ヒトコムサンウルブズ2021年以降のスーパーラグビー参戦は白紙に。サンザーとの交渉決裂。チームの存続は不透明なまま。 | ラグビージャパン365

ヒトコムサンウルブズ2021年以降のスーパーラグビー参戦は白紙に。サンザーとの交渉決裂。チームの存続は不透明なまま。

2019/03/23

文●編集部


3月22日、スーパーラグビーを運営するSANZAAR(サンザー)は、2021年以降のフォーマットを発表。3カンファレンス、14チームで開催されるとし、ヒトコムサンウルブズの参戦継続はないとした。これを受けて、(公財)日本ラグビーフットボール協会(JRFU)・専務理事坂本典幸氏と、一般社団法人ジャパンエスアール(JSRA)・渡瀬裕司CEOが会見を行った。

放映権料の補填、新たなに突きつけられた経済的負担「日本代表強化に見合わない代償」

一般社団法人ジャパンエスアール 渡瀬裕司CEO(左)、(公財)日本ラグビーフットボール協会 坂本典幸専務理事(右)

一般社団法人ジャパンエスアール 渡瀬裕司CEO(左)、(公財)日本ラグビーフットボール協会 坂本典幸専務理事(右)

坂本 ヒトコミュニケーションズサンウルブズですが、2021年シーズン以降のスーパーラグビー参戦について、3月20日にサンザーより内示を受け、本日21日正式に発表されました。2021年シーズンより、3カンファレンス、15チームから14チームの総当たり方式へ変更となります。

それに伴い、サンウルブズの参戦はできなくなるというものです。改めて、チームを応援していただきましたファンの皆様、チームを支えていただきました協賛社の皆様に申し訳ないという思いと、きちんといきさつを説明させていただきたいという思いで今日の会見を開かせていただきました。

渡瀬 今回こういう結果になってしまったということは本当に残念なことだと思っています。これまで多くのファンのみなさまに支えられて、ヒトコミュニケーションズ、三菱地所様をはじめとするスポンサーの方々に協賛していただき、本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいです。


坂本 2016年からスーパーラグビーに参加をしてきたサンウルブズの(サンザーとの)契約は2020年までで契約満了を迎えます。この契約には継続の要綱はありません。そのため新たな契約が必要となります。新たな契約のために2018年の夏からJSRAの渡瀬CEOを中心に交渉をしてきました。

スーパーラグビーの意思決定についてはサンザーの理事会で決定されます。その理事会には、南アフリカ、NZ、オーストラリア、アルゼンチンの協会の幹部から構成されており、残念ながら日本協会は理事会のメンバーではありません。したがって意志決定は関われないのが実態です。そもそも現在の契約は、2020年で終了となっていました。2021年以降の契約については約束されていたものではありませんでした。15チームの中でサンウルブズだけがきわめて特殊な条件の元、参加してきたということです。

また現在の参戦においてもスーパーラグビーの放映権料は一切受け取っておりません。また、シンガポールでも3試合行うという義務を負っている点で他の14チームと条件が異なっていました。不利な経済条件の中でJRFUとしてはチームを成立して、サンウルブズには大きな経済的支援を行っているのが実情です。

こういった背景をもとにサンザーとは契約の延長について話し合いをすすめてきましたが、サンザーから受けた経済的条件は以下の3つです。


1.現在15チームから3カンファレンスで14チーム総当たりにした場合、サンザーへの放映権料は大きく拡大する。しかしサンウルブズが参戦した場合、現状と同じ15チーム3カンファレンスを維持するということで14チーム総当たりで本来得られるであろう放送権料減ってしまう。その増額分を負担をすること

2.地理的に日本だけ離れているため、これまでは選手たちの移動のための航空運賃は主催者が負担をしていましたが、日本だけでなく相手チームの移動や滞在費を今後日本で負担をすること。

