太陽生命セブンズ熊谷大会・個人ランキング&ドリームセブン+1、各チームの新戦力からネクストセブン+1も紹介 | ラグビージャパン365

太陽生命セブンズ熊谷大会・個人ランキング&ドリームセブン+1、各チームの新戦力からネクストセブン+1も紹介

2023/05/25

文●大友信彦


太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ第1戦熊谷大会はながとブルーエンジェルスが優勝したが、参加16チームはどこも意欲的なプレーを見せた。

RJ365では現地取材JRFUの公式記録・公式Youtubeの映像から個人記録を集計。合わせて本誌恒例「ドリームセブン」も選考。今回は大会創設9年目で初となる通算100号トライを達成したトライクイーンに敬意を表して「ドリームセブン+1」を、さらに今大会で活躍した、各チームに新加入した選手たちを「ネクストセブン」として紹介する。

トライランキング

最多トライを記録したのはニア・トリバー。プール3試合&準々決勝の
4試合連続で3Tのハットトリック。トライ王と得点王のダブルタイトルは昨年の静岡大会以来。昨年の弘前大会でトライ王を奪取したパールズのオケロは12Tで2位だったが、3位決定戦では直接対決が実現、再三のマッチアップで火花を散らした。太陽生命シリーズ最大の注目対決は今季も面白そうだ。3位の松田凜日もパワフルさを増している。残り3大会でのトライ王奪取も期待できそうだ。

ニア・トリバー(東京山九フェニックス)

ニア・トリバー(東京山九フェニックス)



1 ニア・トリバー 東京山九フェニックス 15T
2 ジャネット・オケロ 三重パールズ 12T
3 松田凜日 日体大女子 9T
4 グレース・ククタイ ながとブルーエンジェルス 6T
4 ナーディーン・ルース ながとブルーエンジェルス 6T
4 ビアンカ・シルバ ながとブルーエンジェルス 6T
4 堤ほの花 日体大女子 6T
4 保井沙予 三重パールズ 6T
4 角川穂乃花 横浜TKM 6T
4 高井優花 RKUグレース 6T

ナディーン・ルース(ながと)

ナディーン・ルース(ながと)



得点ランキング

ニアのトライスコアリング能力が高すぎてトライ&得点の2冠がスタンダードになりつつある。今大会もニアが75点(15T)でトップ。オケロが12トライの60点で2位に続いた。キッカー系では大会MVPを受賞したながとのプルーニー・キヴィットが3位に入ったのが最高だった。

ジャネット・オケロ(三重パールズ)

ジャネット・オケロ(三重パールズ)



1 ニア・トリバー 東京山九フェニックス 75=15T
2 ジャネット・オケロ 三重パールズ 60=12T
3 プルーニー・キヴィット ながとブルーエンジェルス 56=4T18C
4 松田凜日 日体大女子 45=9T
5 ナーディーン・ルース ながとブルーエンジェルス 44=6T7C
6 三輪里佳 三重パールズ 33=1T14C
7 グレース・ククタイ ながとブルーエンジェルス 30=6T
7 ビアンカ・シルバ ながとブルーエンジェルス 30=6T
7 堤ほの花 日体大女子 30=6T
7 保井沙予 三重パールズ 30=6T
7 角川穂乃花 横浜TKM 30=6T
7 高井優花 RKUグレース 30=6T


ドリームセブン+1


今大会で活躍が光った選手を本誌恒例・ドリームセブンとして発表、そして太陽生命シリーズの歴史に輝く大記録を樹立したトライクイーンを「セブン+1」として紹介する。

平野優芽(ながとブルーエンジェルス)

平野優芽(ながとブルーエンジェルス)

平野優芽(ながとブルーエンジェルス)



優勝したながとブルーエンジェルスの司令塔として攻守のタクトを振った。ワールドシリーズフランス大会から帰国後、チーム練習に参加したのは「大会前日に熊谷入りしての1回だけでした」とは思えないチーム掌握ぶりはさすがサクラセブンズ主将!

