サクラxvは11日、ケープタウンでWXV2最終戦のウェールズ戦を戦い、10-19で敗れた。
メンバーは前戦のスコットランド戦からHOが公家から谷口に、WTB14が松田から松村に変更されたのみ。先発の残る13人は不変。リザーブ19には当初、細川恭子が入っていたが、当日になってコンディションの都合で向來桜子に変更された。
サクラフィフティーン、ウェールズ戦メンバー
1 加藤幸子 横河武蔵野アルテミ・スターズ(27C)
2 谷口琴美 横河武蔵野アルテミ・スターズ(22C)
3 北野和子 三重パールズ(17C)
4 佐藤優奈 東京山九フェニックス(19C)
5 吉村乙華 アルカス熊谷(24C)
6 川村雅未 (18C)
7 長田いろは アルカス熊谷(36C)
8 齋藤聖奈 三重パールズ(46C)
9 津久井萌 横河武蔵野アルテミ・スターズ(37C)
10 大塚朱紗 アルカス熊谷(30C)
11 今釘小町 アルカス熊谷(28C)
12 弘津 悠 ナナイロプリズム福岡(12C)
13 古田真菜 東京山九フェニックス(32C)
14 松村美咲 東京山九フェニックス(11C)
15 西村蒼空 三重パールズ(16C)
【リザーブ】
16 公家明日香 アルカス熊谷(17C)
17 峰 愛美 日体大女子(9C)
18 永田虹歩 三重パールズ(25C)
19 向來桜子 日体大女子(17C)
20 ンドカ ジェニファ 北海道バーバリアンズディアナ(10C)
21 阿部 恵 アルカス熊谷(27C)
22 山本 実 横浜TKM(33C)
23 小林花奈子 横河武蔵野アルテミ・スターズ(16C)
HIGHLIGHT
試合はウェールズのキックオフで始まった。FB西村が蹴り返したキックを相手がノックオン。日本は敵陣で攻撃をスタートできるチャンスを得る。スクラムからフェイズを重ねてSO大塚朱紗がゲイン。相手陣22m線まで前進するが、そこで攻撃は膠着し、ノックオン。キックでハーフウェーまで戻されるが、そこからのアタックでウェールズがハイタックル。日本は再び相手陣22m線まで陣地を進めるが、パスが乱れて攻撃が続かない。
弘津悠
大塚朱紗
ここでウェールズはFBジョイスがビッグゲインして日本の22m線まで前進。ここは長田いろは主将が渾身のジャッカルを決めてPKを獲得。ハーフウェーまで陣地を戻すが、そのラインアウトを痛恨のロスト。ウェールズはそこから執拗に縦攻撃を重ねて日本ゴールに迫る。日本は11フェイズに渡る波状攻撃に耐えてノックオンを勝ち取り、ピンチを脱出する。
加藤幸子
だが安心するのは早かった。自陣ゴール前スクラムからWTB松村美咲のタッチキックを相手WTB11メトカーフにチャージされ、そのままトライされてしまう。
齊藤聖奈
さらに次のキックオフからもすぐに陣地を戻され、キックの蹴り合いからカウンターアタックを浴び、タックルが後追いになったところをSHベバンに走り切られ連続トライを許す。
キックオフから約7分間はポゼッションもテリトリーもほぼ100%支配しながら得点できず、逆に一度攻め込まれると先制され、連続トライを許してしまった。
今釘小町
22分過ぎ、日本はハーフウェーのスクラムからフェイズを重ねてアタック。相手陣22m線付近まで攻め込むが、間合いのないところでWTB今釘がキックを試みるがこれが相手にすっぽり。カウンターアタックから自陣ゴール前に攻め込まれ、最後は相手8番ルイスがトライ。しかしTMOから直前にオブストラクションがあったとチェックが入り、ビデオで確認してトライは取り消し。あわや0-19となるところがスコアは0-12に戻る。
日本はここで流れ掴みたいところだったが、アタックに転じたところで細かい連携ミスが続き得点できず。0-12での折り返しとなった。
そして後半、風上に回った日本はキックオフからFL川村雅未、FL長田いろは、CTB古田真菜らがゲインを重ねて相手ゴール前へ攻め込むが、フェイズを重ね、このパスが通ればトライ! というところでNO8齋藤聖奈からHO谷口琴美へのパスを相手FBジョイスにインターセプトされ、およそ98m独走トライを浴びる。SHベバンのコンバージョンも決まり0-19と点差は広がってしまう。
古田真菜
吉村乙華
その後もウェールズの攻勢は続くが、49分、自陣ゴール前のピンチでSH津久井のタックルとLO吉村のジャッカルでピンチを脱出する。日本は陣地を戻すと前半よりもキックを使って相手DFを崩そうとするが、時折強く吹く風にキックが伸びすぎ、相手デッドボールラインを越してしまうなどなかなか攻めの糸口を掴めない。