以上2点は2020年までにはなかった条件です。


3 以前と変わっていないが 放映権料分配はない。

ほかのチームと比べると不均衡かつ経済的に厳しい状況をさらに助長するものだと思っています。JRFUならびJSRAはこれらの条件を飲めないという結論にいたしました。

サンウルブズはこれまで多くのファンの方々に支持され、また多くの選手がインターナショナルなラグビーを経験できる大変貴重な存在であったことを踏まえると、今回、サンザーがサンウルブズの参戦継続をさせないと結論を出したことは日本のラグビー界にとってとても残念であります。

ただ、今までご説明したとおり、経済的な条件が世界のラグビーの現状であるということをもう一度認識をしました。日本のラグビーにとってまずは現在のシーズンを戦うサンウルブズの選手、明日、シンガポールでライオンズと戦います。また 半年後に迫ったラグビーワールドカップに向けて着々と準備をし、我々も全面的にバックアップしたいと思っています。迫っている世界への挑戦をさらに続けていきたい。


最近「パスウェイ」という言葉をよく聞きますが、ティア2である日本が、今後上にのし上がっていくためにはパスウェイをしっかりと作っていく必要があります。そういうなかで先日ダブリンに行ってきましたが、2019年以降、先手をうちながら戦略的に対外的な交渉を行っています。

代表という枠組みでは、ワールドラグビーネーションズチャンピオンシップについて積極的にワールドラグビー、各ユニオンと対話は続けていることはもちろん、大会の成立、不成立にかかわらず、世界のランキングの上位国とマッチメイクができるようにワールドラグビーとともに今後も議論を進め、状況を作っていきたい。

特に、ワールドラグビーネーションズではラグビーチャンピオンカンファレンスに日本とフィジーが入るということで報道されております。これにはサンザーも前向きに検討しております。代表チームはそういうチャンス活かしていきたい。

さらに、クラブレベルのラグビーですがトップリーグがもっと発展することが一番大きな鍵だと思っています。グローバルにコンペティティブになることはトップリーグの発展に大きく関わっていきますし、日本代表を押し上げるにはそこが大事だと考えています。今後もトップリーグの各チームと議論して大きな改革を進めていきたい。


渡瀬 サンザーとはサンウルブズの継続について話をしてきましたが、私がサンザーに言ってきたことは、サンウルブズは非常にユニークでスーパーラグビーに新たな価値を生み出すチームだということです。初年度はパフォーマンスが悪く、その後も決して勝ち星でいえばそこまででもなかったですが、徐々にパフォーマンスも上がってきて、非常に魅力的なアタッキングラグビーできてました。

そして何よりも他のチームにない熱狂的なファンの存在があります。秩父宮ホームゲームの雰囲気は本当に素晴らしい。スクラムを組む時は狼の遠吠えをする、そんなファンは他にないと思います。(こういったことを)ずっと言い続けてきました。 

もう1つは、いかにラグビーを普及していくか、ラグビーというスポーツが世界の立ち位置でよくなっていかないといけない。アジアに向けてサンウルブズは鍵になると話してきました。

残念ながら、結果的に放映権のこととか、我々の思いが通じなかったということです。一番ショックを受けていたのは選手やスタッフだと思います。昨日、シンガポールへ行きスタッフ、選手に話をしてきました。我々としてはこれだけのファンの皆様に恩を返す機会がなかったので、恩を返さないといけない。そういう意味では、我々にはあと2年間の猶予があります。その中でひとつでも勝って恩を返していこうという話をしました。後ろを振り返らず、選手たちは「go forward(前に進む)」ということで一致団結しています。一試合一試合のパフォーマンスに期待したい。

今シーズンと来シーズンが残っています。ファンのみなさまにも、是非今まで通りサンウルブズを応援していただいて、最後まで一緒に戦ってほしい。とにかく、いいパフォーマンスを引き続き見せていく。それがチームとしての務めだと思います。

--サンウルブズは2021年以降どうなるのか?


