「選手は結果にフォーカスすべき」、練習初日を終え、稲垣啓太がチームの現在地を語る | ラグビージャパン365

「選手は結果にフォーカスすべき」、練習初日を終え、稲垣啓太がチームの現在地を語る

2021/10/02

文●編集部


2日、ラグビー日本代表宮崎合宿に参加している、稲垣啓太がオンライン取材に応じた。チームとして初練習を終え、2023年ワールドカップに向け日本代表の現在地を話した。その内容をたっぷりとお伝えする。

チームのスタンダードが高くなったことを今日1日の練習で実感しました。その理由としては初日にしてはゲームに対して理解度は高かった。初めて参加した選手も含めて、相当、準備してきた感覚がありました。だから出だしとしては、いいスタートが切れたんじゃないかなと思います。


――スタンダードが高いとは戦術?体力?


両方ですね。理解度はまだまだこれから上がっていくべきだと思いますが、出だしとしては精度高くできました。ミスもあったが理解度も高い方がいいかなと。普段なら、練習の最後にコンディショニングテストがあるが、全員のコンディショニングが高かったのでボールゲームに時間費やすことができた、質の高い練習が1日目からできたという印象が強いですね。


――昨晩、コーチ陣が合流しました。ミーティングではどんな話を?


そのスタンダードがやはりミーティングで出た一番大きな話題でした。我々「独自のスタンダード」を作り上げることも大切ですし、ティア1に対するスタンダードはいったいどういうものか。今までの我々の試合のデータが出て、ディア1のデータが出て、データ、スタッツではあまり変わりない。3~4年前、ティア1と対戦するのは1年に1回くらいあり、スタッツは劣っていた。今ティア1チームと、我々のスタンダードはデータ上では同じ。でも最近、ティア1に勝ててない。独自のスタンダードを作り上げるという話しがミーティングで出た話の一つです。

2日練習して、1日休み、そのスケジュールを繰り返す

――宮崎2週間、ここを強化するとか、練習の変化はありましたか?


戦術とかは今のところ、大幅な変更は伝わってこない。そこはおいおい、また出てくると思います。 スケジュール的な変更としては、2日練習して、1日休みを繰り返す予定になっているのが、前回と変わった。2日にどれだけコミットできるかがキー、1日は体を休めて頭を使う時間になってくる。2日に対して、1日の休みでどれだけ準備できるか。必要な人間を集めてより質の高いミーティングを繰り返して、その2日に臨む、それを繰り返していくのが今回の合宿のキー。以前はこういった体制はなかった。ミーティングして練習して休んでとやっていることは変わらないですが。

写真は春シーズン


――1日のオフにミーティングをするのか


全体のミーティングはないが、選手個人で必要な選手がフィードバックするのに使える。コーチ陣の手助けがあるのであればコーチにフィードバックを求めたる、個人個人のミーティングにコーチが入ったりと選手の自主性が問われる1日にじゃないかと思います。

テストマッチは勝たないと意味がない。

――秋は4試合。オーストラリア戦は W杯以来のテストマッチです


テストマッチは勝たないと意味がない。特に自国でテストマッチを行うことがどれだけかの意味があるか理解しているので勝つ姿をお見せしたい。今宮崎でその準備をしていますし、準備したことがフィールドで100%発揮できれば結果を残せることも証明してきたし、そこにしっかり備えてやっていきたい。そして、ファンのみなさんと日本国内で喜べたらいいなと思います。

――独自のスタンダードとは?


データ上のスタンダードはこれからおいおい変わってくるが、そこを求めるのは我々よりスタッフサイドが定めるものです。我々がどういったスタンダードを求めるかというと、周りが我々のラグビーを見てどう思うか、そこがキーになるかなと、ジェイミーを通して話をした。

ティア1のスタンダードとは?と言われても漠然としたイメージがある。我々のラグビーを見て、これくらいのスタンダードにいかないと日本代表になれない、日本代表を見習いたいというような憧れを持ってもらえるようなスタンダード、独自のスタンダードを作っていきたいという話をしました。



――日本代表のスタイルにも関わってくるが……


(コーチ陣と)話し合いが必要だと思いますね。日本代表のラグビーは世界的に見ても面白いと思う。日本代表の得点能力は世界的に見ても高い方だと思う。ボールタッチ、パスの回数は世界で一番多い。

ボールが動くということ。そういった部分を見て日本代表を真似したいとか、そういった風に思ってもらったらファンにとっても 我々にとっても素晴らしい。他の国が日本代表を真似したら日本代表のスタンダードが上がったということ、そういった意味合いです。

新しいことを取り入れていく必要があると思います。既存のスタイルでやっていてもなかなか成長はないでしょうし、いいものは取り入れていくべきだと思いますが、いいもの何か、まだ模索は必要かと思います。


――すっかり日本代表の顔になりましたが、その立場をどう捉えている?


