初戦黒星を喫したサクラフィフティーン。カナダ戦の経験を活かせるか重要になるアメリカ戦 | ラグビージャパン365

初戦黒星を喫したサクラフィフティーン。カナダ戦の経験を活かせるか重要になるアメリカ戦

2022/10/09

文●編集部


10月9日、ラグビーワールドカップ2021(playing2022)、サクラXVこと女子日本代表の初戦、カナダ戦が行われた。

世界ランキングは日本の13位に対し相手のカナダは3位、ワールドカップには過去すべての大会に出場し、2014年大会では準優勝している強敵だ。

ノースランド・イベントセンター

ノースランド・イベントセンター



会場はNZ北島北部、ノースランドの中心都市ファンガレイにあるノースランド・イベントセンター。2011年の男子ワールドカップでJK(ジョン・カーワン)HC率いる日本がトンガと対戦し、18-31で敗れた会場だ。


試合は日本のキックオフで始まった。試合開始のファーストプレーで、相手SOのキックを処理したWTB今釘のキックをカナダCTB13カルジュビーがチャージ。こぼれ球をWTB11ファリーズがトライ。カナダが5点を先制する。

イージーな先制トライを献上してしまった日本はすぐに反撃する。相手キックを捕ったSO大塚朱紗が蹴り返したキックはタッチ際で弾み、捕球した相手がタッチラインを踏んでしまう。相手陣22m線でラインアウトを得た日本はボールを確保し、PKを獲得。SH阿部恵のタップキックでクイックスタートすると、FL齋藤聖奈、PR加藤幸子、NO8永井彩乃らがじわじわとゲイン、9フェイズまで攻撃を重ねてLO高野眞希がポスト右に押さえた。

初めての大舞台、クイックスタートでチャンスを作ったSH阿部恵

初めての大舞台、クイックスタートでチャンスを作ったSH阿部恵



2017年大会のオーストラリア戦でもトライをあげている高野が自身ワールドカップ2本目のトライを決め、日本が5-5の同点に追いつく。しかし大塚のコンバージョンキックは外れ、リードを奪うことはできない。

ジャパンのダブルタックル

ジャパンのダブルタックル


試合はそこから膠着する。8分、ハーフウェー付近で組まれたファーストスクラムは日本ボールで、カナダのアーリープッシュにより日本がFKを獲得。次のスクラムでは逆に日本がアーリープッシュ。スクラムは互いにプレッシャーをかけあい、拮抗した展開が続いた。
しかし12分、自陣のスクラムで日本は2度目の反則を犯し、PKからラインアウトモールで攻め込まれ、14分にカナダのHOトゥットシがトライ。モールを押し切ったこのトライで試合の流れはカナダに傾いた。24分には日本が自陣のラインアウトからボールを動かした場面でHOトゥットシがターンオーバーしてSHミラーがトライ。

冷静なプレーでゲームメイキングしたSO大塚朱紗

冷静なプレーでゲームメイキングしたSO大塚朱紗


ラインアウトモールで優勢に立てるとみたカナダは徹底してFW勝負。29分にはトゥットシ、35分にミラーが、ともにモールからトライをあげ、カナダが27-5と大きくリード。日本もラスト5分間はハーフウェー付近でフェイズを重ね、局面打開を狙ったがなかなかゲインできずじまい。41分、ハーフウェー手前でPKを得たが、アドバンテージの間にキックを蹴ったこともあってクイックアタックはできず、日本は蹴り出して前半を終了した。

後半、先に点を取りたい日本は、カナダのキックオフボールをCTB中山潮音が捕球してそのままカウンターアタック。カナダ陣22m線付近まで攻め込むが、ラックへのオフサイドを犯してしまいチャンスを逃す。直後に自陣に戻された場面ではLO佐藤優奈のジャッカルでPKを獲得し、カナダ陣22m線まで陣地を進めたが、ここでもラインアウトを失敗。FWに大型選手の並ぶカナダを相手に、ラインアウトは苦戦が予想されたが、実際のスタッツは4/8の50%。クリーンキャッチはほとんどなく、逆にカナダは15/15の100%獲得に成功した。

後半最初のピンチをしのいだカナダは、キックで日本陣に攻め込むと、FWの縦突進でゴールラインに迫る。日本は粘り強いタックルで耐え、再三のピンチをしのぐが、50分にカナダHOトゥットシがハットトリックになる3本目のトライ。34-5までリードを広げる。

