欧州遠征第2戦・スコットランドに敗れるも戦う姿勢は崩さず、勝利にこだわり最終戦に向かう | ラグビージャパン365

欧州遠征第2戦・スコットランドに敗れるも戦う姿勢は崩さず、勝利にこだわり最終戦に向かう

2021/11/16

文●大友信彦


2011年11月14日、サクラフィフティーンの欧州遠征第2戦となるスコットランド戦がエディンバラで行われた。

日本とスコットランドは2年ぶりの対戦。初対戦だった2年前は、日本が終了直前に大塚朱紗のトライで24-20の劇的逆転勝ち。欧州6カ国勢のホームで行われたテストマッチに日本が勝ったのは男子でも前例のない快挙だった。

スコットランドは世界ランキング9位。日本が前週戦ったウェールズは11位だが、2017年の前回W杯で7位に入り次回大会出場権を獲得済みだった。スコットランドは世界ランクではウェールズよりも上だが、前回W杯は不出場。しかし9月に行われたRWC2021欧州予選ではアイルランドに劇的逆転勝ちで2位に入り、世界最終予選にW杯出場への望みをつないでいる。女子6カ国対抗での激戦も含め、ゲームフィットネスも十分だ。

スターティングメンバーは、2年前の対戦時と比べると、日本は先発7人が同じなのに対しスコットランドはFW第1列トリオ以外の12人が同じ顔ぶれ。来るW杯世界最終予選への準備に加え、2年前の雪辱に燃えてくることが予想された。

先発15人の平均身長/体重は日本の166cm75kgに対しスコットランドが171cm81kg。サイズに加え、先発15人の総キャップ数は日本の94に対してスコットランドは479とインターナショナルキャリアには5倍近い差があった。

試合はスコットランドが先行した。12分にWTB14ロイドがトライ。続く20分には、そのロイドに対する日本LO佐藤優奈のタックルが高かったとしてTMOの末、一発レッドカード。リプレーで見ると相手はコンタクトの瞬間に体勢が崩れ、佐藤は意図せずに高くコンタクトしてしまったように見える。

厳しい裁定だったが、ワールドラグビーでは肩よりも高いタックルに対しては厳罰主義をとっており判定はやむをえない。日本は以後の60分を1人少ない14人で戦うことになった。スコットランドは23分、PKから攻め込んだラインアウトモールを一気押しでHOスケルドンがトライ。10-0までリードを広げた。

しかし、一人少ない日本はそこから盛り返した。
33分、相手の股抜きパスが通らず、直接タッチへ。これをクイックで入れようとした日本選手をスコットランド選手が妨害してPKを獲得すると、日本はすぐに速攻。

ここではトライラインに届かなかったが再びPK。まず3点を狙う手もあったが、PR南早紀主将はトライを求め、タップキックから強攻し、そのラックからサイドを突いたHO永田虹歩がFL齋藤聖奈らのサポートを受けてドライブしてトライラインにグラウンディング。テストマッチ2試合目で嬉しい初トライを決め、5-10と追い上げる。

さらに37分、スコットランドのパスが乱れたところで素早く前に出て拾ったSO大塚朱紗が前進してラック。そこにいち早く駆けつけたFL齋藤聖奈がピックゴーで持ち出し相手ゴールへ。しかしトライ体勢に入った齋藤にスコットランドFL7マクラクランとWTB14ロイドが絡みつきグラウンディングを阻止する。1つのトライでワールドカップ出場権が入れ替わる欧州で戦うチームの球際の厳しさを思い知らされるプレーだった。

チャンスを逃したかに見えた日本だったが、すぐに次のチャンスを作った。ドロップアウトで蹴り返されたハーフウェー付近からFB平山愛がカウンターで攻め込み、スコットランド陣深くでフェイズを重ねる。PKを得ても再び速攻。そしてロスタイムの42分、再び得たゴール前PKから南主将が突っ込み、そのラックからサイドを突いたPR3加藤幸子がゴールポストの真横にトライ。FB平山のコンバージョンも決まり日本が12-10と逆転した。

日本から見れば、レッドカードが出て一人少なくなり、0-10と差を広げられてからのカムバック。これで後半に期待が持てると思われたが、そうはいかなかった。
後半に入ると、50/50のパスを封印したスコットランドが地味に、激しく、着実にゲインを重ねる。44分にWTB14ロイドが右サイドをゲインしてから左へ展開し、キレイに余った11ガフニーがトライ。47分には自陣深くで日本ボールのラインアウトをスチールするとSOネルソンが大きくキック。懸命に戻った日本SO大塚がボールを拾い損ねたところにWTB14ロイドが走り込んでボールを奪い前進。そのままボールを継続し、FBロリーがトライ。どちらのトライもSOネルソンがコンバージョンを決め、24-12とリードを広げる。

