第24回関西女子大会ファイナルを検証―三重パールズと九州合同が全国大会へ | ラグビージャパン365

第24回関西女子大会ファイナルを検証―三重パールズと九州合同が全国大会へ

2021/12/23

文●大友信彦


第24回関西女子大会(15人制)の決勝と3位決定戦が12月19日(日)、鈴鹿市の三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で行われた。

今大会には7チームがエントリーし、11月21日に1回戦、12月12日に準決勝が行われていた。参加チームは以下の通り
① 三重パールズ
② 四国大学
③ 名古屋レディース
④ 花園ホーリーホック
⑤ 九州合同(日本経済大/九州産業大/ながとブルーエンジェルス)
⑥ 合同1:Centro de 15(セントロ・デ・キンセ:アザレアセブン/石川撫子/寝屋川ウィメンズ/ぎふ清流レディース/愛知教育大/兵庫RSレディース/福井女子闘球倶楽部)
⑦ 合同2:Irie(神戸ファストジャイロ/ORSレディース/京都JOINUS/追手門学院大)

1回戦は四国大が36-17でIrieを、九州合同が75-0でCentro de 15を破り、名古屋レディースは花園ホーリーホックの棄権により不戦勝で、それぞれ準決勝へ進んだ。
12月12日の準決勝はシードされていた三重パールズが、日本代表組の合流直後ながら114-0で四国大に圧勝。もう1試合は九州合同が49-0で名古屋レディースを破り決勝に進んだ。
決勝と3位決定戦のメンバーは以下の通り。

MEMBER_三重パールズ

  • 1 山本さやか 35 中京女子大-名古屋レディース
  • 2 和田萌里 20 朝明
  • 3 中島楓華 22 追手門学院大
  • 4 菅原菜那 19 大阪緑涼
  • 18 玉井希絵 29 関西学院大
  • 6 齊藤聖奈 29 大阪体育大
  • 7 末 結希 27© 東京学芸大-アルカス熊谷
  • 17 マテイトンガ 37 アルカス熊谷-ナナイロプリズム
  • 9 渡邉桜子 20 金沢学院高
  • 10 三谷咲月 21 四日市メリノール学院-明星大
  • 11 保井沙予 29 天理大
  • 12 片嶋佑香 32 愛知教育大-ラガールセブン
  • 13 伊藤優希 25 筑紫-日体大
  • 14 三輪里佳 20 石見智翠館
  • 15 庵奥里愛 25 神戸甲北-日体大
  • 16 鈴木侑晏 19 石見智翠館 →1(40分)
  • 8 福澤 恵 22 東海大翔洋-四国大 3(73分)
  • 5 舩橋那緖 26 流通科学大 →5(61分)
  • 19 山中侑香 28 東灘 →9(61分)
  • MEMBER_九州合同

  • 1 河本美希 25(ながとBA/下関市立大)
  • 2 冨吉瑠那 20(日経大②/佐賀工)
  • 3 中山彩夏 20(日経大②宮崎北)
  • 4 大山梨果 19(日経大①石見智翠館)
  • 5 安永佳奈 18(日経大①東筑/帆柱YR)
  • 6 木下由美 23(ながとBA/追手門学院大)
  • 7 坪井美月 22(ながとBA/東亜大)
  • 8 サバナ・ボットマン(日経大②NZカモ高)
  • 9 辰巳裕有希 22(ながとBA/山口学芸大)
  • 10 大内田優月 20(ながとBA/福岡レディース-山口大)
  • 11 森瀬詩乃 20(九産大③島原)
  • 12 下村理紗 19(日経大①石見智翠館/大村RS)
  • 13 藤崎春菜 24(ながとBA/追手門学院大)
  • 14 辻崎由希乃 27(ながとBA/北陸学院大)
  • 15 後藤佳奈 20(日経大③熊本学園大附)
  • 16 貞末栞那 19(九産大①東海大福岡/中鶴)→2(79分)
  • 17 関 優綺 18(日経大①浮羽/浮羽YR)→3(66分)
  • 18 山崎 優 19(日経大①東海大翔洋)→4(79分)
  • 19 磯貝美加紗 26(ながとBA/追手門学院大-北海道ディアナ)→13(61分)
  • 20 馬場希美 19(九産大①佐世保東翔/大村RS)→6(79分)
  • 21 米村妃葉 18(九産大①石見智翠館/笹岡少年RS)→9(61分)
  • 22 豊田京香 20(日経大②アナン学園)→14(73分)
  • 23 添田有香 19(九産大②大分東明/筑紫丘YR)→15(4分)
  • パールズは昨季、関西大会が中止になった中で練習を重ね、協会推薦で出場した第7回全国女子選手権で関東1位のモーニングベアーズ(自衛隊体育学校の本拠地・朝霞の「朝」とアルカス熊谷の本拠地・熊谷の「熊」から取ったグッドネーミングだった!)を41-10で大破して初優勝を飾っていた。

