あけましておめでとうございます。翔太です。今年もよろしくお願いします。
今季、僕がスタッフに加わっている早大は残念ながら正月に残ることができませんでした。それはもちろん残念なことですが、今回はこういう機会ですし、客観的に、帝京大と明大の決勝を見させていただきました。
僕がRUGBYJAPAN365で解説をさせていただくようになったのは2015年のワールドカップイングランド大会に向けたエディー・ジャパンの準備、2015年のアジアシリーズからでした。それ以来いろいろなカードを、いろいろなカテゴリーの試合を解説させていただきましたが、僕の基本的なスタンスは「ラグビーの勝負は一つの要素では決まらない」というものです。
スクラムだけ、フィットネスだけ、パワーだけ……では勝てない。もちろん強みの部分とそうでない部分はどこのチームにもあるでしょうが、ラグビーはいつの時代も、どんなカテゴリーも、一つの武器だけでは勝てないスポーツだと思うのです。ラグビーはそんな単純なスポーツではない。パワーも戦術も規律も、それを支える感情も必要です。あらゆる要素が必要なスポーツです。僕がラグビーに魅力を感じるのもその部分だし、多くの人を魅了するところなのだと思っています。
……と、前置きが長くなってしまいましたが、今回の帝京大の優勝には、本当に、あらゆる要素が詰まっているなと感じました。本当に脱帽です。ため息しか出ない。驚嘆します。この強さを築くのに、岩出監督と帝京大のみなさんはどれだけの時間とエネルギーを注ぎ込んだのか。喩えるならば、ものすごく複雑なパズル、それこそ1万ピースくらいの、何の絵も描かれていない真っ白なパズルをキッチリと組み上げるような、複雑な作業がそこにはあったと思います。
ラグビーは本当にたくさんの要素が含まれるスポーツです。強さ。知性。技術。規律。判断。運動量……中には矛盾する要素もあります。責任を忠実に遂行することとリスクに挑戦する大胆さ。経験値と未知に挑戦するXファクター。安定感と爆発的なエナジー。選手のバックグラウンドを見ても、強豪校出身と無名校出身、エリートコースを歩んできたタレントとたたき上げの努力家……それらの相反する要素を多く持っていることが強さに繋がると思うのですが、今回の決勝を戦った帝京大には、これまで見たことがないほどたくさんの、相反する要素が詰まっていると感じました。