太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023開幕直前SP・参加チームの新戦力情報2 | ラグビージャパン365

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023開幕直前SP・参加チームの新戦力情報2

2023/05/17

文●大友信彦


2023年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ開幕が迫った。今季の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズは、全大会に出場するコアチームを例年の11から15に4増。日本協会の強化チームとして編成されるチャレンジチームを加えた16チームの参加で4大会が行われる。

今季の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズは5月20-21日の熊谷大会で開幕。
6月3-4日に秩父宮大会、
6月17-18日に鈴鹿大会、
そして7月1-2日に近畿地区初開催となる花園大会、以上4大会が行われる。

RJ365では、各チームがHPやSNSで発信している公開情報に独自取材の成果も含め、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズを戦う主要チームの新戦力情報をお届けする。

追手門学院VENUS(昨年総合7位)

小西春奈

小西春奈



昨季は総合7位となった追手門学院VENUS。かつては高校と大学が一体となったチームで上位を脅かし、過去3大会で決勝進出しているが惜しくも頂点には届かず。現在はほぼ大学生のみのチームで奮闘している。今季はエースでサクラセブンズの室越香南が卒業を機にながとへ移籍したが、入れ替わりで、一緒に練習してきた追手門学院高から有望な素材が大挙して加わった。

松田向日葵

松田向日葵


松田向日葵と小西春菜は高2からチャレンジチームで太陽生命シリーズを経験。特に松田は高1の終わりに東京五輪に向けたSDS合宿に最年少で招集され、高2のU18セブンズでは6Tで大会トライ王(同点で4人)に輝いている。山口みうも高2でセブンズユースアカデミー、高3でチャレンジチームを経験した。好川穂乃花も高1から全国U18セブンズに出場。高3ではU18花園15人制にも出場した。追手門学院高のメンバーは大学生と一緒に練習しており、チームにへのフィットに不安はない。チャレンジチームでシニアグレードも経験済み。新戦力を得たVENUSがどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。


RKUグレース(昨年総合8位)

昨年は第1戦の熊谷大会で7位に食い込みながら、残る3大会は8強入りを逃したグレースだが、今季は少数精鋭ながら楽しみな素材が加わった。

宮本和

宮本和


宮本和(のどか)は昨秋のU18全国女子セブンズで石見智翠館のエースとして活躍。8トライ40得点で大会トライ王と得点王、MVPも獲得した。冨岡日和は同じく石見智翠館の主将としてチームを3年ぶりの優勝に導いた。

三好志歩

三好志歩


麗澤から加入の三好志歩はU18全国セブンズでは高2で5T、高3で3T。セブンズのユースアカデミーと15人制TIDキャンプの両方に招集されている。セブンズではWTBだがU18花園15人制ではFLで出場。母・はるえさん(旧姓・永野)は7人制で1999年と2000年の香港女子セブンズ、15人制で2002年W杯などに出場したダブルキャッパー。母-娘サクラが誕生すれば(おそらく)初の記録だ。
もうひとり、菅原佑萌(うめ)は大阪緑涼高・OSAKA CRAZY GIRLSでプレー、高3のコベルコ15人制には近畿代表PRで出場したキャリアを持つ。

四国大(昨年総合9位)

昨季はコア昇格2年目で前年より順位をひとつあげた四国大。創部初期メンバーが卒業で抜けている中、今季は3人が加入した。

下村真穂

下村真穂


石見智翠館から加わった下村真穂と、諌早農から加わった下村さくらは長崎・大村RSで小学生時代から一緒にプレーした仲。
大貫愛美(あみ)は神奈川の藤沢RSから関東学院六浦に進んだ関東育ちだが四国大へ、四国大で関東の高校を卒業した選手は大貫が第1号というパイオニアだ。彼女本人の活躍もさることながら、パイオニアの選択が次の世代にどんな影響を与えるかにも注目したい。姉。愛友(あゆ)は同じく関東学院六浦で活躍、現在は横浜TKMでプレーしており姉妹対決も楽しみだ。

北海道バーバリアンズディアナ(昨年総合10位)