松田凜日(日体大女子)

松田凜日(日体大女子)

松田凜日(日体大女子)


タックルされても倒れない強さと前進力。一回りデカくなったように見える身体を活かし、プール戦のパールズ戦は1T、トーナメントではアルテミとの準々決勝で2T、そして昨季総合Vのフェニックスを撃破した準決勝でも2T。今大会9Tは全チーム中3位。昨年は4大会すべて5位に終わった日体大を2019年鈴鹿大会以来4年ぶりの決勝進出へ導いたが、決勝はコンディション不十分で欠場。頂点は次戦以降に。

保井沙予(三重パールズ)

保井沙予(三重パールズ)

保井沙予(三重パールズ)



準々決勝のTKM戦はリードされて折り返した後半2分、4分の連続トライで逆転し、プール2位からの1位撃破を達成。プール戦の2位までがトーナメントに進むという今大会のフォーマットの意義を証明。フェニックスとの3位決定戦では試合開始からの2連続トライでチームに勢いをもたらしたように、実力伯仲の戦いで効果的なトライを決めてみせる勝負強さは出色だ。

ニア・トリバー(東京山九フェニックス)

ニア・トリバー(東京山九フェニックス)

ニア・トリバー(東京山九フェニックス)



爆走クイーン健在だ。プール戦3試合すべて3トライを決めると、追手門との準々決勝では前半だけで3トライを決め4戦連続ハットトリック。準決勝の日体大戦は1Tに封じられたが3決のパールズ戦は2T。6戦すべてでトライを決め今大会15T。昨年の静岡エコパ大会で自身が達成した16Tの1大会最多記録に「1」と迫った。太陽生命シリーズ通算トライは今大会で100Tを達成した堤ほの花に続き現在98。

本間美月(アルカス熊谷)

本間美月(アルカス熊谷)

本間美月(アルカス熊谷)



レフリーに転身した桑井亜乃に続き大黒柱の鈴木彩香が引退、ライチェル&アテザ姉妹や藪内あゆみ、大谷芽生らが移籍したチームにあって、名古屋育ちでアルカスを支えるベテランが抜群の存在感を発揮。狭いスペースに走り込んではスピードとフィジカルの強さを兼ね備えた突破力で再三ビッグゲイン。地元熊谷のファンを沸かせた。

グレース・ククタイ(ながとブルーエンジェルス)

グレース・ククタイ(ながとブルーエンジェルス)

グレース・ククタイ(ながとブルーエンジェルス)



TKMに在籍した昨年の熊谷大会ではTKM初優勝に導きMVPを受賞。1年後はながとのエースとしてチーム最多タイの6Tで優勝に貢献。熊谷で2年連続で優勝を味わったのはこの人だけ。どこからともなく現れてパスをかっさらっては魔法のステップ&加速でトライを量産した。

古屋みず希(三重パールズ)

古屋みず希(三重パールズ)

古屋みず希(三重パールズ)



懐深いボールコントロール。チャンスに反応する瞬発力。高校時代から注目されてきたスケールの大きさが今大会ではみごとブレイク! 今大会ではフェニックスとの3位決定戦などで3トライをあげたが、その数字以上に積極的なボールキャリー、逃げないコンタクトとオフロードパスが光った!

堤ほの花(日体大)

堤ほの花(日体大)*記念すべき100トライ

堤ほの花(日体大)*記念すべき100トライ



昨季終了時点で太陽生命シリーズ通算トライは95。今大会DAY1は4T。というわけで、DAY2最初のアルテミスターズ戦で決めた最初のトライは史上初となるシリーズ通算100Tだった! 佐賀工3年の2015年チャレンジチームで初参戦した保土ケ谷大会でトライ王となる13Tを上げてからまる9年、15人制で17年W杯、セブンズで21年東京五輪を経験したベテランは100T達成に「いままでいろいろな選手とプレーしてトライをしてきたことを思い出します」ニアが98に迫っていることについて「先に100達成できてよかった。第1号って大事ですから」とニッコリ。

ネクストセブン+1

高校を卒業したばかりのフレッシャーも、大学を卒業したオリンピアンも! 今大会で目立った各チームの新戦力を代表する7人をピックアップ。あわせて従来の太陽生命シリーズにはなかったといっていいパワープレーをみせた大器を含め、「ネクストセブン+1」を紹介する。次回大会以降のブレイクに期待!


