6月9日、熊谷ラグビー場では、第72回関東高校ラグビー大会が行われた。Aブロックの決勝は、関東大会新人戦での決勝と同一カード、桐蔭学園(神奈川)と國學院栃木(栃木)が対戦した。
前半は國栃のペースで試合が進むも終盤に2連続トライで桐蔭学園が逆転
新人大会では10-7で國學院栃木が勝利しているが、この3ヶ月間でチームとしてどう成長したかを推し測るだけでなく、優勝した高校が、花園出場を決めると関東王者としてAシード指名される可能性が高いため、日本一を目指す両校にとっては重要な一戦となった。
桐蔭学園は新人戦以降、5月に行われたサニックスワールドラグビーユーストーナメントに出場し、フィジー、韓国、御所実、そしてオーストラリアのチームに勝利し決勝に進出。決勝では大阪桐蔭に15-17で敗れたものの準優勝という結果を残した。本大会の神奈川県大会予選も、東海大相模に29-11と勝利して大会を迎えた。
國學院栃木もワールドラグビーユースに出場。東福岡と7-7と肉迫する試合をするも順位決定戦で、選抜準優勝の石見智翠館に敗れ10位という結果に終わった。
序盤は國栃がペースを握る。7分、桐蔭学園が自陣でペナルティをするとショットを選択。SO神尾が冷静に決めて成功。17分にも、桐蔭学園が自陣でノットロールアウェイのペナルティで國栃は再びショットを選択。神尾が成功して6-0とした。
追いかける桐蔭学園は前半終了間際の23分、連続攻撃からNO8新里がトライ。さらに前半ロスタイムにFL小川がトライを決めて桐蔭学園が、6-12とリードを広げて前半終えた。
後半、流れを掴んだ桐蔭学園が4トライで勝負あり。國學院栃木は自陣を脱出できずノートライに終わる
後半、序盤から桐蔭学園が優位に試合を進める。相手ペナルティから敵陣に入ると、6分、FL申がトライ。SH後藤のゴールも決まり6-19とリードを広げた。
9分には、14WTB草薙のブレイクから10SO竹山がゴール中央にトライ。6-26と桐蔭学園が突き放しにかかる。
さらに13分、アンストラクチヤな状況からU17日本代表のFB古賀がブレイク。最後は同じくU17日本代表のSH後藤がトライを決めて6-33と試合を決めた。
桐蔭学園はその後も手を緩めることなくアタックを継続し18分、FL小川がダメ押しのトライを決めた。試合は6-40と桐蔭学園が快勝。2年連続の関東大会優勝を果たした。
桐蔭学園 藤原秀之監督
(2月から)だいぶメンバーも変わったし、ポジションも変わりました。選抜、サニックスとゲームを覚えてきたのでここからでしょうね。ここからの半年間、何をやるかということは明確なんですけど、どこまで上がるかというところでしょうね。
前半は多分こんな感じかなと思っていたら1本とれちゃって、前半で連続2本とれたのは大きかったですね。ああいう時間帯を作れるようになったのは成長ですね。ちょっと裏に出たところでパスのつなぎは去年からやっていたことなんですけど、今年のチームの方がうまいかな。
選抜ではやりきれていない、ちょっと手堅くいっていたところがあったんですが、サニックスは完全に最初フルでやっていたんで、今日どうするのって話したをしたら前半は手堅くいきたいという話だったんですけど、負けていたら自陣から行くという腹が決まっていたんで。
(相手を)ノートライ(で抑えたことは)評価できるかもしれませんね。選抜も長崎北陽台さんと東海大仰星さんと飛車角抜きでしたけどやれてもらったことで我々に取って勉強になったし、サニックスも御所さんとか5戦やって、それぞれのチームは強かったですね。フィジーのチームは僕らのイメージしている通りの感じだったんで。5試合はすごく彼らの勉強になったのは大きかった。最後は大阪桐蔭に負けてしまいましたけど、ちょっとずつですが、今年はこうやっていくんだという腹が決まってきたかなと思います。
11月17日(神奈川県決勝)は僕らも楽しみですね。夏までにもう一度、どこまで成長できるかやりたいですね。
桐蔭学園 申驥世キャプテン
新人大会で負けてからずっと自分たちは國栃にリベンジしたいということを練習から言ってきて、今日こうやって結果として勝つことができて、一番はホッとしているというところと嬉しい気持ちが大きいです。
2月に対戦した時は、前年の58期のようなスタイルをやっていて、そこに自分たちの力が足りず、先輩たちの真似事をしていて、自分たちには合ってませんでした。そこから自分たちの形というのを模索しながら、「速いラグビー」ということを自分たちの軸にして、当たるだけじゃなくて、そこからつなぎのオフロードパスであったり、速いテンポで縦に前にボールを運ぶというラグビーができたんで、そういう自分たちのスタイルを出した決勝になったんじゃないかなと思います。
(自分たちのスタイルを見つけるきっかけは?)2月の関東新人大会で、國栃さんに負けて、このままじゃ勝てないというのを自分たちが自覚しました。スタッフ陣にも言われていたんですけど、自分たち自身で感じることができたことがターニングポイントだったと思います。
今日は自分たちの形で取れました。自分たちが持ち込んで、ボールの周りをクリーンアウトして、返してボールを運ぶ、相手の人に運ぶというところで、前に運ぶんで何人もついていってサポートしてトライもとれましたし、準備を速くして最後にとりきることもできました。
(新人戦で先輩たちのやり方をやっていこうとなったのは)それを1年間やっていたんで、それで神奈川(県予選)も勝てましたし、そのスタイルで自分たちもできるんじゃないかなという気持ちがありましたが、それが決勝で打ち砕かれちゃった感じです。
(桐蔭学園のキャプテンになるということについて)プレッシャーなんておこがましいこと言えないですけど、プレッシャーもある分、期待もされているんで。昨年の良い文化も先輩たちが残してくれているんで、別に意識せず自分たちの代は自分たちの代という感じです。
1年、2年で唯一花園決勝を経験していて、(キャプテンは)全部員で投票を行って、それをもとにスタッフ、監督、コーチが総合して選ぶという感じで決まりました。自分も最後、自薦したんで、やってやろうという気持ちでした。
(ミーティングでは)最初の頃は自分が全部言っていて、僕のことが正解なんじゃないかみたいなそういう雰囲気があり、僕が言ったらそれ通りに試合のプランが決まっていました。選抜大会の初戦で藤原先生にそれが駄目だと教えていただいて、そこからは自分はあまり話さずに周りの意見をどんどん聞いて、これちょっとおかしいなと思った時だけ、発言したり、決まりかねている時に自分が最後決めるという役割にまわって、みんなの意見が反映させて試合もよくなりました。
(今年のチームは)個々のスキルは去年に及ばないと思うんですけど、その分全員がスキル高く、速いラグビーを全員が一つになりながらやっていこうと思います。自分たちも、もう1回花園優勝するんだって気持ちが大きいんで、自分たちは体が小さい分、スキルであったりとかそういうところで上回っていければいいなと思っています。