みんながみんな顔になれる選手だと思います。僕が代表として話させてもらっているだけで、リーチ(マイケル)さん、(田村)優さんも顔になれます。こうやって話す場をいただいて光栄に思います。


――春、スクラムのスタンダードも上がったということですが、欧州の収穫と課題は?


マイボールスクラムでは100%、ボールを獲得できている。相手ボールに対して3つ4つペナルティーを重ねている。多いとき、アイルランド戦では5個くらいあった。相手ボールのスクラムにどう対処していくか。2019年から言い続けているが、相手ボールにプレッシャーをかけてペナルティー奪いたいと一貫して言っています。相手にプレッシャーをかけようとして我々がペナルティーを取られたことが欧州遠征では多かった。これからどうしていくべきか。今日も午前中にスクラムやったが模索している途中ですね。



――ギャップ、仕掛けなど、細かいところもあるが特にどこを改善していく?


スクラムで1番大事な部分は大きく分けて2つあると思うんです。組む前の準備、組んでからの方向性の2つ。今、最初にやらないといけないのは組む前の準備です。バインドしたときに、我々の重心が下がってしまっている。バインドしたときに、相手に体重をあずけられてしまって我々のアドバンテージが失っているとき、ペナルティーの60、70%取られていた。いわゆる準備がたりない。いろんな要素がありますが、バインドするときロックの膝、フランカーの膝タイミング遅かったりとすごく細かいところだが、それをやらなかったら重心を下げられてしまう。そういうことを口酸っぱく言っている。


――世界一のスクラムを目指すと言っていましたが、今はどのあたり?


難しい質問ですね。どこをとって世界一とするのかが大事です。我々にとって世界一のスクラムとは何なのか。アタックしたい形に100%フィットした、コミットしたスクラムが世界一だと思う。スクラムからアタックのバリエーション増える、ペナルティーが奪えるというのが、日本独自のスタンダードを作り上げる必要がある。そういったとき世界一といえる。相手ボールにどう対処してプレッシャーかけてペナルティーを奪えるかどうかによって、世界一に近づくかどうかが変わってくる。(程度は)半分くらいよりはもう少しいっていると思う。


――スクラム練習で、レフリーにギャップを取るように言われたらどうしたらいいかと対処していたが 


スクラムでレフリーギャップ取るように言われると、相手にとって有利。我々はギャップをつめていきたい。2019年から言っています。距離をとるしかないときにどうするか、バックファイブの足の位置をつめさせる。ようするに膝が伸びさせない。ヒットしたときに膝が伸びきったときに、相手に乗られています。最初に距離が遠いことを全員が把握する必要がある。スクラム組む前の準備、バックファイブの足の位置を普段よりも1歩つめておくと足が伸びきる現象が防げる。でもロックは頭を突っ込んでいるので耳が聞こえない。序盤に言っておかないといけないので、そこあたりのコミュニケーションを取っておきたい。


ギャップを空けるように言われても、そこまであかない。全世界のスクラム、レフリー、ほとんどヘッドオンヘッドで頭がついている。頭があたっていない状態はありえない。そこまで大幅にギャップをとることはないと思う。ただ頭があたっているか、あたらずにちょっと入っているか、その差が正直、大きい。バックファイブが足つめるかつめないかだけで、その後のヒット後に、一歩、出られるか出られないかという大きな差が生まれる。


写真はフィジー戦


――スタンダードをどう作るかという点はラグビースタイルを強調していたが、ピッチ外でも同様か?


プレーについては先ほど話した通りです。それ以外でチーム独自の文化を作っていくことは2019年前から掲げてきたことだが、今まで2019年以降、代表活動がとれていなかったので新しく文化を作り上げていく必要があると思います。作り直す必要ないと思っています。今までいい文化を築き上げてきて 継続してやっていく。そこにプラスいいもの取り入れていこう。じゃあいいものって何か。新しい選手加わりましたよね、新しい選手がどう変化もたらしてくれるか、どういったことをしたいかなど意見を言ってくれれば、チームが変わってくると思います。


――NDSのLOワーナーとスクラム組んだ? 