    今季も日本代表を多数擁し、目標は当然、全国大会2連覇。
    関西大会決勝の相手は九州合同。日本経済大、九州産業大、ながとブルーエンジェルスの合同チームで、先発15人中7人は創部2年目の日本経済大の1-2年生という若い編成だ。準決勝では名古屋レディースに49-0と圧勝していたが、準決勝のスコアでいったらパールズは四国大に114-0というビッグスコアで勝っていた。

    パールズの勝利は鉄板と予想されたが…決勝は予想外の展開となった。

    先制したのは九州合同だった。キックオフ直後、自陣に攻め込まれたパールズはボールを奪うとWTB保井沙予が自陣からビッグゲイン。だが九州ディフェンスが必死に戻り、自陣22m線付近でターンオーバーすると、そこから主将のCTB藤崎春菜がカウンターアタック。相手陣22m線左まで攻め込んだところで止められたがPKを得るとクイックで攻撃再開。相手が戻りきれない中を右へ左へとボールを動かし、WTB辻崎由希乃が左隅に飛び込んだ。藤崎のコンバージョンは外れたが、九州合同が5点を先制する。

    予想外のスタートとなったパールズだったが、こういうときに強みを発揮するのはやはりベテランだ。今秋、ナナイロプリズム福岡から移籍したライテことマテイトンガが強靱なフィジカルで相手DFの中を突き進み、ペナルティーを獲得。16分、相手ゴール前に攻め込んだラインアウトからモールを組み、押し込んでライテがトライ。5-5に追いつくと、23分にはゴール正面のPKでショットを選択。SO三谷咲月が冷静にキックを決め8-5と勝ち越す。

    これでパールズが勢いに乗っていくかと思われたが、九州合同はそこから粘りをみせた。パールズのアタックにディフェンスでプレスをかけ、ボールを奪うとSO大内田が相手の背後へ意図的にノータッチキック。ボールを持たせてはディフェンスで攻め込み、再びターンオーバーを狙う。

    今秋の欧州遠征メンバー3人を含め先発に日本代表経験者が8人並ぶパールズに対し九州合同はゼロ(リザーブに1人)。経験値ではパールズが圧倒的と思われたが、九州合同は大内田のキックをはじめボールを動かす意思統一、ディフェンスの出足の鋭さでパールズを押さえ込み、前半のほとんどの時間を支配。前半ロスタイムには相手陣深くのスクラムで相手コラプシングを誘い、PKを獲得。ここで九州合同は同点を狙いショットを選択するがCTB下村理紗のキックは惜しくも外れ、前半は5-8で終了。

    後半、どちらが先に点を取るかが注目された。キックオフから相手陣に攻め込んだのはパールズだったが、九州はここでもディフェンスで粘りPKを獲得。しかしこのラインアウトを投入できず、相手スクラムになったことがゲームのターニングポイントだった。

    パールズはスクラムからアタックを継続してWTB保井が相手タックルをかわして右隅へトライ。九州合同はその後も懸命のディフェンスでパールズのアタックを止めるが、体重90kgのマテイトンガ、77kgのLO玉井希絵、71kgのFL齊藤聖奈らフィジカルの強い選手のコンタクトを受けているうちにじわじわと消耗。25分にパールズのFL齊藤にピックゴーでトライを奪われると、31分、38分にはFB庵奥里愛、が連続トライ。

