鈴木育美(横浜TKM)が出場大会数新記録!太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021 | ラグビージャパン365

鈴木育美(横浜TKM)が出場大会数新記録!太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021

2021/05/20

文●大友信彦


女子セブンズの国内サーキットという世界でも例のない方式で2014年に始まり、歴史を重ねてきた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ。全大会が中止された2020年を挟み、大会が再会された今季の第2戦・静岡大会で、大会の歴史を刻む大記録が生まれた。

鈴木育美(横浜TKM)は、静岡エコパ大会で、太陽生命シリーズ出場大会数が「23」に到達。これは、これまで最多だった上運天(旧姓・加藤)あかり(ラガールセブン/ながとブルーエンジェルス/東京山九フェニックス)の「22」を更新する歴代最多記録となったのだ(RJ365の独自集計にもとづく)。

鈴木育美は日体大4年の2011年5月、香港戦で15人制に、横浜TKMに入団した2012年10月のアジアパシフィック女子セブンズで7人制の日本代表にデビュー。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズが発足した2014年はTKM入り3年目、第1戦の龍ケ崎大会は欠場したが、2014年の第2戦札幌大会に24歳でシリーズデビュー。この大会で主将を務めた。

以後、登録を外れたのは2015年第4戦横浜大会のみ。今回の静岡大会までシリーズは通算25大会行われたが、うち23大会に参加している。まさしく太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの歴史を築いてきた選手といっていい。今季も第1戦東京大会の開幕戦・日体大戦で今季1号、太陽生命シリーズ全体では2年ぶりの大会復活初得点となるトライを決めるなど2トライ。静岡大会でも4トライを挙げるなど得点源として、またディフェンスの司令塔としてチームを支えている。今季残り2大会での活躍が楽しみだ。

以下に、新記録達成記念特別インタビューをお届けする。

今季の東京大会ではDAY1第1試合の日体大戦で大会ファーストトライを決めた

今季の東京大会ではDAY1第1試合の日体大戦で大会ファーストトライを決めた


――新記録達成おめでとうございます。


「ありがとうございます。でも、新記録と聞いても正直、あまり実感はありません。長い年数、ずっと出ているから……だけなんじゃ(笑)ただ、この大会が始まった最初の頃から、大きい大会だし、出たいな、という思いは毎年持っていました」


東京大会のTKM集合。後列右端が鈴木育美

東京大会のTKM集合。後列右端が鈴木育美


――長い間、出場してこられたのはケガをしなかった証ですね。


「実はTKMに入って2年目に大きな膝のケガをして、経過も良くなくて、ラグビーができなかったんです。そして3年目、ちょうど復帰した頃に太陽生命シリーズが始まったんです。そこからは大きなケガなくできていますね」


――ずっとプレーしてきて、大会のレベルをどう感じていますか。


「本当にレベルは年々上がっていて、強いチームも増えて、いまは毎回、どこのチームが勝ってもおかしくない状態ですね。シリーズが始まった頃は初心者の選手も多くて、TKMにも他のチームの選手が参加したりしていました。今は女子チームも増えて、太陽生命シリーズに昇格することを目標に頑張っていたりする。競争率の高い大事な大会になってきたと思います」


太陽生命シリーズ1年目、2014年の札幌大会と横浜大会ではTKMの主将を務めた(2014年横浜大会)

太陽生命シリーズ1年目、2014年の札幌大会と横浜大会ではTKMの主将を務めた(2014年横浜大会)


――TKMは今年、東京大会が10位で静岡大会は6位でした。


「最初の東京大会ではふがいない結果で終わって、その結果をかみしめて修正に取り組んで、静岡大会では少し盛り返しましたが6位。もっと行けたという思いが強いです。各チームと戦っていて、チカラ的には十分に勝てるという手応えはあるのですが、大会を通じていいメンタルを保つのがチームとしても個人としても課題です。今はまず、TKMで優勝したいという気持ちが一番です」


――TKMにはここ数年、若い選手が増えていますね。育美さんの母校の日体大出身選手は以前から多いですが、RKUグレースから鈴木彩夏選手、追手門学院から阪本結花選手、それに高卒で加わる若手選手も増えてきました。


