98回目となる早慶戦は最後までもつれる試合に―7点差で早稲田が逃げ切り勝利 | ラグビージャパン365

98回目となる早慶戦は最後までもつれる試合に―7点差で早稲田が逃げ切り勝利

2021/11/23

文●編集部


23日、98回目を迎える「早慶戦」が秩父宮ラグビー場で行われた。前日未明まで雨が降っていた関東地方だが快晴となり絶好のコンディション。スタジアムには10,597人と多くの観客が訪れた。

MATCH REVIEW

序盤、慶應はキックを使わず、自陣からボールを継続しこれまでの戦い方から変化をつけた。しかしなかなか自陣を脱出できない慶大はようやくキックを蹴り込む。すると早稲田WTB槇瑛人がカウンターアタック。

ハーフウェイ付近でポイントをつくり攻防が始まる。前にでるディフェンスで慶大がプレッシャーをかけるもノックオン。早稲田ボールのスクラムとなる。早稲田はスクラムから右オープンサイドへ展開。

CTB長田キャプテンの突破

CTB長田キャプテンの突破

CTB長田智希の突破でディフェンスを崩すとさらにPR小林賢太が縦に突破。攻撃の勢いがついた状態でNO8佐藤健次がスピンしながらトライ。10番で先発したSO伊藤大祐のコンバージョンも決まって7-0と早稲田が先制。

PR小林の突進(このあと佐藤の先制トライ)

PR小林の突進(このあと佐藤の先制トライ)

 

ルーキー・NO8佐藤のトライで早稲田が先制。

ルーキー・NO8佐藤のトライで早稲田が先制。

7分、早稲田は自陣22m内側からFB河瀬諒介が一気に敵陣22m手前までビックゲイン。ラストパスの精度が悪く、慶大ボールのスクラム。慶大は左サイドへ展開すると、早稲田は長田キャプテンのタックルでプレッシャーをかけPKを獲得。伊藤がタッチに蹴り出し、トライを狙うも直後のラインアウトで早稲田がノックオン。チャンスを活かせない。

11分、ハーフウェイ付近のラインアウト、早稲田はボールをキープしてフェイズを重ねる。慶大はFL山本凱がジャッカルし、チャンスを迎える。HO原田衛キャプテンがゲインしゴール前までボールをキャリーするも激しいタックルにあいノックオン。早稲田はボールを蹴り返す。

FL相良のトライで14-0とする。

FL相良のトライで14-0とする。

今度はモールで前進する慶大。フェイズを重ねるが早稲田の低いタックルが突き刺さりゲインラインを超えることができず、接点で押し戻されてしまう。すると慶大がオーバーザトップのペナルティーで早稲田の攻撃。早稲田は敵陣10m付近のラインアウトから、FB河瀬がディフェンス3人を抜き去りFL相良昌彦へラストパス。相良が走りきりトライ。伊藤が落ち着いてコンバージョンを決めて14-0とする。

慶應は強みのモールでトライを返す。

慶應は強みのモールでトライを返す。

前半残り20分弱、慶大は敵陣22m手前でブレイクダウンでファイトし、ペナルティーを獲得するとHO原田はマスプアに合わせ真骨頂のモールを組む。ジリジリと前に進みHO原田がトライ。SO中楠一期がコンバージョンを狙うも失敗。14-5とした。

WTB松下がゲインするもトライを取り切れず。

WTB松下がゲインするもトライを取り切れず。

25分、早稲田は敵陣10mのマイボールスクラムから左オープンサイドへ展開。BK陣でボールをつなぎWTB松下玲央がゴール前まで迫るもノックオン。なかなか仕留めきれない。慶大はマイボールスクラムからCTBエノサがボールをしぶとくキープし、中楠が10m付近まで蹴り戻す。

2年ぶりの公式戦出場となったHO原がトライ

2年ぶりの公式戦出場となったHO原がトライ

28分、SH宮尾がパスのタイミングを微妙にずらし、2年ぶりに公式戦出場となった、HO原朋樹へパス。桐蔭高校時代はBKをやっていた原がスピードあるランで突破。そのままインゴールへトライ。早稲田が21-5とリードを広げた。

10番で先発の伊藤がルーズボールをドリブルして自らトライにつなげた

10番で先発の伊藤がルーズボールをドリブルして自らトライにつなげた

32分、早稲田が敵陣10m付近でペナルティー。慶大が敵陣22m付近のラインアウトから再びモールを組むがこの場面では早稲田がしっかり対応。慶大に外に展開させディフェンスでのプレッシャーをかけ続けると、慶應がミス。パスが乱れ、ルーズボールとなったところ、SO伊藤がキック、転がるボールをさらに前方へキック。伊藤が自らそのボールをキャッチし、ゴール中央へトライを決め28-5とした。

