サクラフィフティーンこと女子15人制日本代表は13日、南アフリカのステレンボッシュで、新たに創設された女子15人制ラグビーの国際大会「WXV」の初戦、イタリア戦に臨んだ。
この大会は、世界の女子15人制上位18チームを実力別に1部~3部に分けて各チームが3試合を行う「ミニW杯のような大会」(サクラセブンズ長田いろは主将)。日本は2部に相当する「WXV2」に出場し、イタリア、サモア、スコットランドと3試合を行う。なお、この日本-イタリア戦は新設大会「WXV」全体の最初の試合、記念すべき開幕戦として行われた。
会場となったステレンボッシュのダニー・クレイブンスタジアムは、ケープタウンの東約50kmのところにある、芳醇な南アフリカワインを生むワイナリーの多さとともに、ステレンボッシュ大学のある文教都市でも知られ、スタジアム名はラグビーの戦術・技術開発で大きな貢献を果たしラグビー博士と呼ばれたダニー・クレイブンの名前から来ている。
大学構内のスタジアムとあって質素な作りだが、背後の山など風景との親和性は抜群。世界屈指の美しいスタジアムと呼ばれ、1995年ワールドカップの際は開幕に先立つ記念試合として「南アフリカ選抜×世界選抜」の記念試合が行われ、世界のレジェンドが集結。前回W杯の優勝キャプテンだったオーストラリアのSHニック・ファージョーンズ、日本からは前回まで2大会連続出場していた大八木淳史さんが参加した。
日本とイタリアはこの対戦に先立つ9月30日にもイタリアのパルマで対戦。日本が25-24でイタリアからの初勝利を奪っていた。今回、日本は先発6人を変更。前回はリザーブだったPR加藤幸子、SH阿部恵、SO大塚朱紗、CTB小林花奈子、ノンメンバーだったFL齊藤聖奈というシニアメンバーに加え、9月のフィジー戦でサクラXVデビューしたばかりの18歳WTB松村美咲が14番に入った。
イタリアも先発7人を変更。特にBKには経験豊富なベテラン、12番ベアトリーチェ・リゴーニと13番ミケーラ・スィッラーリの両CTBが入るなど、前戦からパワーアップしたメンバーを組んできた。
試合は日本のキックオフで始まった。これをイタリアPRセイエがいきなり落球してさらに反則。日本は相手ゴール前ラインアウトのチャンスを得るが、180センチ台を並べたイタリアFWのプレッシャーの前に獲得ならず。このスクラムから、イタリアはアタックに出てからSOマディアが日本陣へロングキック。FB西村蒼空とWTB今釘小町がよく戻ってタッチに蹴り出したが、その左ラインアウトからイタリアはモールを押し、ショートサイドのWTB14ムッツォから内のCTB12リゴーニに繋ぐムーブで鮮やかにトライ。13スィッラーリのコンバージョンも決まりイタリアが7点を先制する。
イタリアはその後もフィジカルの強さと追い風を活かして再三ゴール前に攻め込むが、日本はゴールライン上でSH阿部恵、SO大塚朱紗が好タックルで相手トライを阻止。粘りのDFでピンチをしのぐとWTB今釘小町が好判断のグラバーキックで陣地を戻し、さらにイタリアのラインアウトのこぼれ球を大塚がキックして相手ゴール前へ。
ここからのアタックでTMOチェックが入り、日本のCTB小林花奈子へのタックルが頭部に当たったとしてイタリアのキーマン、CTBスィッラーリにイエローカード。22m線上中央という好位置で得たPKで日本はスクラムを選択して数的優位のBKへ出し、CTB小林が左コーナーへキック。ボールはインゴールに転がり、戻った相手DFともつれながら日本WTB今釘が押さえる。いったんトライがコールされたが、TMOからのチェックで相手が先に押さえていたと判定されトライは取り消しに。
それでも日本はイタリアの自陣脱出を許さず、17分にWTB松村美咲の好キック&チェイスで相手がキャリーバック。5mスクラムからのアタックは反則で終わったが、次のラインアウトでイタリアボールに川村雅未、吉村乙華の両LOがプレッシャーをかけてスチール。このチャンスにBKは数的優位を活かして冷静に展開。余ったところでFB西村がゴール前にグラバーキックを蹴り込み、チェイスしたWTB松村美咲が右隅にトライ。いったんTMOチェックが入ったが問題なくトライは認められた。大塚のコンバージョンは外れたが日本が5-7と追い上げる。