9月14日、イタリア・ピアチェンツァのウォルター・ベルトラメッティ競技場で、サクラフィフティーン(XV)こと、女子15人制日本代表とイタリア代表のテストマッチが行われた。
サクラXVは前戦となる8月17日のアメリカ戦から先発6人を変更。HO谷口琴美、PR3永田虹歩、SO山本実がリザーブから繰り上がり、PR1加藤幸子が負傷から復帰。NO8ンドカ・ジェニファはテストマッチ初先発、WTB香川メレハヴィリ優愛はテストデビューとなった5月の香港戦以来の先発。アメリカ戦では2戦ともSOで先発した大塚朱紗はCTB12へ移動。
リザーブにはノンキャップのSH妹尾安南が名を連ねた。長田いろは主将をはじめ主力メンバーを並べながら、ンドカ、香川、妹尾といった新戦力、大塚と山本実のダブルSOというオプションをテスト。メンバーをいじらないレスリーHCとしてはチャレンジングな布陣で臨んだ。
試合は日本のキックオフで始まった。日本は最初のシリーズでSO山本のキックが相手にチャージされるが、そのボールを掴んだ山本がそのままアタック。LO佐藤、CTB古田、PR永田が出たところでハイタックルのPKを獲得する。
日本は開始早々先制のチャンスを得たかに思えたが、このPKでゴール前に進もうとした山本のキックがノータッチに。それでも次のラインアウトからモールを押して、次のラインアウトからもモールを押して再びPKを獲得するなど敵陣でアタックを継続。6分には右22m線のラインアウトからフェイズを重ね、FL川村雅未がゴールに迫るが、パスをしっかり捕球できずにトライ寸前に落球。
8分にはハーフウェイまで戻されたラックから、NO8ンドカがブレイクして大きくゲインするが、相手22m線まで進んだラックで長田主将がノットリリースザボール。12分には相手陣10m線のスクラムから右へのアタックでFB西村蒼空が右へキックを転がしWTB香川を走らせるが届かずタッチ。
そして16分、相手ボールラインアウトのロングスローを捕った日本が8フェイズまで攻撃を重ねたところでイタリアが反則。日本はここでショットを選択し、CTB大塚が左中間20mの位置から冷静にキックを蹴り込み3点を先制する。しかし、ここまでポゼッション、テリトリーとも8割近くを支配しながら決め手の精度を欠き、3点しかあげられなかったのは誤算だった。
次のキックオフからイタリアは日本陣に攻め込む。日本もディフェンスで踏ん張り、イタリアのハンドリングエラーを誘うが、接点でじわじわと圧力を受け始める。23分にはSO山本が負傷で退場。ここで日本は大塚がSOに上がるのではなく、WTBから今釘がSOに上がり、リザーブの松村美咲がWTBに入る配置でダブル司令塔作戦継続を選択した。
日本は走力と突破力を兼ね備えた香川と松村の両翼がたびたび良いブレイクを見せるが、イタリアは日本のパスをインターセプトするなど最終ライン突破を許さない。逆にイタリアは30分、自陣のラインアウトで日本ボールを奪うと約10のフェイズを重ねてじわじわと前進し、最後はCTB12リゴーニのリターンパスを受けたWTB14ムッツォが右中間にトライ(12リゴーニC成功)。37分にはFBミヌッツィが鮮やかなスワーブで日本23松村を抜いて右中間にトライ。12-3とリードを広げる。
さらにイタリアは41分、右ゴール前ラインアウトからモールを押し、HOベキーニがインゴールに押さえるが、TMOの結果、モールを割って出た際に前方にいた選手がオブストラクションだったと判定されノートライ。日本は3本目の失トライを逃れ、3-12で折り返した。
勝負を意識できる点差で折り返したサクラXV。後半先に点を取って競り合いに持ち込みたいところだったが、後半の先手を取ったのはイタリアだった。日本のロングキックで自陣インゴールまで蹴り込まれながら蹴り返し、日本陣10m線付近のラインアウトをターンオーバーしてアタック。日本はFB西村蒼空のジャッカルでボールを奪い、WTB松村がキックでクリアするが、このキックを捕ったイタリアWTBグランツォットがカウンターアタック。フェイズを重ねたところでSHステファンが日本ゴール前にチップキック。日本はWTB香川が必死に戻るがバウンドが変わり、チェイスしてきたイタリアFBミヌッツィが押さえてトライ。CTBリゴーニのコンバージョンも決まりイタリアが19-3とリードを広げた。
日本はここからPRに北野和子、LOに向來桜子らインパクト選手を投入して局面打開を図る。SH津久井萌、CTB大塚朱紗の好キック、WTB香川メレの好走などでイタリア陣22m線まで4度にわたって進入するが、イタリアはラインアウトを確実に確保し、キックで陣地を戻す。その後はハーフウェーをはさんだ攻防が続いたが、60分にイタリアはハーフウェー付近左のラインアウトから外展開。CTB13マニンニの内返しで逆サイドから走り込んだWTB14ムッツォが抜け出しそのまま約60mを独走してトライ。24-3とリードを広げる。
なんとか食いつきたい日本は64分、相手キックに戻ったWTB松村の50/22キックで相手ゴール前ラインアウトのチャンスを得ると、7つのラックを連取して松村が左隅を攻略。インゴール左中間に走り込み、この試合初のトライをあげる。松村のテストマッチでのトライは昨年10月、WXV2のイタリア戦以来。19歳にして通算6トライ目だ。
しかし日本の反撃もここまで。次のキックオフをイタリアが失敗し、日本はセンタースクラムのチャンスを得たが、このキックにもイタリアがうまく対応して日本陣へ再侵入。さらにPKを得たイタリアは71分、ラインアウトモールから日本ゴールになだれ込むが、TMOの結果、グラウンディングの前に倒れた際、ボールを離していなかったとしてノットリリースザボールの反則。追加点は奪えなかったが、試合はそのまま終了。
最終スコアは24-8でイタリアが勝利したが、イタリアはラインアウトモールでインゴールに迫りながらTMOでノートライとなったプレーがふたつあり、印象としてはスコア以上の完敗だった。通算対戦成績は日本の1勝5敗1分となった。
2002 ×3-30(バルセロナ、RWC2002)
2017 ×0-22(ベルファスト、RWC2017)
2019 △17-17(ラクイラ)
2022 ×8-21(オークランド、RWC2022)
2023 ○25-24(パルマ)
〃 ×15-28(ステレンボシュ、WXV2)
2024 ×8-24(ピアチェンツァ)
長田いろは主将
「まず、試合ができたこと、イタリアの皆さんと2年続けて対戦できて嬉しいです。
今回はイタリアに、良いテンポでスペースにボールを運ばれてしまい、コンタクトでも前に出られてしまったことで、ディフェンスが難しくなってしまいました。
南アフリカのWXV2では、しっかりと準備したことを出すことと、コンタクトで受けずに自分たちで試合をドライブすることを意識して戦いたいです」