プレーヤーオブザマッチに選ばれたカナダHO・トゥットシにハットトリックを許す

プレーヤーオブザマッチに選ばれたカナダHO・トゥットシにハットトリックを許す




それでも日本は反撃に出る。51分、大塚の50/22キックで相手陣深くに攻め込んだ日本は、ラインアウトリーダーの玉井希絵を投入し、そのラインアウトは前へのムーブでボールを獲得。しかし齊藤聖奈がいいゲインをしながらノックオン。直後のラインアウトはロングスローを試みたが失敗。なかなか点を返せない。60分には自陣からCTB古田真菜、PR加藤幸子が鮮やかなランでカナダ陣22m線まで攻め込むが、惜しくも攻めきれず、スクラムで反則。50分からの約10分間は日本がポゼッションで優位に立って試合を進めたが得点には至らず逆にカナダは66分、日本陣で得たPKでスクラムを選択し、FWの連続ラックから途中出場のPR17ネルソンがトライ。NO8デグーディ主将がコンバージョンも決め、41-5までリードを広げた。

PRラベマイまこととHO永田虹歩のダブルタックル

PRラベマイまこととHO永田虹歩のダブルタックル

敗色濃厚になった日本だが、この先の戦いを考えれば、少しでも得失点差を詰めておきたい。途中出場のSH津久井萌が高速パスを軸にテンポアップ。やはりインパクトで投入されたFL鈴木実沙紀もブレイクダウンで高いワークレートを見せ、ゲームのリズムを取り戻す。FB松田凜日、FL細川恭子がいいランを見せるが、どうしても最後のパスが通らない。相手陣に攻め込みながらトライを返せないままタイムアップとなり、ボールを奪ったカナダのCTB12テシエがタッチに蹴り出しノーサイド。

日本は初戦に5-41で敗れたが、序盤の蹴り合い、後半インパクト選手が投入されてからのテンポアップなど明るい材料もあった。第2戦の相手は第1回W杯のチャンピオンチームでもある米国。開幕時の世界ランクは6位。日本vカナダの前に行われた初戦でイタリアに敗れたとはいえ、やはり大型選手を揃えた強敵だ。日本はディフェンスの出足、セットプレーなどを修正して、必勝を期したい。

レスリー・マッケンジーヘッドコーチ

「この試合でやりたかったことはたくさん出来た。スクラムが上手くいったのは、本当に嬉しいこと。ディフェンスでは、必ずしも必要ではない判断もあった。ゲームマネジメントの面では、次の2週間に向けて厳しい教訓を得る良い機会になった。

全体的には、ポジティブな要素が多く、とても満足している。コンタクトやボールの動きも良かったし、日本代表が持っている良さも少しは見せられたと思う。(先制点を取られたことは)覚悟していたこと。多くの選手にとって初めてのワールドカップで、トレーニングや期待通りに行かないこともある。

期待通りに行くことはあり得ないし、ラグビーではない。だから、選手たちの修正ぶりには本当に満足しているし、それが逆に勢いをつけてくれた」

PR南早紀キャプテン



――ラグビーワールドカップの初戦を振り返って


「初戦は、これまで自分たちが積み上げてきたものを出すことができたと思います。しかし、結果は自分たちが望んでいたもの、期待していたものとは違いました」


――序盤のトライを経て、何が変わったかについて

「カナダのフォワードは、何事にも勤勉でした。止めれるシーンもあったが、勢いを完全に止めることはできなかった。それが原因かもしれません」


――特に満足している点について


「準備してきたこと、スクラムセットも表現することができた。カナダと同じ土俵に立てて、負けてはいなかった。だから、それは嬉しいことでした」


――日本の女子ラグビー発展のために、これらの試合がいかに重要であるかについて


「この初戦で、まず日本の女子ラグビーに多くの目が向けられ、その目の前で試合をし、私たちが何をしているかを知ってもらう。それは私たちにとって、とても価値のあることだと感じています。前回のワールドカップ以降、私たちはレスリーをヘッドコーチに迎え、この間、力をつけてきたし、その中で絆を深めてきた。だから、積み重ねて動いてきたという感じです」


――日本代表が次の試合に向けて改善すべき点について


「今日の試合では十分にコントロールできていなかった。なので、次の試合ではもっと試合内容や自分たちをコントロールできるようにしたいし、試合中のディシジョンメイクももっと良くしたいです」

PR加藤幸子

「接点で大きい相手に対してもっと前に出てなければならないと感じた。課題のセットピースは、次戦までに精度を高められるよう頑張りたい」


LO高野眞希(前半6分、トライを決めた)

「敵陣に入ってマイボールを継続できれば、自分たちが絶対に獲りきれるという自信があったので、そこでトライを獲れて良かった。相手はスクラムが得意で、前半は押されてしまった場面があったが、修正して、自分たちの武器である低さやヒットスピードを出せた。次戦以降は、自分たちの強みであるディフェンスでもっと前に出て相手にプレッシャーをかけ、アタックでマイボールを継続し、自分たちのラグビーを表現したい」

CTB古田真菜

「自身のプレーはアタック、ディフェンスともにミスを減らし、もっと前に出る必要があると感じた。エリアコントロールとフェイズディフェンスとアタックが修正点。次戦は課題を修正して、チャンスを得点に繋げていけるようにしていきたい」