過去2シーズンはコロナによる移動制限などで選手編成に苦しんだディアナだが、今季はNZから大量5人を獲得するなど大型補強を敢行した。

NZから加入するのはダイナ・ナンクベル(21)、オリビア・リチャードソン(24)、タラ・ダーナー(19)、アリーシャ・ウィリアムズ(21)、ダイジャン・ブラウン(20)の5人。さらにフェニックス~アザレアでプレーし、今年はスーパーWのメルボルン・レベルズウーマンでプレーした草野可凜(27)も加わった。

草野可凜

草野可凜



国内では、流経大を卒業した元サクラ15スコッドのンドカ・ジェニファ(22)。U18女子セブンズの北海道選抜で活躍した白幡来美(くるみ、18=遠軽)、主将を務めた野村咲月(18=小樽潮陵)、立正大から河部春香(23)、国際武道大から高橋芽生(めい=22)が加入。高校時代からディアナでプレーしながら昨季は移動制限で大会参加の叶わなかった吉井愛華(21)も今季は活躍しそうだ。

ンドカ・ジェニファ

ンドカ・ジェニファ

ナナイロプリズム福岡

3月のリージョナルセブンズで優勝し、増枠4チームの首位でコアチーム入りを果たしたナナイロプリズム福岡は、2016年リオ五輪など数々の世界大会でサクラセブンズの主将を務め、今もプレーを続けるレジェンド中村知春を選手兼GMに迎え、福岡県久留米市を拠点に、2019年11月に設立を発表。

直後にコロナ禍に見舞われ、チームとしての本格的な活動はなかなかできなかったが、リオ五輪男子日本代表主将の桑水流裕策氏をHCに迎え、東京五輪スコッドの弘津悠、白子未祐、横尾千里、小笹知美が移籍で加わる一方、九州出身の地元選手を中心に新戦力も参加。昨年4月に行われたリージョナルセブンズではブレイブルーヴに次ぐ2位となり太陽生命シリーズ鈴鹿大会へのゲスト出場権を獲得。その鈴鹿大会では9位以下トーナメントを勝ち抜いて9位となった。

大橋聖香

大橋聖香



今季の新加入選手の最注目選手はサクラセブンズで東京五輪代表の永田花菜(22)だ。福岡高3年の2018年9月のアジアシリーズでサクラセブンズデビュー。福岡レディース~日体大で活躍し、今季もワールドシリーズ全出場している。

永田花菜.

永田花菜.



もうひとりのビッグネームがやはりサクラセブンズの藪内あゆみ。アルカス熊谷~ながとブルーエンジェルスで活躍し、今季から故郷福岡に戻りナナイロでのプレーを選んだ。さらに四国大から黒田佑美、石見智翠館で昨季の全国U18セブンズ優勝に貢献し、3月からはSDS合宿に参加しているサクラセブンズ候補の大橋聖香、鹿児島・玉龍高で高校九州代表に選ばれた平田恋菜(ここな)、宮崎・富島高1年で全国U18セブンズに出場した佐藤晴菜、そしてタイ代表のジラワン・チュトラクン(22)。リージョナルは3月に行われたため、高校・大学からの新卒選手は出場できなかったがジラワンは参戦。出場4試合で7トライの決定力を披露した。太陽生命シリーズでフェニックスのニア・トリバー、パールズのジャネット・オケロ、新加入のサラ・ヒリニらワールドクラスの選手とのマッチアップが楽しみだ。

ブレイブルーヴ

三重パールズに加入したサラ・ヒリニと並ぶビッグニュースがこちら、ブレイブルーヴに加入が発表されたケリー・ブレイザー(33)は18歳の2009年からNZ代表に選ばれ、2023年まで184大会に出場、リオ五輪の銀、東京五輪の金、ワールドセブンズシリーズ6度の優勝を経験しているレジェンドだ。NZメディアでは、ブレイブルーヴではコーチ役も務めると報じている。

