「ワクワクしています」
NECとの一戦を控えた7日、日野市百草の帝京大グラウンドでの練習を終えた流大(ながれ・ゆたか)キャプテンは、朗らかな笑みを浮かべてそう言った。
「円陣では、メンバーに対しては、メンバー外の応援を自分たちの力にして、80分間、今までやってきたことを貫き通そう。全体に対しては、もう一度全員のエネルギーをひとつにして明日に臨もう、明日でシーズンが終わるんじゃなく、新たなスタートになるよう、全員で気合を入れていこうと話しました。これが最後の練習になるかもという考えですか? 全然、考えてません。来週も練習するという考えだけです。たぶん、部員みんな、ポジティブなことしか考えてないと思う。明日に対する期待感は、去年よりも大きいものがありますね」
2月8日、秩父宮ラグビー場。
日本選手権1回戦で、帝京大はトップリーグ10位からワイルドカードを勝ち上がったNECと対戦し、31−25で堂々たる勝利をあげた。学生チームがトップリーグ勢を日本選手権という公式戦の場で破ったのは、2005年度の早大がトヨタ自動車を28−24で破って以来9年ぶりの快挙だ。帝京大にとっては無論初めての偉業だ。
その試合後の会見で、流主将が真っ先に口にしたのは「感謝」だった。
「1年間、トップリーグを目標に掲げてきたので、勝てたことを嬉しく思います。これまで多くの方のサポート、社会人の方が快く合同練習を受けてくださって、成長することができたことに感謝しています」
大学チャンピオンとして臨んだ6度目の日本選手権でつかんだ初の快挙は、あくまでポジティブなアプローチで導かれた。