 

前半も残り5分弱。次のスコアが早稲田に入るとかなり慶大としては厳しい点差となる。慶大のペナルティーで早稲田が敵陣22m付近のラインアウト。慶大がコンテクスト。ボールを奪うとマスプアが前進するもサポートが遅れノットリリース。早稲田SH宮尾がクイックリスタートするもノックオン。慶大がスクラムから敵陣まで攻め込むもボールを奪われ、CTB岡﨑が裏スペースへキック。新ルールの50/22が適用され、早稲田ボールのラインアウトとなる。モールで慶大・マスプアとボールの争奪戦に勝ったNO8佐藤健次がトライ。SO伊藤も角度ある位置からコンバージョンキックを決めて35-5と大きく引き離して前半を終えた。

 

慶大がNO8福澤のトライから猛攻を開始

慶大がNO8福澤のトライから猛攻を開始

後半にむけてこのままワンサイドになるかと思われたが、伝統の「早慶戦」。ここから慶大が勢いを取り戻す。

44分、早稲田が自陣22m内側でノックオンし、慶大がマイボールスクラム。慶大が押し切りペナルティーを獲得。タッチに蹴り出しトライを狙う。モールで一気にNO8福澤慎太郎がトライ。中楠のコンバージョンも決まって12-35と反撃を開始。

このトライで息を吹き返したい慶大は、早稲田のミスで得たマイボールスクラムからボールをつないで自陣から敵陣までボールを運ぶと差し込まれた早稲田がたまらずペナルティーを犯す。慶大がタッチに蹴り出し、ラインアウトモールを押し切りHO原田が右隅にトライ。中楠が難しいコンバージョンを確実に決め19-35と点差を縮める。

初先発ながら素晴らしいパフォーマンスをみせた慶大SH小城

初先発ながら素晴らしいパフォーマンスをみせた慶大SH小城

後半初めからキャプテンが負傷交代、さらにここまで大活躍のSO伊藤も負傷。チームを落ち着かせることができないまま、慶大に攻め込まれる早稲田。自分たちにきた流れを引き寄せた慶大はハーフウェイ付近でNO8福澤がジャッカル。敵陣22m付近のラインアウト。今度はモールではなくBKへ展開。1年・SH小城大和が左右に揺さぶりながらフェイズを重ねるがCTB鬼木崇が抜け出したところでノックオン。早稲田ボールのスクラムとなる。

LO村松の安定したキャッチングがラインアウトモールによる猛攻の起点となった

LO村松の安定したキャッチングがラインアウトモールによる猛攻の起点となった

早稲田としてはここで相手への流れを断ち切りたい場面だったが、逆に慶大のプレッシャーを受けペナルティーを取られてしまう。ラインアウトをキープした慶大は、ドライビングモールで押し込むと早稲田がコラプシング。慶大は再びラインアウトを選択。もう一度モールで押し込むも、ここはグラウディングできず、インゴールドロップアウト。チャンスをいかせなかった。

途中出場のFL前田がゲイン

途中出場のFL前田がゲイン

ピンチを凌いだ早稲田は、途中から出場のCTB久富連太郎が敵陣22m手前の位置へハイパント。早稲田が素早くキックチェイスでプレッシャーをかけカウンターラックでボールを奪うと、後半やっと攻撃の時間となる。リザーブから出場のFL前田知輝がゲイン、さらにCTB久冨もレッグドライブでゴール手前までボールを運ぶ。するとラックサイドからSH宮尾がパスダミーで自らボールをグラウディングしトライ。40-19と貴重な追加点をあげた。

SH宮尾が貴重な追加トライ。

SH宮尾が貴重な追加トライ。

 

SO中楠は後半、タッチ際からのキックも含め4コンバージョンを成功

SO中楠は後半、タッチ際からのキックも含め4コンバージョンを成功

これで勝負あったかと思われたが、慶大の猛攻は続いた。76分、敵陣ゴール前のブレイクダウンでNO8福澤が再びジャッカル。直後のラインアウトからドライビングモールでHO原田がハットトリックとなるトライをきめ26-40と迫る。

さらにロスタイム、慶大は中楠のキックパスからCTB鬼木がトライ

さらにロスタイム、慶大は中楠のキックパスからCTB鬼木がトライ

残り時間を考えると勝負は決まったが、慶大にとってはこの試合で勝点をあげると5位以上が確定し選手権出場が決まる重要な局面。残り時間で1トライ1ゴールを決めると7点差となりボーナスポイント1が獲得できるため、貪欲にトライを狙った。

