イングランド戦に向け宮崎で合宿している日本代表には、将来を期待される若手選手も数多く呼ばれた。その中でも目を引いたのが大学生2人を含むフロントロー陣の若さだ。
注目の若手フロントローの一人「サトケン」こと佐藤健次に話を聞いた。
HO佐藤健次 早稲田大学4年(桐蔭学園)
「日本代表に選んでもらえたこと、評価してもらえたことは素直に嬉しいです」佐藤はそう言うと続けて「同時に、呼んでもらえたのだからもっと頑張らないといけないと思っています。自分の中で足りていない部分がまだ多いと思っているので、焦りもあります」と言った。
高校時代から慣れ親しんだNO8からフッカーに転向したのは早大2年の春。以来、対抗戦や大学選手権では1学年上の帝京大・江良颯と対戦を繰り返し、悔しい結果をなめてきた。今回は江良が負傷中の抜擢。HOとしての総合力はまだ江良に及ばないと自覚している佐藤にとって、今回の代表入りは手放しで喜んでいればいいものではなかったのだ。
それがあらわれていたのが、こんな言葉だ。
「今はイングランド戦のメンバーに入ることを目指しているし、キャップ対象試合3試合とマオリ戦の2試合で試合に出るチャンスを自分で掴みたいと思っています。ただ、目標は今年キャップを取ることじゃなく2027年のワールドカップのときに日本代表のスタメンで出ること。今年キャップを取れた、取れないで一喜一憂せず、どちらにしてももっとガンバって成長しないといけない。今は毎日成長できている実感があります」
宮崎合宿に選ばれているHOは、2019年と2023年のワールドカップを経験し、主将経験もある坂手淳史と、リーグワン優勝の勲章をひっさげ、初代表ながらリーダーグループに名を連ねるブレイブルーパスの原田衛。当面の目標はこの先輩たちとのポジション争いに勝つことだ。たやすいことではないが、成長しなければ次のステージには上がれない。何しろフッカーはFWの中でも専門の技術が多く求められるスペシャリストのポジションだ。
「自分で成長していると感じるのはラインアウトのスローイングとタックルです。特にタックルはずっと僕の課題だったので、毎朝のレスリングトレーニングが勉強になっている。具体的には足の踏み込みとグリップする(掴む)こと」
「スクラムは、大学生と社会人の組み方が違うので難しいけれど、今回いろいろな方と組ませていただいて、ちょっとずつ引き出しが増えて、分かってきた。今回、この合宿に来る前に明治戦でスクラムに組み勝てて自信になりました」