ブレイブルーパスが新たな歴史を刻み始めた―ブラックアダーHC・リーチキャプテン記者会見コメント | ラグビージャパン365

ブレイブルーパスが新たな歴史を刻み始めた―ブラックアダーHC・リーチキャプテン記者会見コメント

2024/05/28

文●編集部


5月26日、14シーズンぶりに日本一、リーグワン初優勝を果たした東芝ブレイブルーパス東京。試合後の会見でトッド・ブラックアダーHCは「私たちが強くなれたのは、おそらく『信念』でしょう。選手たちのハードワークが勝利をもたらした」と評した。
チームを率いたリーチ・マイケルキャプテンは「終わった瞬間に堀江さんの最後の試合、一緒に最後の最後まで同じピッチにたったこと、本当に複雑な思いもあります。勝った瞬間に寂しさ半分。勝った喜び半分。」と心境を語った。

トッド・ブラックアダーHC

トッド・ブラッカダーHC

トッド・ブラッカダーHC



このような特別な瞬間をキャプテンのリーチと共有できることを嬉しく思います。 チームをこの上なく誇りに思います。今日の試合の流れというのは自分たちっていうのをまさに表した、このシーズンを表すことができたかなと思います。レジリエンスがあったことが粘り強さを試合中に維持できたのだと思います。

最初25分間に5回ぐらいターンオーバーでボールを獲得しましたが、全部相手に返してしまいました。ただ、そこからは本当に信じられないほど素晴らしいブレイブルーパスのアタッキングラグビーを見せることができたんじゃないかと思います。

逆に最初の25分間はブレイブルーパスらしいディフェンシブなラグビーも披露できたんじゃないかと思います。セットピースもスクラム、ラインアウトと非常に力強かった。私たちがより強くなれたのは、おそらく信念でしょう。選手たちのハードワークが勝利をもたらしたのだと思います。

そしてこのような素晴らしいラグビーでの試合ができたのは、非常に質の高いワイルドナイツのおかげです。色々な展開になったがすべては一つのプレーが結果を決めました。素晴らしいラグビーを素晴らしい観衆の前で行えたことを嬉しく思いますし、選手たち、ファンや東芝の人々をハッピーにすることができた。本当に誇らしい日になりました。


――リッチー・モウンガが今シーズンチームにもたらしたものは何か


世界の一流選手の中でも、リッチーほど多く決勝の舞台に立った選手はそう多くはいないと思います。彼はチームに必要なことをシンプルにかつ明快に伝えてくれます。


――昨年の11月中旬ごろだったと思いますが、ヘッドコーチから最初に出た言葉からは指揮官から変わらなければいけないということでした。


過去のシーズンは多くの学びを得たシーズンで、そして今年素晴らしいプレシーズンを送りました。週を追うごとに成長し続け、上昇を決して止めない。その中に多くの発見も刺激もありました。

非常にベーシックなことなんですけど、去年1試合平均5トライくらいとっていたと思うんですけど、優勝するには失トライを3以下に抑える必要がある。そこでディフェンスコーチを新たに呼びました。



昨年はトップ4には一度も勝てませんでした。だから、チャンピオンになるにはどうすればいいか、何を変えなければいけないか、という基本的なところからチームをスタートさせたんです。それが基本的なスタートでした。

優勝することをイメージした時にどんな変化を加えたらいいだろうかを問いました。それで私が最初にやったことはというと、今私の隣にいる彼をキャプテンにしたことです。彼にキャプテンとしてチームを引っ張ってほしいと思った。それがコーチ陣含め本当にチームにいい変化をもたらしました。

――今日逆転トライ決めた森選手もそうですけど、3、4年前から若い選手を起用されてきて、今日のフロントロー(木村星南・原田衛・小鍜治悠太)も、相手の日本代表3人と互角に組んでました。彼らの成長をどのように感じられていますか。

原田衛

原田衛




本当に誇りに思います。私たちには若い優秀な選手がたくさんいる、本当に良いチームだと思います。ですから、私たちは育成に懸命に取り組みましたし、彼らはプレーする権利を自分たち自身で掴み取ってきたので、自信を持って起用し信頼しています。

彼らは本当に自分たちを信じているんです。だから、素晴らしいことだと思います。彼らが自分自身を表現し、いいプレーをしているのを見るのは、嬉しいことです。さらに今後もっと若い選手がチームから出てくると思うので喜ばしいことです。

――ロビー・ディーンズ監督とは、今シーズン序盤で試合後、2人でビールを飲みに行くと言っていました。近々実現しそうですか?今回はどちらが奢りますか?