もう参加しています。日本代表のスクラムを初めて経験したと思いますし、ちゃんと組めていたと思います。いけるという部分は高めていかないといけないが、潜在能力としては非常に高いものがある。


――キャンプ地である宮崎のファンに向けて


たくさん宮崎で合宿させていただいて、空港でもたくさんの方にお出迎えしてもらってホームみたいな感覚で合宿に参加させていただいていました。こんなご時世で、なかなか(有観客は)難しい。それでも宮崎のファンのみなさんの応援を忘れていないですし、食事会場にもファンのメッセージ、似顔絵 イラストを見て、ファンとのつながり強く感じています。みなさんが自由に練習が見に来られるようになったら、僕らは熱い練習をお見せできると思うので、是非、見に来てほしい。我々も頑張りますが、今、厳しいかも知れないがお互い頑張りましょうと伝えたい。


――2023年W杯2年前です。現在のチーム状況は?


前回も最初の1年は監督がなかなか決まっていなかった。今回もあと2年ですか。これまでの2年はコロナで活動できていなかった。それは仕方ないことだと思います。誰も悪くないし僕もそのところはコントロールできない。ただこうやって活動ができるようになったら、そこに対して100%フォーカスするだけ。

今回、合宿始まるまでコロナで制限あったと思うが、みんな、代表から出されたメニューを忠実にやって、ほとんどの選手がフィットネステストをクリアした。99%の選手が2019年W杯のスタンダードに到達していた。2年前でこの数字はすごいことだと思います。見えない部分の努力を選手みんながしてきた。なかなかの努力をしてきた。あとはメンタルと理解度、技術をこの合宿でどれだけ築き上げていくか。このツアーが終わった後も継続してできるかが鍵になると思います。


――あと2年あれば2019年W杯の時のチーム以上になれると思う?


僕は出来ると思います。ただ時間の使い方ですよね。合宿が解散して(所属)チームに戻ってスタンダードを下げたら、また一からやり直さないといけない。そんなことしていたら間に合わない。積み上げてきたものに、さらに積み上げて、さらに積み上げてどんどんステップアップしていかないと先はないと思います。でもそれは選手全員わかっていると思います。


日本代表の試合に対して「こんな試合しやがって!」そういうレベルにいってほしい

――個人としてはどう思っていますか?


今、2023年のことしか考えていない。2023年を終えたら、その先、代表をどうするか考えていない。先のことを考えても仕方ないですし、瞬間、瞬間生きていきたいと思っている人間なので、まずこの合宿で自分のポジションを勝ち取りたい。そして結果を出して、みなさんとまた喜びを分かち合いたい。

19年は自国開催で、やってきたことを100%やれば結果を出せると証明したが、それはあくまでもホームでのことです。アウェイで、自分でやってきたことを証明する必要がある。個人的にはあまり関係ないと思っているが、チームとなると国同士のテストマッチだとホーム&アウェイが非常に大きい。国内のファンは日本ラグビーに強い印象を持ってもらったと思います。今度はアウェイで全世界の人たちに日本のラグビーがどれだけ強い、ここまでできるという証明したい。(その手助けをしたい?)はい。


――W杯から2年、なかなかテストマッチができなかった。オーストラリア戦がアクセントになると思いますが、この秋、日本ラグビーにとって何が大事になると思いますか?


プロモーションとかは大事だが、そこは選手が関与する場所ではない。選手がマネジメントするわけではない。そういったことはマネジメントスタッフがいろんな枠組を作ってくれると思う。選手はその枠組みに対して100%協力すると思いますし、日本ラグビー界を発展させていきたいという気持ちが強いと思います。

選手としては結果を残すことにフォーカスしなければならない。2019年(W杯で)なぜあれだけ多くの人が応援してくれたのは勝ち続けたからです。勝たなきゃやっぱり何も評価してもらえない。勝つことでみんなから認められる。だからこそ勝つために準備して、準備して、準備して……。結果が出なかったら罵ってもらった方が楽です。

日本代表の試合に対して「こんな試合しやがって!」という、そういうレベルにいっていい。逆にそういうレベルにいったほうがいいと僕は思っています。だから僕らはそんなことを言わせないように結果を残すつもりで準備していきますし、選手はもう100%結果にフォーカスすべきだと思います。それが選手とスタッフのバランス、マネジメントサイドとのバランスが取れたときに、日本ラグビー界に対していい結果が出てくると思います。勝利と普及と知名度と、そういうのが合わさってくれば最高じゃないでかね。

――2年前より階段を登ったという感覚がある?


あると思います。我々もステップアップしないといけないし、ファンのみなさんもステップアップすべきだと思います。ファンのみなさんも目が肥えてきた。結果が出ていないとき「なにやっているんだ。でも良かったね」「勝てなかったけどいい試合だったね」で終わらせてはいけない。選手は誰も喜んでいない。選手は勝たないといけないと思っているし、そういう時はファンも厳しい声を出すべきだと思います。選手もファンといっしょにチームを強くできれば最高だと思います。


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