9日は全国高校選抜大会の決勝がありました。僕は熊谷までは行けなかったのですが、桐蔭学園が京都成章を破り、初優勝を飾りました。おめでとうございます。ひとりのOBとして嬉しいのはもちろんですが、それ以上に、桐蔭学園が毎年、全国でもトップレベルのチームを作り続けていることに、改めて、深く敬意を表したいと思います。
いい選手が入ってくる面もあるでしょうが、それにはどうしたって波がある。毎年これだけの成績を残し続けているということは、チームとしての人材育成力が高いという証明だと思います。
実は3月末に、渋谷の電車のホームで、僕は桐蔭の部員数人と出くわしたんです。「桐蔭の部員? オレ、OBなんだけど…」と話しかけたんですが、「これから熊谷の選抜大会へ行くんです」と聞いて「応援に?」と聞いたら「いえ、出ます」という答えが返ってきて(笑)。
4〜5人で、駅のホームで電車を待っていたから、僕はてっきりノンメンバーだと思ってしまったんです。メンバーはバス移動だろ、と思い込んでいて……でも、その選手たちが、桐蔭にとって初の単独日本一を勝ち取ってくれたんですね。失礼なことを言ってしまいました。ごめんなさい。そして、選手のみなさん、藤原監督はじめコーチングスタッフのみなさん、本当に、優勝おめでとうございます。
そして、サンウルブズです。素場らしかったですね!
讃えたいことはいろいろあるのですが、僕が何よりも思ったのは「これは6試合かけての勝利だ」ということです。
ここまでの5試合でサンウルブズが多彩なオプションを見せてきたから、ブルズのディフェンスは複数のオプションに対応せざるを得ない状況だった
今季のサンウルブズは開幕から、多彩なオプションを見せてきました。開幕のハリケーンズ戦から、キックを多く使って、いろいろなアタックを見せてきました。キックを多用することには賛否両論があったと思いますが、ここまでその戦法を貫いてきた結果として、この6戦目があった。
具体的に言うと、ブルズのディフェンスは、サンウルブズのアタックに対して、キックをケアすることで前に出てこられなかった。その結果、サンウルブズは、フェイズを重ねたときに、ほぼ100%ゲインすることができたわけです。キックのオプションを使ったときを含めて、サンウルブズは、ポイントからボールを出したとき、ほぼ100%、ボールを下げずにアタックで前にボールを運んで、サンウルブズは常にスピードに乗った状態で前に出ながらボールを追いかけることができた。チーム全体が前に出続けたわけです。逆に言うと、ブルズのディフェンスは、常にサンウルブズの複数のオプションの圧力にさらされて、ディフェンスの的を絞ることができなかった。
これは、1試合ではできなかったことです。サンウルブズが、常に多彩なオプションを見せてきたから、ブルズのディフェンスはサンウルブズの複数のアタックに対応せざるをえない。この時点で、サンウルブズはすべての攻防で先手を取って優位に立っているわけです。