78分、早稲田が自陣10m付近でノックオン。慶大ボールのスクラムからフェイズを重ねる早稲田のディフェンスラインが前に出て、外のスペースが空いたところ、中楠が絶妙な精度のキックパスをCTB鬼木に成功させると。鬼木がステップをきって走りきりトライ。

この試合序盤の1本のみ外したものの、それ以外のプレイスキックは全て成功させていた中楠が緊張する場面で、落ち着いてコンバージョンキック決めノーサイド。慶大が7点差のボーナスポイントを獲得。選手権出場を決めた。勝った早稲田の選手からが笑顔がなく、追い上げた慶大の選手からは笑みがこぼれた。

前半こそ、流れを掴んだ早稲田だったが、後半、特にディフェンスの時間が多くなったところでの反則、モールディフェンスの部分など課題が見つかった。次の早明戦にむけて課題をどこまで修復できるか。

敗れた慶大は、序盤の失点が悔やまれるも、試合開始から変化をつけたプレーを見せた。前半も攻撃の部分で精度を保てずトライを逃すところは次の帝京戦にむけての課題となる。

SCOREBOARD

関東大学対抗戦・第6週 2021.11.23

  • TRY(3)
  • G(2)
  • PG(1)
  •  
  • PENALTY
  • PK(8)
  • FK(0)
  • TRY(5)
  • G(2)
  • PG(0)
  •  
  • PENALTY
  • PK(4)
  • FK(1)
  • TIMELINE

  • 前半6分 早稲田大 12.長田智希 T 5 - 0
  • 前半7分 早稲田大 10.伊藤大祐 G 7 - 0
  • 前半17分 早稲田大 6.相良昌彦 T 12 - 0
  • 前半19分 早稲田大 10.伊藤大祐 G 14 - 0
  • 前半21分 慶應義塾大 2.原田衛 T 14 - 5
  • 前半23分 慶應義塾大 10.中楠一期 Gx 14 - 5
  • 前半29分 早稲田大 2.原朋輝 T 19 - 5
  • 前半30分 早稲田大 10.伊藤大祐 G 21 - 5
  • 前半34分 早稲田大 10.伊藤大祐 T 26 - 5
  • 前半36分 早稲田大 10.伊藤大祐 G 28 - 5
  • 前半40分 早稲田大 8.佐藤健次 T 33 - 5
  • 前半42分 早稲田大 10.伊藤大祐 G 35 - 5
  • 後半7分 慶應義塾大 8.福澤慎太郎 T 35 - 10
  • 後半8分 慶應義塾大 10.中楠一期 G 35 - 12
  • 後半14分 慶應義塾大 2.原田衛 T 35 - 17
  • 後半16分 慶應義塾大 10.中楠一期 G 35 - 19
  • 後半31分 早稲田大 9.宮尾昌典 T 40 - 19
  • 後半32分 早稲田大 23.小泉怜史 G 42 - 19
  • 後半36分 慶應義塾大 2.原田衛 T 42 - 24
  • 後半38分 慶應義塾大 10.中楠一期 G 42 - 26
  • 後半43分 慶應義塾大 13.鬼木崇 T 42 - 31
  • 後半44分 慶應義塾大 10.中楠一期 G 42 - 33
  • MEMBER_早稲田大学

  • 1 小林賢太 後半29分 OUT → IN 17 横山太一
  • 2 原朋輝 後半16分 OUT → IN 16 川﨑太雅
  • 3 亀山昇太郎
  • 4 村田陣悟
  • 5 桑田陽介 後半22分 OUT → IN 19 大﨑哲徳
  • 6 相良昌彦
  • 7 小川瑞樹 後半29分 OUT → IN 20 前田知暉
  • 8 佐藤健次
  • 9 宮尾昌典 後半36分 OUT → IN 21 河村謙尚
  • 10 伊藤大祐 後半20分 OUT → IN 23 小泉怜史
  • 11 松下怜央
  • 12 長田智希 後半0分 OUT → IN 22 久富連太郎
  • 13 岡﨑颯馬
  • 14 槇瑛人
  • 15 河瀬諒介
  • 16 川﨑太雅
  • 17 横山太一
  • 18 木村陽季
  • 19 大﨑哲徳
  • 20 前田知暉
  • 21 河村謙尚
  • 22 久富連太郎
  • 23 小泉怜史
  • MEMBER_慶應義塾大学

  • 1 松岡勇樹 後半22分 OUT → IN 17 朝田将多
  • 2 原田衛
  • 3 岡広将 後半22分 OUT → IN 18 鈴木悠太
  • 4 アイザイア・マプスア 後半33分 OUT → IN 22中山大暉
  • 5 村松龍之介 後半28分 OUT → IN 19 シュモックオライオン
  • 6 髙武俊輔 後半6分 OUT → IN 20 今野勇久
  • 7 山本凱
  • 8 福澤慎太郎
  • 9 小城大和
  • 10 中楠一期
  • 11 山之内颯人
  • 12 イサコ・エノサ 後半13分 OUT → IN 21 菅涼介
  • 13 鬼木崇
  • 14 佐々木隼 後半33分 OUT → IN 23 永山淳
  • 15 山田響
  • 16 田中慶伸
  • 17 朝田将多
  • 18 鈴木悠太
  • 19 シュモックオライオン
  • 20 今野勇久
  • 21 菅涼介
  • 22 中山大暉
  • 23 永山淳
  • COMMENT

    早稲田大学・大田尾竜彦監督


    前節の帝京戦の敗戦からから学ぶことをしっかりグラウンドに落とし込んで、試合に臨みました。前半特にいいところが多かったと思います。後半、受けてしまったというところで。勝ったことは素直に学生たちを評価し、よくやってくれたなと思います。次の試合向けて(今日の試合で)出た課題をしっかり修正して臨みたい。

    早稲田大学 CTB長田智希キャプテン


    監督からもありましたように、前回の帝京戦で出た課題をこの(準備)期間で克服して試合に臨みました。その中で前半、僕たちの強みでもあるいいアタックが出た部分もありました。後半、ブレイクダウンだったり、ペナルティーだったり、そういったところで課題が見られた。そこをまた修正して次の明治戦に向けていい準備したい。

    早稲田大学 FB河瀬諒介


    前半すごいいい入りができて、自分たちのやりたいこと、やらなければいけないことがしっかりできた結果だと思います。後半、ブレイクダウンでもプレッシャーを受けましたし、ペナルティーから失点というパターンが多く見られたので、そこは修正すべきところかなと思います。

    早稲田大学 POM佐藤健次


    今日はチームとして切り替えのところをFWとして意識していました。スクラムで押されたり、ラインアウトモールで(トライを)取られてしまった後の切り替えという部分が、修正点で課題が残ったなと思いました。次の明治戦まで、修正して臨みたいと思います。

    慶應義塾大学 栗原徹監督



    多くの方に来ていただき、コロナ禍の状況の中ですばらしい環境で試合させていただいたこと感謝申し上げます。試合内容は前半、立て続けにトライを取られてしまったことで少し 混乱をしてしまいましたけれども、選手たちは自分たちの強みを再認識して、後半立て直してくれたこと大変誇りに思っています。勝負事ですので勝てなかったことは非常に残念ですけれども次にむけて、課題の修正と強みの確認をして帝京戦に向かって行きたい

    慶大LOマプスアの縦へのランもアクセントとして効いていた

    慶大LOマプスアの縦へのランもアクセントとして効いていた

     

    慶應義塾大学 HO原田衛キャプテン


    前半受けてしまったのがすべて。後半、少し盛り返したので最終戦の帝京戦につなげることができればと思っています。


    ――前半慶應らしいDFができなかった要因は


    早稲田が前に出てくるアタックに対して、僕らが前にでれず、すれ違いでディフェンスで機能しなかった。それを後半修正していいディフェンスができて失点をおさえられたと思います。前半点差ついてしまったので、アタックするしかないというか、そこの覚悟が決まって、点差盛り返すことができた。



    ――ハーフタイムでどういう話をした


    アタックを増やそうと、自陣からボールつないでアタックしようと話をしました。
    後半は上手くはまって、そのまま敵陣にいることができたので、得点源であるモールでトライをとることができた。

    GALLARY

    FBで先発した慶大の山田だが、場面によってはSHに入るなど変幻自在な働きをみせた

    FBで先発した慶大の山田だが、場面によってはSHに入るなど変幻自在な働きをみせた

     

    LO村松の安定したキャッチングがラインアウトモールによる猛攻の起点となった

    LO村松の安定したキャッチングがラインアウトモールによる猛攻の起点となった

     

    激しくコンタクトする慶大FL山本凱。サポートは初先発の1年生SH小城

    激しくコンタクトする慶大FL山本凱。サポートは初先発の1年生SH小城

     

    SO中楠は後半、タッチ際からのキックも含め4コンバージョンを成功

    SO中楠は後半、タッチ際からのキックも含め4コンバージョンを成功

     

    40-33。トライ数は6-5。勝ち点は早大4、慶大1だった

    40-33。トライ数は6-5。勝ち点は早大4、慶大1だった

     

    POMには早大No8佐藤健次が選ばれた

    POMには早大No8佐藤健次が選ばれた

     

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