おそらく私の番です。喜んで彼にビールを振る舞いますよ。ロビーとはほぼ私の生涯全てにおいて付き合いがあります。まだ幼い頃カンタベリーに来た時にシューズをもらいました。ロビーはスターでした。彼はカンタベリーのフルバックで、私のアイドルの一人でした。

そしてやがて一緒にプレーするようになり、その後カンタベリーやクルセイダーズで私はキャプテン、彼はコーチという間柄で一緒に仕事をしました。それからずっと付き合いは続き、そして日本で対戦し合うようになりましたが、彼がいつも一枚上手で、これまで彼のチームに勝ったことは一度もありませんでした。

ロビー・ディーンズ監督

ロビー・ディーンズ監督



そんな彼が「もし君に負けるなら仕方がない」と言ってくれました。本当に偉大な人です。私は尊敬してやみません。試合後はいつも近寄って私に賞賛を述べてくれる高い品格の持ち主です。私たちは互いに尊敬しあっているし、友人でもあるのです。

彼とこの決勝という瞬間を分かち合えて、本当によかったです。どっちに転んでもおかしくなかった試合でした。彼は偉大なコーチです。彼のチームが成功しているのには理由があるんです。

最後にジャーナリストとして、メディアとして、ラグビーという偉大なゲームについて書いてくれた皆さんに感謝したいと思います。素晴らしい大会でした。



試合の質、選手、コーチ、監督、そしてチームの質。つまり、リーグワンのラグビーは質が高いです。今日の観衆を見ても、それがわかるでしょう。この素晴らしい試合で選手がプレーしてくれたことに感謝します。選手にとってもファンにとっても私たちは素晴らしい大会を行えました。今日のような瞬間は、私たちが一生忘れられない思い出となるでしょう。ありがとうございました。

東芝ブレイブルーパス東京 NO8リーチマイケルキャプテン

リーチ・マイケル

リーチ・マイケル



まず今シーズン通して、多くのファンがブレイブルーパスを応援してくれて本当に感謝しています。そして今日やっと優勝できて、本当にホッとしています。終わった瞬間、堀江さんの最後の試合、一緒に最後の最後まで同じピッチに立てたこと…。本当に複雑な思いもあります。勝った瞬間に寂しさ半分。勝った喜び半分。

本当に東芝がこの5年間積み重ねてきた努力がやっとトロフィーを府中に持って帰ることができて本当に嬉しく思います。 今日は北府中に帰ってビール飲んで一晩過ごしたいなと思います。本当にありがとうございます。

――リッチー・モウンガが今シーズンチームにもたらしたものは何か


彼がチームにもたらしたものは、ラグビーIQのレベルの高さです。つまり、彼はあれほど成功したチーム(クルセイダーズ)の一員であり、世界で最も成功したチームのひとつであるオールブラックスの一員なのです。ですから、彼がチームにもたらしているものは計り知れません。

彼の意思決定、一週間の過ごし方、試合のコントロールの仕方、そして選手やスタッフへの意識の持たせ方などです。ラグビーのIQのレベルをもう一段階上げてくれました。試合運びやキックの入れ方、彼がどんなオプションを取ったか、今日はそれが顕著に表れていたと思います。

リッチー・モウンガ

リッチー・モウンガ




――後半から堀江選手が出てきてワイルドナイツのディフェンスはどのように変化したか


後半入ってきて、どっちかといったらセットプレー、スクラムどう変えてくるかなと思って見たんですけど、でも割とブレイブルーパスは圧力かけることもできたし、ディフェンス面では声がやっぱり通りますね。誰が右に行くか左に行くか、そういうコールはいつもと同じ感じでした。でも最後はやっぱり最後で勝ちに行くっていう時には、いろんなところで声出したり、パスつないだりはしていました。

堀江翔太

堀江翔太



――決定的なTMOが前半と後半の終わりに2回ありました。それぞれどういう感覚で見ていましたか


今日は本当によく、まあ今日もですけど、見てくれていました。本当に、僕も試合中に気づかないことをしっかりレフェリーも見ていたりして、 今日も良かったと思っています。


――今日の勝因って一番なんだと思いますか?


なんだろうな。TMOじゃないですか、今日は。 もうトライを取るか取らないか、本当に微妙なところで、もうフォワードパスがフォワードなのか、フォワードじゃないかっていうところ、まあそこかなと思います。全体的にディフェンスもよく頑張ったし、セットプレーも安定できたので、その三つですね。




――終わった後、そんなに喜んでなかったように見えたが


いや、もっと「よっしゃー」って感じ出るのかなと思ったら、やっぱり堀江さんの最後の試合だったし、最後、自分たちのなんだろう…なんでだろう、わかんないです。でもまあさっき言った堀江さんの最後の試合ということで寂しさ半分、あと喜びの半分。まあ、この後しっかりロッカールーム帰って、しっかり喜びたいなと思います。


――この勝利はリーチさんのラグビー人生にどういう意味を持ちますか?


人生初の全国優勝。本当に時間かかったんですけど、ここでできて。大事なことはこれがちゃんと継続できるように、メンバーも入れ替えも激しい中で、しっかり継続できるようになる、レガシーを残していきたい。




――胴上げって初めていいですか?


