サクラフィフティーン・女子15人制日本代表、勝浦合宿レポート | ラグビージャパン365

サクラフィフティーン・女子15人制日本代表、勝浦合宿レポート

2021/04/14

文●大友信彦


女子15人制日本代表は、今年9月に予定されていたワールドカップに向けて強化を進めていたが、先にワールドカップは来年9月まで延期が決定。ターゲットが1年先延ばしされたことによって、強化計画は修正を迫られた。ワールドカップの1年延期が決まったのは3月に行われた前回和歌山合宿の最中。今回は、延期が決まって以後最初の合宿だった。

9日の練習後の、浅見敬子女子15人制ナショナルチームディレクター、レスリー・マッケンジーHC、南早紀キャプテンのコメントを紹介する。

「延びたことはチャレンジャーである私達にとってプラス」浅見敬子ナショナルチームディレクター

浅見敬子ナショナルチームディレクター

浅見敬子ナショナルチームディレクター

――ワールドカップの1年延期について


「前回の合宿中にそのニュースが入って、そのときからミーティングでみんなで受け止め方を話し合ってきましたが、ポジティブにとらえている選手が多いと思いました。そこも含めて、ミーティングをたくさん持てたのが良かったと思う。

延びたことは、チャレンジャーである私たちにとってはプラスです。私たちの目標はベスト8に入ることですが、現在の世界ランクは12位。ここからチーム力をあげていくためには、1年の時間をいただけたことは前向きにとらえています。準備する時間が増えたわけですから」


――欧州で活躍している3選手について。


「みんな、よくやってくれています。特に加藤幸子さんはあの若さであれだけ毎試合出場して活躍している。国内にいる選手たちにもいい影響を与えていると思う。鈴木彩香さんはベテランですが、ベテランだからこそ学べる、見えるところを学んで帰ってきてくれると思う。平野恵里子さんはこれまで日本にとって未開拓の地だったスペインに行ってくれている。それぞれ、ZOOMで連絡を取りあったりして、みんないい刺激を受けています」

「15人制は一旦ブレイク。セブンズをプレーする選手はコンペティションを経験してほしいし、レストする選手はしっかり休んでほしい」レスリー・マッケンジーHC

――ワールドカップの1年延期によりチーム強化計画の変更は。


「去年の3月からいろいろと変更を繰り返しているので、変更には慣れているので、柔軟に変えることができています。私たちにとって役に立ったのは、昨年の五輪の1年延期のプロセスを見てきて、選手がどんなメンタルに置かれるかをモニタリングできたことです。セブンズの選手たちは誰も自暴自棄になっていなかった様子を見ていたことは、私たちにとって心強い材料でした」


――1年延期されたこと自体はどう受け止めているか。


「もちろん残念です。前回の合宿でも、ワールドカップに向けてモメンタムを作っていく方向で活動を進めていて、楽しみにしていたので残念です。ただ、私たちは若いチームなので、1年延期されればそれだけ成長できる時間をもらえたということでポジティブに受け止めています」


――五輪と1年開催時期がずれたことで、現在セブンズに専念している選手が15人制のスコッドに入ってくることもあるのでしょうか。


「可能性はあります。ただ、オリンピックまでの時間を考えると、その構想を公表する段階ではないと思います。」


――レスリーHCの日本協会との契約は当初、2021年9月のワールドカップ終了まででした。ワールドカップは1年延期されましたが、コーチの契約も1年延長されるのですか。


「I hope so(そうなることを望んでいます)(笑)」


――今日の練習では水風船を使ったメニューを取り入れて、選手が楽しそうにしているのが印象的でした。


「メニューの中にファン(楽しさ)を取り入れたかったんです。このキャンプではたくさんのセッションがあって、特にコンタクトにフォーカスしていたので、キャンプ全体が仕事のような空気になりかかっていた。やはり楽しさは必要ですから」


――このあと国内では太陽生命シリーズが始まります。


「15人制のスケジュールはここから数ヶ月ブレイクすることになります。セブンズをプレーする選手はセブンズのコンペティションを経験してほしいし、休養を取る選手には休んでほしい」




前回和歌山合宿で初招集された26歳、井草彩野(ブレイブルーヴ)

前回和歌山合宿で初招集された26歳、井草彩野(ブレイブルーヴ)

――個別の選手についてですが、PR井草彩野選手は26歳で代表初招集されました。若い選手の多い日本女子では珍しいセレクションだと思いますが。


「彼女は素晴らしいフィジカルの強さを持っていて、リーダーとしてクラブ(ブレイブルーヴ)のカルチャーを作り上げた。プレーヤーとしての経験値も多く、スキルセットも高く賢い。ゲームに対してパッションを持っている。多くの選手と異なるバックグラウンドを持っている選手は貴重な存在です。期待しています」

――鈴木陽子選手は15人制の経験は多くありませんが。


「彼女はこれまでセブンズに専念していたと思うけれど、私は彼女のラグビーに対する頭(ブレイン)の力を評価しています。ポジションはSHとして考えています。プレーの判断力ももちろんですが、彼女は私に対して質問してくる内容がいい。日本では15人制とセブンズを分けて捉えがちだけど、ラグビーという意味では重なる部分が多い。彼女のラグビーに対する理解力をチームに持ち込んでほしいと思っています」


――ヨーロッパでプレーしている3人について。


「彼女たちの挑戦はとても嬉しく思っています。ワスプス、(エクセター)チーフス、そしてスペイン(セビーリャ)、日本の選手にとってはなかなか行く機会のなかったところにそれぞれがチャレンジしている。彼女たちが吸収したものが多ければ多いほど、戻ってきたときに多くのことをシェアしてもらえるし、違う国のプログラムや文化を学ぶこと、経験することは価値がある。そして、日本のプレーヤーのクオリティをヨーロッパに見せつけることもできている。素晴らしいです」


「(ワールドカップ延期について)驚きはあったけどネガティブな感想はなかった」南早紀主将

――ワールドカップの延期についてはこの合宿で何か話しましたか。


「特に今回の合宿でそのことについては話していません。前回の合宿の最中にワールドカップ延期のニュースが入ってきたので、そのときに選手それぞれが話す機会がありましたから。個人個人とも話したし、小グループでディスカッションする機会ももちましたから」


――そのときの話の内容、雰囲気は。


「本当に前向きな選手が多かったです。準備する時間が増えたことを前向きに受け止めている選手が多い。もちろん、年齢が高い選手もいるし、多少は違うマインドを持っている選手もいるかもしれないけれど、みんな同じ目標を持って、成長するための時間をもらえたことを前向きに受け止めていたと思います」

――南さん自身はどう受け止めましたか。


「驚きはありましたけど、ネガティブな感想はありませんでした」


――この1年間をどう活用するかについては。


「ワールドカップは延期になったけど、どこかのタイミングでテストマッチができることになるかもしれない。そのひとつひとつ、ターゲットをもって準備していきたい」

――ヨーロッパでプレーしている3人について。


「いい環境でプレーできている、試合機会が多い、世界の選手がいる中で活躍している、うらやましいですし、そこで活躍していることは本当にすごいなあと思います。ただ私たちも、国内でできることはあるし、国内のレベルが上がらないと、日本女子ラグビー全体のレベルは上がらない。彼女たちが日本女子のクオリティの高さを証明してくれているし、日本女子のレベル全体が上がって、誰がヨーロッパに行っても、今のサチコ(加藤幸子)たちと同じように活躍できることを見せたいと思います」

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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