    三重パールズ・月田伸一HC

    三重パールズ・月田伸一HC

    前半は思うように得点できなかったパールズだったが、月田伸一HCはハーフタイムに「戦術を変えたりしないで、やってきたことをやりきろうと」アドバイス。フィジカルコンタクトを前面に出した戦い方で、九州合同が消耗し、タックルの踏み込み、ブレイクダウンの圧力が少し薄れたことで、試合はパールズに傾いた。

    パールズの月田HCは「向こうがいいラグビーをしてくれたからこちらも力を出せた。予想以上に向かってきた」と九州合同の健闘を称えながら「ハーフタイムも選手が落ち着いていたので心配はなかった。ラインアウトを少し修正したくらいで、戦術は変更しなかった」と、80分トータルの戦いをポジティブに評価。

    末結希ゲームキャプテン

    末結希ゲームキャプテン

    FL末結希ゲームキャプテンも「持っている力を全部は出せなかったけど、その中でも勝てたのはパールズ事態が成長しているところだったと思う。以前だったら、やるべきことをできていないときは試合に負けていた。このプレッシャーの中で、うまくいかない試合でも最後に勝ち切れたのはよかった」と前向きに捉えた。

    淵上宗志HC

    淵上宗志HC

    九州合同の指揮を執った日本経済大の淵上宗志HCは「前半でもっと相手を走らせて、疲れさせたかったけれど、こちらが先に消耗してしまった」と完敗を認めた。それでも九州合同は敗色濃厚となった終盤も果敢に攻め、ロスタイムの後半43分にWTB森瀬詩乃がトライ。最終スコアは32-10だった。

     

    試合後の表彰式で大会MVPに選ばれたのはパールズのFL齊藤聖奈。6月の太陽生命シリーズ熊谷大会で相手選手と交錯して膵臓破裂の重傷。選手生命も危ぶまれるような深刻な事態だったが、奇跡的に順調な回復を果たし、11月の日本代表欧州遠征にも参加。帰国後の関西大会では準決勝の四国大戦は先発して前半のみ出場(1T)、そしてこの決勝ではフル出場。トライは1本だけだったが、相手ディフェンスが厳しいところで前に出る強さ、相手DFのプレッシャーを受けながら味方を生かすうまさで少ないチャンスを得点に結びつけた。納得のMVP選出だった。

    もうひとつ「選手が選ぶMVP」に選出されたのは九州合同のSO大内田優月だった。相手DFの陣形を読み、予測する戦術眼の確かさとコントロールされたキックで味方を前に出し、試合を優位に進めるゲームコントロール力が光った。九州合同はこの大会に向け、9月末から福岡、山口を行ったり来たりしながら8回ほどの合同練習会を実施したという。大内田は一昨年までは福岡レディースでプレーしていて、合同チームのチームメートとなったLO安永佳奈やHO冨吉瑠奈らは福岡レディースや九州代表のチームメートでよく知った仲。

    周囲の選手の強みを知り、引き出すことができたことも周りからの高い評価につながったのだろう。

    1-2月に行われる全国選手権には決勝を戦ったパールズと九州合同の2チームが出場する。関東勢の壁も高そうだが、ともに準決勝を突破すれば全国の決勝での再戦もありうる。
    全国大会での活躍が楽しみだ。

    決勝:試合経過

  • 前半11分 九州合同 14辻崎T 0-5
  • 前半16分 パールズ 17マテイトンガT 5-5
  • 前半23分 パールズ 10三谷PG 8-5
  • 後半5分 パールズ 11保井T 13-5
  • 後半25分 パールズ 6齊藤T 10三谷C 20-5
  • 後半31分 パールズ 15庵奥T 25-5
  • 後半38分 パールズ 15庵奥T 10三谷C 32-5
  • 後半43分 九州合同 11森瀬T 32-10
  • パールズは2016年度の初優勝以来5大会連続5度目の優勝(昨季の第23回大会はコロナ禍により大会が中止された)
    パールズと九州合同は、1月23日から行われる全国選手権に、関東の2チームとともに出場する。


