本誌選出!ドリームセブン・ベストトライ、タックル―太陽生命ウィメンズセブンズ東京大会 | ラグビージャパン365

本誌選出!ドリームセブン・ベストトライ、タックル―太陽生命ウィメンズセブンズ東京大会

2021/05/04

文●大友信彦


チャレンジチームの優勝で幕を閉じた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021、第1戦東京大会、恒例となった本誌選出・ドリームセブン、そしてトライオブザトーナメント、タックルオブザトーナメントをお届けする。

今回はサクラセブンズ候補が参戦。セブンズを専門的に時間をかけて準備してきたことがうかがえるレベルの高いプレーを披露。ベテランが存在感を示した一方、コロナ禍で外国人選手がなかなか来日・合流できないチームが多かったこともあってか、各チームで日本人の若手選手の活躍も目立った。新企画として、各チームで活躍した高卒1年目・シニアデビューの若手からルーキーオブザトーナメントを選考してみた。

ドリームセブン|中村知春(チャレンジ)

圧巻の統率力でチャレンジチームを牽引。PKを得れば間髪入れずにクイックタップで敵陣へGO。キックオフではハイボールを体を張って確保。「勝って当然」の重圧を感じさせないパフォーマンスでチャレンジチームを優勝に導いた。好調に勝ち進んできた東京山九フェニックスとの準決勝、横尾千里の先制トライのあとのキックオフで、フェニックス鈴木実沙紀と競り合ってボールを奪い取り、ライチェル海遥のトライにつなげたプレーは今大会ファイネストモーメントのひとつ。サクラセブンズのキャプテンであり続ける理由を自身で証明して見せるプレーだった。

大黒田裕芽(チャレンジ)

大会6試合すべてに途中交代なくフルタイム出場し、5T9Cの43得点をあげ、チャレンジチームを優勝に導き、MVPを獲得した。太陽生命シリーズでのMVP獲得はアルカス時代の2015年秋田大会以来6年ぶり。2016、2018、2019年はサクラセブンズの合宿・遠征などで太陽生命シリーズ出場ゼロで、今回は4年ぶりの参戦。シリーズ通算得点も388に伸ばし、山本実(日体大-パールズ)の401に次ぐ2位に浮上した。

永田花菜 (チャレンジ)

大会直前に発表されたサクラセブンズ候補による参戦。「勝って当然」とみられる中で迎えた大会初戦の相手は2年前の東京大会を制した強敵パールズ。重圧のかかる一戦に、久々となるWTBでの出場だったが、トップスピードのまま滑らかなコースチェンジで相手ディフェンスを翻弄するランニングで先制トライをあげると、そのまま2本目、3本目もあげる鮮やかなハットトリック。ゴールキックも冴え、8T4Cの48得点でトライ王・得点王の東京大会2冠を獲得した。

松井渓南(アルカス熊谷)

若返った布陣で決勝進出を果たしたアルカスを象徴する新鋭。激戦となった準決勝のながと戦の前半6分、相手陣10m線のラインアウトをスチールした直後、SHの位置から猛加速と絶妙ステップで40m独走トライ。

後半3分にはハーフウェーから相手DFのわずかな隙間を切り裂いて突進し、オフロードパスで河部春香のトライをクリエイト。小柄ながら体幹の強さが光るランニングとオフロードパスで多くのトライをあげ、アシストした。


谷口令子(アルカス熊谷)

若返ったかつての常勝軍団アルカスを最年長選手として牽引。太陽生命シリーズへの参戦は2017年以来4年ぶりだったが、チャンスがあれば自陣からでも一気に走りきる脚力で、チームを決勝進出に導いた。準決勝のながと戦、自陣に攻め込まれ防戦一方だった前半5分、相手DF2人に囲まれながらチェンジオブペースで抜き去り、右サイド約70mを走りきったトライはみごとだった。




佐藤優奈(東京山九フェニックス)