SH津久井萌

「前回大会から5年間、チームでも個人でもしっかり準備してきたが、カナダの強みを止められず、悔しい気持ちが大きい。この5年間で積み上げてきたものを出すだけ、という思いでピッチに入った。次のアメリカ戦に気持ちを切り替えて、1週間しっかり修正とリカバリーをしていい準備をしたい」

SCOREBOARD

ワールドカップ2021・プレーイング2022 プールB

  • TRY(1)
  • G(0)
  • PG(0)
  •  
  • PENALTY
  • PK(13)
  • FK(1)
  • TRY(7)
  • G(3)
  • PG(0)
  •  
  • PENALTY
  • PK(9)
  • FK(1)

  • TIMELINE

  • 前半2分 女子カナダ代表 11.ペイジ・ファリーズ T 0 - 5
  • 前半3分 女子カナダ代表 9.ブリアナ・ミラー Gx 0 - 5
  • 前半5分 女子日本代表 5.高野眞希 T 5 - 5
  • 前半6分 女子日本代表 10.大塚朱紗 Gx 5 - 5
  • 前半14分 女子カナダ代表 2.エミリー・トゥットシ T 5 - 10
  • 前半16分 女子カナダ代表 9.ブリアナ・ミラー G 5 - 12
  • 前半24分 女子カナダ代表 9.ブリアナ・ミラー T 5 - 17
  • 前半25分 女子カナダ代表 9.ブリアナ・ミラー Gx 5 - 17
  • 前半29分 女子カナダ代表 2.エミリー・トゥットシ T 5 - 22
  • 前半30分 女子カナダ代表 8.ソフィー・デ・グーディ Gx 5 - 22
  • 前半35分 女子カナダ代表 9.ブリアナ・ミラー T 5 - 27
  • 前半37分 女子カナダ代表 8.ソフィー・デ・グーディ Gx 5 - 27
  • 後半10分 女子カナダ代表 2.エミリー・トゥットシ T 5 - 32
  • 後半11分 女子カナダ代表 8.ソフィー・デ・グーディ G 5 - 34
  • 後半26分 女子カナダ代表 17.ミキエラ・ネルソン T 5 - 39
  • 後半27分 女子カナダ代表 8.ソフィー・デ・グーディ G 5 - 41

  • MEMBER_JAPAN

  • 1 南早紀 後半8分 OUT → IN 18 ラベマイまこと
  • 2 永田虹歩 後半30分 OUT → IN 17 鈴木実沙紀
  • 3 加藤幸子 後半25分 OUT → IN 16 小牧日菜多
  • 4 佐藤優奈 後半12分 OUT → IN 19 玉井希絵
  • 5 高野眞希 後半20分 OUT → IN 20 吉村乙華
  • 6 齊藤聖奈
  • 7 長田いろは
  • 8 永井彩乃 後半13分 OUT → IN 23 細川恭子
  • 9 阿部恵 後半25分 OUT → IN 21 津久井萌
  • 10 大塚朱紗
  • 11 今釘小町
  • 12 中山潮音 後半17分 OUT → IN 22 山本実
  • 13 古田真菜
  • 14 名倉ひなの
  • 15 松田凜日
  • 16 小牧日菜多
  • 17 鈴木実沙紀
  • 18 ラベマイまこと
  • 19 玉井希絵
  • 20 吉村乙華
  • 21 津久井萌
  • 22 山本実
  • 23 細川恭子

  • MEMBER_CANADA

  • 1 ブリタニ—・カシル 後半11分 OUT → IN 17 ミキエラ・ネルソン
  • 2 エミリー・トゥットシ 後半11分 OUT → IN 16 ジリアン・ボーグ
  • 3 ダリーカ・メニン 後半11分 OUT → IN 18 アレックス・エリス
  • 4 コートニー・ホルトカンプ 後半26分 OUT → IN 20 エマ・テイラー
  • 5 タイソン・ブークブーム 後半15分 OUT → IN 19 ンガルーラ・フアンバ
  • 6 ファビオラ・フォルテザ
  • 7 カレン・パクイン 後半18分 OUT → IN 21 ガブリエル・センフト
  • 8 ソフィー・デ・グーディ
  • 9 ブリアナ・ミラー 後半12分 OUT → IN 22 ジャスティン・ペルティエ
  • 10 ジュリア・シェル 後半34分 OUT → IN 23 アナイス・オリー
  • 11 ペイジ・ファリーズ
  • 12 アレックス・テシエ
  • 13 サラ・カルジュビー
  • 14 マディ・グラント
  • 15 エリッサ・アラリー
  • 16 ジリアン・ボーグ
  • 17 ミキエラ・ネルソン
  • 18 アレックス・エリス
  • 19 ンガルーラ・フアンバ
  • 20 エマ・テイラー
  • 21 ガブリエル・センフト
  • 22 ジャスティン・ペルティエ
  • 23 アナイス・オリー

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