太陽生命ウィメンズセブンズシリーズは、シニアグレードのチーム、大学の単独チーム、大学とシニアの混成チームなどなど、多様なチームが参加しているのが特徴だ(何しろ2017年までは石見智翠館も高校単独チームで参加して、シニアチームを破ったりしていたのだ)
若い選手にシニアグレードの試合を経験させるという意味で、大学チームが参戦しているのは意義深い。東京五輪の女子セブンに出場したサクラセブンズで共同主将を務めたライチェル海遥、清水麻有をはじめ追加登録で気を吐いた山中美緒、黒木理帆や梶木真凜、原わか花、平野優芽、堤ほの花、小出深冬、大谷芽生、永田花菜ら多くの選手が高校生時代から大学時代にかけて太陽生命シリーズで実戦経験を積み、キャリアアップを果たして世界にこぎ出したのだ。
ということで、新戦力情報第2弾は大学チームを中心にお届けする。
日本体育大学

畑田桜子
大学チームの旗手、過去2度の総合優勝を数える日体大には6人の新戦力が加入した。筑紫高/福岡レディースのFL畑田桜子は昨秋のサクラ15欧州遠征に参加。

向來桜子
関東学院六浦から加入のNo8/CTB/WTB向來桜子は昨夏のオッペンカップ、昨秋の全国U18女子セブンズでKGMの優勝に貢献し、ともに大会MVPを獲得。15人制と7人制、両方の日本代表候補に名を連ねる。

高橋夏未
さらに國學院栃木から加入のS0高橋夏未は視野の広さと走力・決定力を併せ持つ司令塔。この3人は昨年の太陽生命シリーズにチャレンジチームで参戦。鈴鹿大会では高校生で固めたメンバーで参戦して三重パールズを破るなどすでにシニアの経験も豊富だ。鈴鹿では畑田と高橋はともに大会4トライをあげた。

峰愛美
さらに九州から佐賀工の主将としてオッペンカップ準優勝、自身もストロングガール(SG)キャンプに参加したPR峰愛美、宮崎・富島2年でU18女子セブンズを経験したLO松田奈菜実が加わり、U18女子セブンズで3位になった麗澤からも15人制TIDメンバーのPR持田音帆莉(ねおり)が加入。峰は高1の2019年12月に行われたU18花園15人制に西軍で出場しているなど、たのしみなメンバーばかりだ。
RKU龍ケ崎グレース
日体大とともに、女子ラグビーを(7人制と15人制の両方で)リードしてきたのが流経大のRKU龍ケ崎グレース。2019年度は15人制で初の日本一(アルテミスターズと引き分け両者優勝)。昨年の太陽生命シリーズは総合順位6位。チーム的には満足できない順位だろうが、大学生チームでは最高順位だった。
こちらの新加入選手は6人。

内山華蓮
流経大柏から加わったSH/SO内山華蓮(かれん)は流経大の男女ラグビー部を統括する内山達二監督の娘、昨夏のオッペンカップでも活躍。多くの進学・プレー先オプションからグレースを選択した。中学時代は柔道を経験しているというキャリアも魅力だ。同じく流経大柏からは、筑波大に進学したストロングガールキャンプ参加者のLO城遥花もグレースに参加する。

高井優花
さらに石見智翠館からCTB/WTB高井優花、PR/LO藤原海心、國學院栃木からSH鈴木凜々、栄徳からCTB成瀬春菜が加わった。
そして、「新戦力」というか現役復帰を果たすのが2017年ワールドカップ日本代表HOの小林ちひろ。昨年、いったんは引退したが1年のブランクを経て再び選手登録。FW第1列から司令塔のSOまでこなす万能プレーヤー。主戦場は15人制になりそうだが、コンディションが整えば、もしかしたらセブンズシリーズに久々で参戦もあるか?
【追記】なお、昨季の4年生のうち、SO大塚朱紗(あやさ)とLO川村雅未は引き続きグレースに在籍する。活動の軸足はサクラフィフティーンとして10月の15人制ワールドカップを目指すことになりそうだが、状況によってはセブンズでもプレーを見られるかもしれない…。
追手門学院VENUS

津田佳梨
昨年総合7位だった追手門学院には6人が加入。昨秋のU18女子セブンズでプレートで優勝した追手門学院のメンバーから主将の松下小雪はじめ、岡本瑠伊、田中愛花、丸山小都子の4人と,京都成章から宮村彩加、鳴門渦潮から津田佳梨という6人だ。

丸山小都子
松下と岡本はセブンズユースアカデミー、丸山と宮本はストロングガールキャンプの経験者。津田は鳴門渦潮で3年連続U18セブンズ出場。昨秋は主将かつキッカーとして2T5Cの20得点をあげた。
昨年は太陽生命シリーズのあとの7月に行われたカレッジセブンズで6年ぶり2度目の優勝を飾った追手門。新鮮力を得て、まずは初の大会優勝を目指す。
アルカス熊谷(立正大)

園村音羽
日体大と同じく過去2度の総合優勝を果たしたアルカス熊谷は大学生と社会人の混成クラブだが、ベースは立正大だ。今季は立正大に5選手が加入した。
石見智翠館から主将の農山紗叶(のうやま・さき)と永山風桜(ふうら)の2人。京都成章から主将の園村音羽(おとは)と向井楓葉(いろは)の2人、そして四日市メリノールから宮波ひなの。

永山風桜
園村は昨年のチャレンジチームメンバーで太陽生命シリーズに出場、鈴鹿大会で1トライをあげた。園村は昨秋のU18女子セブンズで大会最多タイの6トライをあげ、得点部門でも6T6Cの42得点。得点王こそ松田向日葵(追手門)に2点及ばず逃したが、高い得点力をみせつけた。
さらに永山も同じU18女子セブンズで3T6Cの27得点をあげており、得点力は高い。
2016年以来の総合優勝を狙うアルカスに、新鮮力がどんな風を吹かせるかに注目したい。
四国大

中村沙弥
そして、昨季初めてコアチームとしてのシーズンを送った四国大。昨季の共同主将だった井上藍、吉田萌香ら創部メンバーが卒業し、第2期ともいえる新時代を迎えるわけだが、今季の新加入選手は「ゼロ」。コロナ禍で県内から出ることができず、勧誘活動ができなかったというが、強烈なリーダーシップと存在感を持っていた創部メンバーが卒業したことは、新しい力が躍動するチャンスでもある。国内女子最長身のFW中村沙弥(4年)は「身長が1cm伸びて178cm、体重も71kgと大きく強くなりました」と山中監督。昨季からスケールアップした選手たちの躍動に期待しよう。
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |