太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2023最終戦となる花園大会が7月1日-2日に行われた。RJ365では公式記録から個人のトライ・得点記録を集計。個人のトライ&得点ランキングは以下の通りだ。
トライランキング
1 ジャネット・オケロ 三重PEARLS 11T
2 ナディーン・ルース ながと 9T
2 ニア・トリバー フェニックス 9T
4 原わか花 フェニックス 6T
4 徳永結羽 追手門 6T
6 辻崎由希乃 ながと 5T
6 グレース・ククタイ ながと 5T
6 ジラワン・チュトラクン ナナイロ 5T
6 堤ほの花 日体大 5T
6 高橋夏未 日体大 5T
6 須田倫代 追手門 5T

ジャネット・オケロ
三重PEARLSのケニア代表WTBジャネット・オケロが11Tをあげ昨年の弘前大会以来のトライ王を獲得。東京山九フェニックスのアメリカ代表ニア・トリバーの年間4大会連続トライ王の野望を砕いた。三重PEARLSは今大会、プール戦で3位に沈み、DAY2は2試合しかできなかったが、オケロはDAY1の3試合で5T、DAY2はグレース、チャレンジとの2戦でともに3Tのハットトリックで計11T。9Tのニア、ながとのナディーン・ルースを振り切った。

ニア・トリバー
2位はニアとルースが9Tで並んだ。ニアは過去3大会とは異なり今大会は主にベンチスタート。プレータイムが短かったこともあり、トライ数は(ニアにしては)伸びなかったが、出場時間当たりのトライ率は驚異的。年間4大会合計トライも50の大台に乗せ、昨年、ニア自身が更新したばかりの年間42トライを大幅に更新した。なおオケロも年間トライは46で、こちらもニアの従来記録を更新していた。

ナディーン・ルース
2位でニアと並んだながとのルースは今大会MVPを獲得。
4位には6Tで、サクラセブンズのフェニックス原わか花と並んで追手門の徳永結羽が食い込んだ。DAY1はアルテミ・スターズ戦の1Tのみだったが、DAY2のPTS戦で3トライのハットトリック。5位決定戦のアルカス戦でも2トライをあげ、今季最高成績となる5位を獲得の原動力となった。

徳永結羽
得点ランキング
1 ジャネット・オケロ 三重PEARLS 55=11T
2 ナディーン・ルース ながと 51=9T3C
3 ニア・トリバー フェニックス 45=9T
4 ナタリー・ライト フェニックス 34=2T12C
5 村田彩乃 追手門 32=2T11C
6 原わか花 フェニックス 30=6T
6 堤ほの花 日体大 30=6T
8 三輪里佳 三重PEARLS 29=1T12C
9 新野由里菜 日体大 27=3T6C
10 杉本七海 アルカス 26=2T8C

ナディーン・ルース
得点部門はオケロがルースを4点差で振り切り、昨年の弘前大会に続いてトライと得点の2冠を獲得した。
ルースはあとコンバージョンを2本蹴っていれば同点、トライを1つ取っていれば単独で得点王を獲得するところだった。10位のアルカス杉本はコンバージョンを11度蹴って8回成功。73%の高い成功率を残した。
本誌では、花園大会でひときわ輝いた選手を厳選、恒例の「ドリームセブン」として紹介する。
ナディーン・ルース(ながとブルーエンジェルス)

ナディーン・ルース
開幕戦から決勝まで、勝負所で必ずトライを決める決定力が光った。9T3Cの51得点はオケロ(三重PEARLS)の11T 55得点には僅か及ばなかったが、堂々のMVP受賞。2022年の南アフリカ女子プレーヤー・オブ・ザ・イヤー受賞に続き、日本でもビッグタイトルを獲得した。
中村知春(ナナイロプリズム福岡)

中村知春
新昇格のナナイロプリズム福岡を初の決勝進出へ導いたのはやはりこの人。準決勝の東京山九フェニックス戦ではトライメークの働きに加え残り30秒、自陣深くでのウィニングジャッカル、正確なコンバージョンキックも披露。35歳のベテランがアルカス黄金時代にも負けない輝きを放った。

準決勝・東京山九フェニックス戦でのウィニングジャッカル!
大内田夏月(日本体育大学ラグビー部女子)

大内田夏月
過去3大会連続決勝で戦ったながとブルーエンジェルスとは準決勝で対決。女王ゴールに何度も迫る切れ目ないアタックのタクトを振り、勝利こそ掴めなかったものの観客、さらには対戦相手を含む全参加チームをも魅了した。姉・優月(ながとブルーエンジェルス)との直接対決は今季は実現しなかったが、妹・葉月(チャレンジチーム)とは今大会でも戦いプール戦で勝利し姉の面目をキープした。サクラ15スペイン遠征メンバーに初選出。花園大会終了後に向來桜子らとともに渡欧した。

向來桜子(左)と共にスペインへ向かった
大竹風美子(東京山九フェニックス)

大竹風美子
キックオフでは長身とバネを活かしてマイボールを再三獲得。豊富な運動量でチャンスを作り、相手ディフェンスに隙があればフィジカルの強さでそのままフィニッシュ。2017年に陸上競技からラグビーに転向、直後からサクラセブンズの遠征・合宿と負傷が続き、日体大時代は太陽生命シリーズ出場機会がなく、フェニックスに入団した昨季からの登場。「ずっと出たかった大会なんです。楽しい!」と話していた喜びを試合で表現。セブンズのコンプリートプレーヤーとしての進化を証明した。
吉本芽以(追手門学院VENUS)

吉本芽以
ハイボールを競り合ってもぶれない体幹の強さ、タックルを受けても倒れず突き進むフィジカルの強さは168㎝というサイズ以上のインパクト。DAY2のPTS戦、最終戦アルカスとの5位決定戦では2試合連続で効果的なトライをスコアし、追手門VENUSを今季最高順位となる5位進出に貢献した。

追手門地元での大会、プラカードに熱いメッセージが!
杉本七海(アルカス熊谷)

杉本七海
切れ味鋭いランニングに加え視野の広さ、読みの良さでカウンターアタック、鋭いサポートランでトライをクリエイト。花園大会では2トライに加え左足からの正確なキックでコンバージョンを8本成功。コンバージョン成功率は73%。今大会最多12Cを決めたナタリー・ライト(フェニックス)の67%、三輪里佳(三重PEARLS)の57%、サクラ15平山愛(PTS)の64%を上回る高い成功率を残した。
梶木真凜(自衛隊体育学校PTS)

梶木真凛
鈴鹿大会での13位という不振から一転、8強入りしたPTSを攻守の最前線でリード。従来セブンズではFWで出場する機会が多かったが、今季は主にBKでプレー。ファーストレシーバーのSOの位置で前に出ることで、秋田若菜や葛西杏奈の走力を引き出しつつ自身でも積極的にラインブレイク。今大会では秋田と並びチーム最多となる4Tをあげた。
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |