11月23日、秩父宮ラグビー場では関東大学対抗戦、早稲田大学(全勝)と慶應義塾大学(2勝3敗)の「早慶戦」が行われ、57-3と早稲田が慶應をノートライに封じ込め完勝。全勝をキープし、勝ち点を36に伸ばし1位とした。
2024/11/24
文●編集部
慶應義塾大学はキャプテンのHO中山大暉が脳震盪のため欠場。バイスキャプテンのSH小城大和がゲームキャプテンを務めた。
早稲田大学はHO佐藤健次、FB矢崎由高、SO服部亮太、WTB田中健想ら好調な今シーズンを支えるコアメンバーが先発した。
早稲田は、NO8鈴木風詩のトライで先制すると、SO服部の50/22からHO佐藤がモールからトライを決めると、前半33分、FB矢崎がトライ、さらに前半終了間際にFL田中勇成のトライで38-3と早稲田がリードして前半を終えた。
後半も早稲田の勢いは変わらずトライを量産。後半もトライゲッターのWTB田中健想のトライから始まり3トライを決めて慶應を突き放した。
プレーヤーオブザマッチには早稲田大学CTB野中健吾が選ばれた。
早稲田大学 大田尾竜彦監督
しっかりと自分たちにフォーカスした時間が長くて、特にスタートの15人がしっかりとしたプレーをしてくれた。後から入ってきたメンバーがレベルアップをもう少ししないといけないかな。今日出た課題を煮詰めて早明戦に臨みたい。
――ディフェンスが好調なことは
ディフェンスで一番良いのは、選手たちが自分たちのディフェンスに対してプライドを持っているのがいいなと思ってます。とにかく、いろんなことがあってもワークし続けることが非常に浸透している。細かいところももちろんコーチングしているが、自分のトライラインを割らせないという強い気持ちが出ているのがいい。今日もノートライに抑えていて、試合を安定的に運べる一番のポイントになっている。
――次戦は2007年以来、全勝優勝がかかった国立の早明戦です
100回目ということもあるし、全勝で迎える早明戦なので、非常に気持ちも入る試合です。この後も考えても、自分たちが今年やってきたことを、どれだけポテンシャルの高い相手に出せるかがポイントかなと思います。
去年と変わったところでは、セットプレーのスクラムとディフェンスのところ。ずっとトップ4に入っている明治にどれだけできるか。あとは粘り。今日は若干淡泊な部分があったので、全てに対してチームワークできるかが見たいなと思うし、それが見れたら良い試合になるかなと思います。
――今日の服部選手について
今日でいうとキックとランのバランスがあまりよくなかったかな。キックが最大の武器であるが、あくまでもランとパスがあってこそキックが光る。彼のキックで前進できていることは間違いないが、今日は少し前半攻め急いだりしていることがあったので、その辺は課題。
今日の収穫は80分プレーできたこと。足がつったり、パフォーマンスが落ちたら替えようかと思っていたが、80分プレーできたことが一番大きな成長。過去2、3試合は、コンディションで、変えざるを得なかった。
――POMに輝いたCT野中について
一番成長したのは、フィジカルのところの改善と、ディフェンスのところでしっかり身体を当てられるようになったところ。それに比例するように、もともと持っていたアタックスキルでラインを動かすところが、今季、非常によくなった。
本来もうちょっと良い位置で、力を発揮してほしかったのでその辺を修正してほしい。ただ本人の自覚とともに成長していて頼もしいと思います。プレースキックの2点積み重ねは非常に大きいですし、メンタル的にもそう、得点のプレッシャーが非常に大きい。
夏合宿、対抗戦でもPGを狙っていて、野中のプレースキックがあるので、しっかりゲームを意識している。ファイナル、セミファイナルを意識して佐藤はじめ、リーダーがゲームを作っているのが、野中への信頼の表れかなと思います。
早稲田大学 佐藤健次キャプテン
早慶戦という舞台で勝利できたことを嬉しく思いますが、今週1週間、自分たちが準備してきたことが、まだまだ出せていないシーンが多かった。そういうミスをしてしまうと、次の明治戦、大学選手権で負ける原因になってしまう。1週間の準備の濃さを上げていかないといけない。準備したことを出せるような実行力を高めていきたい。
――準備したこととは
慶應さんはブレイクダウンが強みで、アタックでは前半、15人がやってきたことが出せたし、強度の高い試合運びができた。リザーブが出た後半、しんどい状況でブレイクダウンまわりのワーク量が全然できていなかったのでそこはもっとやっていきたい。
リアリティーや試合勘など毎回の練習で試合を想定してやるのもそうだが、やっぱり 練習中にミスしている選手が試合中でもミスをしているので、ミスへの厳しさをもう一段階上げていければと思います。
――ディフェンスが好調なことは
