RJ365的2020年日本ラグビー10大ニュース | ラグビージャパン365

RJ365的2020年日本ラグビー10大ニュース

2020/12/30

文●大友信彦


ラグビージャパン365では本誌恒例、日本ラグビー界10大ニュースを考えてみました。コロナ禍で活動が著しく縮小した印象のあった2020年ですが、振り返ってみると、コロナ関連だけではない、いろいろなニュースがあったことがよく分かりました。コロナ禍があったからこそ起きたポジティブなアクションも、このランキングに入った項目以外にもたくさんありました。

皆様も、皆様にとってのラグビー界10大ニュースランキングを作ってみてはいかがでしょうか? ではランキングの発表です。

1・コロナ禍により日本代表年間テストマッチはゼロで終わる(1966年以来54年ぶり)

2020年は世界中が新型コロナウイルスCovid-19に翻弄された1年でした。日本ラグビーはトップリーグが6節で打ち切り終了。日本代表は秋に南半球、北半球それぞれの国際大会参加を模索したが諸事情が折り合わず結局1年間テストマッチゼロになってしまいました。日本代表がキャップ対象試合ゼロで終わるのは1966年以来54年ぶり。キャップ制度が制定された1983年以降では初めてのこと。やむをえないこととはいえ残念な限りです…。

ジェイミー・ジョセフHC記者会見「目標はより明確になった。課題は選手層の厚み」

 

2・松島幸太朗がフランス移籍、大活躍!

コロナ禍で国内シーンも国際シーンも沈黙していた2020年、日本ラグビーに明るいニュースを届けてくれた最大の功労者は松島幸太朗でした。フランス1部クレルモンへ移籍。日本チームに籍を残したままでの期限付き移籍ではなく完全に退団しての移籍で、デビュー戦から大活躍。12月12日の欧州カップ・ブリストル戦では3トライのハットトリックまで達成!日本ラグビーのレベルの高さを一人で欧州へアピールしてくれました!

松島幸太朗の現在地―FROM フランス

 

3・新リーグ詳細年内発表見送り、改革大幅後退か(TL中断のち中止等も含めて)

ちょっと残念なニュース。現行のトップリーグ(TL)に替わり2022年1月発足予定の新リーグですが、2020年12月になっても新リーグの編成等に関する詳細、現トップリーグやトップチャレンジからの参入要件などは明らかにされないまま年を越すことになってしまいました。そもそも従来のトップリーグから、戦力でも経営ポリシーでもプロ意識を持った精鋭クラブによる再編成を目指したはずなのだが、コロナ禍で誰もが弱気になったタイミングで、清宮副会長の急進的な改革案に反発する守旧派が結束。改革よりも撤退防止の護送船団方式に後退してしまいました。コロナによる中断→リーグ打ち切りの際も「コンプライアンス問題への再教育のため」「コロナの影響もありました」と説明は二転三転。改革の象徴のはずだった新リーグの姿はまだ見えてきません…。

 

4・サンウルブズ初の開幕勝利もチーム解散…

5年目を迎えたサンウルブズは福岡レベスタでの開幕初戦でレベルズを破り、5年目で初めての開幕白星発進!しかし、その後は白星に恵まれないまま1勝5敗、7節(サンウルブズは6戦)を終了した時点でスーパーラグビーのシーズンは打ち切り。オーストラリアカンファレンス(スーパーラグビーAU)での再開に合流を目指したが叶わず、無念のチーム解散。日本代表の強化に大きく貢献したチームは、5年間の歴史に幕を下ろすことになってしまいました。
何らかの形でチームの復活を望む声はファンだけでなく選手、そして代表のコーチングスタッフからも聞こえてきます。サンウルブズが作ったカルチャーが、何らかの形で受け継がれていくことを切に祈ります。

「サンウルブズの名前は残してほしい」日本ラグビーを大きく進化させたサンウルブズが解散

 

5・RWC2021&2023の組み合わせ決定。男子2023は死の組?

テストマッチを1試合もできない中でも時間は着々と進んでいくわけで、早くもRWC2023フランス大会の組み分け抽選が12月14日にパリで行われました。コロナ禍で世界各国のテストマッチが減ったことに伴い、2020年12月現在の世界ランキングでバンド分けする予定をW杯2019終了時のランキングに変更され、8位でバンド2入りできたと喜んだのもつかの間、同組には第3バンドからはそこにいるのがおかしい強国アルゼンチンが、そして第1バンドからは日本代表の恩師エディ率いるイングランド。
「死の組」と呼びたくなるタフな組になりました。
そして2021年9月に迫ったRWC2021(女子15人制)は11月20日に組み分けが決定。アジアはまだ予選が終わっていないこともあって第4バンドに入れられカナダ、アメリカ、欧州予選勝者と同組に。こちらも、レスリーHCの母国カナダと同組になるという因縁の組み合わせになりました!まずは、3月にリスケされたアジア予選が無事開かれ、日本がワールドカップ切符を無事獲得することを祈ります!


死のプールD―RWC2023・イングランド、アルゼンチン、日本、ヘッドコーチ3人の共同会見レポート


 


6・サクラフィフティーン3選手が欧州挑戦!