ラインアウトで制空権を握り、地上戦ではWTBの位置に入り、相手タックルを受けても頑健に前に出てDFを集め、タッチに出ずにボールを活かす。倒れてもすぐ起き上がってブレイクダウンに体を張る。チャレンジチームとの準決勝、0-17とリードされた後半1分、反撃開始のトライには2度にわたるボールキャリーと、すぐに立ち上がってのパスアウトという連続プレーで貢献。陰のハードワークでチャンスメークを続け、バックアップのディフェンスにもいち早く戻る運動量も光った。

齋藤聖奈(パールズ)

FWとして最前線のブレイクダウン、肉弾戦に体を張りながら、スペースをこじあけるランニングで一気にトライを取り切る。アルカスとの準々決勝では終了直前、5点差から10点差に突き放されて迎えたロスタイム、自陣から約60mを独走する意地のトライ。大会6試合では全体4位タイとなる4トライをあげた。2017年ワールドカップで主将を務め、バーバリアンズも経験するなど女子15人制のトップリーダーは、セブンズでもトップレベルの能力を証明した。

トライオブザトーナメント 杉本七海(アルカス)カップ準々決勝 対パールズ 後半6分

自陣22m線付近のディフェンスで相手アタックを止めてすぐさまコロリアフェイスハコ・ヘイブレムがカウンターアタック。ロコドゥアが相手タックルに耐えてオフロードパスを出すと、そこからは一転、河部春香-阿部恵―中丸彩衣とタックルを受ける前にテンポ良くパスをつなぎ、フラットなパスを受けた杉本が急加速で相手DFの逆を突き、60mを独走した。アンストラクチャーの場面からみごとな状況判断で取り切ったみごとなトライだった(写真は準決勝ながと戦のトライのもの)。

次点には東京山九フェニックスが3位決定戦ながと戦の前半7分、自陣からのアタックでFW佐藤優奈、鈴木実沙紀が前進、鹿尾みなみのキックから岡元涼葉が決めたトライと、日体大がチャレンジトロフィーの横浜TKM戦の前半ノータイム、自陣で我慢してボールをつなぎ、WTB小島碧友が相手DFに囲まれながらもカットインから約80mを独走したトライをあげたい。


タックルオブザトーナメント 金島瑠奈(四国大)プール戦 対RKUグレース 後半ロスタイム

太陽生命シリーズ初昇格、初参戦の四国大、ながとに大敗したあとの第2戦で迎えたRKUグレース戦。5-12とリードされた後半、2トライを返し15-12と逆転したあとのディフェンス。グレース⑦佐々木理子にタッチ際ビッグゲインを許し、自陣ゴールまであと10mのところまで迫られたところ、逆サイドから戻った金島瑠奈がライン際に追い詰め、背後から腕をからめ、倒れた佐々木はたまらずノックオン。記念すべき四国大の太陽生命シリーズ初勝利を勝ち取るウィニングタックル。逃げたのも追ったのもともに大学1年生になったばかり。頂点の大会で演じられたフレッシュな対決はこれから長く続いていく予感(実際、両チームは翌日さっそく再戦、グレースが雪辱、前日は止められた佐々木が今度はダメ押しトライを決めた…)。

 

ルーキーオブザトーナメント 須田倫代(追手門)

この大会には今春まで高校生だった選手も多数参加。シニア選手に混じって堂々たるパフォーマンスを見せていた。その中でも抜群の躍動感で光っていたのが追手門の須田倫代(京都成章出)。今大会で起用されたWTBは「初めてのポジションだった」というが、大会全般の傾向としてディフェンスがオフェンスを上回り、ボールが横に動く攻防が続く場面が多い中で、高校時代のCTB仕込みの果敢に前に出る積極性が試合の局面を変えた。活躍した新人選手の中でも抜群の存在感を放った。

次点に、上記「タックルオブザトーナメント」のトライセービングタックルを決めた四国大・金島瑠奈(石見智翠館)と、DAY2の同じ顔合わせで勝負を決めるだめ押しトライを決めたグレースの佐々木理子(国学院栃木)。

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