ディフェンスに対して僕たちも自信がありますし、今までだと『取られた分取る』というマインドから、『取られない』というマインドに変わっている。ディフェンスリーダーたちが、ずっとミーティングして、コミュニケーションした成果が出ている。ディフェンスリーダーは僕と細矢と田中です。
――早明戦に向けて
明治さんは1から23番までスーパースターが揃っている、スター軍団みたいなイメージです。そういう大学に身体が小さく、スーパースター軍団ではない僕たちが見失わないようにするのが一つあります。国立、100回目、全勝がかかっている、とかあまりそういうの気にせず、やることを明確にして余計な情報を入れずに、自分たちに集中すれば自ずと良い結果が出ると思う。いろんな外的要因に惑わされずに、自分たちにフォーカスできればと思います。
――スクラムの精度は上がっている
昨日、亀山とかと話をしていて、早稲田のスクラムが好調な理由は表の選手だけではなく、早稲田全体として、スクラムのレベルが高いこと。1週間の練習の中でA、Bチームが ほぼ互角か、Bチームが勝つ週もあって切磋琢磨できています。それが好調な要因で、昨年から特別なことはしていないです。
今年は表だけでなく裏のメンバーも、3列目くらいまでは高いレベルでスクラムが組めるので、毎日、良い成長ができていると思います。PR杉本もPR亀山も1週間、気持ちよいスクラムを組んで試合に臨むのではなく、それなりの課題が出た中で試合に挑んでいるので、それも好調な理由かなと思います。
慶應義塾大学 青貫浩之監督
本日の試合は対抗戦全勝、前年度優勝した帝京さんに大差で勝利した早稲田さんというところ、私どもは精神的支柱の中山主将が不在ということで、初めからかなり厳しい戦いになるという話は選手たちにしていました。ただ、慶應らしさを80分間出して見ている人に感動を与えるそういう試合をしようという話をして試合に臨みました。
試合については選手はよくタックルして健闘しておりましたが、やはり全体的にといいますか、プレーの精度、接点での圧力を受けてずっと劣勢である状況を打開できずに終わってしまった印象です。対抗戦は終わりではないですので、次の日体大戦に勝利をして選手権出場を確定させたいと思っています。
――キャプテンの状態は
次戦、12月1日の日体大戦には戻ってきます。
――風下を選択したこと
本気でこの試合に勝ちに行くために後半、最後の厳しいところで風上でゲームをしたいという意図でした。個人的に感じているうまくいかなかったところはブレイクダウンのところ。ハイボールにしろ、接点にしろアタックにしろ、タックルしても、その後のブレイクダウンで取り返せない。他のチームでしたら、今年結構ブレイクダウンにこだわって、ターンオーバーをして敵陣に入ることができていたんですが、今日早稲田さんのブレイクダウンが想像以上に強くて、うまくてそこでターンオーバーが全くできずに敵陣に入ってモールという流れを作ることができなかった。結果だけを見れば厳しいように捉えられると思うんですけども、一戦一戦成長できているなと思います。
慶應義塾大学 SH小城大和バイスキャプテン
チームとしてこの早慶戦をターゲットに、すごく準備をたくさんしてきたんですけど、結果的に大差を付けられてしまったというところで、特にエリアマネジメントのところでずっと自陣に押し込められてしまって、なかなか自分たちの思い通りのプランが酔翁できなかったり、接点での圧力だったり、早稲田さんの精度高いアタックだったりとか、そういったところでも圧力を受けてしまったというのが、すごく反省点として残るかなと思います。
早慶戦は終わってしまいましたけど、対抗戦もう一試合残っていますし、また選手権に向けて、いい準備、いい積み重ねをしていかないといけないので、またチームで帰って頑張りたいと思います。
――試合を振り返って
早稲田大学10番の服部選手に気持ちよく(キックを)蹴らせてしまったというところがすごく一番反省すべきところかなと思います。もうちょっと転がすようなキックだったり、高い球を上げて、気持ちを切らせるように時間を与えないでキックをケラsるといったところをもっと徹底したかったんですけど、そこが上手くいかずに、矢崎選手もすごくキックが飛びますし、そういったところでも負けてしまった部分があるのかなと思います。
――風の影響
チームで話して最初風下から苦しい時間を耐え抜いて、後半まくりにいこうというプランを作っていたんですけど、正直いえば前半は自分たちの想定内のエリアで試合できたんですけど、後半プラン通りに奥に押し込んでキックを蹴っていこうというようなところだったんですが、あまりうまくいかずにキックを蹴っても22mから服部選手がロングキックをけってくるので、そこで後手に回ってしまいました。