ワールドカップ最終戦となるスペイン戦に向けて、サクラフィフティーンは試合前日の6日、スタジアムラン(試合会場での前日練習)を終えメディア対応。No.8ンドカ・ジェニファとリザーブのWTB香川メレ優愛ハヴィリ、マーク・ベイクウェルFWコーチの3人が取材に応じた。
No.8ンドカ・ジェニファ
――チームと自身の今の状態を教えてください。
「今はチームの状態は良くて、次のスペイン戦に向けて勢いがついていて、個人としては絶対に勝つという気持ちで練習に臨んでいます」
――ワールドカップ最後の試合に臨む気持ちを。
「日本でも応援してくれる方がいっぱいいる。両親、会社の人をはじめたくさんの方の応援してくれてるその思いを、良い意味のプレッシャーにして頑張ってきました。サクラフィフティーンはチームとしても、チームメートも、良いチームでお互いにプッシュしあってきました。最後の試合と言っても気持ちとしては大きな変化はないけれど、地道にアタックで前に出ることが自分の強みなので、それを次の試合でも出していきたい」
――目標の8強は果たせませんでしたが、それでも最後の試合で1勝をあげることにはどんな意味があると考えていますか。
「自分たちが今まで重ねてきた努力の証明として、これから未来の女子ラグビーを担う、いま女子ラグビーをやっている若い子たちの未来につなげるために、そして今回サポートしてくださっているたくさんの方々への恩返しという意味でも、明日の勝利は大事だと考えています」
――ここで1勝あげることは今後のサクラフィフティーンに、次回のワールドカップに向けてどんな意味があると考えますか。
「今は明日のことしか考えていません。ここにいないメンバーも一緒に頑張ってきたので、彼女たちの分も、明日の試合に勝つことしか考えていません」
WTB 香川メレ優愛ハヴィリ
――チームと自身の今の状態を教えてください。
「チームは良い準備ができています。絶対に勝たないといけない最終戦なので、力を最大限に発揮したいです」
――3戦目でようやくメンバー入りを果たしましたが、それまでの2戦はどんな気持ちで準備していたのでしょうか。
「1、2戦目ではチャンスがなかったけれど、どんな状況にあっても万全な準備をしておこう、何があるかわからないし、自分が出るときに備えて準備をしておこうという気持ちで毎日を過ごしていました」
――香川さんとスペイン戦といえば、秩父宮の試合で2トライを決めました。再現を期待する声も聞かれます。
「国内でのテストマッチとワールドカップは全然違う舞台だし、スペインも今は勢いが上がっているので、あのときの自分とは違う自分で戦わないといけない。私もここまではノンメンバーとしてずっと戦ってきて、仲間もみんな腐ることなく前を向いて頑張る姿に励まされてやってきたし、前の時よりも強い気持ちで臨みたい」
――ワールドカップの最後に1勝を挙げることにはどんな意味があると考えて臨みますか。
「ここで勝つということは、今まで支えてくださった方への恩返しになると思います。目標としていたベスト8には行けなかったけれど、1、2戦目に出た選手たちが日本の女子ラグビーを体現してくれたと思うし、そうしてみんなで作ってきた日本ラグビーの価値を守るためにもあす、最後の試合は勝って終わりたい」
――ここまではノンメンバーとして、どのように気持ちを作って練習に臨んできたのか、一緒に頑張ってきた仲間への気持ちは。
「1戦目と2戦目ではノンメンバーとして過ごす時間が多かったのですが、みんな心が折れそうになっても前を向いて、試合に出るメンバーが良い結果を残せるように良い準備をしようと考えて頑張っていました。対戦相手のやってきそうなプレーや戦術を練習でやって、1回1回の練習の質が高くなるようにしようと。周りの仲間と話をしたわけじゃないけれど、みんなそういう気持ちだったと思います」
――レスリーHCや阿部さんが『メレは練習で試合メンバーにすごくプレッシャーをかけて練習のクオリティを高めてくれたと称賛していました。
「絶対にポジションをつかみ取ってやる…というのではないのですが、自分が落ち込んでいたり、緩くなっていたりしたら、試合に向けてよい準備はできないと思うので、本気で練習に臨もうとは考えていました」
――過去2戦、ノンメンバーだった仲間からはどんな声をかけられましたか。
「『おめでとう』という言葉を何人もの仲間からもらいました」
マーク・ベイクウェルFWコーチ
――スペインとは2カ月前に対戦して日本が2勝しての再戦になります。
「スペインは前回対戦した後で進化している。それは日本も同じだが、前回とは違う要素が2つ入ってくると受け止めています。
ひとつはスペインの変化です。7月に日本で対戦したときよりもダイナミックにボールを展開するチームになっている。それだけでなくセットプレー、ディフェンス、アタック、すべての面で脅威を増している。
もうひとつは、今回は我々のホームゲームではないということです。前回は日本国内の試合ということで、やはりホームチームはいろいろな面で有利に戦える。海外で試合をするときは慣れない要素が多く、気を付けないといけないことが多い。明日勝つことは簡単なことではないと考えています」
――FWコーチとして、初先発のンドカ・ジェニファ選手への評価と期待を。
「ジェニーは攻守の両面でチームを前に進めるプレーヤーであるということが一番の強みです。チームに対して常にプラスの影響を加えてくれる。ジェニーがこうして先発メンバーの一員としてスペイン戦に臨めることを嬉しく思います」
――ここまで2試合への評価を聞かせてください。
「現実を反映していると思います。世界ランキングで言えばアイルランドは5位でNZは3位、日本は12位です。我々はこれまでの合宿で、これ以上のことはできないいえるほどハードなトレーニングを重ねてきた。これまでの準備で足りない部分があったとは1ミリも思わない。
ここまでの2試合には敗れたが多くの学びがあった。アイルランド戦は最初の20分で先手を取られてしまったことがすべて。そこから反撃したが、後半にもう少しで28-21にできるはずだった場面で(インターセプトから独走トライを許し)35-14になってしまった。ただ、結果は残念だったが、やれるだけ最高の準備をしてきたと思っています」
――ワールドカップの舞台で勝利できるチームになるにはこれから何が必要だと思うか。
「日本の女子ラグビーには選手の数がもっと必要。最後に勝つことが、もっと多くの女子がラグビーをするようになるきっかけになってほしいです。私の理解している範囲では、日本の女子の選手数は400人というところです。国代表チームとしてベストを尽くし、世界でTOP8を目指すにはもっと多くの選手が必要です。
もうひとつは、もっと格上の相手と試合経験を積むことです。たとえばアメリカとは昨年から今年にかけて3度戦って、3試合目で初めて勝つことができた。やはり試合経験を重ねることで相手の強みを知ることができる。国内の試合を増やすことも大事だが、ランキングで上位のチームと対戦することが大事だと思う」