会では後半投入されるインパクトプレーヤーとして大活躍。カップ準々決勝のながと戦では7点を追う後半ロスタイム、自陣ゴール前に追い詰められたところから突進してPKを獲得。次のアタックでは22mラインでボールを持つと、相手DFに囲まれながら絶妙なストップ&ゴーで相手を抜き去りそのまま独走。消耗した終盤にこの強さとスピード、止められない。
須田倫代(すだ・みちよ)追手門学院VENUS 18歳 1年 京都成章出

DAY1のながとブルーエンジェルス戦では開始4分の先制トライから前半だけでハットトリック達成。後半にも1トライを加え、静岡大会で1試合個人最多となる4トライの大暴れで、優勝候補の一角を破るジャイアントキリングの立役者となった。狭いスペースに自ら仕掛ける積極性と、サポートにつくカンの良さでトライを量産。昨秋の全国U18女子セブンズで初優勝を飾った京都成章のメンバーはグレースの麻田瑞月、奥田真帆、フェニックスの岡元涼葉ら各チームで早くも活躍中だが、ルーキーイヤーにいちはやく優勝を飾るのは誰か?