目指すは「アタッキングディフェンス」サクラセブンズ、ハレ・マキリHCインタビュー | ラグビージャパン365

目指すは「アタッキングディフェンス」サクラセブンズ、ハレ・マキリHCインタビュー

2021/01/25

文●編集部


1月25日(月)、18日(月)~29日(金)にかけて、東京五輪に向けて埼玉・熊谷で女子7人制ラグビー日本代表候補選手たちは20名ほどで強化合宿を行っている。オリンピックイヤーとなる今年から新しく指揮官に就任した元15人制ラグビーの男子日本代表経験もあるハレ・マキリHC(ヘッドコーチ)がオンラインで報道陣に対応した。

――ヘッドコーチに就任しての心境は?


来日前はいろいろ入り交じった気持ちでした。どう選手やコーチにアプローチして、私の持っている情報をどう若い女子選手に伝えるか複雑に考えていたところがあったが、数週間経って、今(の心境)はもっとポジティブ、エキサイティングな気持ちになれています。(ヘッドコーチとしての)感触を得るようになってきて、今のチームの選手たちをプレイヤーだけでなく、人間としてもっとよくできる、成長させてあげるのではないかと思っています。今は(特に)選手たちに自信を培うことをやっています。

――いつ来日したのか? ニュージーランド(NZ)ではどんな準備をしていたのか?


リリースがあった2週間前に日本ラグビー協会からオファーを受けました。来日したのは1月7日です。ヘッドコーチに就任が決まった後は、NZにいる間、たくさんゲームを見て準備してきました。合宿がこれからあるという想定で、選手のプレーぶりや特徴を見て材料を増やしていました。誰にも(アドバイスなどは)聞かなかった。他から方の情報なくて、自分の理解でチームを知りたかったので、ゼロの状態で来ました。


――先日、男子のコーチングをしながら女子も見ていたと話していました。2回の合宿でいっしょにやってどんな感触を得ましたか?


彼女たちがハードワークすることはわかっていたが、どれだけハードワークするか自分はわかっていなかった。実際にどれだけハードワークを目の当たりにしました。自分が思っていた何倍も10倍もハードワークしていて、自分が持っている情報で指導することにはやりやすさを覚えています。

彼女たちは本当に成長したい、強くなりたいと思っているからです。
女性がみんなで強い意志を持って集まってやるとすごい力を生むことは、往々にしてあると思います。グラウンドの練習では、軽い交通事故のような当たりをしていて、こっちがびっくりするくらいですが、それも彼女たちの熱意の表れだと思います。

――東京五輪まであと半年。今、伸ばしていかないといけないポイントは?


時間という観点では、なかなか、大きな挑戦になると私も認識しています。(東京五輪まで)この限られた時間で何をやるか考えたとき、変えられることは何かと考えた。今のチームで変えるべきことはゲームにおけるマインドセットです。チームで長いこと同じメンバーでプレーしていると、ものの味方が固まって、それが普通になってしまうことがあります。今回の合宿もそうですが、ちょっと違う角度からの考え方、アプローチをどんどんチームに取り入れるようにして、今、目に見えていい形になってきて功を奏してきた。

それを通じて選手の自信になって変わってきた。(東京五輪まで)限られた時間の中で私が伸ばしていくということではマインドセットだと思います。

――先日、黒木さんが1on1のミーティングが増えたと言っていました。マインドセットを変えるために1on1ミーティングを活用しているのでしょうか?


一人ひとりの性格が違うので、チームがこうしようと思っていても、(個々に)まったく同じ役割を与えることができない。違いを理解する。同じことを言っても違うリアクションをする選手もいるので、それを理解するためにも1on1ミーティングが大切。それをやることで選手にエンゲージしている感覚、理解が深まります。パーソナルコミュニケーション、人としてのつながりが大事だと思ってやっています。


――個々の選手のキャラクターをどう理解したか? こういうキャラクターの選手がほしいなどがありましたか?