初めてです。


――どんな気持ちでした?


複雑な気持ち、気分でした。でもすごくしっかり体幹を決めてやっていました。


――安定するためにああいう姿勢で。


そうですね、はい。





―― いい気分ですか?


もっと上げてほしかったです。


――それは次回以降


次回ですね。まあ府中でやってもらいます。

――今回ブレイブルーパスが勝ったっていうのは、プロクラブが、初めて日本のタイトル取ったことになると思うんですけども、その辺の意義とかやプロクラブになって、チームがこう変わっているみたいなことはありますか。


僕は本当にもうパフォーマンスだけしか考えてなくて。今年、クラブとしての方針とか全く触れてないです。でも勝ったことによって、見てた学生とかも、東芝でプレーしたいという選手も増えるだろうし、東芝のラグビーを見て応援したいファンも増えると思うので、その二つが非常に大きいかなと思います。


――ラスト10分ぐらいワイルドなイツに逆転されたシーンで、この時、何を考えたのか?周りにどんな声をかけたんでしょうか?


トライ取られた瞬間、さすがパナソニックだなと思った。もう本当にいつも最後負けるなと思ってた。その時、でも(残り)1分もあって、もう次に切り替えてキックオフ短く蹴って、ボールを取ったら、もうどんどん攻めていくことを考えてました。あとは向こうがボール取ったらチョークタックルしてターンオーバーして攻めるその二つです。


――チームにどんな声をかけたんですか?


勝手なことをしない。あと、もうどんどん自分たちのラグビーをしましょう。また、ジャッカラーが本当に速くてインサイドスポットだけ遅れないように。 ディフェンスはやっぱり一人が飛び出ると(松田)力也が行ったり、ディラン・ライリーが行ったりとかも、そういうのを気をつけてました。


――リーダーにって言われた時はどんなことを考えました?


最初もう嫌だったんですけど、自分のことだけ集中しようと思ってたけど、リーダーやるってなった時にもう責任を持って、すごくチームの中でダメだったことも全部変えたり、練習があんまり良くないと思ったことを全部変えて、いろいろフィードバックして、本当に最後の最後までフィードバックし合ったりして、本当にいいパートナーシップができてると思います。これが続くかどうかまだわかんないですけどね。


――若い年代の選手たちが東芝にもたらしてくれてるものっていうのは、どういったふうに感じていますか。


試合に出たい意欲も強くて、試合に出たいだけじゃなくて、もう日本代表になりたい。もっとその上に、スーパーラグビーでプレーしたい。インターナショナルプレーしたいって欲があって。そして本当に練習の量も素晴らしい。5年前の若手と比べたら、本当に練習量はすごく多くて、もう向上心をすごく感じます。


――今日の試合に入るまでの感情とヘッドキャップずっと表彰式の時もずっとかぶっていたのは何か特別意味があった?


いや、特にヘッドキャップは(意味が)なくて、なくさないように、近くに置いとこうと思ってただけです。でもワクワクと緊張もちょうどいいバランスで(試合に)入れたかなと思います。

今日キャプテンとして何ができるかなと思って、いろいろ考えたらやっぱタックルと、とにかく選手への声かけ。ポジティブな声かけ、それは80分できたかなと思ってます。



――緊張という感じではない?


緊張とワクワク両方ですね。あんまり硬すぎず、緊張しすぎて喋れないとかじゃなくて、本当にバランスよく入れたかなと思ってます。いい状態で入れたかなと思います。


――試合序盤から終盤にかけて気持ちの変化は?


自分たちの表情をよく気にしたりしてて、あと向こうの表情。試合中に向こうの表情がどんどんどんどん暗くなって、自分たちがどんどんどんどん生き返ったりしてて。それはすごく良かった。

それを気づいて、僕たちはペナルティもらってショット狙った時にミスって、相手が元気になって、自分たちがちょっと気持ちダウンしたんですよね。そこからパナソニックがどんどんどんどん、いいプレーを続けて、自分たちがミスを犯したり、ペナルティしたりトライされたり、ちょっと気持ちの変化があって。

キャプテンとしてはどんどんポジティブな声を出したり、ポジティブな表情を出したり、みんながちゃんと同じ方向を向くようにそういう声かけをしてました。


――ポジティブな声がけというのはどんな内容のものですか?


いいことがあったら、その選手の名前を出して『よくやったぞ』とか。 ワーナーとかMCにはいいコミュニケーションを取った。『リッチー、いいキック』『フリゼル、いいタックル』『ワーナー、いいジャンプ』『ナイススクラム』とかそういう声がけをしてました。

あと、ファンの応援がすごくあって、すごく応援してくれてる感じがありました。試合前から、他チームから優勝してほしいっていう声もあって、本当に今日形にできてよかったと思っています。

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