加藤幸子選手

加藤幸子選手

その、あと1年を切ったRWC2021に向けたアクション、サクラフィフティーンの3人娘、PR加藤幸子(横河武蔵野アルテミスターズ)がイングランドのエクセター・チーフス・レディースに、CTB鈴木彩香(アルカス熊谷)が同じくイングランドのワスプスレディースに、相次いで留学。

まだ20代ながら代表キャリアは10年を超える鈴木彩香の経験値、発信力は女子ラグビーに欠かせない存在だ

まだ20代ながら代表キャリアは10年を超える鈴木彩香の経験値、発信力は女子ラグビーに欠かせない存在だ



そしてWTB平野恵里子は所属していた横浜TKMを退社してスペインのセビージャ・ココドリラスに武者修行。それぞれ、さっそく一軍メンバーで活躍しています!それぞれが単身海外にチャレンジしたことは、きっと日本女子ラグビーの力となってフィードバックされるでしょう!がんばれサクラたち!

平野恵里子選手

平野恵里子選手

「今はチームの文化を作っている段階」鈴木彩香バイスキャプテンに聞くサクラフィフティーンの現在地

 

7・ボーデン、ベン・スミス、フーパー、レイドロー、マピンピ、ペレナラら世界のスター相次ぎ来日!

この手のニュースを紹介するのはいったい何度目?と首をひねりたくもなりますが、今回の波のデカさは本当に半端ない。オールブラックスからベン・スミスとアーロン・クルーデンが神戸製鋼へ、ボーデン・バレットがサントリーへ、TJペレナラがNTTドコモへ、ワラビーズからマイケル・フーパーがトヨタ自動車へ、スプリングボクスからマカゾレ・マピンピがドコモへ、そしてスコットランドからグレイグ・レイドローがNTTコムへ。来日選手たちのスーパーな度あいもさることながら、今年の特徴は、スターたちの出身国が世界各国に広がっていることでしょう。まずますダイバーシティ化が進む日本ラグビー、トップリーグの開幕が楽しみです!


神戸製鋼、ベン・スミス、アーロン・クルーデン入団記者会見レポート

 

8・東京五輪が1年延期、セブンズ日本代表女子HC交代へ、男子の岩渕HCは留任。

コロナ禍により2020年7-8月に開催予定だった東京五輪とパラリンピックは1年延期。これに伴い、2021年3月で任期が満了するはずだった男女セブンズ日本代表のHC人事が再検討され、その結果が12月25日に発表されました。男子は岩渕HCが専務理事兼任のままで留任。女子の稲田HCは退任し、これまで男子のアシスタントコーチ(AC)だったハレ・マキリさんが女子HCにつくことになりました。

本城和彦チームディレクターは、「男子はメダル争いに近いところにいる」「女子はまだその土俵に上がれていない」という認識を示し、「もう一段実力、自力を高めていく必要がある。替えるには今が最後のタイミングで最適なタイミング」と説明しました。東京五輪での男女セブンズ日本代表の活躍を期待したいのはもちろんですが、専務理事を兼任する岩渕HCの負担をシェアしてきたマキリACが女子HCに転出すると、男子セブンズのスタッフが手薄になるのではないか?と心配です…。

男女セブンズ新体制・男子第3次オリンピックスコッドが発表

 



9・新国立で初のラグビー、早大が11年ぶり大学選手権優勝。

その東京オリンピックに向けて建設された新国立競技場で初めてのラグビーとして、2020年1月11日、大学選手権決勝の明大対早大が、57345人の観衆を集めて行われました。大学選手権の決勝が50000人を超えたのは、2004年に実数発表が始まって以降では初めて。主催者による概数発表だった時代を含めると、1990年度(交渉60000人)まで遡ります。早大の優勝は11年ぶり16回目で、最多優勝を更新しました。

40日間で大きな成長―早稲田が4年の積み重ねを礎に、最終学年で成し遂げた日本一

 

伝統回帰的な面だけではありません。決勝のスコアは45-35。両軍あわせて80得点は大学選手権決勝史上最多、敗れた明大の35得点も決勝の敗者として最多でした。現代ラグビーのトレンドである高速化、高得点化は進んでいたというところが、今年(昨季)の大学選手権の傾向だったかもしれません。
しかし、この大観衆のもとでラグビーが行われていたことが、今となっては夢のようです…。

10・第100回全国高校ラグビー、コロナ下の花園で無観客で開幕。

そしてこれは2020年最後のニュース。第100回目という節目を迎えた全国高校ラグビーが、12月27日、史上最多63校の参加を得て無事開幕しました。コロナ禍のもとで、無観客という苦渋の選択ではありましたが、大会開催にこぎつけた大会運営関係者のみなさん、行動に制限を設けながらコンディションを整えた選手とスタッフのみなさんの努力に深く敬意を表します。大会が実現して本当によかった――花園の3つのグラウンドを往復しながら会ったたくさんの高校ラグビー関係の方たちからその言葉を聞きました。

高校ラグビーが開幕!異例のシーズン日本一を掴む高校は

同時に、100回目を記念する大会の目玉は、史上最多63校(もともとの狙いは64校だった)の出場数だけだったのか?という思いも少し残りました。63校を出場させるために、1回戦の試合時間が25分間になってしまうのでは、大会における試合のクオリティ、つまりは大会のクオリティ自体が怪しくなってしまう。1回戦の試合が遅かったチームほど、30日の2回戦は早い時間に組まれる=インターバルが短いことは、選手のウェルフェア(安全、福祉)にもかかわる問題です。これからも記念大会は5年に一度訪れます。大会の運営についても、さらなる進化のため、充実のために積極的に改革をはかっていってほしいと思います。

みなさんにとって2020年はどんな1年でしたか?
2021年はもっと楽しいニュースがたくさんランクインしてくれることを祈っております!

 

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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