欧州遠征を総括-藤井雄一郎強化委員長、アウェイの地でみつかった課題、そして収穫 | ラグビージャパン365

欧州遠征を総括-藤井雄一郎強化委員長、アウェイの地でみつかった課題、そして収穫

2021/07/07

文●編集部


6日、藤井雄一郎日本代表強化委員長がオンライン取材に応じた。アイルランド戦の翌朝5時にダブリンを出発した日本代表は5日に帰国。関西組は9時に空港に到着したが、PCR検査などを行い隔離先のホテルに到着したの夜の7時という過酷な状況だったという。「食べられたのは、ぶどうパン1つだけ。ホテルでも食事もままならないので、いろいろと頼んで6日間、なんとか過ごすしかない」と話した。

今回の欧州遠征を振り返って、選手やスタッフのパフォーマンスを評価しつつ、アウェイの洗礼というべき、スコットランドではストレスの溜まる環境だったという。そういう部分でもアウェイの地で勝利するために選手やコーチの努力だけではなく、協会を含めた「オール日本」で環境面の整備など勝利するために戦っていかなければならないと課題をあげた。

気になる次の招集タイミングや、コロナの状況下で先の予定が立てにくい状況でも2023年に向けどう準備を進めていくのか話を訊いた。


ライオンズ戦、アイルランド戦と結果的には2敗しましたが、チームは尻上がりによくなって、いい方向にむかっていると思います。姫野(和樹)や松島(幸太朗)はケガをしましたが、幸い大怪我ではなく時間が経てば治ってくると思います。アウェイの中、コロナの中、すごいストレスの中、ホテルから一歩もでることができず、集中力を切らさず、選手、コーチ陣が最後まで戦い抜いてくれた。パフォーマンスとしてはいい試合ができた。8月の終わりからまたメンバーを集めて、次の試合にむけて準備をしていきたい。

―― 限られた時間の中でこれくらい出来たのはどういうところが大きな要因


前回のワールドカップの前に3年かけて、サンウルブズなどの経験からリーダー陣がどうやれば早くチームに戦術を落とし込めるかというのをやってきたので、今回も練習の意図や目的が体に染み込んでいたので、短期間で新しいメンバーへ戦術を落とし込めた。


―― 2年後のワールドカップにむけたいい感触と課題は


今から相手によって、ライオンズ、アイルランド、相手の強みがあったり、(弱みを)つけるところがありました。次の相手にも同じように(弱みに)ついていくためのスピード、パワーが身についてきたし、どうやって相手を弱らせるかを身につけることができた。

今回はアウェイの環境で、ポールもない練習場に連れて行かれた。オールブラックスではありえないことで、まだまだティア2だなと感じました。そういう部分で世界と渡り合えていないなということを実感しました。

――それはスコットランドでの環境ですか・


スコットランドでは特にストレスを感じる環境でした。(ライオンズ戦では)サインプレーがほとんどバレてしまっていた。丸裸にされていた。今後、格上のチームには意表をつくプレーをつくらないと相手に勝てないので、どうやってそれを確保するかが課題。

これは選手やコーチ陣のせいではなく、協会の方に担当がいるのかどうかもわかりませんが、私達が直接入って、どういう練習グラウンドなのかを確認して、どういう環境で準備できるか確認しないといけない。その点ではまだまだティア2のレベルかなと思います。これからも十分にありえることなので、考えていきたい。


(スコットランドでは)絶対に負けるわけにはいかないという雰囲気を、至るところで醸し出していました。今の状況では選手がプラス10%あげないと勝てない状況だった。選手たちだけでなく、日本全体で戦わないと勝てないと思いました。


――今回、ガンター選手などは母国へ帰国していますが、代表資格には問題ないのでしょうか。


はい。ワールドラグビーには確認をしていて、帰れる選手が帰っているので問題ないです。


――秋のスケジュールについて


合宿は決まっていますが相手はまだ決定していない。相手が決まり次第、合宿できるよう準備はしています。人数は今回ヨーロッパに行った人数よりも多い人数を考えています。


サンウルブズに出たメンバーは早めに入って、今回欧州へ行ったメンバーのうち、体脂肪率やフィジカル面での数値が達しているメンバーはレストさせて、そうでなければ早めにはじめて9月中旬には全員が集まるようにしたい。