長田いろは
それでも62分、SO大塚朱紗の好キックからチェイスした途中出場NO8ンドカ・ジェニファの好ジャッカルでボールを奪うと、WTB松村美咲が左隅にテストマッチ通算7号となるトライ。日本は60分を過ぎたところでようやく初得点をあげるが、コンバージョンは届かず5-19。
小林花奈子
追いつくためには早く点差を詰めたい日本は、ウェールズのアタックに対し勤勉にプレッシャーをかけ、ダブルタックルを反復してミスを誘うが、大型選手の揃うウェールズも勤勉で重量感のあるタックルで接点を押し込み、日本に容易な突破を許さない。それでも日本は途中出場のSH阿部恵が素早いパス捌きでリズムを作る。75分には松村美咲のカウンターアタックを起点に途中出場のCTB小林花奈子、FB西村蒼空が前進し、大塚朱紗が前に出たところで相手CTBブラックがヘッドコンタクトでイエローカード。
大塚朱紗がトライ
日本は数的優位を得るが、ウェールズのDFは14人に減っても圧力は減らず、強い風もあって外のスペースも思うように使えない。77分にジェニファの突破から阿部がつなぎ、大塚がトライを返すが、大塚のコンバージョンは外れ10-19。9点差が残った時点で勝負はあった。残る2分強の間、日本は攻撃を仕掛けるが、実らずそのままタイムアップ。
日本は後半追い上げたが開始から15分間の12失点が大きく響き、10-19で敗れた。
失った3トライのうち2本はキックをチャージされたものと、相手ゴール前でトライを目前にしながら取り急いだミスから。DFを崩されたわけではないのが救いとも言えるが、チャンスにトライを取りきれない課題は克服できず、WXV2024は3戦全敗に終わった。
日本は2024年のWXV2で勝点3に終わり、最下位が確定。しかし来年はワールドカップ開催年のためWXVは行われず、2026年の実施についてはまだ決まっていない。このため、昇降格は決まっていない。
サクラフィフティーン レスリー・マッケンジーHC
「学びの多い試合だった。振り返るべきポイントはたくさんある。試合前のウォームアップしかり、キックオフでどう入っていったかしかり。ひとつひとつの場面でフォーカスした部分は良かったのか、ひとつひとつの検証が必要だ。最後の時間帯に反撃できたことは収穫だが、ワールドカップで戦うような相手に前半リードされると追いつくことはできない。試合の前半から得点をあげていく必要があると改めて痛感した」
――攻撃時の連携に乱れが散見したが
「前半は風が強い中でワイドにプレーしようとしすぎたかもしれない。風が強いことに気付いた後半はラインの幅を修正して、狭くしたあとは前に出ることができたと思う。フィジカルの強い相手に対してどうアタックしていくのか、今後に向け今日の試合から学ぶことは多い」
サクラフィフティーン 長田いろはキャプテン
「DFで前で止めることができた時間帯はうまく言っている手応えがあったけれど、相手にモメンタムを出されたときに試合をコントロールできなかった。来年のワールドカップにこの経験をつなげたい。
WXV2の3試合を振り返ると、ここで3試合を戦えたのはすごく良い経験になった。準備の段階から、自分たちが練習でやりあえたことも含めて来年に向け良い経験になったと思う」
サクラフィフティーン SO大塚朱紗
「思ったよりも風が強くて、アタックを調整するのに時間がかかってしまい、モメンタムを思うように作れなかった。(パスミスが散見したのは)単純なスキルミスもあったし、コミュニケーションミスもあった。BKの連携ミスはこの大会を通じての課題。これまで戦ってきた相手以上のプレッシャーを受けて、どういうオプションを使うのが良いかチームでもずっと話し合ったけれど、全員の意識まで徹底できなかったのが課題。前回のワールドカップでもトライを取りきる力が足りないと思ったので、そこをワールドカップに向けて修正して高めていきたい」
サクラフィフティーン WTB松村美咲
松村美咲
「個人的には、前半のルースボールへの反応やキック処理に判断の甘さが出てしまった。後半、トライを取れたところは、チームとしてスイッチが入って、どう貢献するかを考えてできた。(逆サイドへの攻撃参加は?)チームプランというよりも、HCから言われている『自分で仕事を探し続けろ』ということを自分で意識して試合に臨んだ結果だと思います。
今日の試合は前半の入りが悪くて、後半にスイッチを入れたらいいゲームができたけれど、このレベルでは後半からスイッチを入れても遅いことが改めて分かった。ここは直していきたい」