大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)

大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)

大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)



東京五輪で活躍したオリンピアンが立正大卒業を機にアルカスからながとへ移籍加入。直前のワールドシリーズフランス大会での活躍から休みなしのフルパフォーマンスでながとの優勝に貢献。

小川愛夢(横河武蔵野アルテミスターズ)

小川愛夢(横河武蔵野アルテミスターズ)

小川愛夢(横河武蔵野アルテミスターズ)



関東学院六浦では2年で全国U18セブンズ優勝、高3でチャレンジチームを経験。法大進学を機にアルテミスターズに加入。初速の速さとDFを切り裂くスピードは圧巻。プール戦のグレース戦では2トライをあげ8強進出に貢献。準々決勝の日体大戦でも2トライを決めた。

山本侑衣菜(東京山九フェニックス)

山本侑衣菜(東京山九フェニックス)

山本侑衣菜(東京山九フェニックス)



関東学院六浦から帝京大進学を機にフェニックス加入。昨年のセブンズ・15人制の2冠を達成したチャンピオンチームにあって、並み居る先輩を押しのけて太陽生命セブンズ第1戦でメンバー入り。得点こそなかったがアジリティの髙さを活かしてチャンスメークし続けた。

草野可凜(北海道バーバリアンズ・ディアナ)

草野可凜(北海道バーバリアンズ・ディアナ)

草野可凜(北海道バーバリアンズ・ディアナ)



昨夏アザレアで太陽生命シリーズ静岡大会に出場後、SDS合宿に招集されたのを機に可能性追求を決意し、アザレアを退団して豪州へ、レベルズでWTBとしてスーパーWでセミプロ選手としてプレーを経て今季ディアナに加入。DAY2のPTS戦ではパワフルなランで2トライをあげた。

ジラワン・チュトラクン(ナナイロプリズム福岡)

ジラワン・チュトラクン(ナナイロプリズム福岡)

ジラワン・チュトラクン(ナナイロプリズム福岡)


太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに初めて現れたタイ代表選手。長い手足のを高速回転させる加速力は圧巻で、DAY1プール戦のディアナ戦では敗色の見えた後半6分にハーフウェーから50m独走トライ。DAY2のチャレンジ戦では2トライをスコア。


リース・アンダーソン(横浜TKM)

リース・アンダーソン(横浜TKM)

リース・アンダーソン(横浜TKM)



2022年のワールドスクールセブンズでMVPを獲得。ブラックファーンズで将来を期待されるワイカトの逸材が20歳の若さで太陽生命シリーズに参戦!相手DFと1対1でインサイドを突破するラインブレイク力、抜け出してからボールを動かす展開力は圧巻。太陽生命シリーズ残り3大会でも見る者を楽しませてくれそうだ。


小西春菜(追手門学院VENUS)

小西春菜(追手門学院VENUS)

小西春菜(追手門学院VENUS)


昨年はチャレンジチームで活躍。高校(追手門学院)時代から大学生と一緒に練習していただけあって須田倫代、村田彩乃ら先輩メンバーとの呼吸もぴったり。DAY1の日経大、四国大戦でトライをあげ、DAY2はチャンスメークに活躍した。


町田美陽(日本経済大アマテラス)

町田美陽(日本経済大アマテラス)

町田美陽(日本経済大アマテラス)



佐賀工1年でサクラ15候補に招集されたビッグガールが今春、高校を卒業して日本経済大へ。今大会ではまだ出場時間は短かったが、ラインアウトでは圧巻のパワーリフトを披露。適性は15人制のフロントファイブ向きに見えるが、その制空力はフィットネスを高めればセブンズでも威力を発揮しそうだ。

見事なリフト

見事なリフト



大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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