    3位決定戦は四国大が38-7で快勝

    四国大

    四国大

    3位決定戦は四国大と名古屋レディースの対戦だった。
    四国大はすでに4年生が引退。初代キャプテンの井上藍はじめ創部メンバーが抜けた中での戦いだったが、チーム最長慎のLO中村沙弥が積極的なボールキャリーを繰り返すなど序盤から名古屋を圧倒した。
    名古屋レディースは後半キックオフから相手陣深くに攻め込み、2分にCTBマイアバ・ロレッタがトライ。しかし直後の6分、四国大もSO金島の見事なランニングでトライを返すと、24分にも金島が美しい弧を描くランニングでハットトリックとなる3トライ目。35分には大学1年の西真央が2トライ目。

    名古屋も必死に反撃を図るが、四国大の粘り強い防御を破れず、7-38のスコアで大敗。それでも、日本代表PR左高裕佳を筆頭にコンタクト局面では四国大を上回る場面も散見。日本の女子ラグビーをリードしてきた老舗クラブのハードワークの文化は今も受け継がれていることを実感した。

    MEMBER_四国大

  • 1 佐古成実 ③鳴門渦潮
  • 2 加藤芽衣© ②石見智翠館(一宮RS)
  • 3 小島晴菜 ③追手門学院
  • 4 中村沙弥 ②石見智翠館(京都JOINUS)
  • 5 中野 彩 ③中部大春日丘(名古屋レディース)
  • 6 藤田桃子 ②石見智翠館(石川撫子)
  • 7 辰巳美咲希 ①石見智翠館(阿倍野RS)
  • 8 濱田 梓 ③新田(北条北中)
  • 9 北岡奈央 ①石見智翠館(堺RS)
  • 10 金島瑠奈 ①石見智翠館(石川撫子)
  • 11 西 真央 ①大聖寺(石川撫子)
  • 12 日下寧子 ③鳴門
  • 13 宿野きらら ②神戸甲北
  • 14 小池玉紗 ①京都成章(三田RS)
  • 15 兼久琳名 ③石見智翠館(阿倍野RS)
  • 16 南野 温 ①石見智翠館(東大阪RS)→1(40分)
  • 17 渡邊桃花 ②福山葦陽 →4(52分)
  • 18 都世子優花 ②東海大静岡翔洋(大森中)→6(40分)
  • 19 黒田佑美 ③栄徳(名古屋レディース)→13(26分)
  • MEMBER_名古屋レディース

    PR左高裕佳

    PR左高裕佳

  • 1 高橋優夏 20
  • 2 中留夢菜 20
  • 3 左高裕佳 26
  • 4 伊藤真葵 37
  • 5 小迫理恵 25
  • 6 前田恵美 29
  • 7 工藤美玖© 24
  • 8 石渡汐織 24
  • 9 荒木瑠莉 19
  • 10 黒田 歩 29
  • 11 田島 玲 20
  • 12 遠田萌花 22
  • 13 マイアバ ロレッタ 26
  • 14 倭 由華 26
  • 15 村松 星 20
  • 16 岡田梨加 44 →2(63分)
  • 17 川端ひかり 24 →5(68分)
  • 18 成田萌里 20 →6(52分)
  • 19 石原亜美 18 →8(73分)
  • 20 川岸由季奈 26 →9(47分)
  • 21 谷川怜美 19 →14(73分)
  • 22 門脇美加子 33 →11(73分)
  • 3位決定戦・得点経過

  • 前半30分 四国大 11西T 15兼久C 7-0
  • 前半37分 四国大 6藤田T 12-0
  • 前半41分 四国大 10金島T 15兼久C 19-0
  • 後半2分 名古屋 13ロレッタT 15村松C 19-7
  • 後半6分 四国大 10金島T 15兼久C 26-7
  • 後半24分 四国大 10金島T 31-7
  • 後半35分 四国大 11西T 15兼久C 38-7
  • 大友信彦
    (おおとものぶひこ)

    1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

    プロフィールページへ


     

    記事検索

    バックナンバー

    メールアドレス
    パスワード
    ページのトップへ