NTTジャパンラグビーリーグワン第5節、埼玉パナソニックワイルドナイツが横浜キヤノンイーグルスを50-21で下し開幕から5連勝を飾った。
2026/01/19
文●大友信彦
先制したのは埼玉。5分、ハーフウェー左のラインアウトからSH李錦寿のキックをFB野口竜司が捕り、すぐに左に展開してLOコーネルセンが左中間にトライ。WTB竹山晃暉がコンバージョンを決め7点を先行する。

埼玉SH李錦寿

ハイボールを競り合う横浜・石田と埼玉・野口

エッジを突破する横浜FLハーモン
埼玉はさらに14分にラインアウトモールからHO坂手淳史、20分にはFLボーシェーのオフロードパスでLOコーネルセンが2本目のトライを決め21-0までリードを広げる。

20分、ボーシェーからのオフロードパスで⑤コーネルセンがトライ
リードされた横浜Eは22分、SO田村優の50:22キックで敵陣に入って反撃開始。24分、左ラインアウトからの右ムーヴでFB森勇登が走り切りイーグルス移籍5戦目で初トライ。さらに森がコンバージョンも決めると、30分には相手ゴール前PKをクイックスタートしてHO中村駿太がトライ。14-21と追い上げる。

24分、横浜FB森勇登が横浜移籍初トライ

森がコンバージョンも成功

30分、横浜HO中村駿太がトライ

4戦連続先発の横浜SH土永。デクラーク直伝のボックスキックが冴えた
横浜はその後、前半33分にPR岡部崇人がハイタックルでイエローカード。埼玉は前半終了直前、モールを押すが、HO坂手がグラウンディングしきれず落球。惜しくもトライを逃したが、相手ドロップアウトから再び攻めてPKを獲得し、山沢がPGを成功。24-14とリードを広げて折り返す。
折り返した後半は7分、埼玉SO山沢拓也のゴール前キックをCTBヴィンス・アソが確保し、サポートした竹山がトライ。ここでチェイスしたアソに足をかけたとして横浜SO田村にイエローカードが出されてしまう。

46分、埼玉WTB竹山がキックを追ってトライ

横浜SH土永、デクラーク直伝の背面ボックスキック
再び14人のピンチになった横浜だが、ここはユーティリティプレーヤーの森勇登がSOに入って難しい時間をマネジメントし、さらにこれが日本デビュー戦となった元オールブラックスのHOリアム・コルトマンが後半から入ってスクラムを立て直し、数的劣勢の10分間を無失点で我慢。ここをしのいだ横浜は15人に戻った直後の22分にSH土永旭が自身リーグワン初トライ。後半登場のFB武藤ゆらぎが右隅のコンバージョンを決め21-29まで追い上げた。

横浜の武藤は後半FBで出場、右隅の難しいコンバージョンを決めた

後半出場の埼玉FB山沢京平、明大の後輩石田吉平のプレッシャーを受けながらハイボールを捕球

山沢拓也が右隅の難しいコンバージョンを成功
だが残り15分で勝負を決めたのは埼玉だった。
28分、相手ゴール前ラインアウトモールから狭いサイドに走り込んだWTB竹山がトライ。右隅の難しいコンバージョンを山沢拓也が蹴り込むと、32分にはCTBダミアン・デアレンデが相手タックルを飛び越えて左中間にトライ。36分には坂手に代わってピッチに入ったルーキーHO佐藤健次がラインアウトモールからボールを持ち出すと、絶妙なボディバランスで次々とタックラーを振り払い右中間に豪快なトライ。山沢京平がコンバージョンを決め、スコアは50の大台に。

72分、埼玉CTBデアレンデが相手LO久保のアンクルタップをかわしてトライ

76分、埼玉HO佐藤健次が右ゴール前ラインアウトからタックルを次々とかわしてトライ

トライを決めた佐藤の雄叫び
ラスト15分に3トライを畳みかけた埼玉WKが50-21、BPつきの勝利で開幕からの連勝を5に伸ばした。埼玉は勝ち点24でスピアーズと同点。前節終了時は得失点差で1点下回って2位だったが、今節は奇しくも埼玉、スピアーズともに29点差の勝利で、前節に続き得失点1差で1位スピアーズ、2位埼玉となった。