渡瀬 まだ言われたばかりで何も考えていません。今年も来年も試合がありますのでそこに注力し、今後検討すべき課題だと思っています。

坂本 日本代表強化の一つの手段だった。その手段がなくなることがわかった状況です。成立するかわかりませんがが、ネーションズカップ含めていくつもの選択肢あると思っています。トップリーグをグローバルにしていくことも検討した。トップリーグが認められたのでプロフェッショナル委員会に入ることができたわけですから。ここまで一緒にやってきた、アジア、パシフィック、アメリカやカナダと連携してやっていきたい。


--この結果に至ったことに対する日本協会として足りなかったことは


渡瀬  私は後から来た身なんですが、不平等な状況を巻き返したと思います。その結果としてシンガポールの試合を1つ、こちらに持ってくることができた。ひとつひとつやっていかないといけないところだと思います。サンザーは4つの協会が集まったもので一枚岩ではなく、それぞれがみんなが違った意向もった組織でやりにくい部分をあらためて感じています。それが、やってきたものとしての実感です。決して改善していないわけでもないし、かなり変わってきたところもあるし、かなりダイレクトな話ができるようになったと思います。


坂本 アンディー(サンザーCEO)からのコメントにもあるように、会話してきたからこそ、今後も継続してやっていきたいということですし、今回のサンウルブズの参戦については折り合いがあわなかったということです。2月に彼らがやってきて話をしたり、渡瀬さんが(飛行機で)飛んて話をしたり、直接話をしてきました。

--4つの協会の中で南アフリカが強行に反対をしたと言われています。なぜここまで強行に南アフリカに反対されたのか


坂本 SR入るときに最初に交渉したのは、マーク・アレキサンダーさんというワールドラグビーで理事をされている方です。彼らとは長くつきあっています。一緒にあって関係も悪くないですし、一緒に並んでラグビー見ています。いろいろなことを振り返ると日本でのW杯の開催が決まって国立でやりますと発表して、その2日後に国立競技場がなくなってしまった。その後にロンドンでワールドカップが開催され、南アフリカが日本の代わりにやりますと手を上げていました。

常にキーのところで日本と南アフリカが出ている。(2015年W杯の)初戦で南アフリカに勝ちました。特に南アフリカが日本を敵視しているわけではないと思います。トップリーグに南アフリカの選手・コーチは40人くらい来ていると思います。南アフリカの代表試合があれば日本のトップリーグはリリースしていますし、そういう意味ではwin・winの関係なのでいろんなところでコンフリクト(衝突)をおかしているわけではないと思います。現実的に今度、ワールドカップは壮行試合として南アフリカと対戦するわけですし、いろいろな意味があって駆け引きもあってそうしている部分があると思いますが、互いに手をつないでやっていることもあります。


渡瀬 誠意をもって、悪いとか 白か黒ではないと思います。人間関係の部分ですから。海外の人とつきあうときってそういうもんだろうと思います。おそらく海外とやりあったのはスーパーラグビーで勉強になったこと。これは日本の財産として残さないといけないと思っています。

--2021年以降、サンウルブズは他のリーグなりに参戦することになるのか


渡瀬 一個人として残したい気持ちですし、ファンの皆さんもそうだと思います。何がいいのか、感情だけでは、話させないと持っています。さきほどラピッドラグビーという話が出ましたが、まだまだ知らないこともあります。日本代表強化のためじゃないチーム、そうなると正義はなくなってしまう。ファンの中では「サンウルブズはトップリーグに参戦するのですか?」と聞かれ、それもまた困るんですが。


――日本協会もサンウルブズを残したいのか


坂本 日本代表の強化に寄与するということであれば残すことになると思います。ただ、どういう形で残すか、世界の動きの中でどういうふうに動かすかを考える必要があります。少なくとも1年半はスーパーラグビーしっかりと戦わないといけない。2021年以降、世界も動いていると思うので代表のハイパフォーマンスに寄与するかを一番に考えて、サンウルブズは日本代表が強くなるためのパスウェイだと思っていますので、ファンの方に見えるようにしていかないといけない。


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