南奈那

南奈那



昨季の太陽生命シリーズ後に加入した選手は、タッチラグビーNZ代表経験を持つディーナ・プケタプ(29)、ブレイブルーパスCTBセタを夫に持つブリトニー・タマニバル(29)、エマ・マシイ(27)。さらにこの4月、日体大から渡邊喬日(22)、ブレイブルーヴ・ユースから南奈那(目黒)、岡本美優(明治)、西川海真(早実)がシニアチームにステップアップした。

渡邉喬日

渡邉喬日



南奈那

南奈那

ブレイブルーヴは昨年のリージョナルセブンズで優勝。スポット参戦となった太陽生命シリーズ静岡大会は14位に終わったが、今年3月のリージョナルセブンズではライバルの横河武蔵野アルテミ・スターズを2タテ、ナナイロプリズム福岡との決勝も10-17の惜敗で、終了直前まで10-12の激戦だった。4月30日の関東女子セブンズでは決勝でTKMに敗れたものの、外国人選手抜きの若手メンバーで奮戦した。タッチラグビー日本代表の経験の長い奈良コーチのもと、個々がステップを切って勝負するスタイルは独自のもの。コアチーム入りで太陽生命シリーズに新風を吹かせてほしい。

横河武蔵野アルテミ・スターズ

昨年の太陽生命シリーズではスポット参戦した静岡大会で8位。ゲストチームで唯一の8強入りを果たしたのは、19年にコアチームを経験していたチームのプライドか。3月のリージョナルセブンズでは3位で今季のコアチーム入りを決めたが、その後に楽しみな新戦力が多く加わった。

小川愛夢

小川愛夢



東京山九フェニックスから移籍で加わったのは高崎真那。福岡レディースの高校時代からトライゲッターとして活躍し、日体大に進学。2018年のカレッジセブンズではMVPに輝いた。

RKUグレースで活躍していた菅萌絵が流経大大学院進学を機にアルテミへ。さらに楽しみなのは高卒の有望選手たち。昨季のU18女子セブンズ準優勝の佐賀工からチャレンジチーム、U18花園15人制、15人制TIDキャンプなどを経験した片岡詩、同大会4強で夏のオッペンカップを制した関東学院六浦から福田真白、丹治胡春、小川愛夢という3人が加入した。
これまでは15人制向きの選手が多かったアルテミ・スターズだが、高校時代からセブンズで活躍してきた才能が加わり、新境地を見せてくれそうだ。

片岡詩

片岡詩

日本経済大アマテラス

3月のリージョナルセブンズでは準々決勝でアザレアセブンに12-5で競り勝ち。創部3年目、新年度の入学生が出場できない厳しい条件ながら、先輩チームの九産大、アザレアに先んじて太陽生命ウィメンズセブンズシリーズのコアチーム入りを決めた。

町田美陽

町田美陽



期待の新戦力は8人。中でも注目の大型新人が佐賀工から加わった町田美陽(みはる)だ。高1でサクラ15候補合宿に招集されたシンデレラビッグガール。昨秋のU18セブンズでは準決勝で連覇を狙う関東学院六浦を相手に豪快なトライをあげて勝利に貢献。171㎝・87kgという恵まれたサイズに加え、自分の強みであるフィジカルを前面に出していく積極性が魅力だ。適性的には15人制が似合いそうだが、キックオフキャッチからのアタックなどセブンズでも才能を発揮しそうだ。

同じく九州の高校からは、鹿児島情報からFW垂門奈々、大分東明からBK長谷部彩音、この2人は町田とともに昨年12月の花園15人制に西軍で出場し、みごと勝利に貢献した。
さらに、昨秋のU18セブンズ優勝の石見智翠館からはBK城下天李(長崎レディース)、SH花房快有(新潟IRIS)、京都成章からFW西野真歩、京都精華からSH河村華音が加入。

原田紗羽

原田紗羽



そして今春は関東の強豪・麗澤から昨季の太陽生命チャレンジチーム、15人制TID経験者の原田紗羽が加入。元7人制・15人制日本代表で関東学院大―コカコーラで活躍した淵上宗志HCのもと、初めて太陽生命シリーズコアチームの戦いに臨む白いジャージーのチャレンジが楽しみだ。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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