ピッチに戻って来られた喜びが溢れて見えた。
6月20日、静岡スタジアム・エコパで行われていたリージョナルセブンズ関西大会、ホストチームとして大会に臨んだアザレアセブンの背番号8をつけて戦っていたのが、7人制で2016年のリオ五輪を、15人制で2017年ワールドカップを戦った冨田真紀子だった。
日本経済大アマテラス戦の後半早々、ボールを持った冨田がゴール前に迫る。相手タックルが突き刺さる中、粘って粘って足を動かし、体をインゴールにねじ入れる。トライだ。チームメートが抱きついて祝福する。
自らトライするだけではない。危険なスペースをいち早く察知して動くディフェンスの目。飛び込まずに足がついていく腰の強さ。腕を絡みつけるような粘り強い、ドーベルマンと異名をとったタックルは健在。相手のチャンスに見えた局面はいつの間にかチャンスに姿を変えている。
「自分がラグビーできていることが信じられないです」
冨田真紀子は言った。
「もう、灰のようにボロボロになっていた。日常生活もろくにできない状態でしたからね……そのときのことを考えたら、ラグビーができているなんて、信じられない」