日本もそこからLO櫻井綾乃、FL鈴木実沙紀、FL伊藤優希、SO山本実、SH津久井萌と経験値の高いリザーブ陣を投入して局面打開を図るが、大きな流れは変えられなかった。

次のポイントは61分。日本は自陣22m線付近のスクラムを押し込まれながら、相手SHのパスアウトに途中出場の伊藤優希、鈴木実沙紀の両FLが襲いかかってターンオーバー。すぐにSO山本実が相手陣深くにキックを蹴り込むが、ここで日本はチェイスした選手がキッカーより前から走りだしたとしてオフサイド。男子も含め、今季の国際ラグビーで厳しく吹かれているキックチェイスでの痛恨のケアレスミス。このPKからタッチキックで陣地を進めたスコットランドはラインアウトモールを押し切ってトライを奪い、31-12と試合を決定づける。

さらに71分には、ハーフウェーから日本FB平山愛が蹴ったキックに自陣ゴールライン前まで23キャンベルとFBロリーが戻り、日本CTB小林花奈子のチェイスをかわしてロリーがカウンター(チェイスが1枚だったのが悔やまれる)。ハーフウェーまで戻したスコットランドはそこから途中出場ながら46キャップのベテランSOローが日本DFの裏にキックを蹴り、走り込んだWTBロイドがこの試合2本目のトライ。
36-12と日本を突き放した。

スコットランドは36-12で勝ち、2年前の雪辱を果たすとともに、来年に予定されるワールドカップ世界最終予選に向けて格好の勢いをつけた。

日本代表 南早紀主将


「14人になっても自分たちのやってきたことを出すことは変わらない。相手がいやがるような速いラグビーをしていこうと話していて、前半はそれができたけれど、後半になって相手の重さに対して受けてしまったかもしれない。ただ、日本はユーティリティな選手が揃っているので、いつもと違うポジションに入ってもプレーできた。集中力が落ちたとは思わないし、すごく価値のある経験ができたと思う。

試合の終盤、私はピッチの外から見ていましたが、テンポをあげようとする余りラインが浅くなってしまっていた。もう少し冷静に、どこにスペースがあるかを見て行けたら良かった」

日本代表 レスリー・マッケンジーヘッドコーチ


「14人になって厳しい戦いだったけれど、その状況でどう努力したか、彼女たちがたくさんの努力とキャラクターと柔軟性を見せてくれた。国際経験をなかなか積めなかった中で、これは黄金の機会といっていい、日本が国際舞台で戦っていく上で必要なことを学べたと思います。

(前半の最後、相手ゴール前のPKでショットを狙わなかったのは)プランで決めていたわけではなく、選手たちの判断です。これも彼女たちが試合運びを学ぶ機会のひとつとして素晴らしい経験となった。チャンスを掴み取るには決断が必要。それは2015年のブライトンでも日本が実証したことであり、学ばなければいけない。アタックするメンタリティを持っていてほしいし、それを実行した彼女たちは素晴らしかった」

スコットランド FLレイチェル・マルコム主将

「最初の20分はいいテンポで入れたけれど、次の20分は日本のアタックが良くて、私たちの臨んだ展開にはならなかった。でも後半は23人全員で戦う気持ちを持ち続けることができた。日本と戦えることは私たちにとってすごく嬉しいこと。日本には前回対戦した選手もいたし、日本がどんなチームかは分析して、全力を尽くして臨みました。今回はホームで試合をできて、たくさんのお客さん、特に若い女の子が試合を見に来てくれたことは私たちにとって喜びです。ラグビーに限らず若い女子がスポーツをしてみたいとインスパイアしていけるようにしたい。

私たちのメンバーの多くはイングランドのプレミア15でプレーしています。本当に世界一のリーグだと思う。日本にもプレミアでプレーしている選手が何人かいる。特にPRの加藤選手は今日の試合でもいいキャラクターを見せてくれたと思います」

スコットランド ブライアン・イーソンHC


「この試合に向けてハードな1週間を過ごして準備しました。最初の20分は良くて、次の20分は良くなかったけれど、ハーフタイムに修正して、後半は自分たちのフォームに立ち返れた。キッキングゲームの進め方で我々は成長できたと思うし、ボールを持っているときに、キャリアーを含めていいプレーができていたと思う。W杯の世界最終予選がどんな日程になるかはまだ何も決まっていないけれど、どんなスケジュールになっても柔軟に対応していきたい。
日本チームは非常にいいパフォーマンスをしたと思う。男子の2019年ワールドカップもそうだったが、日本のラグビーはとてもユニークでスピードに溢れていて、セットプレーでも我々を手こずらせる。戦いにくい相手です(笑)。来週は男子のスコットランド代表が日本と対戦するけれど、そちらも楽しみにしています」