どちらかというと新しい別のキャラクターをこれから加えていきたいというより、今いるチームの選手たちは全般的にいいスタイルのチームだなと思っている。

ここを成長させたいという思いが強いです。それができた上で、キャラクターとしてもチームの幅を広げていきたい。そうなったときに、視野を広げて他競技から転向してきた選手とか可能性はあると思いますが、今の時点は、今いる選手の成長に集中したい。

今、ここにいる選手がこれからの(日本の)女子ラグビーを背負う選手だと思うので、もっともっと強くなり活躍すると、選べる選手が増えると思います。

――最近は、男子に比べ、女子のセブンズのレベルが上がっている。世界に通用していると感じること。この半年でもっと強化しなければならないと感じているところは。


とてもいい質問です。テクニカル的な話よりも仕組みの話になってしまいますが、女子の成長、高校、大学、選手たちがパスウェイできる階段のような一環した仕組みを作る必要が根底にある。そこに乗っかった上で才能ある選手たちが年齢とともに成長できると思います。

通用する点は、まだ時間がないのであまりわからないが、素晴らしいスキルや向上しているところはあります。その中でもディフェンスが大きい。ゲームの基本的な理解を深めて、もっと伸ばすことができると思います。オリンピックまでもっと伸ばしたいエリアはディフェンスです。オリンピックでは一番ディフェンスがいいチームと言われたいです。

――始動して間もない、どういうラグビースタイルで世界に勝利していくのか。チームスローガンはありますか。


アタッキングディフェンスをやっていきたい。我々が目指すラグビーは、エキサイティングでとてもオープンで、アタッキングなラグビーです。選手はそれをやるだけの力がある。やるためにはボールを獲得しなければならない。

スローガンはこれからできてくると思います。ただ、スローガンを作るのは私ではなく選手たち自身だと思っていますし、それを望んでいます。彼女たちが練習やグラウンドで自分たちがやってきたことを通じて何を成し遂げたいかを言葉にしていってほしい。


■女子セブンズ日本代表 新ヘッドコーチ プロフィール

氏  名: ハレ・マキリ(Hare Augustus Te Waimotoe Makiri)

生年月日: 1978年5月31日

出身地 : オークランド(ニュージーランド)

出身校 : セント・ステファンズ高校

選手歴 : 

◆主な所属クラブ

2000年 Chiefs(当時Super12。現在のSuper Rugby)

1998年~2001年 NZカウンティーズマヌカウ(当時NPC。現在のMitre10)

2002年 鐘淵化学(当時 関西社会人リーグ)

2003年 福岡サニックスボムズ(=当時。現在の宗像サニックスブルース)

◆代表歴

1996年 NZ U18、 1997年NZ U19、1998年 NZ U21

1998年、2001年 NZ マオリオールブラックス

2005年4月16日 ウルグアイ代表戦(@モンテビデオ)で日本代表初キャップ(通算26キャップ)

◆ポジション:ロック、フランカー

指導者歴 :

2016年~2017年 
宗像サニックスブルース フォワードコーチ

2017年7月~ 
男子セブンズ日本代表アシスタントコーチ
アジアラグビーセブンズシリーズ2017 コーチ
アジアラグビーセブンズシリーズ2018 コーチ
HSBCワールドラグビーセブンスシリーズ2017-2018 アシスタントコーチ
HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2018-2019 コーチ
HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2019-2020 コーチ
オセアニアラグビーセブンズチャンピオンシップ2019 コーチ

       

■ハレ・マキリHCの就任コメント

「私は、42歳になってなお毎日、もっといい自分になろうと努めています。私には、尊敬、誠実、信頼、献身という4つの信条がありますが、コーチングの環境に身を置いてみて、選手がまず人間として成長するため、そして、自分のスキル、マインドセット、能力を向上させていくためにも、これらのことが4つの柱になると思っています。

トレーニング、過程、準備、心の持ち方など様々な部分で、自分のラグビー人生の内外で培ってきた知識や経験を共有していき、このような状況下で満足のいく選手の成長や自信が見られるようにしたいと思います。

オールブラックスのウェイン・スミスアシスタントコーチが、『ワールドクラスの努力をすることは、ワールドクラスの選手じゃなくてもできる』と言いました。

Bloom blossoms bloom(桜の)花を咲かせましょう」


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