試合を終え、観客に手を振る竹山ら埼玉の選手たち
埼玉パナソニックワイルドナイツ・金沢篤HC

金沢篤HC
「リーグワンは本当に競争力の高いタフなリーグで、毎週激しい試合が続きます。それは今日も同じで、今日もプレッシャーを受けていくつかミスはあったけれど、選手たちがしっかりと立ち戻ってくれて、最終的に勝ち点5を取れてよかったです」
――前節から先発は2人変更しました。メンバー編成の狙いを聞かせてください。
「何人かケガをしている選手はいますが、基本的に現時点で練習できる選手のベストの23人をピックしています。今までと同じです」
――POMのジャック・コーネルセンについて。
「ジャックはプレーのクオリティと一貫性が本当に素晴らしい。出たすべての試合のすべての面でトップレベルのプレーを見せてくれる選手です。今日も同じクオリティでプレーを見せてくれた」
埼玉パナソニックワイルドナイツ・坂手淳史キャプテン

坂手淳史キャプテン
「タフなゲームでした。最終的にスコアは開いたけれど、後半25分までは10点差以内の戦いだったし、キヤノンさんは今季はなかなか勝てていないけれど力はあるし、プレッシャーを感じながら準備してきました。今日はミスもあったけれど、その中で自分たちの力を発揮することができた。ゲームの中で選手たちがしゃべり続けて課題を修正できたのが良かったし、これを今後につなげていきたい」
――試合運びについて。
「前半はアタックで良いスタートを切れたし、ディフェンスはゲームを通じて良かった。相手がキックを蹴ってプレッシャーをかけてきたとき、そこにアジャストするのに苦労して、うまくいかない時間もあったけれど、試合を通して焦らず、ペナルティをせずに落ち着いて戦えたと思います。前半に2トライを取られたときも、そんなにフラストレーションを感じるような展開ではなかったし、気持ちを落とさず、フラストレーションをため込まないように、落ち着いて試合に戻っていけたのが良かった」
――後半、相手に元オールブラックスのコルトマン選手が入ってきました。
「前半の(中村)駿太とはタイプが変わって、対応がちょっと難しい感じがありました。サイズが違うし、力強いスクラムを組みますね。上に持ち上げてくるようなスクラム。事前情報がなかったし、対応するのにちょっと時間がかかってしまいました」
横浜キヤノンイーグルス・レオン・マクドナルドHC

レオン・マクドナルドH
「ワイルドナイツは何度もチャンピオンを取ってきたとてもいいチーム。その相手にチャレンジすることは私たちの力を証明するチャンスだと思って臨んだ。良いプレーもあったし、トライを取られてもカムバックして取り返したけれど、スクラムやラインアウトでうまくいかないところがあった。これからの改善ポイントです」
――セットプレーに苦しんだ。
「我々が長い時間をかけてトレーニングしている部分、大事にしているところですが、ワイルドナイツは強いセットを持っていて、我々を崩しに来た。ただ、我々も自信を持っているところだし、今日はコルトマンがデビューして、スクラムの不安定だった部分を修正してくれたけれど、今日も大事な局面で良いスクラムを遂行できない時間があった。修正しないといけない」
横浜キヤノンイーグルス・ジェシー・クリエルキャプテン

ジェシー・クリエルキャプテン
「ワイルドナイツはとても良いチーム。その相手に対して長くプレッシャーをかけることができたのは良かったけれど、ベーシックスキルの部分でまだ足りないところがあって、自分たちを苦しめてしまった。この1週間は良いトレーニングができて、勝つマインドでこの試合に臨むことはできた。チームメイトの努力には誇りを持っています。ただ、ベーシックスキルについてはまだ改善が必要です。今回はコーチ陣と選手たちでミーティングをして、良いゲームプランを作って、それが遂行できたときはトライを取れたけれど、それを80分間続けることができていないのが現実です」
SCOREBOARD
横浜キヤノンイーグルス
埼玉パナソニックワイルドナイツ
大友信彦(おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |

大友信彦