2014女子ラグビーの地殻変動・新興チームと名門クラブの競り合いから飛躍へ | ラグビージャパン365

2014女子ラグビーの地殻変動・新興チームと名門クラブの競り合いから飛躍へ

2014/07/27

文●大友信彦


「うちのチームも、どこのチームも、龍ヶ崎大会のときに比べてものすごくレベルアップしている。この大会ができたことにはすごく感謝しています」サクラセブンズこと女子7人制日本代表キャプテンの中村知春は、横浜大会を戦い終えて、そう言った。自身は東京フェニックスの主将として3大会すべてに出場した。

「龍ヶ崎のときは、すごく簡単に相手ボールをターンオーバーできたけれど、今大会ではなかなかボールを奪えなくなっていた。チームも、ディフェンスに力を入れているチーム、アタックの精度にこだわるチーム、縦の強さに磨きをかけてくるチームと、チームのカラーがはっきりしてきて、面白くなりましたね」

女子ラグビーの国内チームの勢力地図は、この1年、急激に書き換えられている。

中村千春主将(写真中央)

中村千春主将(写真中央)

中村知春が主将を務める東京フェニックスは、地殻変動の象徴だろう。1年前は「練習に集まるのは3人とか。1人のときもありました」と中村。日体大OGが中心になって2002年に誕生したクラブは、同年の女子ワールドカップでは、現女子7人制日本代表HCの浅見敬子、現女子ユース日本代表コーチの吉岡麻里子、日体大コーチでレフリーの古賀千尋、今も現役のアンジェラ・エルティングら日本チーム最多の11人を輩出するなど女子日本代表の中軸を占めていたが、2009年に男女の7人制ラグビーの五輪種目採用決定を機に、ラガールセブンやTKMなど、企業を母体としたチームが誕生すると、より高いレベルで競技に集中できる環境を求める選手たちが徐々に流出していった(たとえばラガールセブンに移った山口真理恵、TKMへ移った松平貴子などである)。

しかし、今年就任した元男子日本代表の四宮洋平GMが、独自の人脈と行動力を駆使してスポンサーを獲得。鈴木実沙紀が関東学院大ラグビー部に在籍したまま二重登録で加わり(女子の場合、これは問題ない)横尾千里が世田谷から移ったように他クラブからのリクルート、陸上競技出身の日下望美や飯塚めぐみら他競技からの人材スカウトを積極的に進めた上で、さらにシンガポール代表、イタリア代表を短期間移籍させるという、従来の日本女子ラグビーにはありえなかった荒技を繰り出し、驚異的なピッチで強化を進めた。さすが、NZ、南ア、イタリア、フランスなど、世界を股にかけて活躍してきた男の行動力と発想力は桁が違っていた。

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