SCOREBOARD

テストマッチ2021・2021.11.7

  • TRY(6)
  • G(3)
  • PG(0)
  •  
  • PENALTY
  • PK(15)
  • FK(1)
  • TRY(2)
  • G(1)
  • PG(0)
  •  
  • PENALTY
  • PK(11)
  • FK(1)
  • TIMELINE

  • 前半12分 女子スコットランド代表 14.ローナ・ロイド T 5 - 0
  • 前半13分 女子スコットランド代表 10.ヘレン・ネルソン Gx 5 - 0
  • 前半23分 女子スコットランド代表 2.ラナ・スケルドン T 10 - 0
  • 前半25分 女子スコットランド代表 10.ヘレン・ネルソン Gx 10 - 0
  • 前半35分 女子日本代表 2.永田虹歩 T 10 - 5
  • 前半36分 女子日本代表 15.平山愛 Gx 10 - 5
  • 前半42分 女子日本代表 3.加藤幸子 T 10 - 10
  • 前半43分 女子日本代表 15.平山愛 G 10 - 12
  • 後半4分 女子スコットランド代表 11.メーガン・ガフニー T 15 - 12
  • 後半5分 女子スコットランド代表 10.ヘレン・ネルソン G 17 - 12
  • 後半7分 女子スコットランド代表 15.クロエ・ロリー T 22 - 12
  • 後半9分 女子スコットランド代表 10.ヘレン・ネルソン G 24 - 12
  • 後半22分 女子スコットランド代表 12.リサ・トムソン T 29 - 12
  • 後半24分 女子スコットランド代表 10.ヘレン・ネルソン G 31 - 12
  • 後半32分 女子スコットランド代表 14.ローナ・ロイド T 36 - 12
  • 後半34分 女子スコットランド代表 21.サラ・ロー Gx 36 - 12
  • MEMBER_スコットランド代表

  • 1 リア・バートレット 後半19分 OUT → IN 17 カーラ・ホープ
  • 2 ラナ・スケルドン 後半24分 OUT → IN 16 モリー・ライト
  • 3 クリスティン・ベライル 後半34分 OUT → IN 17 アン・ヤング
  • 4 エマ・ワッセル
  • 5 サラ・ボナー 後半19分 OUT → IN 19 ルイース・マクミラン
  • 6 レイチェル・マルコム
  • 7 レイチェル・マクラクラン 後半19分 OUT → IN 20 イーヴィー・ギャラガー
  • 8 ジェイド・コンコール
  • 9 ジェニー・マックスウェル
  • 10 ヘレン・ネルソン 後半24分 OUT → IN 21 サラ・ロー
  • 11 メーガン・ガフニー 後半22分 OUT → IN 23 ショーナ・キャンベル
  • 12 リサ・トムソン
  • 13 ハナ・スミス 後半19分 OUT → IN 22 イーヴィー・ウィルズ
  • 14 ローナ・ロイド
  • 15 クロエ・ロリー
  • 16 モリー・ライト
  • 17 アン・ヤング
  • 18 リサ・コックバーン
  • 19 ルイース・マクミラン
  • 20 イーヴィー・ギャラガー
  • 21 サラ・ロー
  • 22 イーヴィー・ウィルズ
  • 23 ショーナ・キャンベル
  • MEMBER_日本代表

  • 1 南早紀 後半5分 OUT → IN 18 小牧日菜多
  • 2 永田虹歩 後半19分 OUT → IN 17小鍜治歩
  • 3 加藤幸子
  • 4 玉井希絵 後半9分 OUT → IN 19 櫻井綾乃
  • 5 佐藤優奈
  • 6 齊藤聖奈
  • 7 長田いろは 後半9分 OUT → IN 20 鈴木実沙紀
  • 8 永井彩乃 後半5分 OUT → IN 16 北野和子
  • 9 阿部恵
  • 10 大塚朱紗
  • 11 名倉ひなの
  • 12 小林花奈子
  • 13 古田真菜
  • 14 谷口令子 後半16分 OUT → IN 23 伊藤優希
  • 15 平山愛
  • 16 北野和子
  • 17 小鍜治歩
  • 18 小牧日菜多
  • 19 櫻井綾乃
  • 20 鈴木実沙紀
  • 21 津久井萌
  • 22 山本実
  • 23 伊藤優希
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