「いろいろな大学チームで活躍していた選手や、大学時代はあまり出場機会がなかったけれど能力の高い選手が入ってきて、今までのTKMになかった技術や経験、発想をチームに持ち込んでくれて、いい刺激を受けています。練習中のトークで「こんな攻め方もあるのかあ」と思ったり、毎日毎日の練習に発見があります。


太陽生命シリーズ2年目の2015年、日本ラグビー協会で行われた大会概要発表会見で。左から横浜TKM・鈴木育美、東京フェニックス・飯塚めぐみ、アルカス熊谷・竹内亜弥、ラガールセブン・海老原めぐみの各主将

太陽生命シリーズ2年目の2015年、日本ラグビー協会で行われた大会概要発表会見で。左から横浜TKM・鈴木育美、東京フェニックス・飯塚めぐみ、アルカス熊谷・竹内亜弥、ラガールセブン・海老原めぐみの各主将


――同学年の鈴木彩香選手(アルカス熊谷)がイングランドへ、昨年までTKMにいた平野恵里子選手がスペインへと、身近な選手が海外にチャレンジしています。


「彼女たちには頑張ってほしいなあと応援していました。彼女たちは日本代表として、世界と戦うためにチャレンジしたんだと思いますが、私自身は海外へチャレンジすることよりも、目の前にある国内の大会でチャレンジしたい。太陽生命シリーズを戦っていても感じるのですが、国内にもまだまだ自分の知らないラグビーがあります。それを楽しみながら、自分の技術やメンタルを高めて、自分を成長させたいと思っています」


――TKMは15人制にも力を入れていますね。


「私は7人制も15人制も両方好きです。日本でプレーしていると、7人制と15人制のシーズンが分かれているので選手としてはやりやすいです。7人制のシーズンは、頭の中も7人制になって、練習だけでなくラグビーを見たり考えたりすることも、全部7人制になる。過去のセブンズの試合とか、NZなど外国のセブンズの映像も見たりして、自分の技術に取り入れられないか参考にしたりしています。

15人制の大会は他のチームの人たちと合同チームで出ることが多いので、それも面白いです。最近は東京山九フェニックスさんと合同を組むことが多いのですが、違うチームの違う考え方の人と一緒に練習や試合をするのは面白い。学生の選手や勤務先の違う選手も多くて、時間を合わせるのが難しいですが、その分練習できる時間を大切に集中してやるのが楽しいです」


2015年4月、保土ケ谷大会で

2015年4月、保土ケ谷大会で


――育美さんのこれからの目標は。


「何歳までプレーしたいとか、体がもつかどうかとか、そういうことは何も考えていません(笑)。今は好きなラグビーをプレーさせてもらえていることが幸せですし、楽しめているのが一番です」






太陽生命シリーズのキャリアリーダーになった鈴木育美の今後のパフォーマンスにますます注目したい。

鈴木育美(すずき・いくみ)
1990年2月10日生まれ 166cm/60kg ポジション:7人制=HO、WTB、15人制=WTB
神奈川県立藤沢総合高-日体大-2012横浜TKM(戸塚共立第一病院勤務)
2011年 15人制女子日本代表(1cap)
2012年 7人制女子日本代表(1cap)
太陽生命シリーズ通算トライは26(2021静岡大会終了時点)。


静岡大会終了時点の太陽生命シリーズ通算大会出場登録

1 23 鈴木育美(横浜TKM)
2 22 上運天(旧姓・加藤)あかり(ラガールセブン/ながとブルーエンジェルス/東京山九フェニックス)
2 22 藤崎春菜(追手門学院/ながとブルーエンジェルス)
4 21 末 結希(アルカス熊谷/三重パールズ)
4 21 黒川 碧(石見智翠館/アルカス熊谷/東京山九フェニックス)
4 21 藤野瑳紀(追手門学院/ながとブルーエンジェルス)
4 21 岡田はるな(チャレンジ/追手門学院/東京山九フェニックス)

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