――フランスのトゥールーズなどワールドカップのプール戦が行われる会場の雰囲気をつかむなど今予定していることはありますか。


本当に一週間、二週間で状況が変わっているので、あまり早くに決めればいいという状況でもない。試合をやる場所はきまっているので、ギリギリまで状況を見て向こうの環境もみて整備していきたい。


――2戦ではセットプレーがかなりよかった。また若手選手のデビューと活躍もありました。



セットプレーについても、(準備の)進め方などはリーダー陣とコーチ陣が連携して、こちらに来てからもずっと勉強しているので慣れてきたと思います。新人についてはこれくらいやるだろうと思っていましたけど、ライオンズ戦で、齋藤(直人)などがよかったので、選手層が厚くなってきたのは収穫かなと。


――アイルランドはセットプレーにこだわりすぎず、すぐにボールを展開して、逆にFWとBKの間をゲインされる場面がありました。


アイルランドは、アンストラクチャのチームに弱い傾向があった。これまで負けた相手はそういうチームだった。なので、(ジャパンが勝利するために)そういう状況にもっていかないといけなかった。なので、ああいうふうに(ボールを)回される方が(こちらにとっては)よかった。ですが、(ジャパンは)試合を長くやってこなかった(こともあり)、ちょっと軽いプレーもあってそれが失点につながってしまった。また、モメンタムで前にいかれたのはきつかったですけど、あそこは止めなければいけないので、そこをどう止めるかが課題です。


――この秋の試合数について


ホームで、練習試合含めて2試合、海外で3試合、5試合を予定しています。今のところテストマッチの予定しかないです。クロスボーダーの話もこれからです。国によってコロナのレベルも違うし、考え方も違う。イギリスなどは観客もマスクをしていない状況でした。国によってどうなるか見極めていかないとならない。


――リーチ選手がずっとキャプテン。尻上がりにパフォーマンスよくなりましたが、彼は欠かせない存在だとは思いますが、リーダーシップの面で負担をかけ続けるのはプレーの精度にも影響するのでは?


リーダーの仕事を少し減らしたりラグビーに集中させることで、最初の試合と最後の試合では全く異なるパフォーマンスだった。リーダーを変えることが彼のパフォーマンスをあげるそれだけの理由でもないと思っています。リーダーをやることが彼のモチベーションにつながる部分もあります。確実に、ライオンズ戦と、アイルランド戦では役割を変えたことでパフォーマンスは良くなった。


――同じように10番には松田力也もいますが、田村選手が2試合とも先発でした。


(田村を超える)選手が出てくればという感じですね。日本では田村に並ぶ選手はいない。彼はビッグマッチ向きの選手。相手が強ければ強いほどいいプレーする。現時点で、田村以外に日本にいい選手がいないのが、出場し続けている理由です。


――試合数を絶対的に増やさなければならない


試合数よりも相手とタイミングを優先しています。課題は今回でもスコッドに外れた選手が、次の(代表の下、トップリーグよりも上の)レベルでやれる環境がない。トップリーグではなくジュニア・ジャパンのような国際レベルの試合を経験させたい。サンウルブズがなくなってしまったので、若い選手たちにどうやって経験を積ませるのかが頭を悩ましています。



高卒の選手はなかなか代表に直結するのは難しく、ジュニア・ジャパンのようなレベルでの試合ができない。ちょっと見たい選手が自分たちのやりたいラグビーにフィットするかどうかが見れない。U20なども含め今回はA代表の中で試してみたい。



――ワールドカップまでの間、フランスで準備をするようなことも考えているのでしょうか。


フランスの(試合会場で使われている)芝が、日本でも同じメーカーの芝を使っていると聞きました。芝の感触は長谷川慎(スクラムコーチ)が気にするので。同じメーカーの芝をつかっている国内のスタジアムで準備したい。実際のところ、まだそこまで頭がいっていない。コロナの状況でコロコロ変わっているので、先のことを考えるのが逆にストレスになるので、あまり考えないようしています。



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